アタリマエだと思っていることで、実は、すごいもの

 この国で「アタリマエのサービス」だと思われているものほど、別の国の視点から見れば、「スゴイこと」はたくさんあります。そのことにもっと、自信とリスペクトを持ちたいよね。僕の言いたいことは、それ以上でも、以下でもありません。
 
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 たとえば「給食」
 小学校以上に子どもを通わせている方ならば、おわかりのことと思います。しかし、それを、通常、何とも思わないものです。
 しかし、子どもの食べる意欲を失わせず、しかも、650キロカロリー、タンパク質25グラムにあわせ、かつ、なるべく多くの食材を使うことに、どんなに人が苦労しているか。

 私たちにとっては「アタリマエ」です。しかし、世界には、給食がある国は、そう多いわけではありません。しかも、栄養に偏りのあるジャンクフードを子どもが毎日食べている国も多々ある。

 この国で、アタリマエのことは、アタリマエではありません。

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 たとえば「宅配便」
 ある留学生がいいました。

「日本でもっともスゴイものは何かといったら、僕は宅急便をあげます。どんなに頑張っても、日本の宅配便のシステムだけは真似できない。あんなに正確で、ホスピタリティがあふれているシステムはありえない。しかし、私が不思議なのは、日本人は、それをアタリマエだと思っていることにある」

 世界には、「時間通りに届かない宅急便」もあります。
 いいえ、「届かない宅急便」すらも。

 この国で、アタリマエのことは、アタリマエではありません。 

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 たとえば「医療」
 僕は留学中、やむなく病院にかからざるをえない状況になったことがあります。そのときに、必要な検査をするのなら、15万円と言われました。医師ではなく、保険会社の電話オペレーターにね・・・。

 この国では、安心して、病院にかかれます。
 しかし、それは「アタリマエ」のことなんかではありません。

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 たとえば「交通システム」
 先だって、ある外国人とともに、地下鉄に乗っていました。1分たりともおくれない、正確な電車到着時間。駅にあった時刻表を目にして、彼は言いました。

「日本の地下鉄には、時刻表があるのかい?」

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 この国に不足していることは多々あるんでしょう。
 そうだよね、いろいろあるよ。

 でも、反面、すごいこともあります。アタリマエだと思っていることが、実は、すごい。そして、その中には、世界に自信をもって輸出できるものも多々ありそうですね。そして、そういうすごいものは、何とか、維持・改善していってほしいものです。

 そして人生は続く