拙著・新刊「経営学習論 - 人材育成を科学する」(東京大学出版会)、刊行のお知らせ : 人材育成 / 人材開発の基礎理論・概念をおさえる

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 9月1日、拙著「経営学習論 - 人材育成を科学する」(東京大学出版会)が、出版されることになりました。AMAZONでは、すでに「予約受付」がはじまっており、リアル書店さんでは週末には、早いところでは、書棚の方に並ぶそうです。もしお見かけの際には、どうぞ手にとっていただけると嬉しいです。

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 本書は「人材育成・人材開発の基礎理論 / 基礎概念をおさえること」を目的とした研究専門書です。専門書ですので決して平易ではないですが、ここ数十年の、この分野の研究知見を概観いただけることと思います。

 本書では「経営・組織・学習」に関係する基礎理論・基礎概念を紹介することをめざしつつ、ここ数十年の研究成果を総括しています。さらには、僕の単独研究、ないしは、僕が関与してきた共同研究など、多種多様な先行研究、実証的な調査データを紹介しつつ、企業組織における人材育成・人材開発のあり方を模索しています。学部・大学院の教科書としてもご利用いただけるとしたら、うれしいことです。

 具体的には、

「新入社員をいかに育成すればいいのか」
「いかなる経験を付与して、マネジャーを育成するのか?」
「若手社員が育つ職場とは、どのような特徴をもっているのか?」
「中途採用の社員をいかに育成するのか?」
「組織外で開催される勉強会・交流会でいかに学ぶか?」
「海外勤務における日本人マネジャーの適応と革新を促すものは何か?」

 などの人材育成の各論点について、様々な知的探究が紹介されています。

 これらの人材育成の諸課題に興味をもつ方々にお読み頂きたい一冊です。

 本書で紹介されている様々な理論・概念・データをご覧いただき、それぞれの読者の方々が、自組織にもっともフィットした人材育成のあり方を探究することにお役立ていただけるのだとしたら、これ以上、嬉しい事はありません。

 最後に、本書の「後書き」の一部をここに記します。

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あとがき

真実というものは、そんなふうに、"ただ書く"わけにはいかない。ひたすら、誰かのために、その誰かが、これによって何かを始められるように書かねばならないのだ。
(Brecht, B.)

 本書において筆者が試みたかったことは、経営と学習に関連する「未開の大地」の存在を「公の眼前」におくこと。
 また、それらの大地において日々生まれつつある、多種多様な個別の研究知見を紹介することを通して、「未開の大地のさらなる探検」へと、人々を誘うことにあった。

 本書は「人材育成・人材開発に関する新たな知」を生み出すための「ラフな地図」である。この領域は、日々、発展しており、その知見は日々更新されている。
 本書の読書の中から、「ラフな地図」を「上書き」し、色鮮やかな研究知見で「着色」してくれる、「近い将来の研究者・実践者」が現れることを、切に願う。

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 身近な人々への謝辞を述べる。
 まず第一に、本書で取り扱った様々な調査への回答をしてくださったビジネスパーソンの方々、ヒアリングに応じてくださった方々に御礼申し上げる。皆様から頂戴した貴重な時間が一冊の本にまとめることができた。心より感謝致します。
 次に、東京大学出版会編集者の木村素明さん、営業をご担当いただいた角田光隆さんには、心より感謝する。特に木村さんは今回も、筆者に伴走し、懇切丁寧な編集の技を見せてくれた。
 また、筆者が勤務する大学総合教育研究センターの重田勝介助教、阿部樹子さん、山本恵美さん、吉見俊哉センター長には、研究のみならず、様々なサポートをいただいた。心より感謝する。
 また本書に盛り込まれた様々な研究は、東京大学大学院学際情報学府・中原研究室に所属する大学院生諸兄との共同研究の成果である。適宜、筆者と知的探求をともにしてくれている大学院生諸兄にも感謝する。特に、共同研究の記述等をチェックしてくださった中原研究室の島田徳子氏、舘野泰一氏、木村充氏、関根雅泰氏に感謝する。

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 引きつづき、我が家族に謝意を伝える。
 妻には、最大の「感謝」を贈る。本書の執筆は、主に週末に行われた。妻は、家事、仕事、子育てに自ら奮闘するなか、筆者に、執筆時間を与えてくれた。本当にありがとう。
 北海道と奈良に住む筆者と妻の両親にも感謝する。この研究領域を志すようになって10年弱。彼らのサポートなしでは、我々夫婦は、子育てを行いながら、仕事をこなすことはできなかった。

 最後に、息子へ。
 否、息子と同時代を生きる「未来の大人たち」へ。
 
 本書に書かれていることは、「誰か」の問題ではない。それは、実は、「執筆者である僕自身の問題」であり、いつの日か、必ず「君たち自身」の問題にもなる。
 本書に記されている内容が、いつの日か、「君たちの問題」となったなら、その話を、僕に、聞かせて欲しい。  
 その時に備えて、僕は、研究を続けていこうと思う。

 激烈極まる市場の力、資本やマネーの力の前に、それと時に矛盾し、特に共振する「人の成長・学習」の問題に取り組むこと。さらには、企業・組織経営の裏面が人材育成であり、人材育成の裏面が企業組織経営となりうるようなあり方を模索すること。
 これら諸目的の達成のために「経営・組織の言説空間」において「圧倒的な周辺的立場」にいる筆者の「立ち位置」を活かし、その「際(キワ)」から「働く人の成長・学習」の重要性を叫び続けることが、僕の役割だと思う。
 近い将来、「僕と君たちの問題」をじっくり語ることのできる日がくることを、僕は、愉しみにしている。

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 かくして、またひとつの旅が終わった。
 最後に本書を締め括るにあたり、恩師の言葉を引用する。

「世界を変えうるものは、"最後に、希望のあるもの"だけだ。世界の実像を暴いて、それで、後は知らんというのでは、学習の研究者は困る。おぬしがやるべきことは、最後に"希望のあるもの"を書くことだ」

 志ある人々の
 「これから」に
 本書を贈る。

2012年4月1日
中原 淳

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■2012/08/29 Twitter

  • 13:25  ようやくゴハンにありつけた。残り6分で食べる。
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