教えたとおりに「弾いて」はいけないよ!?:「反復練習」と「最後の自由」

 三連休、みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

 僕は、仕事は一切行わず(すみません!)、家庭で、妻と子どもと過ごしています。日中出かけ、夜はDVDをみたり、遊んだり、そんな「まったり」した生活です。

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 ところで、昨日の夜、見ていたDVDに非常に印象深いシーンがありました。このDVDは、サイトウキネンオーケストラを、小澤征爾が指揮するコンサートが収録されているもので、曲目はブラームスの交響曲第一番です。

 サイトウキネンオーケストラといえば、いわずもがな小澤征爾さんの師匠である「齋藤秀雄さん」の教え子達が、つくったオーケストラですね。
 齋藤秀雄さんは、チェロ奏者でありながら、指揮者として活躍なさり、また非常にすぐれた教育者として桐朋学園・教授、学長として活躍なさり、数多くの教え子達を輩出しました。サイトウキネンオーケストラは、齋藤さんたちが教えた、その教え子たちが活躍するオーケストラです。

 印象深いシーンは、DVDの冒頭、教え子のひとりの女性が、昔の齋藤さんの指導のエピソードを語るシーンです(原文は英語でした)。

「何度も齋藤先生のレッスンを受けたあと、いざ演奏会で弾く段になると、齋藤先生は、こういうのです。

教えたとおりに弾いてはいけないよ。
僕が君に教えたのとは違うやり方で、弾くんだよ!

小さい頃は、戸惑いました。齋藤先生は、とても厳しい先生でした。ただ、最後に自由になる権利を与えてくれるんです」

 非常に興味深いですね。
 練習では、何度も何度も教えたとおりに弾くことを要求しつつ、いざ、本番、演奏会で弾く段になると、それらをすべて忘れて、違うやりかたを為せという。最後には生徒にこう告げて、コンサートに送り出す。

You have to play in different way that I taught you!

 本番の舞台は、いくら指導者といえども、もう傍らにいることはできません。演奏家ひとりが、表現者として舞台に立たなくてはならないのです。

 もちろん、最後に自由になる権利は、反復練習があってこそ、発揮できるものです。
 換言するならば、「最後に自由になる権利」、そして、そこで得られる「伸びやかな表現のすばらしさ」は、先生の言うことに従い、何度も何度も注意深い反復練習をした果てにあるということなのかもしれません。

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 今日は連休最終日です。首都圏は天気がよくなるようですが、皆さんの地域はいかがでしょうか? もし、皆さんが、ブラームス1番をお持ちでしたら、秋のよき日、久しぶりにCDを探して聴いてみると、新たな発見があるかもしれませんね。

 素晴らしい一日を!
 そして人生は続く