新規事業開発をまわすためのプロセスデザイン

 サイバーエージェント・人事本部長の曽山さんには、授業などで日頃から大変お世話になっておりますが(ありがとうございます!)、曽山さんがよく口にされることに「新規事業開発」のお話があります。

 よく知られていることですが、サイバーエージェントでは、社内で「じぎょつく(事業をつくる)」とよばれる新規事業開発の人事制度が走っています。じぎょつくでは、社員(内定者)なら誰でもそこに応募し、うまくいけば、自分のプロジェクト・子会社などを運営できるそうです。

 しかし、この新規事業開発というのは、なかなかの曲者で、悪くすれば、社員のモティベーションをえぐるように下げ、最悪の場合、離職にもつながってしまうものです。

 つまり、こういうことです。

 新規事業を提案して、運よく勝ち残ったとしても、事業が実際はじまらなかった場合には、「やらないなら辞めます!」

 新規事業を提案して、運よく事業を開始しても、収益を上げることができなかった場合、撤退をすすめると、「撤退するなら辞めます!」

 新規事業を提案して、事業がうまくいかなった場合、撤退をを決断すると、「撤退したので責任をとって辞めます!」

 サイバーエージェントでは、こうした問題について「経営させて人を育てる」という方針、そして、「明確な撤退ルール」を定めることで対応しているそうです。

 前者は、なるべく経験の浅い社員に、決断経験、経営ケンケンを持たせるために、事業提案がOKならば、事業は始める。「子会社経営で人を育てる=決断経験で人を育てる」という視点は、究極のストレッチによる学習です。

 後者に関して撤退ルールとは、

「事業開始後、2年以内に継続的な黒字転換をめざす。未達の場合は、撤退ないしは事業責任者交代」

 です。まことに、明確ですね。

 こうしたルールを定めておけば、事業がたとえうまくいかなったとしても、「個人として責任」を「丸かぶり」するではなく、一部は「ルールのせい」にできるのだといいます。

 つまり「もう少しやれば黒字化だったのだけれども、2年とうちは決まっているから無理だった」ということでしょうね。

 事業をこかせば、当然、社員としては責任を感じているはずです。しかし、そこを責任をあまり個人に押しつけてしまっては、個人は「離職によって責任をとること」に陥ってしまいます。そのことは、新規事業を提案してくれる有能な社員を、失うことを意味しています。それは経営的には、避けたい事態ですね。

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 新規事業開発は、多くの会社で、行われていることのように思います。しかし、新規事業開発の施策をうまく回せていくためには、施策をうまく回すための「プロセスのデザイン」が必要である、というとなのかもしれません。

 そして人生は続く