研修で学んだことの「何パ−セント」が仕事の現場で活かされるのか!?、その促進要因とは何か?

 組織の中で実施される研修の転移(Transfer)に関する研究会に参加するため、早朝からレジュメをつくっていました。

 今回の研究会で、僕が担当するのは、「研修転移研究のオーバービュー」を研究会冒頭に行うことと(言い出しっぺなので・・・)、「研修評価は研修転移を促進するのか?」という英語論文の報告です。
今日になるまで放置していた僕が悪いのですが、レジュメ2本は、なかなかキツイものがあります。でも、何とか完成しましたので、今はホッとしています。今回研究会をサポートして下さっている中原研OBの関根さんに、これでようやく、どうどうと、お逢いすることができます(心より感謝!)。

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 僕が読んだ2本目の論文は、なかなか面白いものでした。
 この論文で言いたいことは、著者に便所スリッパで後頭部を殴られそうですが、1行で要約しちゃいますと(笑)

 「研修で学んだ内容」を仕事で役立ててもらうためには(研修転移を増す)、研修評価の頻度を増したり、評価のレベルを深くすりゃいいんだよ

 ということです。細かい分析をしていますが、要するにこういうこと(笑)。具体的には、「仕事の現場でどのように行動が変わりましたか?」みたいな行動レベルの評価やチェックを行っていかないと、研修で学んだ内容は仕事の現場で実践されませんよ、ということですね。

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 一般に「研修の評価」とは「研修プログラム」の質向上のために行われますが、それだけでは片手オチです。研修の評価とは、研修を受けた本人に、研修で学んだ内容をリマインド手段でもありますし、さらにはマネジャーなど、研修に関連するステークホルダーへの情報提供の機会にもなります。
 そうした「現場への情報提供機会」を上げていかなければ、「研修で学んだ内容は、仕事で役立ててもらえないよ」ということが、本論文の言いたいことです。ここまで要約していいのかどうか知りませんが。

 このような研究が成立する背景には、いかに「研修で学んだことが、いかに仕事の現場で役立てられないか」ということに関する深い危惧があるからでしょう。ある研修転移研究では、

 研修で学んだことの60%から90%は仕事には応用されない(Phillips and Phillips 2002)
 
 といいます。90%は少し極端な知見かもしれません。
 このレイトは低いものから高いものまで、各種の研究がありますので、一概にはいえません。しかし、だいたい下記のようなレンジが、人材開発の研究者の一般的見解に近いのではないか、という感じがいたします。まぁ、半分くらい?

 研修直後には学んだことの62%が仕事に活かされる。しかし、6ヶ月たつと44%になり、一年経つと34%になる(Saks 2002)。

 どないなもんでしょうか。
 まぁ、直感的には半分いけばスゴイな、という印象ですが・・・。

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 貴重な時間と労力をかけて研修を実施するのなら、それが実践されることを望みたいものです。
 本研究会では、それに関する様々な研究知見を学んでいきたいと思います。この研究会には、東京のみならず、日本全国から人が集まります。また、研究者のみならず、各社で実務を担当なさっている方や、学生も(中には学部生も!)、多数参加してくださるそうです。
 銀行とか、メーカーとか、普通の会社におつとめの方が、英語文献購読を行う、こんな研究会に参加してくださるというのは、素晴らしいことだと思います。

 明日を楽しみにしています。
 そして人生は続く