研修の「表目標」と「裏目標」!?
組織の中で行われる研修には、「表目標」とともに、時に「裏目標」が設定されていることがあります。
ここでいう「表目標」とは、「学習者がどのようなことを学び、どのように行動を変化させるのか?」ということですね。組織の中で、表だって語られ、参加者についても開示されている目標です。
一方、実務においては、研修などに「隠れた裏目標」を設定している場合も少なくありません(というか、正しくいうと、裏目標すら複数あるような場合も、少なくありません)。
ここでいう裏目標とは「研修をつくる側が意識はしているものの、参加者などには隠されている目標で、研修を通しておのずと学ばれてしまうものです」です。
たとえば、今、「営業系の研修」を例にとりあげまましょう。
この研修の「表目標」は、今、仮に「顧客に10分間で商品説明を行えるようにすること」であったとします、シンプルに。でも、この研修には、実際には「裏目標」が存在していました。
たとえば「裏目標」には、「A支店の営業マンとB支店の営業マンが仲が悪く、この研修を機に距離を縮めたい」とか、そういうものがありえるかもしれません。多くの場合、「裏目標」は、政治的で社会的な内容が含まれることの方が多いような気がします。
こうした「裏目標」は、表舞台で語られることはなく、また参加者が知るよしもなく、様々なかたちで研修内容に実装され、達成されていきます。「プレゼン研修」の「表目標」を達成しつつも、いかに「裏目標」を副次的に実現するかが、ポイントです。
「裏目標」は、一般に、現場や経営幹部などのステークホルダーから暗に伝えられていたり、さまざまな打ち合わせの中で表出してくることもあります。それをいかに拾い出すかも、また研修開発側のスキルです。
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さて、今日は、研修の「表目標」と「裏目標」の話をしました。週明けから、ドロドロ血的な話題ですみません。最近、「研修開発入門」という本を書いているからでしょうか。頭の中が、そのモードです。今月にはあがると思います。
ああ、まーま、時間がないわ。もう、6時54分、そろそろ、TAKUZOが起きてきそうなので、このくらいにしておきますが(笑)、裏目標は、一般的な、いわゆる教授設計理論では、あまり取り扱わないかもしれません。
場合にもよりますが、教授設計理論にとっては「目標は行動目標化され、学習者に明示されること」が基本的想定となっている場合が多いからです。
しかし、組織的な立ち位置から研修の機能を意味づけようとするとき、また、実務の観点から、研修をかんがえるとき、こうした、なかなか「表に出てこないものの存在」が掘り出される場合があります。
その研修の「表目標」は何ですか?
そして、その研修には「裏目標」はありますか?
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追伸.
昔むかしの概念に「Latent Curriculum(潜在的カリキュラム)」「Hidden Curriculum(隠されたカリキュラム)」という考え方がありますね。これらは「教える側がインフォーマルに行う全く無意図な行為で、しかし、政治的・かつ社会的なメッセージを含みうる行為が、学習者に、無意識的に学ばれてしまうこと」を意味しますね。
これと今日の話題の「裏目標」はちょっと違います。「裏目標」も「Latent Curriculum」も、「学習者はわからないこと」は共通していますが、前者は「教える側」は意識してます。後者に関しては、「教える側すら意識していない」ものです。