自分の周囲を「実験空間」に仕立て上げる!?:コミュニケーションや関係をデザインすること

 仕事柄、これまで人並み以上(?)に、ビジネスパーソンの方々を対象にしたワークショップやイベントなどを実践してきましたが、その際、たくさんの学生さんに、アルバイトとして、御協力いただいたり、お手伝いいただいたりしています。心より感謝です。本当にありがとうございます。

 お手伝いや仕事の種類は多々あるので、十把一絡げに、これらの仕事を一概にまとめることはできないのですが、学生の皆さんには、こうした「アルバイトを通じて」、ぜひ気づいてほしいな、と思っていることが、僕にはあります。
 それを口にすることもありますし、できないこともあります。最近は、僕自身があまりに忙殺されていて、そういうことをお伝えする時間がなかなか持てないことが、とても残念です。これは最近猛省していることです。本当にすみません。

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 僕が学生の皆さんにお伝えしたいこと、それは「常に自分の仮説をもつ癖」です。
 今回の話の場合、より具体的にいえば、「どんなものでも、学び・コミュニケーションと結びつけて考え、人の動きや思いを予想する癖」ということになります。

 たとえば、今から、会場に「今から椅子を並べる」とします。そのときに、真っ先に考えたいことは「椅子を並べること」ではありません。
 むしろ、機会があれば、第一に考えたいことは「椅子の並べ方によって、人々は、どのように動き、どのようにコミュニケーションを行い、それにどの程度の時間がかかるだろうか」と考えることです。もちろん誰かが指示をするかもしれません。でも、その場合は、どうして、この人は、こういう指示をしたのだろうか。この人の仮説は何だろうか?と考えることができます。
 いずれにしても、こうした問題に対して、自分なりの「仮説」を持っていただけたとしたら、お手伝いが「単なるアルバイト」以上の経験になるような気がします。

 大切なことは、「椅子を並べる」のではありません。
 「人々のコミュニケーションをデザインすること」なのです

 たとえば、会場に「ケータリング」をするとします。このときも同じです。
 行いたいことは「食事を発注すること」ではありません。それを間違いなく実行して頂くのはとても大切なことですが、できれば、それ以上の経験をしていただきたいのです。
 むしろ、ぜひ、自分なりの仮説をもっていただきたいことは、「食事をとおして、人々は、どのような間合いで動き、交流し、どんな関係が生まれるだろうか?」と考えることなのです。食事を置くこと、ひとつでも、どのように置けば、交流が生まれるだろうか? 人はどう動くだろうか、と考えることです。

 大切なことは、「食事を発注すること」ではありません。
「人々の関係や動きをデザインすること」なのです。

 もちろん、人は、自分が思ったようには動きません。でも、それでいいのです。思ったように動かなければ、あとは状況に応じて対応をインプロで考えるしかありません。
 しかし、まだ自分に十分な力量が形成されていないときは、最初からインプロしないでほしいのです。むしろ、一度は「仮説」をもっていただいた方がいいように思います。

 ひと言でいえば、「実験(実験)」をしてほしいのです。
 自分で「仮説」をもち、実行し、確かめていただきたいのです。

 実験は「実験室」がなければ、できないことではありません。
 実験は、気の持ち方次第で、わたしたちの「日常」に起こすことができるのです。
 ぜひ、身の回りを「実験空間」に仕立て上げて下さい。

 そして、ワークショップやイベントのアルバイトを通して行って頂きたいことは、「Learning Experiment(学びの実験)」に他なりません。

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「常に仮説をもつこと」とは「習慣」です。どの程度でできるようになるかは、わたしにはわかりませんが、ぜひ、そういう癖をもっていただけたとしたら、アルバイトは、単なるアルバイト以上の価値をもつようにも思います。

 僕が主催するおこす様々なイベントやワークショップは、中原研OB/OGや学生さんの方々の御協力抜きには成立しません。いいえ、むしろ、頑張っているのは僕ではなく、彼 / 彼女たちです。

 いつも、本当にありがとう。
 そして人生は続く。