いつか、下に、バレるんじゃないか!? : 業務能力をめぐる世代間競争!?

 仕事柄、多くのビジネスパーソンの方々にお会いしますが、最近お会いした方で、僕よりちょっと上の世代の方が、こんなひと言をもらしていたことが、非常に印象的でした。

「僕は、最近、"下の世代"が出来すぎて、怖いですね。最近、うちの会社に入社してくる学生は、キャリアのことをちゃんと考えていて、英語の点数も信じられないほど高い。学生時代にも、いろんな経験をしている。口には出しませんが、僕よりも、確実にできる学生なんです。

(中略)僕らの頃は、大学時代は、本当にノホホンとしていたんです。何となくサークルに入り、何にも勉強せず、何となく就職した。キャリアとかいう言葉すらなかったですからね。どの会社に入って、何をするか、なんて、何にも考えなかったんです。

僕には、まだ業務経験がある分、今は、下にダメ出しできますが、彼らが、これから経験つけるとねぇ・・・。僕は、ダメ出ししながら、思うときがあるんですよ。いつか、下に、バレるんじゃないかって。こいつに負けてるのは業務経験の長さだけなんじゃないかって、薄々わかってくるんじゃないかって。会社に長くいることだけで、負けてるんじゃないかって。でも、今から英会話って言われてもね・・・。でも、逃げ切れないですよねぇ・・・。あと25年くらいありますしね。やっぱり、今からでも、腰をあげないとねぇ」

 一字一句同じではないとは思いますが、非常に印象的だったのはミドルの方のひと言「出来すぎて怖い」というひと言と「こいつに負けてるのは業務経験の長さだけなんじゃないか」という述懐でした。

 会社といっても、いろいろありますし、下の世代にも、上の世代にも、いろいろありますので、一般性云々は、当然のことながら、求めませんし、主張しません。もちろん、下の世代に、足りないところは多々あるんでしょう。その方が多いことは容易に想像できます。

 しかし、一方で、この方の気持ちは、同じミドルキャリアにさしかかっている僕としては、よくわかる気がいたしました。

 ミドルキャリアにさしかかり、ふと、「下の世代」を眺めたときに、今は「業務経験」という点では優越しているけれど、様々な能力や経験という点では、脅威を感じる、というのは、あながち、ありえることだよな、と思って、お話を伺っておりました。少なくとも僕はそうです。あたりまえですが、「できる人はできる」!

 実際、自分も、大学や大学院で、若い世代と接していますと、まだまだな部分も多々ありますが、「昔のオレだったら、できないことを、この学生たちはこなしてるよな」と思うことが、少なくないのです。
 ま、僕が、ペンペン草もはえないような、どうしょうもない学生時代をおくってしまったせいかもしれませんが、号泣。

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 今日のお話は、特に結論があるわけではありません。
 しかし、今日お話した「業務能力をめぐる世代間競争」は、敢えて言挙げする人はなかなかいないけれど、下の世代も上の世代も、薄々感じていることなのかもしれません。
 一般に、上の世代は、多くの場合、下の世代を「指導」しますし、「ダメだし」するでしょう。そして、年齢がものを言いやすい、この国では、上の世代は、下の世代の前で、なかなか本音を言いにくいものです。そんなもの安易に出してしまったら、大変なことになるでしょう。

 しかし、どの程度一般性があるかは知りませんが、「下の世代」のことをきちんと見ている人もいますし、脅威を感じている人も、あながち少なくないのではないか、という妄想でした。

 そして人生は続く。