わずか13字で「世界」を表現し、人を惹きつける方法!?
先だって、いくつか用事が重なって、日本で最もPVの多いWebポータル事業を手がけるIT企業を訪問させていただきました(バレバレですな)。
お会いした方が、たまたま、そちらで「ニュースのタイトルをつける仕事」にかつて従事なさっていた方だったので、用事が済んだあと、そのご経験を興味深く伺っていました。現場の生の経験とは、まことに面白いものです。ありがとうございます。
その方曰く、そのポータルサイトで配信されているニュースは、タイトルが13文字と決まっているそうです(いやー、バレバレですな)。このタイトル13字で、数百万というアクセスを稼ぐ。
問題は、通常は長いニュースの内容を毀損することなく、また必要以上に「釣ること」なく、いかに短く13文字でタイトルをつけるか、ということ。ひと言でいえば「13文字というあまりに短い文字数の制約」で、いかに人を引きつけるか、ということですね。
ここに、僕の「クリエィティブの神様」がピピンと反応し、大変興味をもちました。
▼
といいますのは、自分もブログを書きますが、結構、悩むのは、「本文」ではなく「タイトル」だったりするからです。
Webの世界は面白いもので、たまーに、アクセスログなんかを見てみると、自分としては「しょーもない」と思っていた記事が、タイトルによって「誤読」され、とんでもないヒットを記録していたり、また、全く逆に、自分としては「結構頑張ったな」と思う記事が、タイトルをミスッたおかげで、シオシオのパーだったりします。
そんなん、つづきはったら、嗚呼、誰にも読まれないもんね・・・なんで、オレは早朝から書いてんねんねん、と自己嫌悪に陥りますわな(泣)。
別にアクセス数で「ごはん」を食べているので、僕にとっては、それは「二の次」なのだけれども、せっかく書くなら、多くの方々に読まれた方がいいですよね、一般的には、まー、人なら、そうだろうよ(笑)。
というわけで、タイトルは、結構考えます。「釣ろう」とか、そういう猥褻な意図をもって考えるというよりも、僕の記事を面白いと思って読んで頂ける方に適切に届くように。
ま、考えるといっても、ブログ執筆時間20分のうち、最後の2分だけど(笑)。最低3本はだしますかね。
たとえば、昨日の記事のタイトル
「組織を外部から支援する者は「複数の顔」と「マージナル」と「別れ」を生きる!?」
http://www.nakahara-lab.net/blog/2013/11/post_2137.html
は、
「ODコンサルタントが心がけたい3つのこと」
とやってもいいし、もっと誰にも読んでほしくないと思うのなら!?
「Burke,Wの「Organization Development」に見るODコンサルタントの役割」
でも、いいわけですよね。誰も読まないね、読んでほしくない匂いすら感じるね、このタイトルは。
昨日の記事では、最初「ODコンサルタントが心がけたい3つのこと」にしようかな、と思いました。が、こうやってしまうと、「OD」という言葉が一般的ではないし、そこを知らない人は、お届けできなくなります。
なので、1分くらい考えて、敢えて「読み替え」と「メタファ」を用いることにしました。
まずODを「組織を外部から支援する者」に読み替え(すんません)、あとは「3つの役割」を「複数の顔」と「マージナル」と「別れ」というメタファにしてみました。「生きる」を使ったのは、ちょっぴりスパイシーな感じを漂わせたかったからです。
このタイトル、一般ウケはしないだろうけれど、僕のブログを読んでくださっている「人材開発」「人材育成」に興味をお持ちの方なら、何となく好きかな、と思って。
僕の場合、全く13字ではないし、全然こなれていないのだけれども、僕は、こんな感じでタイトルをつけています。
▼
今日は「タイトルづけ」の話でした。
こういう話をすると、「たかがタイトルじゃねーか、中身で勝負しろ、このタコ」と怒り狂うオッサンもいらっしゃいそうですね。すみませんね。
でもね、「中身は練るだけ練って、でも、お届けできないコンテンツ」って世の中に溢れていませんか。そういうのって「中身信仰」じゃないかな、と思うんです。
中身が大切なのはよくわかる。でも「アクセスされなきゃ、中身で勝負しようがない」のもまた事実です。
だから、たかがタイトルじゃないのね、されどタイトルなんです。
こういうのは、あー、もう長くなるからやめますが、イベント・研修・セミナーのタイトルでも、めちゃくちゃ考えます。
例えば、12月2日に開催するイベント
OJTの再創造!? :僕らは"イマドキのOJT"の仕組みをつくることにした!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2013/10/ojt_ojt_122.html
「OJTの再創造」という7文字でシンプルに内容を表現。副題は「僕ら・・・することにした」はちょっと遊んでみました。
先だって開催されたワークショップのタイトル
「オーケストラに"聴く"プロフェショナルの学び」
http://www.nakahara-lab.net/blog/2013/09/post_2085.html
は、オーケストラの音楽を「聴く」という意味と、オーケストラの方々に実際どうなのよ、と「聞く」をかけてみました。
12月21日のイベントでは、
あなただけの「小さな雑誌」をつくるワークショップ!?:Playful_work Press and Party!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2013/11/1221playful_work_press_and_par.html
としました。「リトルプレス」を「あなただけの小さな雑誌」としたところが工夫点です。
面白いもので、これだ!と思うタイトルが思いついたときは、イベントの企画がすいすい進むものですね。不思議なものです。
ちなみに、某企業では、タイトルをつけるのは個人でやるけれども、必ず公開前に別のメンバー(他者)の目をとおす、ということをなさるそうです。そうして渾身の13文字が生まれるわけですね。なるほどね、他者のチェックがあるんだ。愚息7歳・TAKUZOにどれがいいって聴いてみようかな。
ちなみに、今日のブログ記事は
わずか13字で「世界」を表現し、人を惹きつける方法!?
にしてみました。
イマイチ? ゴメン13字じゃなくて。
あんた、何、学んできたんだって・・・?
どなたか、今日のブログによいタイトルをつけてください。
すんません(笑)
そして人生は続く。
投稿者 jun : 2013年11月28日 07:03
【前の記事へ移動: 組織を外部から支援する者は、「複数の顔」と「マージナル」と「別れ」を生きる!? ...】【次の記事へ移動: 人材育成のイメージを「高速道路」に喩えてみるとどうなるか!? : 仕事をアサイン ...】