個別の物事を組み合わせて、創造するとはどういうことか?:沖野修也著「DJ選曲術」を読んだ!

 沖野修也(2005)「DJ選曲術-何を考えながらDJは曲を選び、つないでいるのか」を読みました。

 この本は、日本を代表するDJのひとりである沖野修也さんが、「選曲するとはどういうことか」を論じている本です。
 書名には「選曲術」とありますが、むしろ現場で生まれた、沖野さん自身の「選曲の思想」に近いかもしれません。

 まず、どういう音楽を「誰」に聴かせるのか。オーディエンスは「誰」であり、その人は、現在、どういう状況にあるのかを把握するところから、選曲は、はじまります。

 選曲とは、決して、音楽をざっくばらん、適当パンチで、並べることでは、断じてありません。まして、ヒット曲をやたらめったら並べて、アゲアゲの雰囲気をつくることでもありません。

 大切なことは、その「選曲」を通して、DJ自身が、「何」を「表現・実現」しようとしているのかを明らかにすることだと、沖野さんはいいます。
 僕の言葉で述べるのならば、それは、音楽というメディアを使って、「何か」を「誰か」に届ける行為であり、「何か」を表現することなのだ、ということかもしれません。

 DJに関する本は、小生、基本的に好きなので、よく読みます。でも、この手の多くの本はDJ機材の説明が多いのですが、本書には、そういう記述はありません。

 前半部は、沖野さんの選曲論、後半部分では、有名なDJたちの選曲を分析するパートが続きます。いっかんして問われているのは、「選曲するとは何か」を問うています。硬派です。

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 本書を通読していて、僕はひとつのことを考えていました。それは、昨今の「創造(creation)」のあり方についてです。

 昨今、創造というものが「リミックス」「コンピレーション」「ブリコラージュ」「キュレーション」など、「組み合わせの妙」によるものが増えてきているように感じるのは、僕だけでしょうか。

 もともとイノベーションやクリエーションの定義自体が、「新結合」であったりすることもあるので、アタリマエといえばアタリマエなのですが、ネットや情報化の高度な発達によって、ますます、「組み合わせによる創造」が注目されているような気がします。

 それだけ、個別のモノ、コト、情報が世の中に氾濫し、それら個別に存在する物事に、一連の「つながり」や「ストーリー」や「意味づけ」ができにくくなっているとも言えるのかもしれません。
 それらを解決し、それを求める「誰か」に届ける行為が、「リミックス」「コンピレーション」「ブリコラージュ」「キュレーション」とも呼べそうです。

 しかし、その場合に、どのように「リミックス」「コンピレーション」「ブリコラージュ」「キュレーション」を行うのか? それらの「組み合わせ」にとって、何がその「要諦」なのか。

 すなわち、「リミックス」「コンピレーション」「ブリコラージュ」「キュレーション」といったものが「単なる情報の配列や集合」、「単なる足し算」や、「行き当たりばったりの結合」、「思いや思想のない情報選別」にならないためには、何が必要なのか、本書を読みながら、僕は、そのことを考えていました。

 本書の議論を敷衍するに、これらの問いに答えうるためには、「組み合わせ」によって、何を、誰に届けるのか。そのことで、何を実現しようとするのか、という根源的なところが問われなければならない、ということになるのでしょうね。それが明確でないことには、組み合わせは、「羅列」になってしまう危険があるということでしょうか。
 
 本書は、「DJの本」として読むのではなく、「創造の観点」から読み解くこともできると思います。
 もし、皆さんが「組み合わせによる創造性の発揮」に興味をお持ちなら、一見、遠く感じる「DJの世界」が、皆さんの問題とリンクしてくるかもしれません。

 ちなみに・・・余談ですが、「DJが、プレイ中、何を考えているのか」に関しては、下記の田中フミヤさんのDVDもおすすめです。
 DJプレイ中に、「どういった判断によって選曲を行っているか」または「プレイ中に考えていること」を発話思考していらっしゃり、その様子が、すべてレコーディングされています。
 まさに「状況に埋め込まれた判断」、まさに「リフレクション・イン・アクション」ですね。なかなかスリリングですよ。

 そして人生は続く。

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追伸.
 今日から新年度ですね。2012年度は、いろんな「変化」が起こるだろうな・・・。まだ明らかになっていないことも含めて、きっと、僕には2011年度を上回る変化が起こるような気がします。

「やらなあかんこと、やらなくてもいいこと、やってはいけないこと」をはっきり峻別しつつ、何とか、2012年度を乗り切りたいと感じます。

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追伸2
 今日の日記の問題は、ラーニングデザインにも大きくかかわりのあることのように思います。例えば、今、仮に、いくつもの学習活動や、学習内容をあわせて、学びの場や機会をつくるとしますね。その背後に、ある実現したい価値がなければ、最悪の場合、学習内容の「羅列」になってしまいます。

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■2012/03/31 Twitter

  • 11:30  TAKUZOを連れて大学へ向かふ。
  • 07:45  (3)沖野修也(2005)「DJ選曲術」。そこまで深掘りせんでも、単純に、クラブに行きたくなるね。あるいは、DJをやってみたくなりました。http://t.co/cgd21lOT
  • 07:45  (2)沖野修也(2005)「DJ選曲術」。昨今の創造は「編集」「コンピレーション」「マッシュアップ」によるものも少なくない。そうした「組み合わせによる創造性の発揮」に興味がある方は面白く読めると思います。http://t.co/Bpx94gXC
  • 07:45  (1)沖野修也(2005)「DJ選曲術-何を考えながらDJは曲を選び、つないでいるのか」読了。非常に面白かった。「選曲術」というより「選曲の思想」。誰に聴かせるのか。その選曲で何を表現・実現したいのか。その選曲に「ストーリー」はあるか。http://t.co/gHa9N4w6
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■2012/03/30 Twitter

  • 16:12  まだAMAZONにでてないようですね>ジャック・メジロー著「おとなの学びと変容」:意味パースペクティブ、変容的学習、省察による意味生成など。監訳者のひとりの金澤睦さんより献本御礼(感謝です)
  • 15:02  疲れた。。。なんか、うまいもん、食べにいきたいな。食欲でごまかそう。
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■2012/03/29 Twitter

  • 23:02  今日は早く寝ようと思ったのに・・・気がつけばDommune。 ( #dommune live at http://t.co/yK8yh3Bw)
  • 19:03  TAKUZOとワインバー。 http://t.co/jnMMKCu9
  • 17:51  後で精読>平成23年度「能力開発基本調査」の結果公表:「労働者全体の能力を高める」ことを重視する企業が昨年に引き続き増加: http://t.co/DzntLKhi
  • 17:49  エデュテインメントという言葉を久しぶりに聞いた>娯楽+教育 「エデュテインメント」市場活況:キッザニア東京、英語で職業体験拡充。「ハウステンボス」ゲームなどをしながら英語を学ぶ「トモダチファクトリー」(日経)
  • 17:47  東大秋入学を最終報告、来月にも11大学と協議:東大「入学時期の在り方に関する懇談会」は29日、学部の入学時期を秋に全面移行するよう求める最終報告を公表:「グローバル化に対応する大学や社会の人々のメンタリティーの転換、社会システム全体の見直しにつながるインパクトを持つ」(日経)
  • 09:57  周到な準備があって、はじめてインプロできるのかもね RT @makimuramaho: 舘野氏は人前で話すのがうまいけど、すごく練習してるっていつも横で見てて思う RT @tatthiy「研究発表をするときの心得」スライド公開http://t.co/TK5lMBJD
  • 07:10  確かに。スカイプ、ライン、バイバー、カカオトークなど、最近、僕自身、ネット電話の利用が増えてますね>スマホでの「ネット通話」広がる、アプリ入れるだけで料金無料 携帯各社「電話で稼ぐビジネスモデル」転換期(日経)
  • 07:02  地下鉄乗ってる間も仕事をせい、ということかな(泣)>地下鉄走行中もネット使えます 東京メトロ南北線など(asahi) http://t.co/ALoTOG77
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■2012/03/27 Twitter

  • 12:18  とても嬉しいことです!RT 京都ヒトマナビカフェのスタッフの方がこちらの本を読んでいてくださってうれしかった。→知がめぐり、人がつながる場のデザイン http://t.co/0SBEr4hQ
  • 12:18  ヒトマナビカフェとは素晴らしいネーミングですね!RT @tatthiy 先日こちらのカフェにおじゃまさせていただきました!素敵な空間でした。京都初の学び・成長を目指す方のための会員制スペース「京都ヒトマナビカフェ」 http://t.co/4IUpRLgy  [in reply to tatthiy]
  • 10:26  うーむ>大学生もっと勉強を、中教審部会が提言、予習・復習促す授業に:総卒業単位を得るには1日8時間程度勉強しなくてはならない計算だが、日本の大学生の勉強時間は1日4.6時間(授業を含む)(日経)
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