謹賀新年、あけましておめでとうございます!:今年は"第二の創業期"!!  : 行く年を振り返り、来る年を構想してみた!

 Happy new year 2012!
 新年、あけましておめでとうございます!
 今年もどうぞよろしくお願いいたします!
  
 僕は、北海道(僕の実家)・奈良(カミサンの実家)の帰省ツアー!?の真っ最中です。みなさま、いかがお過ごしですか?

 新年ということもあり、去年の活動の「振り返り」と、今年の「構想」を述べたいと思います。僕自身の振り返りと構想をお聞きになっても、しゃーないとは思うのですが、自分のためにも。

  ▼

 まず去年の活動の「振り返り」。

 去年は、311という衝撃的な悲劇をどうしても忘れることはできません。また忘れるべきでもありません。
 僕自身は、特に前半、自分がどのように研究活動をすすめていったらよいか、どのような実践を積み重ねることが正しいことなのか、わからなくなりました。研究活動や実践活動が制約を受け、行っては戻り、戻っては進むような時が、長く続きました。

 そのような中、研究活動としても、実践活動としても、大きな「蓄積」の時間をいただいたような気がします。情報を発信するというよりは、自分の内部に情報を発酵させる時間とでもいったらよいのでしょうか。

 研究としては、

1)中原研究室の大学院生らとの共同研究をまとめた論文集「職場学習の探求」(生産性出版)の執筆

2)高尾隆君と「パフォーマンスと学習」の関係を考察した「インプロする組織 ー予定調和を超え、日常を揺さぶる(仮題)」(三省堂)の執筆

3)上田信行先生との共著「Unworkshop論(仮題)」(三省堂)の企画、執筆

4)単著書籍「経営学習論」(東京大学出版会)の執筆

5)単著論文「学習環境としての職場」(日本労働研究雑誌)の執筆

 に、ただひたすら取り組みました。これらが、今年になって、少しずつ出版・刊行されるものとおもいます。

 一方、僕は研究の傍ら、これまでLearning Producer(ラーニングプロデューサ)と自称し(?)、様々な「学び系ワークショップ」「学び系イベント」をプロデュースしてきました。

 僕が創りたいのは、新たな学びの場をつくりだすための「文法」であり、「モデル」です。これらをいったん、いわゆる「研究」とは異なる立ち位置で、「実験的な社会実践」をつくりだすことをめざします(どのように研究として成立させるかは、あとで考える。まずは、プロトタイピングを行い、あとでマネタイズを考えるという、最近の情報通信業界のビジネスモデル構築手法に似ているかもしれません)。

 こちらの実践に関しても、2011年は「蓄積」の時間をいただきました。そして、その「蓄積」の時間に構想したことを、2011年の後半になって、志ある仲間と協働し、いくつかの「実験的実践」として、実装することができました。

 特に昨年興味深かったことは、
 
1)「ソーシャルメディア」と「学びの場」の連携のあり方

2)パフォーマンスと学習の連携のあり方

3)祝祭と学習の関係のあり方

4)Unconferenceのようなユーザー参加型の学習環境デザイン

 について大きく学んだ気がします。今年は、この学びを何とか、もう少し言葉にしてみなさまにお伝えできれば幸いです。

 あと去年一年を振り返って、大きな出来事としては、公共領域の仕事が増えたことではないか、と思います。

1)教育委員会と連携して「初任教師の熟達」に関する共同研究を行なわせていただきました

2)最高検察庁参与として「検察の人材育成」のあり方に助言をさせていただきました

3)後半にはNPO法人カタリバの理事にも就任させていただきました

 自分の研究は、あくまで「企業・組織の学習」です。この軸はズレることはありませんが、そこで得た知見を、公共領域でも、もし役立つところがあるのだとすれば、ぜひお伝えしたいと考えています。

  ▼

 次に2012年の「構想」です。

 ひと言でいいますと、2012年は「第二の創業期」だと位置づけています。
 企業・組織の研究に着手して、今年でちょうど9年になりました。この10年の活動を総括し、次につなげるためにも、今年は「大きな変革」を迎える、否、迎えなければならないと、思っています。

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 まず第一に研究面の2012年の構想。
 こちらでは、大きな研究方針をかかげます。
 それは「トランジション(移行)」です。要するに、ある物事が変化していく、そのプロセス間の関連を研究射程に入れていきます。その上で、今年は2つの研究に取り組みます。

 まずひとつめの「トランジション」は、溝上先生(京都大学)らと取り組んでいるトランジションに関する研究です。それは「大学と企業のあいだのとトランジション」。研究テーマとしては、大学での経験が、いかに組織に入ったあとに影響を及ぼすか/及ぼさないかを調べる研究ということになります。
 こちらは、2年にわたって構想を温めてまいりましたが、電通育英会さまのサポートを受け、本調査に入らせていただくことになりました。

 もうひとつの「トランジション」は、海外赴任したマネジャーの変化に関する研究です。日本企業ー現地ー日本企業のトランジションを研究射程にいれます。具体的には、海外赴任の内定、着任、帰任までのプロセスをおう研究です。こちらは個人研究になりますが、ぜひ追っかけていきたいテーマです。

  ▼

 次に2012年の実践面の構想。
 こちらは、「コミュニティ形成」「イベント」「イニシアチブ」の大きく3つにわかれます。

 まず第一のチャレンジ「コミュニティ形成」ですが、今年前半は、特にこれにチャレンジしていきます。まず【INHOUSE】と【fʌ'n】という2つのコミュニティらしきもの?を立ち上げて、動かしていきたいと考えています。

 【INHOUSE】は経営戦略と現場の状況をみすえた上で、人材育成のあり方にビジョンを描き、イニシアチブをとっていく企業内部の人々を応援するコミュニティです。

【INHOUSE】
http://www.facebook.com/pages/INHOUSE/255545127832314

 【fʌ'n】は学びの場への「集客」「ファンコミュニティ形成」に関する勉強会です。どちらも、「学び」ということをキーワードに、組織内外で、何らかのイニシアチブを立ち上げていこうという方々を応援していきたいと考えています。

【fʌ'n】
http://www.facebook.com/pages/INHOUSE/255545127832314

 次にイベントです。
 現在決まっているところでは、下記の日程で様々なイベントを開催します。

2月20日(月) 勝手にウメサオタダオ研(東大中原研×東京都市大学岡部研共催)
http://katte2umesao.blog.fc2.com/

3月19日(月) テアトロフォーラム「人材育成をACTする」"職場学習の探求"刊行記念シンポジウム(日本生産性本部×東大中原研究室×内田洋行)(年明け募集開始)

8月18日(土)-20日(月) 大学生研究フォーラム2012@京都大学(京都大学×東京大学×電通育英会)(春頃募集開始)

8月31日(金)マネジメントラーニング2012 @東京(春頃募集開始)

 いよいよ今年は、2007年から2009年の3年にわたって開催されていたワークプレイスラーニング200Xが、「マネジメントラーニング」という名称にかわり、戻ってきます。下記はワークプレイスラーニング2009のときの映像です。この祝祭が、また、戻ってきます。どうぞお楽しみに! 

 あと、これらの様々な催しを動かすための、実務家×研究者から構成されるイニシアチブを、2012年前半につくろうという動きがでてきています。それが最後の実践項目であるイニシアチブです。1月に初回ミーティングが開催されます。こちらもたのしみです。

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 というわけで、以上、僕自身の2011年のリフレクションと2012年の構想を述べさせていただきました。長々とすみません、ありがとうございました。

 今年も、僕の研究活動・実践活動にご興味・ご関心を持ってくださる皆様と、何らかのかたちでぜひご一緒させていただき、「宛先のある実践的研究」「宛先のある研究的実践」を積み重ねていきたいと考えています。

 謹賀新年、今年もどうぞよろしくお願いいたします!
 そして人生は続く。

「学問は、先に"決意"があるんだ。やる、という決意にひきずられて、ニーズが湧きおこってくる」(梅棹 1978)

投稿者 jun : 2011年12月31日 23:57


1万人に出会うと"指がわかる":"東京ドーム1杯分"の経験をもつ鍼灸マッサージ師さんに熟達を聞く

 昨日で、ブログ書くの、終わりだって言ってたのにさ(笑)。また、今日も書いてやんの。。。(笑)。昨日行った鍼灸マッサージ師さんの話が面白かったので、つい、おすそわけしたくて(またマッサージかよ、というツッコミは勘弁してください)。面白いことがあると、黙ってられないのです、すみません。

 マッサージ屋さんでは、「このままの肩こりじゃ、40になったら、首回らなくなっちゃいますよー」なんて、小生、明るく脅されつつ、しかし、揉まれながら、やっぱり「仕事の話」を聞いていました。

 曰く、

「やっぱり、"数"ですよ。わたしは、1万人触ることだって、言ってるんです。まずは、話は、それからですよ。

こういうと、多いように感じるでしょ、1万人。でもね、毎日4人、1年250日触れば、1年で1000人。それ、10年やれば、1万人なんです。どうですか、多くなんか、ないでしょ。

どんな人でもいい、なるべく"数"を自分に貯め込む。"数"を貯め込めば、"指がわかる"。

少し触って、この人、浮き脈(たぶん、そういっていた)だなって、"指がわかる"。風邪気味じゃないようだな。じゃあ、なぜかな。

触らなくてもわかるときもある。治療に入る前の歩いている様子で、だいたいわかる。あっ、この人、首が前にでてるな。たぶんデスクワークで、パソコンだな。

やっぱり"数"。わたしは、もう30年やってきてますでしょ。"東京ドーム一杯の人"を、触ってきました。

  ▼

 エリクソンじゃないですけれど、一般に、熟達研究には「10年ルール」というじゃないですか。何かひとつの物事に本当に秀でるためには、10年にわたる「よく考えられた練習」が必要だ、と。

 彼女があげた数字の「1万人」が、ちょうど、それにあっていたので、ほほーと思いました。「数」を貯め込めば、「指がわかる」ってのが面白いですよね。「頭でわかる」んじゃない、指がわかるんだってのが、どういう感覚なのかな、と思います。思わず、自分の指を見てみたよ。アタリマエだけど、僕の指は「わからない」ですね。

 あと「東京ドーム1杯分の人を触る」という表現が、非常に秀逸なメタファだな、と思いました。「東京ドーム一杯分」って、すごい単位ですね。まぁ、でも、長くお仕事をなさっていたら、そういう単位の人に出会うことになるんですね。

 僕の仕事では、その単位の人数は、なかなか出会わないかなぁ。でも、仕事をしていて出会う人をすべてカウントすれば、「東京ドーム1杯分、2杯分」になるかも(?)。皆さんは、仕事で、東京ドーム何杯分の人に出会ってきましたか?

 現場の人の話は、とても面白いですね。
 そして人生は続く。

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■2011/12/27 Twitter

  • 17:39  再帰性とは「自分に折り返すこと」か(Hoffman)。他者に対して「もっと学びなさい」という言葉は再帰的、つまり「自分に折り返される言葉」ですね。「そういう、あなたはどうなんだ? あまたは学んでいるのか?」
  • 15:17  中原研D3の舘野君のブログで、読まれた記事リスト。研究のやり方、まとめ方関係がたしかに多いね。RT @tatthiy 【まとめ】2011年に激しく読まれた9つの記事 :http://t.co/YCMmlmSm  [in reply to tatthiy]
  • 15:14  三宅なほみ先生(東京大学大学発教育コンソーシアム機構)らによるプロジェクト報告会。市町村と東京大学の連携による「新しい学び」の創出>「新しい学びプロジェクト」平成23年度報告会:2月10日/11日 九州大学 医学部百年講堂。http://t.co/EC1eYEjW
  • 14:42  帰りにイトーヨーカドーで、劇オチ君と、パンと、きゅうり、買ってきてね、と。。。忘れないようにしないと。
  • 13:03  ブログ更新。「人生いろいろ、インタビューいろいろ」。本当にどうでもいいことで、かつ、本論には1ミリも関係内ですが、「いろいろ」という言葉を聞くと、なぜか島倉千代子さんの「人生いろいろ」を思い出してしまいます。 http://t.co/bvOYdLdu
  • 12:58  ほほー。「地域にある実際の教室」で「コミュニティ単位」で受講という点が興味深い>RT @takeshi_kato 誰もが先生に、そして生徒になれるコミュニティ・プラットフォーム~「スキルシェア」 http://t.co/tt1bbRmY  [in reply to takeshi_kato]
  • 10:35  なお、なるべく多くの方々のご要望にお応えできるよう、参加人数を多めに設定しています。「ちょっぴり狭い」かもしれませんが、何とぞお許しください。クロークないんです、身軽にご参加ください!愉しみにしております。FB: http://t.co/Godceyck
  • 10:33  2/20(月) 14:00- フィールドノーツ研究会 俗称「勝手にウメサオタダオ研」(@katte2umesa) 本日抽選結果をお知らせできるようです。教員、学生、科学未来館の方々、教育ベンダーの方々、多種多様な方々の集う場になりそうです。http://t.co/3zqvcnJA
  • 10:16  【fʌ'n】・・・募集開始!第3回目は「プロカメラマン見木久夫さんをお招きして、"写真撮影講座! "学び"の魅力を伝えよう!」3月19日(月)午前10時から http://t.co/r0dU7Mow #fancomjp
  • 10:15  【fʌ'n】・・・募集開始!第2回目は「弁護士・福井健策先生をお招きして"僕らがちょっと苦手な法律入門:著作権・知的財産権Q&A大会" 2月9日(木)午後6時から @株式会社WOWOW 赤坂パークビル21F(感謝!) http://t.co/f5FPVk3o #fancomjp
  • 10:15  【fʌ'n】勇気をだして、学びの場を自ら創り出したい皆さまへ。第1回目:新春UST中継 1月6日(金)午後7時- ソーシャルメディア、Unconference、ユーザー参加型デザイン 、コミュニティ形成 http://t.co/uFWq74kB #fancomjp
  • 09:51  読んでみます!(愉しみ!)>RT @sakura_osamu ウメサオ展の来場者メッセージ1800通を、小長谷有紀さん編集『ウメサオタダオと出あう』すごい。 来館者との共同で知を編み上げる。博物館や大学に求められている活動 http://t.co/XWTgM3pF  [in reply to sakura_osamu]
  • 08:22  面白いですね、閉店後のレストランをつかったにした料理教室。レストラン側も副収入>閉店時のレストランを有効活用!本格的なキッチンを使った料理教室「Restolib'」: http://t.co/lCM1QaBD
  • 08:14  1980年代半ばから、グレートフルデッドは、ファンマーケティングを実践していたのですね!RT @tkanai1954 わたしがMITにいたときから、ロック好きの仲間は、GDには、おもしろい発想が興業についてあると力説していました。1980年代半ばですよ。  [in reply to tkanai1954]
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投稿者 jun : 2011年12月28日 09:27


人生いろいろ、インタビューいろいろ

 ここ最近、原稿に追われながら(さっき、最後の原稿「インプロする組織」2章を編集者の石戸谷さんに送付。これですべて終わりです・・・めでたい!)、ひそかに夜な夜な愉しみに読んでいることに「インタビューの本」を読むことがあります。世の中にでている「インタビュー」の本は(オーラルヒストリーとかも含む)、7割くらいを読みました(絶版のものが多いですね)。

 僕が、なぜインタビューに興味をもつか、というと、3つの理由からです。

 第一の理由。それは自分が、常に「現場観」のある実証研究を行いたいと願っているため、実務家の方々に、なるべく多くのインタビューや面談の機会をいただいているからです(お忙しいところ、まことに感謝です!)。インタビューというのは、簡単なようでいて、まことに難しく、いつも帰り際に、「あんなことも聞けばよかったな」「そんなことも聞けばよかったな」と反省してしまうことしきりです。で、そんなわけで、興味があります。

 第二の理由。それは、駒場で学部1年生・2年生向けに「メディア創造ワークショップ」という授業をしていているからです。この授業では、ダイヤモンド社記者の間杉さんにおこしいただき、インタビューや聞き取りの作法について、貴重な講義をいただいております。で、学生のインタビューの様子を見ていると、非常に興味がでてきます。どやって教えたらいいのかな、何を学んでもらうのが一番いいのかな、と。

 第三の理由。それは、経営と学習の研究領域における「内省(reflection)」とインタビューが、非常に結びついていると考えられるからです。
 人は、自分自身で自分の内省プロセスを回すこともできるのですが、他者から問いかけられ、他者に対して語りかけるときに、内省が駆動する、ということもおこりがちです。というわけで、他者に問いかけ、語りをひきだすインタビューという手法は、通常、「内省」とは別の所でかたられがちだけど、なんか、関係ありそうだね、という感じで興味深いのです。

 以上が、僕がインタビューに興味をもつ3つの理由です。
 理由にしては、ちょっと長いよね、ごめんよ、ピエール。

  ▼

 ところで、様々な本を読んでおりますと、一般にインタビューには、大きくわけると「2つのとらえ方」がある、と言われていることに気づきます(例えば、ホルスタイン・グブリアム 2004、桜井・小林 2005、Plummer 2001など)。
 この2つは、様々な概念によって把握されていますが、ここでは、わかりやすく「実証的なインタビュー」と「臨床的なインタビュー」という2つの概念にわけて説明することにしましょう。(本当は臨床的なインタビューも"実証的"であることをめざしていますので、この分類は変です。ただ、ここではわかりやすく、敢えてエイヤでわけます)

 まず、ひとつのとらえ方は、「実証的なインタビュー」。
 こちらの立ち位置にたった場合、インタビューをする側は、ある特定の「手続き(方法論)」に従って、インフォーマントにインタビューを行います。

 インタビューをするときには、自分と相手を切り離した上で、相手から「客観的」な情報を得ようとする。インタビュアーの投げかけた「質問」に対して、「回答」が得られる。そして、そうした情報のやりとりから生まれた洞察を、切り取り、「意味のとおる、ひとつのかたまり(切片化)」します。

 その上で、その「かたまり」をたくさん得ることをめざします。さらにインタビュー回答者を増やし、より一般的な「カテゴリー(結局、今回答えてくれた人のあいだには、共通するポイントが3つありました、的な"まとめ"ですね)」の生成を行っていくのですね。
 で、「これ以上、やっても、もう新たな事柄は、でてきませんのー」という段階に達したら(理論的飽和)、そこでインタビューをやめるということです。

 大同小異、いろいろあるけれど、いわゆる「科学的」だ、とされるインタビューの手法が、こちら側ですね。

  ▼

 もうひとつ別のやり方は、「臨床的なインタビュー」のとらえ方です。
 こちらのやり方では、インタビューとは「インタビューする自分と、相手との協働的な意味構築行為」であるととらえます。

 インタビューで得られた情報、というものは、「相手と私の"今、ここ"における関係によって得られたものであり、それは共同的で、間主観的なものである」と考えるのですね。

 ややメタフォリカルな物言いでいうならば、インタビューとは「ストーリーの共同創造行為」である。インタビューする側と、インタビューされる側の、ふたりの相互作用・相互行為によって、ひとつのナラティブ(ストーリー)をつむぎだす、ということになりますね。

 こうした意味構築作業を通して、相手が「これまで符に落ちなかったこと」が「ハッ」と気づいたり、あるいは、自分に思わぬ気づきが生まれることもある。ひとりでは生み出し得なかった、「第三の理解」に到達することもある。双方にとって、最初はモヤモヤとしていたものが、だんだんと話していくうちに、はっきりしてくる、ということですね。その場合には、相互に変化がおとずれることもある、と考えます。

 面白いですね。前者の「実証的インタビュー」と対照づけて考えると、同じインタビューでも、全然位置づけが異なることがわかります。

  ▼

 こうした二つの分類を見て、皆さんは、どうお感じにますか。詳しい話は、それぞれの専門書にあたっていただくとして、こうした2つの分類に、「勝手に」インスピレーションを受けて、自分が行ってきたインタビューの経験を振り返ってみると、なかなか面白いな、と思いました。
 
 いつも何気なく行っているインタビュー
 どっちの立ち位置で、僕は、人の話を聞いているんでしょうね。
 前者のときもあるし、後者のときもあるな。なんで、人によって変わるんだろう。
 皆さんはいかがですか?

 インタビューの読書は、今日も続きます。あと3割くらい、残りがありますので、この年末でガッと読み込んでいきたいと思います。

 そして人生は続く。

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追伸1.
 ちなみに、いろいろ読んだインタビュー本の中でも、ライターの永江朗さんがお書きになった「インタビュー術」は非常に印象深いもののひとつでした。
 永江さんは「あらゆるところにインタビューがあり、世界はインタビューでできている」と本の冒頭で喝破します。なるほど、特に、情報化された社会において、高度情報化産業に従事している人においては、人事の仕事、経営企画の仕事、商品開発の仕事、営業の仕事、どの仕事をとってみても、「人の話を聞く」「仮説をたてる」「まとめる」という作業が入ってきます。ですので、インタビューの基礎的手法というのは、誰もが身につけてもよい「仕事の構え」なのかな、という思いがでてきます。
 また本書が面白いのは、過去、様々なジャーナリストや研究者が行ってきたインタビュー書を、永江さんが解説・批評しているところです。中には、ターケル「仕事!」やアレックス・ヘイリーなどもでてきて、興味深いです。

追伸2.
 たぶん、これが本年最後のブログになると思います。皆様、今年も、どうもありがとうございました。「もはや、前進あるのみ」で走ってきたつもりですが、そのプロセスでは、たくさんの反省点も残してきた気がします。今は、そのことの意味を内省し、来年の活動につなげたいとおもっております。

 僕個人としては、今年は、いろいろな意味で、「ための年」であった、と思っています。
 研究という意味では、ここ数年、皆様からお寄せ頂いたデータ、お話を、来年、アウトプットしていければと思っております。また、来年には、今年構想していた、様々なイニシアチブが、学内外で動き出すと予想されます。こちらもとても愉しみです。
 来年は、「働く大人の学び研究」を志して、9年目。自分としては、「第二の創業期」と位置づけて、自分なりの「挑戦」ができればいいな、と思っております。もしご興味・ご関心あうようでしたら、ぜひ、様々な機会にご一緒しましょう! Learn together!

 それでは、素晴らしい年末をお過ごしください!
 See you soon...

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■2011/12/26 Twitter

  • 18:26  全国各地にあるのかな?RT @y_hirose: 京都坊主バーにはよく行きますRT なぬ!RT @fumituki85 @satoshi_hashimo: 僧侶がもてなすバーがあるのか。http://t.co/nTMZzrh5 http://t.co/OrgvknZR""
  • 17:56  なぬ!RT @fumituki85 @satoshi_hashimo: 僧侶がもてなすバーfrom日経新聞 そんなものがあるのか。http://t.co/nTMZzrh5 http://t.co/OrgvknZR"
  • 17:06  小生が「学びは現場にあり」という連載をさせていただいている「月刊・人材教育」さんがFacebookページをおつくりになられたようです。祝めでたい!&お疲れ様です。http://t.co/6mFjn9uM
  • 16:53  面白い。無料の授業動画を公開しつづけ、世界で最も有名な教育サイトのひとつに>RT @shigejam カーンアカデミー創始者のTED講演「教育の再発明をビデオで」:@TEDNews http://t.co/0OJzQe29  [in reply to shigejam]
  • 08:23  我が家のカトラリーは、柳宗理さんデザインのものでした。ご冥福をお祈りいたします>バタフライスツールの作者、柳宗理さん死去、96歳。工業デザイナーの草分け、文化功労者(asahi) : http://t.co/deRWseJ1
  • 02:14  「子どもアカデミー」興味深い>「学びの場」に評価「江戸川区子ども未来館」、海とさかなコンで協力賞、専用の図書館「子どもライブラリー」、「子どもアカデミー」など: http://t.co/8r1seEku
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■2011/12/25 Twitter

  • 17:31  中原研の大学院生から嬉しい報告2つ。まことにめでたい、でかした。今日は飲むよ、僕は。おめでとうございました。
  • 11:47  おー、まずい、隔離水槽の水温が下がってきてるぢゃないか。このままでは、ネオンテトラが逝ってしまう。ヒーターを買いに急ごう。
  • 10:51  年賀状投函。今年の図柄は、すごろく。
  • 09:57  こちらも明日読んでみよう>森本郁代さん他「グループ・ディスカッションの相互行為過程の評価と分析のための指標 : フォーカス・グループ・インタビューデータの分析から」 http://t.co/e5JOrAEK
  • 09:55  評価指標は「誠実な参加態度」「対等な関係性」「議論の活発さ」「意見の多様さ」「議論の深まり」「議論の管理」「議論の積み上げ」>富田他(2010)大学生の対話力の自発的成長を促す学習環境の探索(PDF) : http://t.co/CnfJbgev
  • 09:53  大塚裕子・森本郁代(編著)(2011) 話し合いトレーニング―伝える力・聴く力・問う力を育てる自律型対話入門. 読了。話し合いをオブザベーションさせ、サーベイフィードバックすることで、話し合いのスキルを高める。 http://t.co/kw749svR
  • 08:51  うーむ、考えさせられる問い>「例えば、あなたが、ご自分の人生の物語を書いているとしましょう。そして、そこにはいくつかの章があるとしましょう。それぞれの章は何がテーマになるでしょうか? たとえば一章はどんな感じになるでしょうか?」(ホルスタイン&グブリアム 2004)
  • 08:29  学問とは「問うて学ぶこと」である。強いて努める「勉強」とは違っている。(やまだ 2005)
  • 08:17  「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」読了。ライブで稼ぐビジネスモデル構築。ライブの録音は無料、交換可能。ファンをつなげるためのメディアを構築。ライブは常に実験を続ける、など。ついつい、iTunesで彼らの音楽をポチしてしまった。http://t.co/XDQ79rVi
  • 07:38  なぬー。ネオンテトラが一匹病気になっておる。別の水槽に隔離が必要だろうか。ヒーター、よぶんにないぞ。
  • 06:47  初任教師の組織適応・支援のあり方>心の病で休職の教員、半数が在校2年未満 公立校調査(asahi) : http://t.co/EZ6JW6KI
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■2011/12/24 Twitter

  • 16:10  【INHOUSE】準備ワークショップ2日目を終えて:「内製」と「内製化」を分けて考えたら、少しだけ、見えてきたもの: http://t.co/aa197aWa
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投稿者 jun : 2011年12月27日 11:43


【INHOUSE】準備ワークショップ2日目を終えて:「内製」と「内製化」を分けて考えたら、少しだけ、見えてきたもの


 先日、都内某所にて、【INHOUSE】の準備会(ワークショップ)第二回目を実施しました(ややこしくて、またまた、すみません。本当の【INHOUSE】はこれからなのです・・・企画委員会を開催して、何をしていこうか、議論しようと思ったところ、嬉しいことにたさくさんの方々から賛同いただき、準備会ワークショップになってしまった、という経緯があります)。

 先日は、ゲストに「リーダーは自然体」を金井壽宏先生らと執筆なさった増田弥生さんをお招きし、"内製化"の動きがすすむ中での、企業内の人材育成のあり方、新しい研究会の方向性について、皆さんで考える機会を持ちました。

 まずは、ご参加いただいた皆様、増田さん、そしてファシリテータをおつとめいただいたKさん、プレゼンいただいたKさん(Kさん続きますね)、ありがとうございました。心より感謝いたします。

INHOUSE.jpg

 ワークショップ2日目は、議論を進めているうちに、面白く、また大変興味深いことに「内製化」という概念について、整理する必要があるね、まだ全然の必要があるよね、という話に収斂していきました。いろいろ議論をしていくうちに、僕も含めて、様々な「モヤモヤ」が発生しました。
 以下では、当日の議論をふまえ、僕なりに整理したことを書きます。

  ▼

 まず概念整理です。「内製」「内製化」という言葉のしめすところが、人によって異なることがわかりました。これらの言葉は、似ているけれど、それらは違う。そして、ここをきちんと整理することが、実りある議論につながることがわかりました。
 ですので、まずは、この定義から行っていきたいと思います。以下の定義は、あくまで私見・独断・偏見ですが、

「内製」とは、

「企業人材育成のあり方を、企業内部の人が、経営戦略と現場の状況をみすえた上で、自らビジョンを描き、イニシアチブをもったうえで実行可能にしていくプロセス」

 と定義します。詳細はあとで記述します。

 有名なHall(1984)の定義によりますと、

 人材育成とは、

「企業が経営戦略・経営目的達成のために必要なスキル、能力、コンピテンシーを同定し、これらの獲得のために従業員が学習するプロセスを促進・支援することで、人材を企業経営に計画的に供給するための活動と仕組み」

 のことです。

 ということは、「内製」とは、人材育成の活動そのものをさすことになりますね。そして、それを「すべて外に渡してしまう」ということは、やや矛盾したことになります。

 もし教育や人材育成が、経営戦略・経営目的をみすえて、他社に抜きんでるような競争優位を導く源泉のひとつであろうとするならば、それは企業毎に特殊な人材育成のかたちが模索されるべきです。その仕組み・枠組みのすべてが、競合他社と同じ、ということはありえません(コンテンツの一部が、他社と同じであっても全然OK)。

 そして、そうした企業特殊の人材育成システムを構築するためには、内部のことに精通し、もっとも内部を知り得ている人が関与しない、ということはありえない、ということになります。つまり、それをすべて外注するというのは、人材育成が「経営戦略」にも同期せず、「競争優位」にもつながらないことを意味します。

  ▼

 次に「内製化」を考えます。
 こちらもあくまで私見の定義ですが、

 「内製化」とは一般に

 「企業人材育成のデリバー(研修・コンテンツ)の一部で、(これまで外部に外注していたものを)、内部で行うこと」

 を指しています。

 より具体的には、

 「内部の人が、内部の人に向けて、インストラクション・ファシリテーション・コンテンツ開発を行うこと(デリバーすること)」

 と定義してもかまいません。

 この2日間の準備会ワークショップを踏まえて、このように「内製」と「内製化」をわけて考える必要性を痛感しました。先日のワークショップで議論になったのは、この「内製」と「内製化」の概念の混乱であり、何が今人材育成の領域において、イシューなのか、ということでした。同じ「内製」という言葉が含まれますので、話が大変ややこしいのですね。

 もし可能ならば、
 
 もう、「内製」って言葉を使うことをやめませんか?

 当たり前すぎて、もう。
 ややこしくて、もう。

(内製という言葉を使ってたのは、アンタだろ、というツッコミが聞こえてきそうですね。おっしゃるとおりです、申し訳ございません。そうなんです。心からお詫びいたします。でも、ワークショップを踏まえて、問題がよくわかりました。)
(ちなみに、増田さん含め、その後、米国企業につとめる何人かのかたに、米国のHRDでは、「内製」「内製化」に対応する言葉はない、とのこと。面白いですね)

  ▼
 
 次に、これらを踏まえて、人材育成のプロセス(内製のプロセス)を3つに分けて振り返っていきましょう(内製っていう言葉を使わなくても、もういいんですけどね。あえて、この記事では、これまでの経緯を踏まえて、この言葉を残しておきます)。

 この作業をする上で、人材育成を敢えて「人材開発(≒研修)」と「組織開発(研修以外の、組織を動かすための施策)」にわけます。この分け方がざっくりしているのはわかっているのですが、ごめんなさい、敢えてやります。

  ▼

 まずは研修の場合。
「内製プロセス」、いいえ、「人材育成のプロセス」は、下記のようになるはずです。敢えてざっくりと3つのプロセスで説明させていただきます。1.イニシアチブ、2.デリバー、3.アフタフォローの3つです。

1.イニシアチブ
 経営戦略に照らして、自らイニシアチブを発揮し、人材育成のグランドデザインを描く。別の言い方をすれば、戦略、外部環境からてらして、HRDポリシーをつくることに他なりません。場合によっては、外部の支援を受けることも多分にあるでしょう。すべてが内部でなくてもよいですが、"内部の人が関わらなくてよい"ということは、たぶん、絶対にありません。
 内部の人々が「イニシアチブ」や「思い」をもって、ビジョンやポリシーなど、具体的なデリバーの大枠になるようなフレームワークを構築していく必要があります。
 そして、このイニシアチブを外部に渡してしまう、ということは、先ほど述べましたように、人材開発が「経営戦略」にも、「競争優位」にもつながらないことを意味します。人材開発部門のレゾンデートル(存在証明)を失ってしまうことと同義です。

2.デリバー
 1で描いたもののうち、研修やワークショップで解決するべきところに関しては、基本は内部でデリバー(インストラクション・ファシリテーション)を行います。もちろん、内部だけですべてをカバーできるわけではありません。内部でできるものと、外部でできることを峻別していく必要があります。外部パートナーとの戦略的連携、という視点がここででてきます。

 何を内部で、何を外部での統一した基準はありません。内部の人の給与水準、かけられる人的リソースにも、それは依存するからです。外部に外注するべきものは、増田弥生さんの言葉を借りるならば、

「1.外部でもいいもの」
  ・組織内にナレッジが蓄積しなくてもよいもの

「2.外部の方がいいもの」
  ・組織内の説得に外部であった方が都合のよいもの
  ・高度に付加価値のある、内部にはないコンテンツ

 ということになります。これはひとつの基準だと思います。

 そして、ここが「内製化」の関与してくるところです。
 従来は、上記のうち、外部に外注していたものを、中で行うようになってきているようですね。たぶん内製化されつつあるのは、「1.外部でもいいもの」ではなく、「2.外部の方がいいもの」です。
 1は定義からして、もともと組織内にナレッジがなくてもよいものですので、中で行う必要がありません。「2.外部の方がいいもの」のうち、「内部でも可能」だと判断されたものが、内製化されているのではないでしょうか。
 
 その背後には、

1)コストの問題

2)現場の要請に応える企業特殊のコンテンツが必要になってきたこと

3)人事部・人材開発部のデリバラブルを高める問題

4)ソーシャルメディアやインターネットの影響などで、人事や人材開発の方々が、直接、人材開発の知識・情報ソースにふれるようになっていること

5)人材育成における「経験」の重要性が認識されるようになってきたこと(この重要性が認知されるということは、畢竟、企業特殊の"現場経験"、あるいは"業務経験談から派生する教訓(持論)"が、学習リソースとして重要視されることにつながります。よって、企業個々の状況に依存しない内容に加えて、各企業特殊の経験・持論を中心に人材育成が構築される可能性が高くなります。そのリソースをもとに学習プログラムを構築する主体として、内部人材が適当ということになれば、内製化が選択されます。各企業特殊の経験・持論を効果的に共有する主体として、内部が難しい場合には、外部が積極登用される可能性が高まります。よって、これが一概に内製化の理由とは言えません)

 などがあることを、これまでも指摘してきました。ポイントは、内製化は、一般に1)だけが原因として語られますが、決して、それだけではない、ということです。

 しかし、ここに問題がないわけではない。
 むしろ、「噴出」している。問題のやまといっても過言ではないかもしれません。
 2日間のワークショップを通じて、共通してきた問題点は、

1)インストラクター、ファシリテータの教授スキルの確保
2)提供している教育・コンテンツの質保証の問題(自信が持てない)
3)内部・外部の選択がうまくいかない(よって、クオリティが担保できない)

 などでしょうか。

 要するに、「クオリティの担保」が最大の課題のようです。この問題は、実は、企業内人材育成を行う側の専門性を高め、提供されている教育の質保証を行っていく「仕組み」が、いままで、あまり注目されていなかったことがあるのだと思います。

 例えば、増田さんによりますと、米国のHRの場合、米国の先進企業の場合には、「ファカルティデビュー」の仕組みが存在します。きちんとした専門性・スキルをつけてから、教え手としてデビューできるよう、仕組みを整えている、ということですね。おそらくは、外部教育機関の果たす役割が少なくないと思います。

 要するに、コーチング、ファシリテーション、インストラクション、様々なスキルを短期間で獲得してもらい、他者からレビューされて、専門性を高めていくのです。「教師教育学(Teacher education)」の企業版と考えて良いですね。

 また、外部の人材育成専門家に関与してもらい、イニシアチブを立ち上げる際にコンセプトメイキングを手伝ってもらったり、定期的にレビューを行ってもらうことで、質保証を実現している企業もあるそうです。

 このように、内製化をすすめるのであれば、最低限のクオリティを確保し、さらには維持していく仕組みがセットになって論じられる必要があります。ここにも、外部との戦略的連携の可能性が拓けていますね。ここがまず、今後、考えていかなければならないポイントかもしれません。

3.アフターフォローと評価
 最後にアフターフォローと評価です。
 前者は、ある意味で「非日常であった研修」を「日常」に接続する仕組みです。別の言い方をするならば、研修で学んでもらったことを、職場でも実践してもらうようにする仕組みです。これは基本的には内部の人が関与しないということはないでしょう。しかし、外部からも定期的なサポートを得られる可能性もあるかもしれません。
 後者は、かけた教育のアカウンタビリティを示す、ということです。数量的に評価するのだとしたら、専門的知見をもった外部と戦略的に連携するということになりがちであると思います。ここは、専門的知見を持ちにくい(ジョブローテーションで、たまたまアサインされた場合には)内部には難しくなるかもしれません。

 以上が研修の構築プロセスです。

  ▼

 次に「組織開発系」です。ここでいう組織開発とは、「組織図を描くこと」や上記の「研修」以外で、組織の卓越性・協働性を高める施策をひとくくりにしています。具体的には、「ビジョン・理念系」や「つながりの創出」などがあるでしょう。

「ビジョン理念系」とは、ここでは、組織理念の共有や再確認のために、組織内部で定期的に開催される会のことをさしていいます。

 後者の「つながりの創出系」は、「組織が専門化・機能分化しつづけたことに対応して、組織を超えた問題解決を行うときに、異なる組織間のメンバーが集められて実施されるもの」あるいは、「社内のつながりが希薄になってきたことから、公式組織を超えて、組織メンバーの「関心」に基づいた社内コミュニティがつくること」でしょうか。
 
 こちらの場合は、そもそも外部に外注されていることは、それほど多くはなかったと思います。ですので、内製化の問題として考えることが適当かどうかはわかりません。もちろん、外部の素晴らしいファシリテータの力を借りて、上記を実施した事例も多々あります。

 これらを内部で実行していると、様々な問題が発生しているようです。

1)会が属人化してしまい、必要な組織開発業務が、人についてしまう
2)ファシリテーションスキルの高低があるため、職場によっては、うまくいかない
3)組織全体に広めるためには、マニュアル化をしなくてはならないが、どうまとめてよいかわからない

 などでしょうか。
 組織開発系の「内製化」の問題点は、こうして見ると、「組織開発スキルの水平共有」「ファシリテーションスキル」などの専門性開発、であるということになりますね。いずれにしても、専門的な知見が必要です。外部パートナーとの戦略的連携が必要になるのかもしれません。

  ▼

 以上、ざっくりとですが、先日の会の内容を振り返ってみました。このほかにも、様々な議論が起こっています。Kさんがまとめサイトをつくってくださいましたので、もしよろしければ、そちらもご覧ください。

【INHOUSE2日目】
http://togetter.com/li/231269

 一応、これで準備会は終了ということになります。今後は、何らかのかたちで、会をオープンにして、様々な方々のご参加をいただきつつ、これらの諸問題にそって、何らかの「学びの機会」を実践していきたいと考えています。

 それが、どういう形になるのか、どういうイニシアチブ(組織)が関与するかは、また関係者の皆様と、年明けに議論させていただければと思っています。下記で、今後も情報提供させていきますので、どうぞご覧ください。

【INHOUSE : FACEBOOKページ】
http://www.facebook.com/pages/INHOUSE/255545127832314

 最後になりますが、ご参加いただいた皆様、増田弥生さん、ファシリテータをおつとめいただいたKさん、プレゼンいただいたKさん(Kさん続きますね)、に、心より感謝いたします。

 ありがとうございました。
 そして人生は続く!

投稿者 jun : 2011年12月24日 11:26


【fʌ'n】... 勇気をだして、学びの場を自ら創り出したい皆さまへ 「ファンコミュニティの形成」に関する勉強会開始! : ソーシャルメディア、著作権、スチル撮影

ついにここ数ヶ月暖めていた企画がベールを脱ぎました。Learningful society(学びに満ちあふれた社会)実現のために、前から、ひそかにやってみたいと思っていたプロジェクト【fʌ'n】です。

【fʌ'n】では、「自ら学びの場をつくりたいと願う方々」の応援をさせていただけたらな、と思っています。ソーシャルメディア活用、Unconference、ドキュメンテーション、ユーザー参加型デザイン、著作権、スチル撮影・・・などなど、実践的な内容です。

テーマは「集客」、「ファンコミュニティの形成」!
これまでのノウハウと経験をシェアします。その上で、議論しましょう。

どうぞご興味のある方は、どうぞご参加いただければと思います。

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【fʌ'n】(ファン)
 勇気をだして、学びの場を自ら創り出したい皆さまへ
「ファンコミュニティの形成」に関する勉強会はじまります!

 学びの場づくりを愉しもう【Fun】
    【Fan】コミュニティを創り出そう!
http://www.facebook.com/pages/f%CA%8Cn/164198320347411
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○第1回 ネットでUST中継 新春大放談!
 「勇気をだして、学びの場を自ら創り出したい皆さんへ
  あなたもラーニング・プロデューサー!?
  Fanコミュニティを創るとはどういうことか?」
  1月6日(金) 午後7時より午後9時あたり
  http://www.ustream.tv/channel/nakaharalab

○第2回 リアルセッション:トーク&ダイアログ
  弁護士・福井健策先生をお招きして
 「僕らがちょっと苦手な法律入門:著作権・知的財産権Q&A大会」
  2月9日(木) 午後6時より午後9時まで

○第3回 リアルセッション:ワークショップ
 「写真撮影講座! "学び"の魅力を伝えよう!」
  3月19日(月)午前10時00分 - 20時00分

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おばんでした、中原淳です。
突然にて恐縮ですが、暑苦しくて、ニッチな長文メールを
お許しください。

  ▼

みなさまご存じの通り、僕の研究室のキャッチコピーは
「大人の学びを科学する」です。

組織の中の学び、組織の外の学び・・・
組織の「ウチ」と「ソト」という「境界」を問わず、「大人が
学ぶこと、気づきを得られる環境」をつくりだす人々を、
僕は応援したいです。

組織の中の学び、組織の外の学びをどちらも含めて、
「Learningful Society」(学びに満ちあふれた社会)の
実現のために実証的研究や実験的実践をしていくことが、
僕のミッションです。

「甘い」と怒られるかもしれませんが、「現実」になるものは、
「みんな」が「夢見たもの」しかありえません。
同じ夢を見る方々と、僕は、この社会を「Learningful Society」
にしていくプロジェクトを実践したいと思います。

「青汁なみに青臭いこと」を承知で言っています(笑)。
 ↓(ひまな人はクリック)
http://www.youtube.com/watch?v=Wnw12o2KahM
でも、「崖っぷちのこの国に必要なこと」は「青臭いこと」なのです。

  ▼

「Learningful Society」の実現・・・という「妄想」「寝言?」
のためには、今、新たなラーニングを仕掛ける方々、新しいラーニング
を創造したいと願う方々を応援していくことが求められます。

というわけで・・・

このたび、ラーニングを仕掛けたい方々、新しいラーニングを
創造したいと願う方々、すなわち「ラーニングプロデューサー」
の方々(あるいは予備軍の方々)を応援したいと願い、このたび
「fʌ'n」(ファン)という「怪しさ満点の勉強会らしきもの?」
をつくることにしました。

「fʌ'n」には、学びの場づくりを愉しみたい人々(Fun)が
集います。だから「ファン」ね。

そこで学べる内容は、そういう人々がつくりだす学びの場をより多くの
人々に知ってもらえる技術 - Fan community形成の技術
です。これが、もうひとつの「Fan」です。

要するに、「愉しんでつくりあげた学びの場を、もっと多くの
人に知ってもらい、多くの人に愉しんでもらえる技術」を「fʌ'n」
では扱います。ひと言でいいましょう、「fʌ'n」で学べることは
「集客のテクノロジー」です。

ワークショップの創り方・方法論とか、ファシリテーション
の技術とか、そういう「王道」は、ここでは扱いません。それは
他にも様々な場がございますので、そちらにお出かけください。

むしろ、ここでやるのは、「Fan community形成の技術」です。
要するに、学びの場への「集客」を考えるということです。

  ▼

じゃあ、なんで、そんなことをやろうと思い立ったのか。。。

 様々に学びの場をつくろうとなさる方がもつ「悩み」の中で
深刻なものの中に「集客ができない」、というものがあります。

 せっかく、素敵な学びの機会を思いついたのに、
それに参加してくれる人がいない。なかなか人が集まらない。
 このような経験をなさったことのある方は、少なくないはずです。

 集客を行うためには、ワークショップの「内容」を洗練すること
がまず重要です。これは言うまでもありません。が、どんなに
よいものをつくっても、人に知られなければ、人は来ないのです。

 そのためには、その他にも広報の知識とスキルが必要になります。

 ランディングサイトを整備する、ソーシャルメディアを使う
コミュニティ構築をする、など、近年のワークショップPRは、
メディアを駆使することと、実は「無縁」ではありません。

 こんなニッチで、誰も注目しなさそうな実践的課題を(笑)、
「fʌ'n」では取り上げようと思うのです。

 ラーニングプロデューサーを志す方々と一緒に、ファンコミュニティ
の形成について、考えていきたいと思います。

  ▼

さて「fʌ'n」の第一回目は、USTトーク番組からはじまります。

 「勇気をだして、学びの場を自ら創り出したい皆さんへ
  あなたもラーニング・プロデューサー!?
  Fanコミュニティを創るとはどういうことか?」

を1月6日(金) 午後7時から、

 中原淳(東京大学)
 秋山久美子さん(MIT)
 舘野泰一さん(東京大学大学院)
 平野智紀さん(東京大学)

で、ゆるゆると、語りたいと思っています。

秋山さんは、X-JAPANの熱烈ファンで、ファンコミュニティ
研究を志しておられます。ファンコミュニティ研究について
当日はお話し頂きたいと思います。

舘野さんは、僕の指導学生で、自らの研究の傍ら、いろいろな
ワークショップを企画なさっています。今回は「イベントのユ
ーザー参加型デザイン」についてご報告をいただこうと思います。

平野さんは、ミュージアムにおける対話型鑑賞を研究なさって
います。今回は「レッジョエミリア・ミュージアムにおける
ドキュメンテーションとコミュニティ形成」についてご報告
いただこうと思います。

その上で、ゆるくトークをしていきましょう。

視聴のアドレスは下記になります。どうぞご視聴&Twitterでつっこみ
ください。調子にのって、Facebookページもつくってしまいました。

【fʌ'n(ファン)】キックオフ UST中継
 「あなたもラーニング・プロデューサー!?
  Fanコミュニティを創るとはどういうことか?」
 http://www.ustream.tv/channel/nakaharalab

 1月6日(金) 午後6時 スタート!

【fʌ'n】のハッシュタグは「#fancomjp」です。

【fʌ'n】のFacebookページは下記です。
http://www.facebook.com/pages/f%CA%8Cn/164198320347411

  ▼

 第二回目以降は、いくつかの課題について具体的なワークショップ
を開催したいと思います。

 第二回は、知財・著作権業界のトップランナー 骨董通り法律事務所
のファウンダーで弁護士の福井健策先生をお招きし、トーク&ダイアログ
を深めます。

 テーマは、

 「僕らがちょっと苦手な法律入門:著作権・知的財産権Q&A大会」

 です。

 学びの場をつくること、それを広報すること、つくりあげた
ツールや手法を守ること。。。実は、そうしたものをきちんと行う
ためには著作権に関する知識が必要です。

 ・自分のやったワークショップの写真をWebにのせたい
  けど、他人の写真をのせてもいいの?
 ・他人のつくったワークショップのアイデアを、自分の
  ワークショップでも使ってもいいの?
 ・自分が思いついたワークショップのアイデアを守る
  ためには、どんな方法があるの?

 当日は、事前に皆さんから質問を募集して、僕が福井先生に
おたずねしていくというトークライブを実施します。その上で
グループでディスカッションしたり、全体でシェアしたりする
ことができるといいですね。

 こちらは2月9日(木)午後6時から午後9時まで、
 株式会社WOWOW 赤坂パークビル21Fにて開催します。

  ▼

 第三回目はスチルカメラをとりあげます。
講師にはプロのカメラマンで、各種メディアでもご活躍の
見木久夫さんをお迎えします。見木さんは、かつてLearning bar
の撮影をご担当いただいておりました。

見木久夫さん
http://kenmoqp.com/Profile.html

Learning barの写真
http://www.flickr.com/photos/nakaharajun/page9/

Fan communityの形成のためには、ソーシャルメディアを
駆使するといったことが重要なのですが、しかし、それ以前に一番
基礎的なことは、「自分のワークショップの内容をきちんと記録すること」
です。記録がなければ、メディア展開はできません。
また「記録」がなければ、ワークショップ実践家の技術の向上にも
つながりません。

まず大切なことは、自分のワークショップを、写真や動画などで
他者に魅力を伝えられるような「記録」として残すことです。

「イキイキと活動している子ども達の笑顔がうつっていて
しかも、どのような活動をしているか具体的にわかる写真」

 と

「ピンボケしていて、いったいどのような活動をしている
のかわからず、かつ、赤目になっている子どもの写真」

 なら、あなたは、どちらのワークショップに参加したい
と思いますか?

第三回目は、見木さんに講師になっていただき、実際のシンポジ
ウム・ワークショップ画面を素材にして、撮影実習を行って頂きます。

撮影するシンポジウムは、日本生産性本部×東大中原研究室が主催する
テアトロフォーラム「人材育成の未来をACTする」というアカデミック
イベントです。
このイベントでは、即興劇・ポスターセッション・ダイアログなど、
参加者が様々な活動に従事します。この様子を、受講者は見木さんの
指導のもと撮影して頂きます。

 ▼

第2回目、第3回目にご参加をご希望の方は、下記の参加条件をお読みになり、
フォームに必要事項をご記入のうえ、1月20日までに、お申し込みください。

 なお、最近、中原の関係するイベントは混雑が続いており、
参加登録いただいても、すべての方々の御希望にはお応
えできない状況になっております。

 何とかこれに対応しようと思っていますが、、
おそらくすべての方のご要望にはお応えできません。大変申し訳
ございません。

 主催者としては心苦しい限りですが、なにとぞお許しください。

 混雑が予想されますので、今回もあいにく、抽選とさせていただき
ます。下記の要項を必ずご一読いただき、ご応募をお願いいたします。

中原 淳
 
 ---

○主催・協力
 NPO法人 EDUCE TECHNOLOGIES
 エデュース・テクノロジーズ
 http://www.educetech.org/
 
 EDUCE TECHNOLOGIESは、「学び」に関する調査
 研究開発、コンサルティングを行う非営利特定
 活動法人(NPO)です。
 
 企画担当・責任者
 副代表理事 中原 淳

【第2回】開催協力(感謝です!)
 ・骨董通り法律事務所さま
 ・株式会社WOWOWさま
 ・Special thanks to 富澤律子さん

【第3回】開催協力(感謝です!)
 ・公益財団法人 日本生産性本部さま
 ・株式会社内田洋行さま


○日時・募集人員・場所(間違わないようにくれぐれも注意ですぞ!)

 【第二回目:著作権編・40名】
  2012年2月9日(木曜日)
  午後6時 - 午後9時 
  http://www.wowow.co.jp/co_info/corporate/profile/map1.html
  株式会社WOWOW
  赤坂パークビル21階

 【第三回目:スチル編・8名】
  2012年3月19日(月曜日)
  午前10時 - 午後8時 
  会場:株式会社内田洋行 東京ユビキタス協創広場 CANVAS
  Future Classroom
  http://www.uchida.co.jp/company/showroom/canvas.html
 
○内容
【第二回目:著作権編:弁護士・福井先生】
 1.参加者の皆様から寄せられた疑問を
   中原と福井先生がトークします
 2.グループでダイアログ
 3.福井先生に聞いてみたい! クラスでマジトーク

【第三回目:スチル編:カメラマン・見木先生】
 ・企画概要説明(30分)撮影のコツや構図のとりかた
 ・各自撮影実践(60分)
 ・お昼(60分)
 ・リフレクション&フィードバック(90分)
 ・リトライ(60分)
 ・まだまだ、リフレクション&フィードバック(60分)

 
○参加費
【第二回】
 5000円

【第三回】(どうしても少人数のため費用がかさんでしまいます、ごめんなさい)
 10000円(個人としてのお申し込みの場合)
 20000円(法人としてお申し込み:領収書が法人宛の場合)
  
 
○参加条件&抽選のこと

 各回ごとに参加条件がございます。
 下記の諸条件をよくお読みの上、参加申し込みください。
 申し込みと同時に、諸条件についてはご承諾いただいて
 いるとみなします。

 また、人数が多い場合、参加は抽選とさせていただきます。
 抽選結果は第二回目が1月10日、第三回目が2月10日にご連絡
 差し上げます。参加申し込みが完了しても、抽選にもれた
 場合、ご参加いただけせんので、あしからず、ご了承ください。

【第二回の参加条件】

1.本ワークショップの様子は、予告・許諾なく、写真・
ビデオ撮影・ストリーミング配信する可能性があります。
写真・動画は、NPO EduceTechnologies、中原淳が
関与するWebサイト等の広報手段、講演資料、書籍等に
許諾なく用いられる場合があります。マスメディアによ
る取材に対しても、許諾なく提供することがあります。
参加に際しては、上記をご了承いただける方に限ります。

2.欠席の際には、お手数でもその旨、
educejimu [あっとまーく]educetech.orgまでご連絡下さい。
人数多数のため、多数の方の参加をお断りしている
状況です。繰り上げで他の方に席をお譲りいたします。

3.本イベントで剰余金が発生した場合は、NPO法人
Educe Technologiesが企画する、組織人材育成
・組織学習に関係するシンポジウム、研究会、ワーク
ショップ等の非営利イベント等の準備費用・運営費用、
および、研究費用に充当します。


【第三回の参加条件】

1.キヤノン社、ないしは、ニコン社のデジタル一眼レフカメラ
(2005年以降のモデル)を当日持参することができます。
また、絞り(露出)、シャッタースピードなどのカメラに関する
基礎的な知識を有しています。

2.撮影にあたっては、シンポジウムの進行、参加者の活動を
疎外しないよう最大限配慮します。また、講師の指示に従います。
公衆良俗に反した撮影を行いません。

3.今回撮影した写真に関しては、撮影者個人が所有する
ことはできますが、それらを撮影者個人が、自分のブログ、
Twitterなどのメディアに送信・送信可能な状態にしたり、
他メディアに掲載したりすること、二次利用を行うことは
できません。このことを承諾します。

4.日本生産性本部、ないしは東京大学中原研究室(中原淳)
が、本シンポジウムの広報・周知のために、撮影者個人が撮影
した写真の電子ファイルを取得し、予告なく利用すること
(送信可能化すること・編集すること・二次利用を行うことを含む)
を許諾します。

5.本ワークショップの様子は、予告・許諾なく、写真・
ビデオ撮影・ストリーミング配信する可能性があります。
写真・動画は、NPO EduceTechnologies、中原淳が
関与するWebサイト等の広報手段、講演資料、書籍等に
許諾なく用いられる場合があります。マスメディアによ
る取材に対しても、許諾なく提供することがあります。
参加に際しては、上記をご了承いただける方に限ります。

6.欠席の際には、お手数でもその旨、
educejimu [あっとまーく]educetech.orgまでご連絡下さい。
人数多数のため、多数の方の参加をお断りしている
状況です。繰り上げで他の方に席をお譲りいたします。
なお、キャンセルに関しては、3月12日まででしたら無料です。
ですが、3月13日以降のキャンセルに関しましては、100%
申し受けますので、ご了承ください。

7.本イベントで剰余金が発生した場合は、NPO法人
Educe Technologiesが企画する、組織人材育成
・組織学習に関係するシンポジウム、研究会、ワーク
ショップ等の非営利イベント等の準備費用・運営費用、
および、研究費用に充当します。


○参加方法と〆切期日
 上記の参加条件を必ずご一読のうえ、下記のフォームに情報
を満たし、educejimu [あっとまーく]educetech.orgまで
メールでお申し込みください。参加申し込み〆切は第二回目が
1月8日、第三回目が2月8日とさせていただきます。

第二回申し込みはココカラ------------------------------
わたしは第2回(2/9 福井先生・著作権研究会)に申し込みます。
その際、上記の参加条件1から3をすべて承諾しています
1月8日申し込み〆切、抽選結果は1月10日にご連絡いたします!
申込先:educejimu [あっとまーく]educetech.org
--------------------------------------------------

ご氏名(           )
ご氏名カタカナ(           )
メールアドレス(             )
ツイッターアカウント(           )
FacebookのURLは?(             )
携帯電話等番号(             )
福井先生にぜひ聞いてみたいこと(なるべく具体的に)
(                    )

--------------------------------------------ココマデ


第三回申し込みはココカラ------------------------------
わたしは第3回(3/19 見木久夫さん・スチル編)に申し込みます。
その際、上記の参加条件1から7をすべて承諾しています
2月8日申し込み〆切、抽選結果は2月10日にご連絡いたします!
申込先:educejimu [あっとまーく]educetech.org
--------------------------------------------------

ご氏名(           )
ご氏名カタカナ(           )
メールアドレス(             )
ツイッターアカウント(           )
FacebookのURLは?(             )
携帯電話等番号(             )

お持ちのカメラ(      社製の型番は     です)
ちのレンズ(         )※わからなければ結構です。
一眼レフの使用経験(        年くらい)

これまで行ってきたワークショップ実践
(                          )

中原へもしあれば、ひと言!
(                    )

--------------------------------------------ココマデ

 皆様のご応募をお待ちしております!

 お問い合わせ:educejimu [あっとまーく]educetech.org
 担当者:吉川

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■2011/12/23 Twitter

  • 21:28  【fʌ'n】・・・勇気を出して「学びの場」を自ら創り出したい皆さまへ>「ファンコミュニティの形成」に関する勉強会はじまります!: ソーシャルメディア、著作権、ドキュメンテーション、ユーザー参加型デザイン、スチル撮影など>http://t.co/MxR7fkws
  • 19:31  おっ、これ見るぞ>本日12月23日午後10時から NHKスペシャル「世界を変えた男 スティーブ・ジョブズ」: http://t.co/BrL8jMc1
  • 16:47  読んでみよう>百貨店は19C中頃にフランスのパリで発生した近代的小売り業態>木綿良行著「我が国の百貨店の歴史的経緯とその評価」(PDF): http://t.co/AGeEnJti
  • 16:47  僕のデパートの思い出は、デパートにいくたびに、妹が迷子になって館内放送がかかることです(笑)。 RT @peko76 子供の頃はデパートにいくとなぜかお腹の調子がおかしくなった。緊張したからかも(笑)RT デパートの思い出  [in reply to peko76]
  • 16:37  (4)今日久しぶりに日本橋・三越に出かけたら、客層が高齢化していることに驚きました。たまに若い夫婦、子どもがいる。おじいちゃんとおばぁちゃんが、孫をつれてきているんだろうな。百貨店のビジネスモデル転換というテーマも面白そうですね。以上、業界のことを何一つ知らないドシロウトの雑感。
  • 16:37  (3)デパートとは、どういう空間として誕生し、どういう歴史的変遷をたどったんだろう。ヘタの横好きで、「百貨店の社会史」が知りたくなりました。そういえば、漫画サザエさんでは、デパートに行くときに、家族全員で着飾っていましたね。そういう場所だったんだろうな。
  • 16:37  (2)ただ、途中から、なぜ劇場がデパートの中にあるのか、気になって気になって、そのことばかり考えていました。調べると、三越劇場は1927年、世界初の百貨店の中にある劇場として登場したらしい。http://t.co/SqsuCfr8
  • 16:37  (1)今日は日本橋・三越の6Fにある三越劇場でTAKUZOと演劇「ごんぎつね」「つるの恩返し」を見ました。不覚にも「ごんぎつね」で涙してしまう(笑)。昔話は、結構、可哀想な話が多いよね。http://t.co/hVFfUaRt
  • 16:24  RT @masahiro_sekine 中原ゼミ 2011年冬学期の英語文献「POS」(2)のまとめ http://t.co/FTrqCe53  [in reply to masahiro_sekine]
  • 16:24  休日なのにご苦労様です!RT @masahiro_sekine 中原ゼミ 2011年冬学期英語文献「Positive Organizational Scholarship」のまとめ(1) http://t.co/AgKB8HaD  [in reply to masahiro_sekine]
  • 08:27  【INHOUSE】のまとめです。@mikadukihimeさん、準備・昨夜のファシリテーション、そして、まとめサイトの作成まで、ありがとうございます(感謝)!RT 【INHOUSE】準備会2回目 http://t.co/YgDBgTSH
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■2011/12/22 Twitter

  • 23:36  ふぅ。。。終わった。というよりも、なんとかカタチにして送信。お風呂でも入りながら、今日の【INHOUSE】をリフレクションしよう。 http://t.co/xKhOoSZU
  • 21:48  【INHOUSE】終了。皆で議論し、ゲストでお越しくださった増田弥生さんに、米国の現状などをご紹介いたただいた。感謝です!&お疲れ様でした。参加者の皆さんは懇親会へ。僕は、本日〆切の「やんごとなき仕事」ため珍しく!?帰宅。皆さん、愉しんでください!
  • 18:29  今日で授業終了。これから【INHOUSE】です。
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■2011/12/21 Twitter

  • 22:47  大浦さん本日感謝です!。今後とも米国より「学びの科学」情報をお知らせいただけたとしたら、素晴らしい事です。ブログ更新。http://t.co/r80V1gam @mosshe 昨日にご挨拶と訪れた5分後にUST中継が決まったときは(*_*;でしたが、やってみると楽しかった!  [in reply to mosshe]
  • 22:25  ぶちょさん、こんばんは。またお邪魔させてください!引きつづきどうぞよろしくお願いいたします!RT @rubenfive @ky0ko_h1 ぶちょです。今日は中原先生とお話ができ脳のふだん使われない部位に刺激を受けた感じです。また是非ブラリお立ち寄り下さい。  [in reply to Rubenfive]
  • 21:40  Hさん、本日は貴重な時間をありがとうございました。「ぶちょ」(@rubenfive)さん、示唆にとむお話をありがとうございました!今後ともどうぞよろしくです!@ky0ko_h ご足労いただきまして有難うございました!INHOUSEの悩みは尽きませんが、楽しみながら頑張ります~。  [in reply to ky0ko_h]
  • 21:00  ワシントン州立大学・博士課程 大浦君(@mosshe)の語るLearning sciencesの現在。「学びの科学」のホットキーワード。1). 学びの再定義、2)異なる専門家の協働とコーディネーション、3)評価、4)多文化教育。http://t.co/WuD2XR0r
  • 16:55  「一時帰国した大浦君(ワシントン大学)にLearning sciencesの今を聞く会」を再開!(ネットワーク不調失礼しました)。質問・疑問をお寄せください。http://t.co/GTuN0fHo ( #nlabjp live at http://t.co/XVDT4Ohk)
  • 16:35  突然UST中継 「一時帰国した大浦君(ワシントン大学)にLearning sciencesの今」を聞く会を、ただいま開催中。「学びの科学」のホットキーワードは何だろう? http://t.co/GTuN0fHo
  • 16:10  MRIの検査中に寝てしまい、看護師さんの失笑をかう事件発生。そんなにウルサクないじゃん。あー、よく寝た。
  • 14:34  午前中、原稿執筆。本田技研工業 青山本社にて、Tさん、Hさんにお話を伺う(感謝です!)。昼某企画書整理、ポンチ絵。「仕事漂流」著者・編集者の稲泉さん、九法さん、来研。「仕事漂流」は、超氷河期世代の働き方をリアルに伝える良著です。 http://t.co/yG8bNDTp
  • 12:50  急いで「ポンチ絵」作成。最近、なんか数枚書いた気がする。それにしても、「ポンチ絵」って何だ?
  • 07:39  ほほー>ユニクロ、採用活動、新卒・中途区別せずに一本化 通年500人採用。大学生選考に関しては学年の枠を設けない。大学1年で応募可能に(日経)
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■2011/12/20 Twitter

  • 22:55  中原ゼミ「世界一の忘年会」終了。皆様、お疲れ様でした。幹事を引き受けてくださった関根さん、そして愉快な皆さんに感謝。また脱予定調和カルタなど、世界一企画をお寄せいただいたKさんに感謝です。素敵な会でした。ありがとうございました。
  • 18:39  後で読む>RT @tatthiy CiNii 論文 - 中小企業論研究の成果と課題 http://t.co/YpoXnW7n #nakaharalab  [in reply to tatthiy]
  • 18:19  大学院・中原ゼミ(@nakaharalab)。橋本先生(@satoshi_hashimo)の研究発表「中小企業における人材育成研究」非常に社会的ニーズの高い研究領域だと思います。期待しております。#nakaharalab
  • 17:17  大学院・中原ゼミ(@nakaharalab)。福山君の研究発表「職場における組織市民行動を学習するカードゲーム教材の開発・評価」。人材開発研究には、実践研究・開発研究は相対的に少ないですが、ぜひ、頑張っていただきたいものです。#nakaharalab
  • 16:50  Have Fun! お勉強の成果愉しみにしています。ものすごいプレゼン、ものすごいスペクタコーを期待しています>RT @tatthiy 中原先生の部屋から大量に本をかりた。これで年末年始はひまになることはなさそうだ。  [in reply to tatthiy]
  • 16:48  書籍「職場学習の探求」本日脱稿。日本生産性本部×中原研究室の共同研究。研究室の大学院生と取り組んだ2年がかりのプロジェクト。JPCのみなさま、大学院生の皆さん、お疲れ様でした。生産性出版から、2012年3月刊行予定。収録しているのは論文、ガチ専門・玄人・マニア向け。
  • 15:49  明日12/20日16時半くらいから「大浦君(ワシントン大学)が語るLearning sciences(学びの科学)の今」をUST中継。「学びの科学」のホットトレンドを3つあげてもらいトーク。玄人向け・マニア度濃厚。放映はこちらで http://t.co/xh8kjLe0
  • 15:24  バイオラッドラボラトリーズの石山さん、インテリジェンスHITO総研の須東さんら来研。ワシントン大学に留学していた大浦君来研。大浦君はバークリーのWISEプロジェクトにかかわっているとのこと。頑張っているなぁ。
  • 12:55  Photoshopでロゴデザイン中。愉しいね。
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■2011/12/19 Twitter

  • 10:50  ブログ更新。自分の仕事のヒストリーを語る:バッターボックス、受話器、そしてよい聞き手。多忙な生活の中で、いかに働きがいをもって、よい仕事をするか、というお話しです。 http://t.co/3znfh5le
  • 10:20  本郷キャンパス銀杏並木。黄色い絨毯。 http://t.co/n3FGEaJo
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■2011/12/18 Twitter

  • 18:00  今日は産業能率大学で「人材育成学会」でしたね。共同研究者の方々が発表しているのですが、僕はどうしても参加できず、悔しい思いをしています。研究に対して、さまざまな建設的コメントをいただいたそうで、喜んでおられました。また、後日、研究室で議論するのがたのしみです。
  • 08:11  「明日」は誰にも読めない>「諸君は昨日の専門家かもしれんが、明日の専門家ではない!」(児玉源太郎・坂の上の雲) http://t.co/KyqDCSLn
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投稿者 jun : 2011年12月23日 21:19


Learning Science"s"の現在!:ワシントン大学・大浦弘樹君とのトークライブ

 今日は朝から怒濤のような一日を過ごしました。
 早朝朝っぱらから原稿2つを校正・脱稿し、電車に飛び乗り、本田技研工業・青山本社へ。同社のTさん、Hさんに貴重なヒアリングの機会をいただき(心より感謝です!)、昼に大学へ。

 いくつかの書類を書いて、その後、お客さんが来研。以前よりお逢いしたいと思っていた「仕事漂流」の著者・編集者稲泉連さん、プレジデント者の九法さんと一通りディスカッション(取材)をしたあと、東大病院でMRIの検査へ(先日健康診断でひっかかった・・・ダイジョブか、オレ? 涙)。

 はじめてのMRI検査は「頭のあたりで一斗缶をガンガンと叩かれるような音がするという噂」を鵜呑みにして恐怖に戦いていたものの、実際検査がはじまってみると、小生、あまりに疲れていたので、なぜか検査中爆睡。看護師さんに失笑をかってしまいました(いいのかな・・・)。

 その後、研究室へ帰って、UST中継。さらに電車に飛び乗り、保育園でTAKUZOを迎えて、今、ようやく、日記という感じです。。。ふぅ、、、あっという間だぜ、一日は。

  ▼

 UST中継は、

  "ワシントン大学・博士課程 大浦弘樹君の語るLearning sciences研究の現在"

 というテーマで、中原、大浦君、秋山久美子さん(元・ブルータス編集部、MIT)をまじえ、ゆるゆるとトークしました。下記で録画が公開されていますので、ぜひご笑覧ください。中継を手伝ってくれた、中原研究室D3脇本君と、M0の保田さん、心より感謝です。

 大浦君は、現在、フィリップ・ベル、ジョン・ブランスフォードなど、「学びの科学(学習科学 : Learning Sciences)」を研究している方なら、知らないでいることを許されない人々が、ファカルティをつとめる、学習科学のメッカで、研究をなさっています。

ワシントン大学 Learning sciences
http://education.washington.edu/areas/ep/deg_programs/learning_sci/

 かつて、彼は、僕の所属する研究センターで、特任研究員をつとめておられました。そんなことから、今回久しぶりにお逢いし、UST中継が実現しました(久しぶりにお逢いできて嬉しい事です)。

 大浦君からは、Learning sciences(学びの科学)のホットイシューとして、

0)デザイン実験(design experiment research)という方法論が当たり前になりつつある。実験室研究で、学習の原則を見出し、それを現場に落とすという従来の研究と実践現場の関係図式が崩れつつある。むしろ、研究者が実践者と協働し、現場をインプルーブ(改善)し、そこから土着のセオリーを立ち上げる努力がなされつつある。

1)米国では「学び」の再定義が進んでいる。学ぶとは「知識を蓄積すること」から、「社会に関連のある物事に参加すること」へ。それに伴い学習研究の射程がツール・カリキュラムのデザインを超え、組織・制度・教師教育のデザイン、さらにはネットワーク構築にまで拡張されつつある。

2)「学びの科学」を推進する場合、心理学・社会学・脳科学など、異種混交の専門家のCollaboration and coordinationが必要になる(だから、学びの科学の英語訳は、Learning scienceではなく、Learning sciencesなのですね)。その際、どのように緊張・葛藤を乗り越え、いかに教育現場を乗り越えるかが問題になっている

3)評価で何をはかるか、何をLearning outcomeとして設定するかが問題になっている。量的手法によって、最終的にはラーニングの成果をはかるにしても、その以前に、量的測定の指標作りのため、質的研究の果たす役割は大きいのであないだろうか

4)学習者や学習機関の社会的属性にセンシティブな学習研究が注目を浴びている

 というお話がありました。それぞれ、非常に面白いテーマですね。特に僕は1とか4に関しては、いろいろ言いたいことがあります。ツールやカリキュラムのデザインを超え、「学びのデザイナー」は、組織・制度のデザインにまで射程を広げるべきだと、僕はかつて小論で主張していました。また、被験者の社会的属性を統制した実験の必要性に関しては、近年、問題を感じていました。 

 ともかく・・・「学びの科学」は、猥雑で、怪しく。。。従来の学問分野の既存の枠組みを超え、様々な人々を巻き込みつつ、現場の改善のために動いています。それは、最初から最後まで、学際的な研究なのです。
 そして、学びの現場に何らかの貢献をしたいと願い、現場の方々と協働関係をむすび研究を進める研究者が、世界中に多々いることが確認できたことは、僕にとって、非常に嬉しいことでした。

 そして人生は続く。

投稿者 jun : 2011年12月21日 22:14


自分の仕事のヒストリーを語る:バッターボックス、受話器、そしてよい聞き手

「自分は忙しくて、今までの政策決定に関して、一度も総括したことがない。あの担当が終わってから、すぐに次のポジション、また次のポジションと、2年ごとにうつっていき、あの時期の仕事のよしあしなどについて考えている余裕はなかった。

 引き継ぎは、後任に全部伝えるものでもない。特に、自分の場合は、後任が海外勤務だったこともあり、ほとんど電話ですませている。

(中略)

 実は終わってからも、気になっていた。あれはあれでよかったのか、と。けれども、それを問われる仕組みは通産省の中にはなかった。すぐに次のポジションをこなさなければならない。

 棘のように刺さっていたことに関して、ある日突然外から話をしろと言われて狼狽した。もう記憶も薄れている。今日か明日の問題で忙しいときに、どうして、そんなことを思い出さなければならないのか。いやだ、と思った。

 けれども、あなたに向かって話してみたら、意外に素直に話せた。そして自分がやってきたことは、必ずしも十全100点のやり方ではなかったことを認識したが、それが認識できてよかった」

(御厨貴著「オーラルヒストリー」p34より一部引用)

  ▼

 これは、御厨貴著「オーラルヒストリー」(中公新書)の中に引用されている、ある官僚の方の言葉の引用です。

 御厨先生は、口頭で語られる歴史をこれまで探求し、「オーラルヒストリー研究」を立ち上げた方として、非常に著名な方です。

 かつて、御厨先生は、これまでミニオーラルヒストリーと称して、1時間で、現職の官僚に特定の政策課題の意志決定プロセスについてヒアリングを行ったことがあるそうです。
 その際、ミニオーラルヒストリーに最も抵抗していた官僚で、しかし、終わってみると感謝の言葉を伝えてきた方がいらっしゃった。その官僚の方の言葉が、冒頭に紹介したものです。

 僕は、これを読んで、共感を覚えました。
「現代人を支配する多忙さ」がよく表現されている言葉だと思いますし、同時に、やはり「折に触れて内省を行うことの重要性」、そして、「よい聞き手を相手に自分の仕事を語ることで、それを成し遂げることの可能性」を、今さらながらに感じてしまったのです。

  ▼

 僕はよく「夢」を見ることがあります。

 バッターボックスには、僕ひとり。僕の目の前には、ピッチャーが5人くらいます。全く同時に球を投げられることはないのだけれど、ほんの少しのディレイで矢継ぎ早に、球が投げられている。僕は、投げられた球を、ただ、ひたすらに打ち返す。
そんな夢です。

 こんな夢も見ます。

 受話器を右手でとっている。そうしたら、また電話がかかってくる。今度は左手で受話器をとる。また電話がかかってくる。今度は右肩に受話器を乗せる。また電話がかかってくる。今度は左肩に受話器を乗せる。

 なんか、こうして、我が夢を公衆の面前で「言葉」にすると、かなり切なくなってきますね(笑)。
 でも、誤解されると困るので述べておきますが、少なくとも僕の場合は、こうした現状に、ネガティブな感情だけを感じているわけではありません。

 疲労感を感じることも多々あります。そりゃ、あるよね、人間だもの(笑)。
 でも、打ち返すとき、受話器をとるとき、多くの場合、僕は、フローの中にいます。でも、終わると、どっと疲れる。ネガともポジともいえない。ポジが多いんだけど、ネガもないわけじゃない? これまた、何とも表現できないニュアンスなのです。テレビ向きじゃないね(笑)。

 ともかく、多かれ少なかれ、また程度の差こそはあれ、現代人を支配しているのは、この種の「多忙さ」ではないでしょうか。僕の今日も、みなさまの今日も。

 ともかく、矢継ぎ早に投げられる球、次々とかかってくる電話に対処している中では、「仕事のよしあし」について、あれこれ時間はない。 
 打ち返したら、身体中の筋肉のバネを使って、次のフォームをつくらなくてはならない。電話を切ったら、次の電話に備えて頭の中をゼロクリアにしなければならない。

 そう、そんな時間は「全くない」。だけれども、それでも、本人としては「実は終わってからも、気になっている」「棘のように刺さっている」ものです。

 海外勤務の後任に電話で仕事の引き継ぎをした瞬間。。。
 打ち返した球が天空に弧を描く瞬間。。。
 受話器を所定の場所に置いた瞬間。。。

 「あー、あれはあれでよかったのかな」

 そして、次の瞬間には、新しいポジション、新たに投げかけられる球、新たにかかってくる電話にとりかかっています。

 それでも・・・

 「あー、あれはあれでよかったのかなぁ・・・」

 僕は共感しちゃうなぁ、この感覚。

  ▼

 この官僚の方は、御厨先生という希代の聞き手に恵まれました。当初は「今日か明日の問題で忙しいときに、どうして、そんなことを思い出さなければならないのか。いやだ」と感じたそうですが、話してみると、「素直に話せた」といいます。

 そして、最後には「自分がやってきたことは、必ずしも十全100点のやり方ではなかったことを認識したが、それが認識できてよかった」と感謝を述べるようになられます。

 私たちも「よい聞き手」を持ちたいものだな、と思います。
 仕事における内省とは、「よい聞き手に、自分の仕事のヒストリー語ること」なのですから。

 今日、今、私たちはバッターボックスに立っています。
 そして人生は続く。

追伸.
「職場学習の探求」は本日深夜、脱稿の予定です。生産性出版の深谷さん、ご迷惑をおかけしました。大学院生諸氏、お疲れ様でした。次は「インプロする組織」(三省堂)です。書くぞ。

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■2011/12/18 Twitter

  • 18:00  今日は産業能率大学で「人材育成学会」でしたね。共同研究者の方々が発表しているのですが、僕はどうしても参加できず、悔しい思いをしています。研究に対して、さまざまな建設的コメントをいただいたそうで、喜んでおられました。また、後日、研究室で議論するのがたのしみです。
  • 08:11  「明日」は誰にも読めない>「諸君は昨日の専門家かもしれんが、明日の専門家ではない!」(児玉源太郎・坂の上の雲) http://t.co/KyqDCSLn
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■2011/12/17 Twitter

  • 23:35  皆様、今日はお疲れ様でした!RT @ryo_imamura カタリバ理事軍団と、高円寺馬力にて懇親会。@HideInoue @joesakai @takuya_okamoto @yuki_hasegawa @kumimamura @kuboyan
  • 20:02  NPOカタリバ理事会。小生、本日より、カタリバの理事に就任しました。カタリバ関係者の皆様、どうかよろしくお願いいたします。
  • 13:05  大手術(大改稿)コンビが、研究室にきておる。この際だから、きちんと指導をしよう。
  • 12:17  今の僕に対するメッセージでもありますよ@休日出勤・研究室にて・・・トホホ。RT @gentoo218 RT今の私へのメッセージです RT 何度見ても、笑えます。「できるかな?」じゃねぇよ「やるんだよ」。http://t.co/ETsH99sZ"
  • 07:11  Facebookで、たまたま見かけたのですが、思わずシェアしてしまいました。何度見ても、笑えます。「できるかな?」じゃねぇよ「やるんだよ」。ノッポさん、迫ってくる。 http://t.co/ETsH99sZ
  • 07:07  ブログ更新。ハイパフォーマー美容師さんとローパフォーマー美容師さんの違い:技術と会話と、そして「毒」。お客さんがたくさんつく美容師さんと、そうでない人は何が異なるか、ということを、ある腕のよい美容師さんに聞きました。http://t.co/6rIGl8Qv
  • 07:06  曽布川先生、はじめまして。早期にサポートの仕組みを整える必要があるかもしれませんね>RT @sobukawa 重要なご指摘だと思います。人数的にもそうですし、ベテラン教員が若手にサポート(OJT?)が出来ない現状は、質的にも深刻です>経験の浅い教員が大量に誕生する  [in reply to sobukawa]
  • 07:04  なるほど。もう既にはじまっているのですね>RT@askoma 中等教育教員です。もう急速な世代交代が始まってます。昨日も同じ30代半ばの同僚と「夜の飲みニケーションに頼らず、若手が勤務時間内で成長できる仕組みが必要」と語り合ってました。
  • 05:31  さっき読んだ論文にあった「我が国では、今後10年間に教員全体の約3分の1が退職し、経験の浅い教員が大量に誕生する」(中央教育審議会)というのは、教員の人材育成にとって、めちゃくちゃ深刻な状況なんじゃないだろうか。組織が若返って、革新が生まれるチャンスでもあるかもしれないけれども。
  • 05:10  編集作業、めどが見えてきた。TAKUZOが起きてくるまで残り2時間。頑張ろう。
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投稿者 jun : 2011年12月19日 10:43


ハイパフォーマー美容師さんとローパフォーマー美容師さんの違い:技術と会話と、そして「毒」

 ちょっと前のことになりますが、美容室で髪を切ってもらったとき、とても腕のよい美容師さん(彼は、今は独立していますが、かつては有名店で名をなしていた人でした)から面白い話を聞きました。
 どこに行っても、何をしていても、ついつい、「仕事の中の学び」の話を聞きたくなるのは、僕の「悪い癖」ですが、小生、いわゆるなにげに「学び狂」なので(笑)、こればっかりは仕方がありません。

  ▼

 美容師さんと話していたのは、

「ファンがたくさんできる美容師(ハイパフォーマー)の仕事と、そうでない美容師(ローパフォーマー)を比較すると、何が違うのか?」

 ということです。

 いわゆる「ハイロー分析」というやつですね。彼の経験から、ハイパフォーマーとは何か、を寝掘り葉堀りしつこく聞いていました。

 途中、「こういうハイローの秘密を、美容室に研究者が入っていって、外部から観察すると面白そうですね」というと、軽く流されましたが(彼は僕が研究となんか関係ある仕事をしていることは、どうもうすうすわかっている。趣味で研究している、と思われているかもしれないけれど・・・笑)、、、そのことはあまり気にせず。
 
 ハイパフォーマーとローパフォーマーは何が違うのか、という「比較」の問いに対して、彼は

 「技術と会話と毒」

 と答えました。

 面白いですね。実務家との会話は、いつも「インサイト」にあふれています。「毒」というメタファがいいですね。

 まー、「技術」と「会話」はわかりますよね。髪を切れない美容師さんじゃ困るし、ムスッとされても困るよね。だから、「お客さんのニーズにあわせて髪を切る技術」と、「コミュニケーション能力」は必須なんだと思うのです。

 でも、「毒」とは何か?
 「毒」っておい(笑)

 美容師さん曰く、

「毒とは、"お客さんにダメをだせること"です。ここにファンのできる美容師の本質があるんです。たとえば、お客さんが、嬉しそうに、"こんなパーマをあてたいわー"、と雑誌の切り抜きをもってきたとします。僕らは、お客さんの髪質を見て、つぎに、雑誌の切り抜きをみて、瞬時に、パーマをあてるとどうなるか、3次元で浮かんできます。

"切り抜きと同じようにできる場合"はいいのです。でも、"それ、ちょっと無理でしょ、お客さん"という場合にどうするか。"あなたの髪質の場合、それをやると、写真みたいなかわいい、くるくるにはなりませんよ"という場合ですね。その場合にどうするか。

その場合には、きっぱり、"お客さんの場合、そうなりませんよ"と、はっきり言ってあげなくてはなりません。お客さんはがっかりします。"なんとかしてよ"と言ってくる人もいる。でも、"そうならないもの"は、"そうならないこと"の理屈と理由を、きちんと説明してあげて、やっぱり、"NO"と言えるかなんです。

しかし、"NO"と言うのは勇気がいるんです。理屈と理由をきちんと説明できなくてはならない。お客さんに理解してもらえなければ、"あんたの腕が下手くそだから、できない"と思われかねないですし、あまりお客さんをがっかりさせたくもない。

で、"NO"が言えない、としますね。そのままパーマをあててしまった。でも、パーマをあててみても、やっぱりそうならないことは明らかなのです。で、やっぱり、"かわいいくるくる"にはならなかった。お客さんには当然不満は残る。

"毒"とは、ある意味で、"お客さんの教育"でもあるのです。 そういうやりとりをして、解決策を見つけていくことができれば、お客さんは、たとえ"NO"と言われても、信頼してくれます」

 ICレコーダを持っていたわけではないので、一言一句同じではないですが、だいたい、こんなやりとりであったと思います。

 個人的に興味深かったのは、美容師さんの仕事の中に「お客様を教育する」という側面、また、「理屈と理由をきちんと説明する」「お客様の理解をうながす」という側面がある、ということでした。
 彼曰く、「毒」とは「ダメだし」と言っていたけど、かなり「教育的で、学習促進的な毒?」なのですね。とても面白いですね。

 もちろん、一事例なので、一般化しようとか、何とかいう話じゃないですけれども。

 もう年末ですね。
 今週末あたり、皆さん、美容室や理容室に行かれるのではないですか?

 あなたの髪を切ってくれる美容師さんは、「毒」ありますか?

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■2011/12/16 Twitter

  • 18:10  (3)ふーむ。おっ、そうこうしている間に、そろそろTAKUZOのお迎えですな。最近、ママチャリで爆走すると、手も顔も寒いんだよねぇ。僕は北海道生まれだけど、ダメですね、寒いのは。おー、しばれるねー、しばれるねー。それじゃ、また。ママチャリ爆走してきます。
  • 18:09  (2)Webで検索すると、「医学教育」ならぬ「歯学教育」っていう分野があるようですね。でも、歯学教育は歯科医師の養成ですかね。でも、職場はチームですよね。どうやって、技術を高めたりしてるのかな。全く「未知の領域」ですな。
  • 18:09  (1)歯学関係者の方から、歯科医院内の「人材育成」に関するメールをもらいました。歯医者さん、歯科助手さんたちでしょうか。380度門外漢ですが、たぶん、個人経営の診療所が多いんでしょうね。「職場内の人材育成システム」とか、確立したものはないんですかね?
  • 17:27  知的エキサイティング空間だね>RT @yukianzai これは新しい空間デザインの手法だ... RT @ikalii: 武蔵美図書館やべー! http://t.co/bgOEeNEw  [in reply to YukiAnzai]
  • 17:26  ししし。いいこと思いついた。
  • 16:29  大手術(大改稿)後の「患者さん(原稿)」を2つ拝受。これから小生を精密検査(編集)をいたします。大手術の執刀医の@wakitakeさん、@fumituki85さん、まずは、お疲れ様でした。
  • 07:27  36.1%確保できてますか?>減少する大学教員の研究時間。2002年の調査時、全大学学部の教員一人当たり年間平均研究時間割合は47.5%で職務時間全体の約半分。2008年調査では36.1%に減少(文部科学省 科学技術政策研究所): http://t.co/wgag9Mcn
  • 07:21  エライことになってるなぁ>新卒年収1500万円も スマホ特需で技術者獲得争い(日経): http://t.co/e7Qkpb8S
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■2011/12/15 Twitter

  • 22:08  (2)あんなところにも、こんなところにも、「UN」が必要なものはあるんじゃないでしょうか。「UN」とは「否定」ではなく、「面白いもの・大切なものが他にあるでしょ」「より高次なもの、探し物を今してます」という「意志」です。http://t.co/2jJGGtET
  • 22:08  (1)デザイナーの三宅由莉さんのご厚意で、REMIX2011@neomuseum - Unconferenceのポスター、シールなどのデザイン原案がデジタルデータで提供されました。いろんなものにUNシールを貼ってみましょう! http://t.co/zNsoFV6N
  • 18:56  (6)ちなみに、梅棹忠夫先生の、これらの発言の多くは、今から40年-50年前のものです。そこが驚愕するところなのです。俗称「勝手にウメサオタダオ研」では、そのあたりの現代的意味についても、皆さんで議論できると面白いですね。 http://t.co/pEHvfGnE
  • 18:54  (5)知的活動が、いちじるしく生産的な意味をもちつつあるのが、現代なのである。 / 人間の知的活動を「教養」としてではなく、「積極的な社会参加のしかた」として捉えよう、というところに、この「知的生産の技術」という考え方の意味があるのではないだろうか(梅棹忠夫)
  • 18:54  (4)ひとつのアドベンチャーが終わったら、つぎのアドベンチャーの計画にとりかかる。それは、連続して何かある究極の目的につながるものである必要は全くないのだ。そのときそのときに、全身全霊をあげて「遊ぶ」だけのことである。(梅棹忠夫)
  • 18:54  (3)思想は「使う」べきものである。思想は「論ずる」ためだけにあるのではない。思想は、西洋かぶれのプロの思想家の独占物ではないのであって、アマチュアたる土民の誰かの自由な使用にゆだねるべきである。プロにまかせてはおけない。アマチュア思想道を確立するべきである。(梅棹忠夫)
  • 18:54  (2)どこかで誰かが書いていたんだけど、"梅棹忠夫の言っていることは、単なる思いつきに過ぎない"って。/思いつきがないものは、要するに本の引用。ひとのまねということや。/学問とは、ひとの本を読んで引用することだと思っている人が多い。/ くやしかったら、思いついてみろ(梅棹忠夫)
  • 18:53  (1)ものごとは、記憶せずに記録する。はじめから、記憶しようとする努力はあきらめて、なるだけこまけに記録をとることに努力する。/ "自分"というものは、時間がたてば、"他人"と同じだ、ということを忘れてはならない。(梅棹忠夫)
  • 18:47  今年春に国立民族学博物館で開催された「ウメサオタダオ展」の僕の感想はこちらです。こちらの展覧会が、12月21日-2月20日まで科学未来館で開催されます。「ものごとは、記憶せずに記録する」「行動しながら読書し、読書しながら行動する」 http://t.co/dBvhaE4j
  • 18:13  2011年12月21日(水)~2012年2月20日(月) 科学未来館・企画展「ウメサオタダオ展 -未来を探検する知の道具-」はこちらです  http://t.co/GsCZ07m5
  • 18:12  2月20日(月)午後2時 -俗称「勝手にウメサオタダオ研」開催決定!各自が科学未来館で開催されている「ウメサオタダオ展」を観賞した後、集まってグループワーク!ゲストに水越伸先生、岡部大介先生、長岡健先生、染川香澄さん(感謝です)、中原。 http://t.co/e9NMWKjs
  • 17:33  先生の腕にかかってるんです、よろしくお願いします(笑)思い切って、リスクを恐れず、大いにやってください(大手術を迫ったのはわたくしめです・・・失礼)>RT @fumituki85 修羅場に逆戻り。患者(原稿)が死にそうで、大手術(大改稿)を開始
  • 17:27  ほほー。興味深い>RT @k1h 「The Stanford 25」スタンフォード大病院らの基本診察25をまとめたビデオ医学生医師必見 http://t.co/lEaSZ6Mj
  • 12:46  松尾先生、新刊「経験学習入門」おめでとうございます。経験学習のことがよくわかる良著ですね!@masugitさん編集お疲れ様でした>http://t.co/1XbtpJeN
  • 09:44  佐々木さん、ご連絡お待ちしてます。RT @s2sasaki ご連絡ありがとうございます。ぜひ、お願いしたいと考えていますので、のちほどご連絡いたします。RT 大学生協でどんな文房具があれば素敵か、一緒にディスカッションして、考えてみませんか?  [in reply to s2sasaki]
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■2011/12/14 Twitter

  • 22:55  宮澤さん感謝です。その折りはご支援・コラボのご検討お願いいたします!僕は大学にPOPでUSEFULな学習ツールを増やしたい!RT @m_and_my 中原先生/博報堂の宮澤です。お気軽にご相談を!RT @s2sasaki 博報堂ブランドデザインスタジオ RT 大学生協と文房具  [in reply to m_and_my]
  • 22:31  不確実性あふれるこの世の中で、ひとつだけ確かなことがあります。それは「自分の学びの環境は、自分で創らなければならない」ということです。自分の周りの心ある他者から、刺激やフィードバックをもらう機会を自ら創りだすことを含めて、「自分の学びは自分でデザインする」ということです。
  • 22:30  重田先生、面白いコラボ企画になりそうですね。いずれにしても、@s2sasakiさんのご意向を待ちましょう。感謝です!> RT @shigejam 先日から「東大ナビ」では東大生にインタビューし、文房具のレビューをしています。お手伝いできるかもしれません。 RT 大学生協と文房具  [in reply to shigejam]
  • 22:22  それこそ、東京大学×博報堂のブランドデザインスタジオのお知恵など、お借りできたら、最高ですね http://t.co/6im6Dkfj >RT @s2sasaki 大学生協の文房具
  • 22:17  もし志ある学生さんにご協力いただけるようでしたら、彼らに参与観察をしてもらい、その後、ブレスト会議とかもも面白いかもしれませんね。デザイン思考・フィールドワークから自分たちの大学生活環境を考える、というのも面白いテーマですねRT @s2sasaki 大学生協の文房具
  • 22:09  佐々木さん、ご連絡感謝です。その上で御相談ですが、今度、一度、本郷でランチでもいかがですか?大学生協でどんな文房具があれば素敵か、一緒にディスカッションして、考えてみませんか?RT @s2sasaki ご要望を受け止め店舗に反映させることが私達の役割だと考えております  [in reply to s2sasaki]
  • 19:58  今の時期、キャンパスの銀杏並木、綺麗だねぇ>RT @shigejam 昨日撮った銀杏並木。本郷キャンパスが一番美しい季節です。 http://t.co/NMYlOCQP  [in reply to shigejam]
  • 19:25  ライブのチケットが郵便で届いた。またカミサンのK-POPだろう。ま、大いに、はっちゃけてくれ。
  • 13:03  ちょいと揺れたかな。。。研究室の両側に本棚あるので、怖い。
  • 10:43  大学本部、総長室へ。来年からはじまる新事業について、総長にご説明。
  • 08:17  そうなんですね>RT @bodyhacker 最近はグッと減ったと著者から聞きましたけど。RT 京都大学の講座「起業論」に医学部生が殺到する理由 : http://t.co/XubLHq3r  [in reply to bodyhacker]
  • 06:10  興味深い>「この国では、医者になったって幸せにはなれない」「もう昔のように、医者=お金持ち、という時代でもない」「やりがいだけではやっていけない。新しい方法を見つけないと」>京都大学の講座「起業論」に医学部生が殺到する理由 : http://t.co/XubLHq3r
  • 06:04  「教育テーマのエンタメ施設」? 何ができるんだろう?>エキスポランド跡地に教育テーマのエンタメ施設: http://t.co/7xjRr5rn
  • 05:59  4時から2時間やって、1章分の編集か。。。これ、終わんのかいな(弱気)。「神は乗り越えられる試練しか与えない」・・・とマジ願う。
  • 04:02  今日は、久しぶりにスーツを着て、大学だな。。。
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■2011/12/13 Twitter

  • 21:19  【Unconferenceがわからない方のために再掲】Unconference(ユーザー参加型・学び系イベント)をデザインする際の3つのポイント(私感雑感): http://t.co/K0QP8Eej
  • 21:17  「REMIX2011」のFacebookページが、劇的に盛り上がっている。祭りの後の祭り。東京オフ会も開催決定!Unconferenceが来年は注目を浴びる!?。ただしリスキーだよ、腹くくる必要あるよ(笑)。 http://t.co/tdi3TpcT
  • 21:08  ミドルの力?>RT @tfuka: 業績がV字回復した企業のほとんどは、資産もサービス内容もスタッフも、経営陣以外は何一つ変わっていなかったりする
  • 21:01  ほほー>RT @shigejam 消費者がモバイル端末を使って過ごす平均時間は一日に65分、印刷物は44分。TV4時間半、ネット3時間弱:RT:メディア消費時間でWebに次いでモバイルが印刷物を抜く http://t.co/RhCr5e7U via @jptechcrunch
  • 18:33  職場親密性はポジティブな側面もあるけど、ダークサイドも根深いよね、ということについて議論。あと、受け手側のセンスメイキングに着目した研究があってもいいかも。職場を親密にしようとしているリーダーの行動は、受け手にどう意味づけられているのか? #nakaharalab
  • 18:18  リーダーが「職場メンバー間」の親密性を高めるリーダーシップを発揮することで、部下の成長・学習・協力行動・組織市民行動などが促される。しかし、職場の親密性には同時に苦しみを生み出すこともある。(Kark 2011)
  • 18:02  関係論的なリーダーシップモデルの3つの特徴。1)リーダーシップは / ひとりで創り出すことはできない。2)リーダーシップとは社会的プロセスであり、インタラクションが重要。3)関係論的なリーダーシップは、学習・成長をメンバーにもたらす(Fletcher 2007)
  • 17:48  大学院・中原ゼミ(@nakaharalab)。関根さんの研究「OJT指導員のネットワーク構築行動」。来春の調査計画について。英語文献「リーダー・フォロワーの関係と職場の親密性」#nakaharalab
  • 14:42  フィールドノーツ研究会 俗称「勝手に『ウメサオタダオ研』のTwitterアカウント(@katte2umesao)、Facebookページもよろしくねー>http://t.co/sEXBvbyV
  • 14:35  中原研(東大)・岡部研(東京都市大学)主催で2/20開催。ウメサオタダオ展を見て、みんなで熱い議論!>@katte2umesao フィールドノーツ研究会 俗称「勝手に『ウメサオタダオ研』」を開催します!http://t.co/z8qcew6N #katte2umesao
  • 14:34  「一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもつて構成する...」(大学設置基準 文部省令第28号)。一般的な文系の授業(2単位)なら、講義・自学自習含めて90時間の学習が想定されている。一般的な授業時間は90分授業×15回=22.5時間・・・てことは。。。
  • 14:34  「(大学の)学年の始期および終期は、学長が定めることができる(学校教育法施行規則第163条)」。学年の始期は、215カ国中、9月入学が116カ国(54%)、10月入学が28カ国(13%)、4月入学は日本、インド、パキスタンなど7カ国(3%)。
  • 14:33  「現地に行けば課題がわかるというのは手法ではない」は痛烈。方法論は大切ですね> RT @marinx 曽根「社会科学には、課題(テーマ)があっても手法がない人が多い。現地に行けば課題がわかるというのは、手法ではない。手法があるか否かが、学者とノンフィクションライターの違い。」
  • 14:14  ブログ更新。人材育成の内製化、6つのタイプ:企業特殊技能系、ヤング?系、ビジョン理念系、社内勉強会系、組織開発系、社内コミュニティ系。皆さんの会社はどのタイプ?: http://t.co/HbcxV6GD
  • 10:07  本部・教育企画室会議
  • 08:04  面白そう>リクルートワークス研究所Works「現法から見た現地 現法から見た本社」: http://t.co/dRw2n5YV
  • 08:02  研究ご協力のお願い】昨日ご案内させていただいた「元留学生の組織適応に関する調査」へのご協力、皆様感謝です!回答者・ご紹介者の方には成果報告として「ワークショップ」にご紹介させていただきます。どうかご検討のほどお願い致します http://t.co/49jySE9o
  • 06:58  日本の労働市場における男女格差と企業業績に関する研究(RIETI) 1)製造企業では、女性役員が増えること/女性課長がいることは企業業績を高める、2)サービス業ではその効果が見られない・・・など: http://t.co/YjcWZWgY
  • 06:56  2011年度 新入社員 秋の意識調査(JPC):「子どもが生まれたら育児休業を取得したい」とする男性(72.8%)、「自分には仕事を通じてかなえたい夢がある」とする回答の春と秋の数値の「落差」が過去最高(18.9pt): http://t.co/WX4w5qzo
  • 06:46  面白そう>「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」ビートルズよりストーンズより儲けてしまったバンドの秘密。それはフリーでシェアでラヴ&ピースな、21世紀のビジネスモデル: http://t.co/kqTYLIZM
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投稿者 jun : 2011年12月17日 06:58


フィールドノーツ研究会 俗称「勝手にウメサオタダオ研究会」開催!:あなたの領域の、みなが苦しむ「何か」を打ち破りたい方へ!

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フィールドノーツ研究会、俗称「勝手に『ウメサオタダオ研』」
日時:2012年2月20(月) 14:00-
会場:東京大学 本郷キャンパス 福武ホール
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 フィールドノーツ研究会、俗称「勝手に『ウメサオタダオ研』」
とは、日本科学未来館企画展「ウメサオタダオ展ー未来を探求する
知の道具ー」を鑑賞し、感じた事を共有し、コメンテータを交えて
学びを深める学術研究イベントです。

日本科学未来館「ウメサオタダオ展 -未来を探検する知の道具-」
http://www.miraikan.jst.go.jp/spevent/umesao/

「知的生産の技術」「人類学、またはフィールドワークという手法
がもたらした学説の崩壊と再デザイン」「自らの活躍のフィールド
を自分でデザインすること」について・・・要するに、知の巨人梅棹
忠夫の一生を通して、様々な角度から、その活動の現代的意味に
ついて考えて頂きたいと思います。

参加者のみなさまには「ウメサオタダオ展」を鑑賞していただき
、ワークショップ形式で展覧会を振り返るとともに、そのような
人類学とは異なる学問分野でフィールドワークに従事する研究者
を中心としたセッションも企画しております。

そのプロセスを通して、フィールドノーツとは何か? 知的生産
とは何か?そして、フィールドワークとは何かについて、先人の
偉大な智慧に基づき、皆でディスカッションする機会を持ちたい
と思います。

  ▼

ウメサオタダオ展は、2011年3月から6月まで、国立民族学博物
館で開催されていました。
その展示を鑑賞した企画者のひとり、NAKAHARA-LABのブログ
には、次のようにまとめられています。

 ---

梅棹忠夫先生といえば、希代の人類学者にして、比較文明論、文
明生態学を縦横無尽に 論じた「知の巨人」。
彼によれば、人類学の本質とは、下記のようなものになる。

人類学者は、つねに世界の各地におもむき、人間現象の様々なヴ
ァラエティを探し出して、それを極めて実証的な方法で研究し、
記述する。そして、それを、他の人間研究家たちの学説のまえに
差し出してみせる。

人類学というものは、人類学以外の、人間に関する諸科学にとっ
て、まことにイヤな存在であるかもしれない。どのような分野で
あれ、社会科学者、人文科学者たちが、自分たちの身の回りの人
間を材料として研究し、その結果をまとめて人間に関するひとつ
のテーゼをたてると、それに対して、人類学者が、そのテーゼに
合致しない実例を、世界のどこかから探し出してきて、つきつけ
るのである。そういう事態が、ほとんど例外なくおこるという
をしておかなければならないのである。人類学者は、人間諸科
学における「学説の破壊者」であり、「学説形成の妨害者」で
ある。 (梅棹 1974)


なるほど、こうして見ると、学習研究においても、この事態は同
様である。1980年代後半「情報処理アプローチ」あるいは「認
知主義」という名のもとに追求されていた「人間の学習」に関す
る研究群が、いわゆる、「状況的アプローチ」とよばれる人類学
の方法論を用いた研究群によって、強烈なアッパーカットを食
らわされたことは、よく理解でき る。人類学は、「学習研究
」においても、「学説の破壊者」の役割を無事果たした。

http://www.nakahara-lab.net/blog/2011/05/post_1783.html

 ---

「学説の破壊者」の方法論は、決して、アカデミズムにとどまりません。
あなたの領域の、みなが苦しむ「何か」を打ち破りたい方に、
ウメサオは語りかけます。

「ひとつのアドベンチャーが終わったら、つぎのアドベンチャーの計画
にとりかかる。それは、連続して何かある究極の目的につながるもの
である必要は全くないのだ。そのときそのときに、全身全霊をあげて
「遊ぶ」だけのことである」

「知的活動が、いちじるしく生産的な意味をもちつつあるのが、現代
なのである。 / 人間の知的活動を「教養」としてではなく、「積極的
な社会参加のしかた」として捉えよう」

「知らないことはいいことなんだよ」

「学説の破壊者」たる人類学的視点は、アンラーン(unlearn)
=学びほぐしのよい機会になるかも?しれません。

つきましては、このワークショップに参加される方々を募集します。
この企画には大学生、大学院生、一般の方々含めて、どなたでもご参加
いただけます。下記に、概要と参加の方法および留意事項等記載して
おりますのでご確認お願い致します。


開催概要

■日時:2012年2月20(月) 14:00
会場:東京大学 本郷キャンパス 福武ホールB2 福武ラーニングスタジオ
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access/index.html

■参加費: 一般・学生ともに2000円
(参加費は、ワークショップ中の資料代、また軽食代な どのために
使用させていただきます。)
ウメサオタダオ展の入場料については、自己負担をお願いいたします。
参加費の集金は、当日福武ラーニングスタジオにて行います。ワーク
ショップ参加費は、「勝手に『ウメサオタダオ研』」事務局(事務局
長:古川英幸[東京都市大学])にて集金します。


■主催:東京大学中原淳研究室 
   東京都市大学岡部大介研究室


■事前の用意

日本科学未来館「ウメサオタダオ展」
2011年12月21日から2012年2月20日まで開催

日本科学未来館「ウメサオタダオ展 -未来を探検する知の道具-」
http://www.miraikan.jst.go.jp/spevent/umesao/

12月21日(水)から2月20(月)正午までに京大式カードをご準備いただき、
各自、カードを片手にウメサオタダオ展を鑑賞して下さい。
京大式カードには、ウメサオタダオ展を鑑賞して興味深かったこと、
気付き、ご自身の学びなどについて、自由に書き込んでください。
そしてそのカードをもとに当日ワー クショップを実施致します。

※2月20日(月)午前10時から正午に中原、岡部は、日本科学未来館
にてウメサオタダオ展をふらっと「鑑賞」しております。当日ご一
緒に鑑賞される方は、いらして下さい。
鑑賞後、東京大学本郷キャンパスに移動します。


■全体のスケジュール

2月20日(月)
13:30:受付開始
※会場に到着した方から順にワークショップのためのグループを編成します。

14:00:ワークショップ開始
※キャッチフレーズ、ウメサオトリビュートなフィールドノート、
ウメサオソング、 などグループごとに特色が出るようなモノづくりを行います。

15:30:ワークショップ終了 セッション準備

15:50:セッション開始
※水越伸先生(東京大学)
岡部大介先生(東京都市大学)
長岡健先生(法政大学)
染川香澄さん(ハンズオンプランニング)
中原淳(東京大学)
と参加者によるポスター/トークセッション。

17:20:セッション終了 懇親会準備

17:30:懇親会開始
※軽食、飲料等を用意しています。

18:20:会場撤収


■受付

福武ラーニングスタジオ入り口にて、
参加者確認と参加費(2000円)の徴収を行います。


■留意事項

○本ワークショップの様子は、予告および許諾なく、写真・
ビデオ撮影・映像配信する可能性があります。
リソースの都合上、撮影後の編集依頼等には応じることが
できませんので、ご了承ください。

○写真・動画は、中原淳、岡部大介が関与するWebサイト等
の広報手段、講演資料、書籍等に許諾なく用いられる場合
があります。マスメディアによる取材に対しても、許諾なく
提供することがあります。

○ ご本人の動機に関わらずワークショップ運営上の理由に
より参加をお断りする事もありますのでご了承ください。

○ワークショップ中に自己紹介をする機会を設けますので
ご協力ください。また、制作した作品は返却する事が出来
ませんのでご了承ください。

○ご自身の持ち込んだゴミ等はお持ち帰りください。

参加に際しては、上記をご了承いただける方に限らせていただきます。


■申し込み方法

12月24日(金)までに、下記の入力フォームに必要事項を入力して下さい。
https://docs.google.com/spreadsheet/viewform?%20hl=ja&formkey=dHpYTFRkU0pJOVhRYXozdnUyT05pYVE6MQ#gid=0

なお、お申し込みは、上記の留意事項をお認めいただける方に限らせて頂きます。
ワークショッププログラムの都合で、人数は最大48名とさせていただきます。
応募者多数 の場合、12月20日(火)に抽選を行い、結果は当落に関わらずご連絡致します。

事務局(当日連絡先)
古川 英幸
 mail 0832204gmail.com
 tel 080-5062-5778

関根 雅泰
 mail info@learn-well.com
 tel 090-8113-7269

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投稿者 jun : 2011年12月15日 21:21


人材育成の内製化、6つのタイプ:企業特殊技能系、ヤング?系、ビジョン理念系、社内勉強会系、組織開発系、社内コミュニティ系

 先日、都内某所にて「企業人材育成の"内製化"に関する研究会」の準備会?である【INHOUSE】のワークショップを実施しました(ややこしくてすみません)。

INHOUSE.jpg

 直接のきっかけは1ヶ月くらい前になりますでしょうか。実務家の方々が、いろいろ「企業人材育成の内製化」で悩んでおられる、と僕がお聞きして、「実務家と研究者の方々が参加する【INHOUSE】という公開研究会をやります!」とブログで宣言したのです。その後、実務家のKさんという強力な助っ人を得て、実現に至ったものです。

経営学習研究会【INHOUSE】 : 人材育成内製化のアート(技術)  サイエンス(科学)、そしてポリティクス(政治)を立ち上げよう
http://www.nakahara-lab.net/blog/2011/11/i_n_h_o_u_s_e.html

人材育成の「内製化」について思う : ウチかソトかの二分法を超えて
http://www.nakahara-lab.net/blog/2011/12/post_1811.html

 当初、研究会の実行委員会として5名くらいきてくれたら嬉しいな、と思っていたのですが・・・そうしたら・・・あれよあれよと(嬉しい悲鳴)、ラーニングイノベータの皆さんからご協力のお申し出をいただき、結果として数十名の近くの方々と、実行委員会ならぬ「企画準備ワークショップ」を開催することになりました。

 このような「緩い企画」にもかからず、【INHOUSE企画準備ワークショップ】の開催初日は、30名近くの方々にお集まりいただいたことは奇跡ですね(感謝!お疲れ様です!)。また、この問題の関心の高さが浮かび上がってきました。

  ▼

 先日は、Kさんと相談し、当日は、こんなワークショップを開催しました。

1.まず各社ごとに事例をワークシートにまとめることを宿題とさせていただきました。

2.4~5名のグループに分かれて、細かく各社の事例を共有した上で、多種多様・異種混交の【INHOUSE】事例を「○○系」とネーミングしていきます。

3.それぞれの「○○系」にまつわる問題と可能性をポスターにまとめて、ポスターセッションです。そこを全員で「回遊」して理解を深めました。

4.最後に実務家のKMさんに【INHOUSE】に関するラップアップのプレゼンテーションをいただきました。

 要するに、まずは「実態」を把握しよう、ということです。そのために、まずは、INHOUSEを「自分の組織のメンバーを対象にして、組織につとめる実務家の方のファシリテーション・インストラクションによって創設される学習・知識創造機会」と仮定義しました。
 その上で、1から3のアクティビティに、各社事例をお持ち頂き、共有することで、「秘められている?INHOUSE」の実態を探るところからはじめようとしています。

 ▼

 ワークショップでは、様々な内容が生々しく語られ、かつ、皆さん、思い思いにポスターセッションを愉しんでおられましたが、まず、「○○系」に関しては、いくつもの種類があることがわかりました。下記は、皆さんの分け方を参考に、少し僕が整理したものです。ゆるくね、わけたの、ゆるくね。(他にもあるわい、どこに目つけてんねん、このクソガキャー、、、とかって、青筋立てて怒んないでね。。。)

1.企業特殊技能系
 組織の中にしか、プロフェッショナルはいないので、それを伝達するための学習機会が必要。あるいは、シニアが若手に技能伝承する機会も含まれる。組織の中のメンバーが教え手にならないと、そもそも無理。社外に伝えたい知識はない。

2.ヤング系?(ヤングって死語?)
 社内のしがらみがない新人・若手層に対する研修は、社内メンバーによって行われることが多い。特に新人研修は、組織内部の知識や人脈をつくる上でも、組織メンバーによって交代で担われることがある。組織の中のメンバーでもできるし、効果がある場合もある。

3.ビジョン・理念系
 組織理念の共有や再確認のために、組織内部で定期的に開催される会。「ふだん話さないことを膝をつめて話す」「青臭いことを語る」が頻出するキーワード。組織の中のメンバーがファシリテータになった方が自然。
 グローバル化・多国籍化・雇用形態の多様化が進展し、"人を集めても、組織としてなかなか機能しないようになってきた"ことが背景にある。

4.社内勉強会系
 社内で開催される勉強会。特に人事が主催するわけでもないが、増えていることは確か。背景には「組織の現状に不満足な若者が増えている」「企業特殊知識・スキルを獲得するだけでは不安な若者が増えている」ことがある。ミドル層以上にとっては、「教えることで学べる」「若手との人脈が増える」などという好意的な意見も多い。そもそも自発的なコミュニティなので、組織内のメンバーが実施する。

5.組織開発系
 組織が専門化・機能分化しつづけたことに対応して、組織を超えた問題解決を行うときに、異なる組織間のメンバーが集められて実施される。目的を共有し、現状を分析、新たなコラボレーション機会を議論のうえで討議する。業務に極めてよった話なので、組織内部のメンバーがやっていることが多い。

6.社内コミュニティ系
 社内のつながりが希薄になってきたこと、女性の離職率を下げるなどの背景があり、公式組織を超えて、組織メンバーの「関心」に基づいた社内コミュニティがつくられている。「働くママたちが集まる会」など。

 このほかにも、多々あるのですけれども、だいたい、このような感じかな、と。反面、外部のベンダーに依頼することが多いのは、「プロジェクトマネジメント」「リーダーシップ開発」「チェンジマネジメント」などでした。

 こうしてみますと興味深いことは、必ずしもINHOUSEが「コスト削減」だけから生まれているのではない、ということです。むしろ、「組織の中に生まれた新しいニーズや課題」に対応するがゆえに、起こっているとも言えるのもしれません。

「6.社内コミュニティ系」「5.組織開発系」「4.ビジョン・理念系」「3.社内勉強会系」なんていうのは、昔ならニーズはあまりなかったことではないでしょうか。つまり、新しい課題に対処するために、これらの【INHOUSE】が実行されています。

 まとめますと【INHOUSE】の動向は、組織が直面する現代的テーマに密接に関連し、そこに人事・経営企画がデリバラブルな価値を提供したいとするとき、顕在化してくるのかな、とも思います。

 ▼

 さて、このような【INHOUSE】なのですけれども、急激な展開を見せつつある一方で、現場では、様々な課題が生まれてきているようです。

■【INHOUSE】の課題

・参加者メンバーの固定化
・続けることがなかなか難しい
・時間的な調整を行うことが非常に難しい
・これで本当にいいのか、もっとうまいやり方があるんじゃないだろうか、自信が持てない
・講師のクオリティを保つことが難しい。もしダメでも、INHOUSEの場合は、なかなかNOと言えない
・社内の政治・しがらみにまみれた層には提供しにくい
・来て欲しい人が来てくれない場合がある
・何をやってもNOという層(ネガティブ層)の対処がややこしい
・ビジョン・理念系の場合、「日常の業務」と「非日常のINHOUSE」のバランスをうまくとれない。
・ワークショップなどが属人化してしまい、担当者の交代と同時に自然消滅してしまう

 こうした問題を、どのように解決していくのか、今後議論ができるといいですね。

 特に個人的に興味深かったのは、今回のワークショップにご参加いただいたJ-Centerさんこと、Tさんがご指摘なさっているように、【INHOUSE】を実践なさっている方自身が、「これで本当にいいのか、もっとうまいやり方があるんじゃないだろうか、自信が持てない」という不安に苛まれることがある、というお話しでした。

 確かに一人で社内に研修・ワークショップをデリバリーしていれば、そのクオリティに対するフィードバックは、なかなかかかりませんね。
 不安か・・・なるほどな、と思いました。こんなところにも、もしかすると【INHOUSE】を実践なさる方のコミュニティへのニーズがあるのかもしれないな、と感じていました。

マネジメント・キャリア・人事 ~ブログJ-center~
http://jqut.blog98.fc2.com/blog-entry-1463.html


 ▼

 最後に、このワークショップ企画を通して、とても印象に残ったことを3つだけ。

 ひとつめは、某社の方がおっしゃっていたことです。【INHOUSE】が推進されるようになったのは、メディアの影響もあるんじゃないか、というご指摘でした。

 その方曰く、

【INHOUSE】で自分でもやろうと思えるきっかけになったのは、ソーシャルメディアの力が大きい。かつてなら、人材開発手法、ワークショップのやり方などは、専門家に閉ざされていて、一般の人事部の社員がアクセスはできなかった。
でも、今は直接、インターネットで、そういう知識が氾濫している。勉強しようと思えばできる。やろうと思えば、ワークショップや研修を開発している、世界中の人や団体にアクセスできる。人材開発の動向に、メディアの果たした役割は大きいと思うし、今後、ますます加速すると思う。

 なるほど。【INHOUSE】は、コスト削減だけから生まれている状況ではないことがよくわかる言葉ですね。

 ふたつめ。
 ある方がご報告なさっていた【INHOUSE】の事例です。その会社では、「新人研修を4年目社員が企画・実施している」のですね。J-CENTERさんのブログにもありますように「研修を企画するという経験を人事のものだけにせず、新卒4年目に任せ、体験させる、それを人事がオブザーブする、これを繰り返す」ということだそうです。こうした企画は、今後、広まっていきそうですね。「教える経験」は、よい棚卸しの機会にもなるのではないでしょうか。

 みっつめ。
 企業内人材育成は、よくOFF-JTとOJTに大別されます。OFF-JTとは「仕事現場を離れて実施される教育訓練のこと」をさしますが、この概念、「おおざっぱ」すぎないでしょうか。このような6つの事例のうち、「OFF-JT」の中に含められるものは何でしょうか? また含められないものはどれでしょうか? 
 しかし、いずれも、現在の経営企画・人事の現場では、こういうことが実践されています。それに、学問上のカテゴリーがついていっていない気がするのは、僕だけでしょうか。

 もうOFF-JTって言うな!

 (数年前、僕は、もうOJTって言うな!と暴言をはいていましたが、今度は、OFF-JTにも吠えたくなりました・・笑)

 最後よっつめ。
 それは、この会をもってあらためて僕自身が実感したことです。それは「実務家の集合知」とはすごいものなのだな、ということです。安心できる場で、皆が協力し、何かを生み出そう、としたときに生まれてくるものはスゴイということです。このたびご参加頂いた方々には、心より感謝しています。ありがとうございました。

 皆さんの奮闘ぶりをみて、「心ある実務の方々が集まり、集合知を生み出す、その集合知の中から次世代の実務家を育成する」という学習機会が、さらに社会にビルトインされると、もっとよりより社会になるんじゃないか、と思いました。

 そして、そのとき、僕のような非実務家は、何をしていけばいいのか。何が自分の提供価値なのか。また、僕の学問である経営学習研究(Research of Management learning)は - そもそも「実務に資すること」が想定されている学問ですが - 何をしていけばいいのか。何が、学問の提供価値なのか。
 
 非常に盛り上がる【INHOUSE】ワークショップの様子を見ながら、僕は、ぼんやりとそんなことを考えていました。

 今後【INHOUSE】は、今年、もう一回、ワークショップが予定されています。次回ワークショップでは何を行うか、まだ決めていないのですが、前回KMさんにプレゼンテーションの内容を「おさらい」などして、前に議論を進めたいな、なんて考えています。
 
 そして人生は続く

#【INHOUSE】はFacebookページにて、活動を記録しています。もし、皆様からご意見・アイデアがあれば、ぜひこちらにお願いいたします。

【INHOUSE】 Facebook ページ

http://www.facebook.com/pages/INHOUSE/255545127832314

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追伸.
 話は変わりますが、こんなアカデミックイベント? アカデミックツアーをやります。中原研(東大)・岡部研(東京都市大学)主催で2/20開催。ウメサオタダオ展を見て、みんなで、ゆるく、真面目に、熱い議論をしよう!

フィールドノーツ研究会 俗称「勝手に『ウメサオタダオ研』」を開催します!
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■2011/12/12 Twitter

  • 23:19  すんません、げろっぱと聞いて、こちらを思い出してしまいました(笑)、ゲロウマ。「Sex machine」(Youtube): http://t.co/l6L00xZj
  • 23:07  ゲロウマ!(笑)RT @ageo_brunch それって~ジャッキーブラウン系ですか!? 【げろっぱ】~なんちゃって(゜レ゜) RT 愚息TAKUZO(5歳)は、AKB48では、この娘が好きらしい。今日、突然、ゲロった(失礼)。http://t.co/Rtrpuiz8  [in reply to ageo_brunch]
  • 22:59  笑。酒将、おちゃめですね。RT @mikadukihime うしろゆびさされ組です。酒将の好きな高井麻巳子(秋元康夫人)とゆうゆ。すらすら答えられる自分がイヤ(笑) RT あれ、奇面組のOPを歌っていたグループ、なんて言ったっけ? 突き指痛い? 後ろ組刺され組? 後ろ髪刺され組?  [in reply to mikadukihime]
  • 22:50  先ほどのTAKUZOの好きなAKB48の女性は「渡り廊下走りたい」の中心人物なのね。「渡り廊下走りたい」というネーミングを聞いて「奇面組」を思い出すのは、年齢がバレるね。あれ、奇面組のOPを歌っていたグループ、なんて言ったっけ? 突き指痛い? 後ろ組刺され組? 後ろ髪刺され組?
  • 22:47  愚息TAKUZO(5歳)は、AKB48では、この娘が好きらしい。今日、突然、ゲロった(失礼)。ママは解せないらしいが、僕は、むしろ素晴らしいんじゃないか、と思うけどねぇ(笑)。 http://t.co/Rtrpuiz8
  • 22:12  (4)この一週間、たぶん、この編集作業が、僕の日常を「支配」すると思います。プスプス言って煙が出てたら、水かけて、消火してね(笑)
  • 22:10  (3)「どのような職業価値観を持っていると組織社会化されやすいのか?」「イノベーションと人材育成の関係」「海外業務経験を積んだ人は、なぜキャリアが成熟するのか?」「海外業務経験を通した能力向上の実態」「職場外で学ぶ人はどのような力を身につけているか?」などなど。
  • 22:10  (2) 「職場のオープン・コミュニケーションを促すための上司のリーダーシップのあり方」「部下を伸ばす上司のあり方とは?--上司自身の成長と部下支援の関係--」「組織社会化につながるOJTの探求」「業績につながる組織市民行動の探求」
  • 22:09  (1)「職場学習の探求」(生産性出版)を編集中。この本は、人材開発のプロ、研究者を対象にした専門書・論文集です。収録されている論文は「職場における業務能力の向上に資する経験学習のプロセスとは?」「学習する職場と個人の業務能力」
  • 21:58  (2) 3/19(月) ワークショップ・ファシリテータのためのドキュメンテーション講座- スチルカメラ編 開講決定! Learning barを撮影してくださっていた写真家・見木久夫さん講師 中原研究室メルマガにて、近日募集開始(抽選)→http://t.co/te9XiFy0
  • 21:58  (1)自らワークショップを実践したいと願う人々にとって、最大の課題のひとつは「募集・集客」です。せっかく素敵なワークショップを考えついても、その魅力を伝えきれず、人が集まらない。というわけで・・・・NAKAHARA-LAB presents
  • 16:35  シュールなLEGOワーク。何とかしてけれ>RT @wired_jp 【BUSINESS】欧州金融危機をLEGOで説明:JPモルガン──LEGOのミニフィギュアを使ってその複雑な様相を説明(再掲) http://t.co/crmLKUJ3 #wired_jp  [in reply to wired_jp]
  • 16:35  祈ってるね、僕らは(笑)@tatthiy 奇跡の一枚w RT舘野君と中原先生が同じ顔しとるw RT @y_hirose: 記念すべきスリーショット、金井先生、上田先生、中原 http://t.co/wuCTaHbB
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  • 11:09  ブログ更新。Unconference(ユーザー参加型・学び系イベント)をデザインする際の3つのポイント(私感雑感) #neomuseum: http://t.co/49hwXTd2
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投稿者 jun : 2011年12月13日 14:09


Unconference(ユーザー参加型・学び系イベント)をデザインする際の3つのポイント(私感雑感)

 皆さん、おはようございます。月曜日、一週間のはじまりです。

poster_unconference.jpg

finalzentai4.jpg

 今日は、週末に開催された「REMIX@neomuseum」というUnconferenceイベントについて、少しだけ「抽象的」なレベルで、そのポイントを考えてみましょう。ほんの少しだけです(笑)。こういうの「プチ抽象化?」っていうんでしょうかね。

 最初からこんな前置きをしているのは、かなり「情けない」のですが、まだ僕自身も、先日の体験を「饒舌」に語ることはできないのです。
 でもさ、何とか、とらえどころのない「新たな学び系イベント」の何が新しかったのか、何が留意するべきポイントであったのかを、なんとか、かんとか、言葉にしてみたいと思います。
 これが「たたき台」、いわゆる「プロトタイピング」になることで、さらに議論が盛り上がることを願い、さらに「意味」が「リファインされること」を願って、自ら「踊りだそう」と思うのです。

 さぁ、ダンスの時間だぜ!

 なお、今回のイベント、僕は上田先生、三宅さん、同志社女子大学の皆さんらとともに、「主催者のひとり」として企画に参加してました。下記の内省といいましょうか、「プチ抽象化」は、あくまで「その立場」からのものであることを申し添えておきます。

 くどいようですが、これが「唯一絶対の答え」ではありません。後述するように、Unconferenceは、参加者がフラットな関係で実施するイベントであるがゆえに、その解釈は参加者の数だけあるような気がしています。ぜひ、皆様のご意見をお寄せください。

  ▼

 まず「REMIX@neomuseum」や「Unconference」それ自体が何か、ということをご存じのない方に向けて。
 ぜひ、下記をご覧ください。

REMIX@Neomuseumとは何か? : 経験をリミックスして、キャリアを構想する : バックステージからの参加募集!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2011/09/remixneomuseum.html

Unconference(アンカンファレンス)とは何か?:ユーザー参加型の「創発の場」をつくりだせ!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2011/11/unconference_remix.html

 要するに、REMIX@neomuseumとは、

 参加者個人が
 自分自身の"これまで""いま""これから"を
 他者と「対話」しながら
 「表現」し、愉しみながら学ぶこと

 をめざした場でした。

 そして、「REMIX@neomuseum」の学習機会の設計手法?方針が、Unconferenceということになります。Unconferenceとは、「ユーザー参加型のインタラクション設計」のことです。このコンセプトは、上田先生・三宅さんらがご提案になりました。

 Unconferenceは、主催者側が、会のカリキュラムをすべてきっちり作り込んで準備するのではなく、それをむしろ、参加者の皆さんと一緒にその場で作り込んでいこうという、ものです。
 もちろん、主催者が「ハルマゲドン」ならぬ、「丸投げドン」するのではありません(笑・・・物事の本質は、多くの場合、二律背反ではないのです)。

finalzentai7.jpg

 主催者側は、タイムテーブル・ツール、そして、この場で大切にしなければならないバリューなど、いわゆる「プラットフォーム」を提供します。それは、当日の学習者のカリキュラム(経験)を組織化する、いわば「ゆるいフレームワーク」のようなものです。
 一方、参加者の方々には、その制約や趣旨を最大限ご理解いただき、また、智慧を駆使して、自分たちが愉しみ、他者に学んでもらえる活動を自由にグループでデザインし、実施してもらうことをめざすのです。

 今回の会の場合、テーマは「経験(キャリア)のリミックス」です。これは、現在執筆している書籍の編集会議の中で、執筆チームの中で浮かび上がってきたものです。

 参加者の方々はグループで「経験のリミックス」というテーマに「ゆるくしたがって」、アクティビティは、デザインします。

iikao.jpg

「2人以上で来て、ゆるゆるトークしなければならないカフェ」「100人がつながって、内省し、未来の課題を考えるお茶会」「スナップショットバレー」「即興演劇」「ダンス」「過去・現在・未来をふりかえるレゴワーク」などなど・・・・

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 120名の方々が、15くらいのグループに分かれ、それぞれ思い思いの15のアクティビティをデザインし、実施しました。

iikao3.jpg

 ぶっちゃけいうと(笑)、どのような活動でも、どのようなアクティビティでも、どのような表現活動でもいいのです。ただしひとつだけポイントがあります。

 それは、「それをなすこと」で、結果として「経験をふりかえり、未来を構想すること」につながるようになっているものでなければなりません。そういう経験・アクティビティを皆さんが智慧をしぼってデザインなさったということですね。

 この企画・デザインは、本番前日、宿舎で行われました。わずか数時間に集中して話し込んで、コンセプトと実施計画を決めて、その内容を1分間で全員にプレゼンします。それは、まさに「学び系イベントのインプロデザイン」でした。

groupwork0.jpg

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groupwork2.jpg

 かくして、本番当日、参加者は、あるときはコンテンツ提供者、あるときは学習者となって、これらのアクティビティに参加することで、結果として、 参加者個人が自分自身の"これまで""いま""これから"を他者と「対話」しながら構想することが可能になるのです。

groupwork4.jpg

 で、その結果、生まれた場は、下記のような場でした。
 映像・写真を下記に公開されていますので、どうぞご笑覧ください。映像は神戸芸術工科大学の曽和先生のチーム(infoguild)の作品です。世界で最もクオリティの高いリアルタイムドキュメンテーションですね。写真の方は、三省堂・石戸谷さんと中原の撮影したものです。

時を記し、場を結ぶ:Infoguild

http://www.infoguild.jp

リアルタイムドキュメンテーションとは?
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/08/post_1565.html

REMIX@neomuseum当日の写真集・・・すべての写真はこちらからご覧ください
http://www.facebook.com/media/set/?set=a.192923580799209.44959.187910727967161&type=1

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uncafe2.jpg

 ちょっとわかりにくいかもしれませんね(笑)。何で踊ってるんだ?なんでうたっているんだ?なんで、紙吹雪なんだ?と(笑)。

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undialoue.jpg

unlego.jpg

 でも、大切なことは、すべてが「テーマ」に関係している?ということです。参加者によって構築されたすべてのアクティビティは、「経験を振り返り、未来を構想する」というテーマに関係しているのです。

tsuika2.jpg

 そのアクティビティをこなすことで、結果として「自分の経験を他者に語ったり」、結果として「未来のことを考える」ようになっている、ということです。

unstage.jpg

 もし、こうした説明でもわからない方には、「大人の文化祭」みたいな場だったのだ、とお考えいただければ幸いです。あるテーマにしたがって、たった1日で準備をして、たった1日でお互いにお店をだして参加しあう、そういう場だったのだ、という感じです。

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 以上が、まずREMIX@neomuseumとUnconferenceの説明です。

  ▼

 それでは、次に上記のようなイベントを開催する場合、中原自身が、どのようなことに留意していたのか、また意識を集中させていたのか、について書くことにしましょう。この内省は、おそらく「Unconference系イベント」を実施する際のポイントにもなるのかもしれない、と「勝手きまま」に、ゆるゆると考えています。

 下記は、僕が考える、Unconference系イベントをデザインする際の3つのポイントです。

1.レディネスの確保
  1.1.初期期待をあげる事前課題
  1.2.ソーシャルメディアを使った事前コミュニティづくり

2.フレームワークの提示
  2.1.コンセプトとパッション
  2.2.テーマの理解を得ること
  2.3.ルール
  2.4.グルーピング
  2.5.デッドラインの明示

3.「学びの縁日」のデザイン
  3.1.同時多発性
  3.2.擬似的競争 ゲーミフィケーションの応用

 これらについて下記、少しだけ詳細に説明していきます。

  ▼

 まず、1.レディネスの確保です。
 1.1.初期期待を向上させる事前課題は、今回の主催者のひとりPlayful learning devicesの三宅さんや、同志社女子大学の皆さんが提案なさったものです。

Playful learning devices
http://playfullearningdevices.com/PLD/HOME.html

 実は参加者の皆さんには、会にくる前に6つの、決してハードルが低くはない課題が提供されていました。課題は、非常にハートウォーミングな三宅さんのデザインでダイレクトメールにまとめられ、本番の1週間前に参加者に提供されました。

 課題の内容は、愉しくて怪しいものです。「ラッピング」をテーマにして、ドレスコードが決められていたり、自分を表現するスパイスを探してきてください、と言われたり・・・。そういう決してハードルが低くはないが、愉しさ、怪しさを感じる課題に、参加者は数日のあいだに対応することが求められました。

kadai1.png

 一方、僕は、会の開設1週間前から、Facebookやソーシャルメディアを活発に動かそうと思いました。
 全国各地で事前課題に取り組んでいる様子が、参加者全員の共同体意識を高めるほか、本番に向けてのレディネス・モティベーションを喚起することになると思ったからです。

kadai2.png

 Twitterのハッシュタグを決め、Facebookページをすぐにつくりました。そして、事前課題に取り組む様子が、そこに投稿されることになりました。

ハッシュタグを決めました #neomuseum
http://twitter.com/#!/search/%23neomuseum

REMIX@neomuseumのFacebookページをつくりました
http://www.facebook.com/pages/remix2011_neomuseum/187910727967161

 本番当日、何人かの参加者の方が一様におっしゃっていたことが、僕には印象的です。

「皆さんとは今日はじめてお逢いしたのですが、はじめてあった気がしない」
「ずっと1週間前から、ワクワクドキドキしていました」
「自分だけが、ハードな課題に取り組んでいるんじゃない、と感じました」

 課題を議論してつくりあげた、上田先生・三宅さんら同志社女子大学の皆さんが、もっともお喜びになられることなのではないでしょうか。
 さて、ここから導き出される実践的示唆は、何でしょうか?

 まぁ、いろいろあるんでしょうけど、すぐに思いつくものは、こういことでしょうか?

「学び系イベントは、初期期待をあげる
「学び系イベントは、イベントの前から勝負が始まっている」
「学び系イベントは、ソーシャルメディアによるecommunityづくりによって、もっと面白くなる」

(Alumni of Remix2011の皆様、ぜひ、どうぞたくさんの実践的示唆を加筆していただけると嬉しく思います)

  ▼

 次に本番前夜の留意点、「2.フレームワーク」についです。本番前夜に、僕自身がもっとも留意した点は、「フレームワーク」を参加者の皆さんにご理解・腹オチしてもらうことです。

DSC_0195.jpg

 Unconferenceは、主催者側にコンテンツがありません。むしろ、参加者同士が「互恵的関係」に相互に期待をもち、相互に愉しめるコンテンツを、本番前夜の数時間のワークショップで、それぞれの興味関心にあわせたグループに別れて、極めて短期間のあいだに生み出すことが求められます。

groupwork.jpg

そして、僕自身は、このためには、フレームワークをご理解いただくことがとても重要だと思っていました。もし、これに失敗したら、場は「破壊的カオス」になります(笑)。もっとも、この点が緊張したところでした(僕は心配しすぎだ、というご意見もあったようですが、すみません。気が小さいもので。。。笑)。

 ひと言でいいますと、

 Unconferenceのデザインとは、ものすごくリスキーなのです。
 ひとつ間違えると、出口のない迷路に参加者全員で迷い込んでいきます(泣)。

DSC_0241.jpg

 フレームワークは、「2.1.コンセプトとパッション」「2.2.テーマの理解を得ること」「2.3.ルールとファシリテーション」「2.4.グルーピング」「2.5.デッドラインの明示」から構成されます。上田先生・中原で「即興的」に相談し、様々なかたちでこれらに相談して、対処しました(実は、このプロセスにおいては、上田先生と僕の間にも、よい意味でも、創造的緊張が走ります。まことに面白いですね。主催者も本気でぶつかり、ともに、即興しているのです)。

shinkenshoubu.jpg

 まず、「2.1.コンセプトとパッション」とは、「Unconference」という設計コンセプトへの理解をふかめ、皆さんのモティベーション喚起することですね。これは主に上田先生がご担当になりました。いつものようにパッションをこめて、「世界一の学びの機会をみんなでつくろう」とよびかけていらっしゃいました。

「2.2.テーマの理解を得ること」は、「経験のリミックス」という内容を、わかりやすく説明することです。今回、敢えて「キャリア」という言葉をつかわず、「自分自身の"これまで""いま""これから"をとにかく表現する機会」をつくりましょう、と説明をさせていただきました。

iikao7.jpg

「2.3.ルールとファシリテーション」は、そのために、皆さんが守って頂きたいルールや規範の説明ですね。先ほどにも述べましたが、どういう態度で、誰と、どのようなアクティビティを、いつまでにつくること、ということをご理解いただき、実践して頂くことは、とても重要ですね。

「2.4.グルーピング」とは、どのようにグループ編成を行うのか、についての指針の提供です。事前の打ち合わせでは、10くらいの活動のタネをあらかじめ用意しておき、まずは参加者の皆さんに、投げかけてみようと僕は考えていました。120名ならば、10くらいが前もって決まっていればよいのかもしれない、と。
 それで、「それ以外」のことをやりたい、という方がでてきたら、そのときは、新しくグループをつくっていこう、と上田先生とは相談していました。結果として、5つくらいの新規アクティビティが、参加者の方々からご提案いただきました。

「2.5.デッドラインの明示」は、どのような活動を、どのような時間までに生み出す、ということです。敢えて時間的制約をもうけることで、集中して物事に取り組んで頂こうと考えました。

 さて、ここまで書いてきて、重要なことは何でしょうか。

 それは、「Unconference」は、「参加者に学習のデザインを丸投げする」ということではない、ということです。
むしろ、「参加者の方々が、お互いに相談しあいながら、ある一定の制約の中で、自由に自分たちのための学びの機会をデザインしていくための環境をデザインする」ということなのです。つまり、デザインしているものが、ひとつ「メタなもの(高次)」になっているのです。

 Unconferenceでデザインしているのは、「コンテンツ」でも「インタラクション」でもありません。
むしろ、Unconferenceのデザインとは「コンテンツやインタラクションが生起するプラットフォーム」なのです。

 この数日間で、上田先生と僕自身が、もっとも緊張していたのは、実は本番前夜の7時から8時でした。このフレームワークを参加者の皆さんにどれだけ理解をしていただけるか、どれだけ共感して頂けるかに、全神経を集中していました。ここがもしうまくいけば、すべて、イベントは成功だ、とも思っていました。
 ですので、僕自身もマイクを使わず、肉声で皆さまに話しかけました。深夜になり、事前の企画ワークショップが終わる頃には、僕も上田先生も、のどがかれていました。結局、参加者の皆様からは、想像を絶するような様々なアイデア、企画が生まれ、明日を愉しもうと思っていました。

 初対面の皆さんが、白けることなく、お互いに自分の経験を外化することを助けるような、いわば「バウンダリーオブジェクト」のようなアクティビティが、様々に生まれ、驚愕しました。参加者の皆様の素晴らしい卒意、インプロヴィゼーショナルな思考、実践に、心より感謝いたします。ありがとうございました。

  ▼

 最後のポイントは、当日の「アクティビティの配列」に関することです。
 事前に話し合っていたことは、当日のアクティビティ配列を、ゆるやかに工夫して、いわゆる「3. 学びの縁日」のようなものをつくることでした。

iikao11.jpg

 ゆるく、しかし、志しの高いアクティビティが、いくつも「3.1.同時多発的」に起こり、かつ、ゆるやかなかたちで、「3.2.擬似的競争」的な雰囲気が流れるようになるといいな、と思っていました。

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 擬似的競争とは「ガチ競争」というわけでなく、それぞれのアクティビティの皆さんが、自分のアクティビティに参加者を勧誘するようなかたちで、アクティビティ間に、プチ・ピリ辛な緊張関係を演出することです。最近流行の言葉を使うのなら、「ゲーミフィケーション」という要素を、学びのデザインに取り込むということなのかもしれません。

iikao8.jpg

 結果は、非常に興味深いものでした。
 決して「バリバリの競争」というわけでもないのだけれども、ある程度、人数が集まらないと、アクティビティは成立しませんので、相互に声かけを行い、参加を促すような活動が生まれました。

 当日、ゲストでお越しになられた金井先生にも、ご登壇いただく機会をいただきました。金井先生には、いわゆる「ご講演」をたまわるのではなく、当日、皆さんから寄せられた質問をお答え頂く形で、インタラクティブにプレゼンテーションいただきました。こうした機会も、参加者のうちプレゼンテーション班が決めて実施したものです。誠に素晴らしい事ですね。

 ▼

 Unconferenceに関する、プチ「抽象的な思考」は、こんな感じです。まだまだ言い足りないところもあるのですが、そろそろTAKUZOを送りにいかなければならないので、このあたりでおしまいにします。いかがでしたでしょうか。

 上記は、あくまで僕自身の「視座」から生まれた、ひとつのストーリーです。ぜひ、Alumni of REMIX2011の皆さんも、関係者の皆さんも、ぜひ、思われたこと、感じられたことを下記のFacebookページに書き込んで頂ければ幸いです。決して「よいことばかり」ではないのです。「改善するべきこと」もちゃんと可視化し、議論をおこなうことのほうが重要なのではないか、と思います。

 今回は、参加者が主催者側でもあり、かつ主催者側が参加者でもあります。ですので、様々な立場から、今回のイベントを意味づけることができるのではないでしょうか。ぜひ、ご意見をお待ちしております。次のUnconferenceの機会をつくるのは、「皆さん」です。

 また残念ながら、今回は参加が叶わなかった方も、ぜひどうぞご参加ください。参加者の方々、主催者の方々に聞いてみたいこと、どのような関心がおありなのかを、ご意見いただければ幸いです。

REMIX@neomuseumのFacebookページ
http://www.facebook.com/pages/remix2011_neomuseum/187910727967161

  ▼

 最後に、ここまできて爆弾発言かもしれませんが、僕は「Unconferenceが何か?」を問うことは、あまり「建設的」ではないと思っています。なぜなら「Unconference」とは「Conferece」ではない「野党」のようなものだからです。そこに「唯一絶対の応え」があるわけじゃない。

 金井先生は、昨日、「Unほにゃらら」とは「Un」は否定ではなく、「面白いもの・大切なものが他にあるでしょ」「より高次なもの、探し物を今してます」というニュアンスがある、とおっしゃっていました。

 こちらを敷衍して別の言い方をするならば、Unconferenceとは「固定化して、教条化した学びの場のデザイン」のあり方に対して、「もっと面白いものがある、それを探そうよ、それを創り出そうよ」という「意志」なのだと思うのです。

finalzentai2.jpg

 ですので「Unconferece」とは「何か」を机の上で形而上学的に問うよりも、「Unconferenceが何か?」という問いに対する答えを、実践を通して「探し続けること」だと思うのです。つまりは、「Unconferenceだと思われるものを、自ら実践すること」なのだと思うのです。

 自分の状況や境遇に無理のないかたちで、「Unconference」を実践し、自分なりの「Unconference」を見つけていく、そして、それを社会に発信し、それに共感する人々のコミュニティをつくっていくことの方が、面白いし本質的なのではないか、と感じ始めてきています。

 そう、Un - Unconferenceをめざして。
 
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  ▼

 これで、本当に最後の最後になりますが、ご参加いただいたすべてのみなさま、ゲストでおこしいただいた神戸大学金井壽宏先生、同志社女子大学の皆さん、デザイナーの三宅さん・ライターの井上さん、三省堂の石戸谷さん、東京大学大学院中原研究室の院生諸氏、曽和先生をはじめとした神戸芸術工科大学の皆さんに、心より感謝いたします。

 なお、この会の模様は上田信行・中原淳の近刊「プレイフルデザイン - 脱ワークショップへの旅」に収録される予定です。こちらも、どうぞお楽しみに。

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■2011/12/11 Twitter

  • 18:01  ブログ更新。REMIX@neomuseum、無事終了いたしました!参加デザイン型の「学び系イベント」。 大人の修学旅行+大人の文化祭。(Youtube): http://t.co/E16PCf4q
  • 10:33  (6)「Unほにゃらら」という概念の面白さ。「Un」は否定ではなく、「面白いものが他にあるでしょ」「より高次なもの、探し物を今してます」というニュアンスがある(金井先生)。「Unplugged」「Unlearning」「Unconference」#neomuseum...
  • 10:28  (5)金井壽宏先生×上田信行先生×中原の対談。大学教育・学会とUnconferenceについて。学会員が、学会当日、話したいことを決めて、同じ興味の人と徹底的に話し合う学会はどうだろう?#neomuseum http://t.co/tE4OqH6c
  • 10:22  (4)金井壽宏先生×上田信行先生×中原の対談。仕事・遊び・学ぶ。Serious play : 仕事の中に遊びがあり、遊びの中に仕事がある。#neomuseum http://t.co/VVFQbOTJ
  • 09:59  大人と「遊び」。カイヨワ、ホイジンガ、チクセントミハイのフロー理論。白川静先生の「遊」の定義について。#neomuseum http://t.co/T40GHkBX
  • 09:50  (3)金井壽宏先生×上田信行先生×中原の対談。ポジティブ心理学とUnconference。Unconference、祝祭空間、フラッシュモブズ。現在の組織における「祝祭」などについてお話しています。#neomuseum http://t.co/ht6GTpwJ
  • 09:45  (2)金井先生×上田先生×中原に対談して欲しい内容がございましたら、ぜひお寄せください。#neomuseum http://t.co/OKsyETVR
  • 09:44  (1)今日の対談も、ユーザー参加型で実施させていただきます。REMIXのFacebookページの内容を盛り込ませて頂きながら、金井壽宏先生×上田信行先生×中原の対談がスタートしています。#neomuseum http://t.co/7nrwa5K7
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■2011/12/10 Twitter

  • 19:21  REMIX@neomuseum無事終了です。ご参加・ご準備いただいた皆様、お疲れ様でした&ありがとうございました。曽和先生、神戸芸術工科大学がおつくりになったリアルタイムドキュメンテーションビデオはこちらです(感謝!)。 http://t.co/Ad4KXZL2
  • 08:33  金井先生、お越し頂けること感謝しております。お待ちしております!RT@tkanai1954 わたしも明日、午前には吉野! RT REMIX@neomuseum、いよいよ本日から!#neomuseum
  • 08:19  快晴のneomuseum。REMIX準備中。#neomuseum http://t.co/8DzQQZB6
  • 08:17  朝の吉野川。REMIX@neomuseum。いよいよ本日。ただいま準備中。 http://t.co/JbD9vxA5
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■2011/12/09 Twitter

  • 19:23  奈良県、吉野到着。長い旅だった。なんか、この旅だけで、ものすごく達成感あるねぇ。 (@ 吉野駅 (Yoshino Sta.)) http://t.co/Cs88UiIj
  • 18:26  Go west しつづけているのですが、分け入っても、分け入っても、山深く。あの坂をのぼれば、吉野が見える? ただいま橿原神宮前。REMIX@neomuseum、いよいよ本日から!#neomuseum
  • 10:38  東大・本郷キャンパス。これより2つの会議。「大学院コース会議」と「秘密作戦会議」。
  • 06:04  見田宗介先生の著作集がでていたとは。見田宗介著作集 全10巻・真木悠介著作集 全4巻。http://t.co/EH3BKn1R 岩波のページはこちら http://t.co/KgSFgbW3
  • 00:21  【INHOUSE】研究会終了。その後、有志20名で、渋谷・蛇の健寿司へ。蛇の健寿司は、小生が好きなお寿司屋さんです。終電で帰宅中。明日も早い。帰ったら、即寝しよう> http://t.co/gIqlqcMt
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■2011/12/08 Twitter

  • 20:03  【INHOUSE】開始。今日の目的は、1)企業で行われている研修・ワークショップの実態をさぐる、2)多種多様な取り組みをネーミングする(○○系)、3)うまくいっていることをあげる、4)現在の課題をさぐる。30名の方々がワークショップ中。 http://t.co/fcNyDwrG
  • 14:25  大学生協の文房具、もう少し「ポップ」なものを入荷できないものかなぁ。。。カラフルな付箋とか、クレヨン風味のマジックとか。それだけで、テンションあがるよ。
  • 12:55  東大・駒場キャンパス。お昼時は、食堂、生協、すごい混雑ですね。
  • 09:01  井庭さん、その節はお世話になりました!RT @takashiiba: 「学びと創造の場づくり」(中原 淳さん @nakaharajun × 井庭 崇 対談, 2011年7月9日, 3時間)の公開映像へはこちらからどうぞ → http://t.co/FFV81Ggq"
  • 07:12  ブログ更新。今日は気分がよいですね。調子がよいので「2連発」です。暇じゃないんですよ、昔から「お調子コキマロ」と呼ばれてきました(笑)。タイトルは、人生は「坂の上の坂」なのか?: あの坂を登れば、海が見える!?: http://t.co/K5OAhqfS
  • 06:48  ブログ更新。相手に「考えること」をうながす「問いかけ」の技法。面談、インタビューなどで、どうやって「問いかければ」、相手が考えて、語ってくれるのか、というお話です。 http://t.co/BMa5LK3B
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投稿者 jun : 2011年12月12日 11:00


【研究協力のお願い】 日本企業に就職した留学生の組織適応に関する調査にご協力をお願いいたします!

みなさま、東京大学の中原です。
このたびは、この年末の忙しい時期に、大変心苦しいのですが、ひとつお願いがございまして、メール差し上げました。

実は、わたしの指導学生の東京大学大学院博士課程・島田徳子さんが、日本の大学・大学院を卒業・終了して、日本企業に就職し活躍されていらっしゃる元留学生社員の方を対象に、仕事や職場に関するWebアンケート調査を行っています。

実は、本調査は今年の9月から開始しましたが、現時点(2011年12月)で回答者数がまだ不足しており、統計的なデータ分析を行うのが難しい状況です。現在、各方面に働きかけを行い、回答していただける方を探しております。

お忙しい皆様に、突然に、また、大変あつかましいお願いで恐縮ですが、もし可能でしたら、お近くに本調査をお願いできる方がいらっしゃれば、ご紹介いただければと思っております。

ご協力いただける方がいらっしゃいましたら、このメールをそのまま転送いただいて結構です。ご回答答いただけた方、ご回答をご紹介いただけた方に、3月にワークショップを東大で開催し、調査結果をご報告させていただきます。日本企業のグローバルな人材開発に調査研究をなし、かならずや実務家のみなさまに貢献したいと願っております。

 なにとぞ、ご検討のほど、どうぞよろしくお願いいたします。 アンケートの主旨、実施方法等は下記の通りです。

中原 淳

===================================================
「元留学生外国人社員の定着と成長に関するWebアンケート調査」
ご協力のお願い
===================================================

東京大学大学院 学際情報学府 中原研究室では、日本の大学・
大学院を卒業・終了して日本企業に就職し活躍されていらっしゃる
元留学生社員の方を対象に、仕事や職場に関するWebアンケート調
査を行っています。対象となる方は次のような条件を全て満たす方です。

 ・日本の大学、大学院を卒業・修了した元留学生社員の方
 ・日本の民間企業に就職し、調査時点で正社員として勤務されている方
 ・入社2~5年目の方
 ・日本語のアンケートに回答いただける方
  読解力の目安:幅広い話題の抽象的かつ論理的にやや複雑な文
  章の内容が理解できるレベル
 (日本語能力試験1級、CEFR B2程度の読解力が必要です)

  よくある質問
   ・男女は問いません
   ・勤務地は問いません
   ・外資系か日本企業かは問いません

本調査では、グローバル化を図る日本企業が、元留学生社員の皆様
がより一層活躍できる職場のあり方を検討するためのきっかけを提
供したいと考えています。

「元留学生社員の方が、力が発揮できていると感じる職場とはどの
ような職場なのか?」

「成長実感のある方は、職場の日本人上司や同僚から、どのような
支援や指導を受けているのか?」

「元留学生社員の方は、ふだんの仕事の中で、どのような行動を意
識的に行っているのか?」

現在日本の企業で活躍されている元留学生社員の皆様に率直にお答
えいただくことで、元留学生社員の皆様を取り巻く日本企業の職場
の現状の一端を明らかにしたいと思います。

調査終了後、参加企業の方 々、お答えいただいた方でご希望の方
を招き、成果報告を兼ねたワークショップ、ないしは、シンポジウムを、
2012年春頃、東大で開催させていただきます。

尚、詳細な研究成果は、学会発表および学術論文で発表いたします。

------

■アンケートの形式

アンケートは、Web上で答えていただく日本語のアンケートです。
質問数は約150問程度、回答時間は約30分を想定しています。
質問項目に、会社名および個人が特定される内容は含まれておりません。
尚、回答は、統計的に処理されますので、個人的に処理されることは決してありません。
最終的な調査結果や報告書等でも会社名や個人名が記載されることはありません。
また、回答を第三者が閲覧したり、研究以外の目的で用いることは
絶対にありません。成果は、学術研究および、講演等で公開させていただきます。

------

■調査手順及びスケジュール

ご本人様から直接、次のような情報を、本メールの下部に記載した
連絡先(chousa(あっとまーく)nakahara-lab.net)にメールでご連絡いただきます。


1.名前 (          )
2.ふりがな(          )※ひらがなで
3.ご所属(  会社名および担当等       )
4.メールアドレス(            )
5.ご紹介者(      株式会社      様からのご紹介)

*ご紹介者がいらっしゃる場合のみ

ご連絡いただいたアドレスに、WebアンケートのURL及び回答の
ためのIDとパスワードを個別にメールにて、ご連 絡いたします。
受け取ったIDとパスワードで、Webアンケートに回答していただきます。
回答期間の目安は、IDパスワードを受け取ってから2週間以内とさせて
いただいております。

------

■個人情報の取り扱いについて
ご連絡いただいた個人情報(お名前、ご所属、メールアドレス)は、
本調査に関する諸連絡、アンケート回答のためのIDとパスワードの発行及び
WebアンケートのURLのご連絡にのみ使用いたします。

また、本調査で利用するWebアンケートシステムは、
すべての回答データはAES256ビット暗号化方式で暗号化されますので、
安心してご利用いただけます。

------

■すべてのご連絡先&お問い合わせ
担当:東京大学・中原研究室 博士課程3年 島田徳子
メールアドレス:chousa(あっとまーく)nakahara-lab.net

==================================================


投稿者 jun : 2011年12月11日 13:22


REMIX@neomuseum、無事終了いたしました!ありがとうございました!

 昨日、REMIX@Neomuseumを盛況のうちに終えることができました。
 関係者・参加者の皆様、お疲れ様でした&ありがとうございました!

 REMIX@neomuseumは、

 参加者個人が
 自分自身の"これまで""いま""これから"を
 他者と「対話」しながら
 「表現」し、愉しみながら学ぶこと

 をめざした会でした。

 REMIX@neomuseumの学習設計手法には、Unconference(アンカンファレンス)という、ユーザー参加型のインタラクション設計が行われています。

Unconference(アンカンファレンス):ユーザー参加型の「創発の場」をつくりだせ!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2011/11/unconference_remix.html

 Unconferenceでは、主催者側から、タイムテーブル・ツール、そして、この場で大切にしなければならないバリューなど、いわゆる「プラットフォーム」を提供します。それは、当日の学習者のカリキュラム(経験)を組織化する、いわば「ゆるいフレームワーク」のようなものです。

 参加者の方々には、その制約を最大限駆使して、自分たちが愉しみ、他者に学んでもらえる活動を自由にグループでデザインし、実施してもらいます。

 ここにおいて、主催者 - 参加者間の関係、スタンドポイントは、全くのイーブンというわけではないですが、かなりフラットに近づいていきます。参加者 - 参加者の関係も、イーブンです。すべての人が当日役割をもち、その日のメンバーが愉しめる環境をデザインしていきます。
 それは「主客一体」という言葉が似合うというよりは、むしろ、「相客一体」でしょう。お互いにお互いをケアし、刺激になる関係が、そこには生まれます。

 先ほどにも述べたように、参加者の方々はグループで「経験のリミックス」というテーマに「ゆるくしたがって」、アクティビティは、デザインします。
 「2人以上で来なければならないバー」「100人がつながるお茶会」「スナップショットバレー」「即興演劇」「ダンス」「レゴ」などなど・・・・120名の方々が、15くらいのグループに分かれ、それぞれ思い思いの15のアクティビティをデザインし、実施しました。それらのアクティビティは、ゆるく、階のテーマである「経験のリミックス」と関係しています。
 それらのアクティビティに参加することで、結果として、 参加者個人が自分自身の"これまで""いま""これから"を他者と「対話」しながら構想することが可能になるのです。

REMIX@neomuseum当日の写真集
http://www.facebook.com/media/set/?set=a.192923580799209.44959.187910727967161&type=1

 ちなみに、当日何をするか、という企画立案は、本番前日夜8時から行いました。
 同じ場所に宿泊し、夕食を終えたあとで、夜8時からグループを編成し、3時間で企画をまとめ、プレゼンテーションを行い、当日に備えるのです。その様子は、さながら「大人の文化祭」を一日でつくりあげる、といった感じでした。
 大人には時間はありません。しかし、それにあまりある「集中力」と「知力」があります。それらをグループの皆と結集し、いわば、集合知を爆発的なスピードで産み出すのです。

 REMIX@neomuseumは、こんなイベントでした。

  ▼

 僕は上田先生とともに主催者のひとりとして、このイベントを企画していました。会を終えた今は、ほぼ脱力状態です。今、ひとり新幹線にのって東京に戻っています。何とか、ここ2日間の「意味」を紡ぎ出そうとしていますが、適当な表現は見あたりません。それよりも、何よりも、身体が、全く意思に従いません。
 少し休みを取り、しかし記憶が風化しないうちに時間をとって内省し、この2日間の経験を「ことば」にしようと思います。体験はゲシュタルト(モヤモヤ)のままにしておけば、それは「経験」にはなりません。体験を経験たらしめるものは、内省であり、熟慮しかないでしょう。

 おそらく、この会は、これまでの「いわゆるワークショップ」のあり方を、より「一歩前に進めるコンセプト」をもちうる会になるのではないか、と考えています。
 参加者の皆様に心より感謝です。すでに、REMIXのFacebookページには、皆様からのご感想が寄せられています。もしよろしければ、ぜひご高覧ください。

REMIX@neomuseum
http://www.facebook.com/pages/remix2011_neomuseum/187910727967161

 なお、この会の模様は上田信行・中原淳の近刊「プレイフルデザイン - 脱ワークショップへの旅」に収録される予定です。

 最後になりますが、ご参加いただいたすべてのみなさま、ゲストでおこしいただいた神戸大学金井壽宏先生、同志社女子大学の皆さん、デザイナーの三宅さん・ライターの井上さん、三省堂の石戸谷さん、東京大学大学院中原研究室の院生諸氏、曽和先生をはじめとした神戸芸術工科大学の皆さんに、心より感謝いたします。

 So good!
 See you at next Unconference!

 冒頭は、神戸芸術工科大学の皆さんがおつくりになった、リアルタイムドキュメンテーションビデオです。どうぞご覧ください。

 ---

P.S.
ちなみに、ここ数年、中原が関与・企画に関係した「学び系イベント」のムービーはこちらです。

■Party of the future 2011

■Thirdplace collection2010

■Workplace learning2009

■Learning bar紹介ムービー

投稿者 jun : 2011年12月11日 07:58


人生は「坂の上の坂」なのか?: あの坂を登れば、海が見える!? 

 ずっとずっと気になっていた、いっぺんの詩をようやく探しました。確か中学生の頃だったと思うのですが、教科書で目にした詩で、「あの坂をのぼれば」といいます。作家は杉みき子さんという方だそうです。

 つい、先日、ある会合で「人生は、"坂の上の坂"だよね」という話が話題になりました。
 お気づきのとおり、このメタファ"坂の上の雲"にひっかけたメタファで、なかなか"雲"が見えず、"坂をのぼったら、また坂だよね"というアイロニーが込められている秀逸なメタファだと思います。

 そのときの話題に寄りますと、このメタファは、元和田中校長の藤原和博さんが、シニアの生き方を論じた新刊の書名らしいです(僕はまだ読んでいないです)。が、僕は、その書名を聞いたとき、まっさきに脳裏に浮かんだのは、「あの坂を登れば」なのです。

 中学生の頃、この詩を目にしたときは、小生、まったくの「アホズラ」で「あー、坂のぼっても、海みえないなーって話ね、ほんで、どーしたのかな?」と思って、授業を聞いていました。ハナクソほじりながら、はやく大人になりてーな、なんて思っていたのかもしれません。

 そして、それから25年・・・・

 でも、今、あらためてこの詩を読み、その内容を想像すれば、坂をめぐるこの「旅程」そのものが、「人生」のメタファなのかもしれませんね。

 あの坂を登れば、海が見える
 あの坂を登れば、海が見える
 あの坂を登れば、海が見える

 自分も、「あの坂をのぼれば海が見える」と思って、ここまで坂を登ってきたような気がします。しかし、まだ僕に「海」は見えません。それどころか、「潮騒の響き」もしません。アホズラな小生は、今もアホズラなまま。
 今もなお、坂は、目の前に広がっています。

 あなたは、いくつもの坂を越えてきましたか?
 あなたには、もう、海、見えましたか?

 あの坂を登れば、海が見える

 下記、一部引用させて頂きます。

 ---

「あの坂をのぼれば」
杉みき子

あの坂をのぼれば、海が見える。
少年は、朝から歩いていた。
草いきれがむっとたちこめる山道である。
顔も背すじも汗にまみれ、休まず歩く息づかいがあらい。

あの坂をのぼれば、海が見える。

それは、幼いころ、添い寝の祖母から、
いつも子守歌のように聞かされたことだった。
うちの裏の、あの山を一つこえれば、海が見えるんだよ、と。

その、山一つ、という言葉を、
少年は正直にそのまま受けとめていたのだが、
それはどうやら、しごく大ざっぱな言葉のあやだったらしい。

現に、今こうして、峠を二つ三つとこえても、
まだ海は見えてこないのだから。
それでも少年は、呪文のように心に唱えて、のぼってゆく。

(中略)

あの坂をのぼれば、海が見える。

少年は、今、どうしても海を見たいのだった。
細かくいえばきりもないが、
やりたくてやれないことの数々の重荷が背に積もり積もったとき、
少年は、磁石が北を指すように、
まっすぐに海を思ったのである。
自分の足で、海を見てこよう。
山一つこえたら、本当に海があるのを確かめてこよう、と。

あの坂をのぼれば、海が見える。

しかし、まだ海は見えなかった。
はうようにしてのぼってきたこの坂の行く手も、
やはり今までと同じ、果てしない上り下りの繰り返しだったのである。

もう、やめよう。

急に、道ばたに座りこんで、
少年はうめくようにそう思った。
こんなにつらい思いをして、
坂をのぼったりおりたりして、いったいなんの得があるのか。

(中略)

あの坂をのぼれば、海が見える。

少年はもう一度、力をこめてつぶやく。
しかし、そうでなくともよかった。
今はたとえ、このあと三つの坂、
四つの坂をこえることになろうとも、
必ず海に行き着くことができる、行き着いてみせる。

(中略)

少年の耳にあるいは心の奥にか、
かすかな、潮騒の響きが聞こえ始めていた。

 ---

追伸.
 確か、植木等さんの晩年の話だったと思うのですが、彼が役者として成功し、60歳になったときの頃の話です。「オレには、まだ自分がどうやって生きていいか、わからないんだ」とどこかで語っていたことを憶えています。そのとき、僕は驚愕しました。植木さんほど成功して、60にもなって、「まだ自分がわからないんだ」と。人生、そんなものかもしれませんね。

追伸2.
 先日、あるワークショップで、40歳代の方と20歳の大学生がペアになって作業をするセッションがありました。大学生に向かって、40歳の方が、自分の人生を語ります。大学生は、それを黙って聞いています。セッション終了後、大学生が口にしたひと言が、僕は忘れられません。「40なってでも、人は、自分がわかんないっていうんですね。で、悩むもんなんですね。私が悩むのは仕方ないんですね」

追伸3.
 先ほど、FacebookでアラムナイのIさんから、こんなメッセージをいただきました(Iさん感謝です!)。かのフランク・シナトラは、「年取っていけばいくほど、世の中のことがわからなくなる。だがそれでいいんだろう」と言っているそうです。

 あの坂を登れば、海が見える?

投稿者 jun : 2011年12月 8日 06:57


相手に「考えること」をうながす「問いかけ」の技法

 仕事柄、僕はたくさんのインタビューをします。つい先日も、あるIT企業でヒアリングをさせていただきましたし、来週も一件、ヒアリングが入っています。

 実は、今、次の研究(昨年から仕込んでいたのですが、なかなか遅々として進まなかったのです)として「海外に赴任した日本人マネジャーの研究」を企画しています。それに必要な定性データを取得させて頂く予定です。
 というわけで、いつもインタビューをしている僕は、つねに、どのように人に「問いかけ」、何を「聞き出すか」を考えています。できるのであれば、自分自身、そういう「問いかけ」がうまくなりたいな、と思っています。

 また、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、僕の専門である経営学習論(Management learning)の重要なキーワードに「内省(reflection)」という概念があります。「内省をなすことのできる個人が、熟達・成長することができる」というかたちで、よく紹介されたりしますね。

 「内省が何か?」とは、掃いて捨てるほど定義があります(失礼!品がなくて)。

人生いろいろ、リフレクションいろいろ
http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/04/post_1679.html

 ただ、ざっくり言ってしまうのなら「自分が過去に経験した出来事を描写し、そのことから自らのあり方を反省し、現在・未来を構想すること」です。
 リフレクションは、アクション(行動)がともなってこそ、意味があります。リフレクションは過去にさかのぼり、未来に拓けているものです。

 内省は個人で担うものですが、その際のきっかけになるのが、「他者からの問いかけ」です。ですので、やはり「問いかけ」が重要になりますね。他者からの何気ないひと言に「うーん」と唸ってしまったこと。これまでの人生の中で、皆さんにもないでしょうか。

  ・
  ・
  ・

 Anyway・・・こんないくつかの背景があり、「問いかけること」には興味をもっています。いったい、どんな「問いかけ」をすれば、人は考えてくれるのか、内省してくれるのか、そして、他者に語りかけてくれるのか、ということに興味があるのです。

 ところで「問いかけ」にはどのような種類があるのでしょうか。「問いかけ」のタキソノミー(分類)は、こちらも掃いて捨てるほど(失礼!品がなくて)、先行研究が存在しますが、例えば、Tomm(1988)の介入的インタビューの技法というものがあります。
 これはもともと、クライアント-セラピスト間のインタビュー技法についてまとめたものですが、なかなか興味深いものです。

1.線形的質問(Lineal question)
 Who When Where What Whyを聞くようなダイレクトな質問です。誰と、何をしているとき、いつ、どこで、何が起こったのか・・・出来事の「描写」に関わる質問ですね。内省サイクル論では「描写」は、内省の最も基礎的なエレメントになります。

 基本的な質問に思えますが、実は、経験上、働く大人が意外に苦手なのは、この質問だったりします。「皆さん、クソ忙しいので、いちいち、憶えてない」んですね。なかなか出てこないです。


2.循環的質問(Circular question)
 物事の関連性・かかわり・つながりを問う質問です。1で得られた情報をもとに、関連・つながりをつけ、比較・吟味していく質問です。

「Aさんは、あなたをどのように見ていますか?」
「BさんとCさんは、どのような関係ですか?」
「Aという出来事とBという出来事は、どのようなつながりがありますか?」

 といったかたちですね。


3.戦略的質問(Strategic question)
 インタビューが「行き詰まったとき」にする質問です。敢えて「〜すべき」を多用し、対立的、かつ挑戦的なスタンドポイントにたって語りをひきだします。

「そのとき、あなたは〜すべきだったんではないでしょうか?」
「Bさんは〜すべきだと、あなたは思いませんか」
「Cさんは〜すべきじゃなかったんだと、みんなは思っているんじゃないでしょうか」


4.省察的質問(Reflexive question)
 最後は「省察(内省)」ですね。
 自分が通常見ている風景・慣れ親しんだ物事を、敢えて「別のコンテキスト」に導いて、相手に「考えること」を迫り、ひいては物事を変化させること、自己を変化させることにつなげようとします。仮定法の形式を取る場合が多い。

「もし、あなたが〜を失うのだとしたら、どうなりますか?」
「もしBさんが、これを妨害してきたら、あなたには何がなしうるでしょうか?」
「もしこのままいけば、あなたはどうなりますか?」
「この出来事がまた起こったのだとしたら、あなたには何がなしうるでしょうか?」

 以上です、なかなか面白いですね。
 こういうタキソノミーをちょっと知っていて、自分のヒアリングやインタビューを振り返ってみると、自分がどんな「問いかけ」をしていたかが、気になってきますね。

 皆さん、もし、今日、面談・インタビューなどが入っていたら、ぜひお試しになられたらいかがでしょうか。

 じゃ、今日はここまで。
 今日も一日ごきげんよう!

 ---

■2011/12/07 Twitter

  • 23:23  かつて哲学者の鶴見俊輔さんは「祭りの準備こそが"祭り"である」という言葉を残しました。今週末開かれるREMIXでは、主催者・参加者の方々が、皆、「祭り」を創り上げるべく、今まさに、facebook上で「祭り」を体験なさっています。http://t.co/MC3aDjNK
  • 17:53  ちょっと前のことになりますが、企業人材育成のウチとソトの協働については、リクルートWorks誌が示唆に富む特集を組んでおられましたね。ひそかに活動理論なども登場して、ワクワクしました。 http://t.co/0wZa4PLx
  • 17:45  ブログ更新。人材育成の「内製化」について思う : ウチかソトかの二分法を超えて: http://t.co/msJYuzfB
  • 15:39  「職場学習の探求」(生産性出版)・・・各章の分析・編集は、何とかメドが見えた。来週、全体を通しての最終編集に入れそう。
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投稿者 jun : 2011年12月 8日 06:46


人材育成の「内製化」について思う : ウチかソトかの二分法を超えて

「実務家と研究者の方々が参加する【INHOUSE】という公開研究会をやりますよ!」と宣言して、はや1ヶ月になりました。

INHOUSE.jpg

経営学習研究会【INHOUSE】 : 人材育成内製化のアート(技術)  サイエンス(科学)、そしてポリティクス(政治)
http://www.nakahara-lab.net/blog/2011/11/i_n_h_o_u_s_e.html

【INHOUSE】は、企業・組織の人材育成を「内製化」することに関連する方々のコミュニティであることをめざし、来年年明け以降、何らかのかたちで募集をはじめさせていただこうと思っています。

 ここでいう「内製化」とは、「自分の組織のメンバーを対象にして、組織につとめる実務家の方のファシリテーション・インストラクションによって創設される学習・知識創造機会」のことと定義します。
 要するに、ポイントは、企業組織外からの外部の「介入」を得ない、ということです。とりあえずは、この定義から物事を考えてみましょう。

  ▼

 公開研究会【INHOUSE】は、実務家のKさんの強力なサポートと、多くの実務家の方々からの支持を得て、明日、いよいよ「公開研究会のための(本番に向けての)準備ワークショップ」を実施させていただくことになりました。

 Facebook上の某コミュニティの方々に募集を募ったところ、30名近い方が、このワークショップに名乗りをあげていただき、まずはお互いに事例を持ち寄って、今後、何をしていけばいいのかを考えるところからはじめましょう、ということになりました。

 年明け「本番」?に何をしていくかは、またそれから考えましょう、ということですね。
 誠に緩く、それでいて、「志」は高く、明日、会をスタートさせることになったのです。

  ▼

 ところで、興味深かったのは、現在企業組織で実施されている【INHOUSE】の中身です。皆さん、だいたい、その「全貌」を想像できますか?

 実は、明日の準備ワークショップのために、Kさんが【INHOUSEの各社事例】を集めるワークシートをつくって、参加希望の方々30名弱に配布して、集計してくださったのです。

 で、そこで皆さんから集められた事例が、誠に多種多様で、どっから整理してよいか、いまだ、悩んでいます(笑)。たぶん、明日も悩んでいるでしょう。そして、結局は、参加者の皆さんと、それについて、うんうんと考えることになるんでしょうか・・・。

 いわゆる「研修の内製化」からはじまって・・・

 組織理念の共有
 組織コミュニケーションの円滑化
 マネジャー同士の対話促進
 職場の人材育成支援
 若手のフォローアップ
 経営陣とマネジャー層によるビジョン戦略構築
   ・
   ・
   ・

 多種多様な「場」が、組織内部のメンバーによってつくられていることになります。
【INHOUSE】の実態は組織内部の問題の根幹にふれるが故に、なかなか外部には出ませんが、誠に多種多様で、決して、「ひとつの括弧」でくくれないような中身が、飛び出してきました。むろん、今は【    】でくくっちゃってますけれども(笑)、それが適当かどうかは、今後の議論ということで。

  ▼

 皆さんから寄せられたワークシートの事例をじっくり眺めていて、つくづく思うことが3つあります。

 ひとつめ。
【INHOUSE】は、単なる「コストカットの欲望」から生まれているのでは「ない」ように思います。もちろん、それもある。それもあるんだけど、それだけじゃない(笑)。そこを読み違えると、【INHOUSE】の本質を読み間違えるような気もします。

 むしろ【INHOUSE】のムーヴメントは、

「現場・経営に直結するコンテンツをつくりたい」
「人事・経営企画がドゥアブルではなくデリバラブルを発揮したい」

 といったような、組織内部のプロアクティヴな衝動、あるいは人事・経営企画の組織に占める位置から「も」生じているような気がするのです。もし仮にそうなら、これはリーマンショックや欧州危機による一時的な傾向ではない、ということになります。それは戦略・経営と人事・人材開発を同期させたい、という1980年代以降の潮流の延長上にあられた現象ということになるのだ、と思います。

 だから、畢竟【INHOUSE】を宣言することは、結局、組織内部に返ってくる問いになってしまいます。

「人事・経営企画といった部門が、どのような価値を組織に対して提供しうるのか」
「また、そのためにはどういうコンピテンシーを有する人材が必要なのか」
「部門としてはどういう組織力を高めておかなければならないのか」

 を結局、問うことになると思います。

【INHOUSE】は、一見、組織外部に投げられた刺激です。しかし、その「問いかけ」は、すべて、結局は、組織内部に返ってくるということです。

  ▼

 ふたつめ。
【INHOUSE】は、インハウスといいつつも、きっとちゃんとやろうとすると、組織外の様々な力を借りることになるんだろうな、ということです。

 どんなに努力しても、おそらくですが、組織の中の人には「できること」と「できないこと」がある。「できないこと」に関しては、「外部」の智慧や技術を借りる他はない。
 一方、「組織外部」から組織に介入する人々にとっても、やはり「できること」と「できないこと」がある。「できないこと」に関しては、「内部」の動きや働きかけを借りる他はない。

 問題は「内部にはできないこと」と「外部にできること」がマッチングしているのか、ということです。
「内部にできること」と「外部にできること」が重なっていれば、それはアンマッチです。もちろん「内部にできること」と「外部にできないこと」が重なっていれば、やはりアンマッチです。
 また、「内部にできないこと」で「外部にできないこと」を追い求めることは「夢想」です。それは「誰にもできないこと」です。
 いずれにしても、この「可能性の4象限」そのものを、反省的に吟味することから、まずははじめるべきでしょう。

 そこを読み違えて、早とちりして、【INHOUSE】を曲解すれば、外部にとって【INHOUSE】は、単なる「脅威」でしかなくなります。しかし、そこを看取ることができれば、【INHOUSE】は組織内外の人々にとって、互恵的な関係のもと遂行できるプロジェクトに成り得るのではないか、と思います。

  ▼

 みっつめ。
 それは、【INHOUSE】に取り組む人々にとって必要な智慧と経験とは、予想通りですが、いわゆる「一般的なワークショップ」、いわゆる「一般的なファシリテーション」のそれとは異なるとは言わないけれど、それだけではない、ということです。

「組織を離れて、人が、自分のために、自由意志によって、自発的に集まる場」と「組織内部において、人が、組織のために、自由意志とは無関係に集められる場」とは、本質的に必要なスキルが異なると僕は思います。

 問題は、それに関する智慧が、どのように獲得可能で、もし自力では難しい場合、誰が提供可能か、ということです。

  ▼

 以上3点を、ワークシートを読んでいて、僕は感じました。
 是を仮にワンセンテンスで述べるとしますと、

「ウチか、ソトかではない。ウチとソトがいかなる関係の中で、協働し、どのような価値をつくりだせるか」

 だということになります。

 結局、問われているのは、ウチもソトもでもあります。
 それは、大げさにいえば、人材育成のエコシステム(生態系)そのものである、ということです。

 ともかく・・・明日は、まず、これらの事例を共有しつつ、少しずつ整理し、それぞれごとの問題点や葛藤などから議論できればいいな、と重います。もし皆さんの中で、ご意見をお持ちの方がいらっしゃったら、下記のFacebookページにご意見をお寄せください。

INHOUSE.jpg

INHOUSE Facebook ページ
http://www.facebook.com/pages/INHOUSE/255545127832314

 明日が楽しみです。

追伸.
 ちょっと前のことになりますが、企業人材育成のウチとソトの協働については、リクルートWorks誌が示唆に富む特集を組んでおられましたね。ひそかに活動理論なども登場して、ワクワクしました。

外部パートナーとの協働
http://www.works-i.com/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=181&item_no=1&page_id=17&block_id=302

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■2011/12/07 Twitter

  • 15:39  「職場学習の探求」(生産性出版)・・・各章の分析・編集は、何とかメドが見えた。来週、全体を通しての最終編集に入れそう。
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■2011/12/06 Twitter

  • 21:58  専門的な教育・文献・団体を備えた、独立の専門職としての科学が確立したのは、この3世紀から4世紀のことである。/ 近代初頭においては、多くの科学者はアマチュアであり、財産または科学に関係のない収入によって生活していた。http://t.co/yqD8Ep91
  • 21:42  素敵な言葉だね>RT @makimuramaho 『ちいさいおうち』の翻訳などをされた石井桃子さんの言葉。「子どもたちよ。子ども時代をしっかりとたのしんでください。大人になってから、老人になってから、あなたを支えてくれるのは子ども時代の『あなた』です」  [in reply to makimuramaho]
  • 21:40  先日、TAKUZOと科学未来館に遊びに行きました。と・・・いうわけだからじゃないのですが、門外漢ながら愉しく読めました。科学・科学者に関するコミュニケーション史、メディア史>ヴィッカリー著「歴史の中の科学コミュニケーション」http://t.co/bis9O3jm
  • 18:35  大学院・中原ゼミ。今日の英語文献、レビューが勉強になる。Google booksで読めるようです。Wayne Baker「A dual model of reciprocity in organizations」http://t.co/Htj0cxum #nakaharalab
  • 17:10  大学院・中原ゼミ(@nakaharalab)。研究発表はD3の舘野君、脇本君。英語発表は木村君。Baker「組織における互恵性のモデル」#nakaharalab
  • 15:00  私大文系版・私大理系版だとどうなるんでしょうね? RT @y_hirose 学生サボるなよ!国立でこれだから私立は(*_*) RT 国立大学に4年通ったら約245万円。120単位だとして1単位分2万円、1授業2単位だったら1授業あたり4万。1講義90分であたり2700円。  [in reply to y_hirose]
  • 14:00  国立大学に4年通ったら約245万円。仮に120単位だとして1単位分20500円。つまり1授業2単位だったら、1授業あたり41000円。1授業15回の講義があるなら1講義あたり2700円。1日に仮に3授業くらいをとっていたら、1日あたり8100円くらい支払っている計算になりますね。
  • 13:05  以前僕も藤田さんに「お名紋」をつくっていただきました(感謝)。僕のお名紋はこちらです http://t.co/RGkLJlNz > ロールモデルを探せ!藤田朝美さん: http://t.co/nhIOs7ny
  • 12:53  国際大学間アライアンス>修士2年のうち最初1年を欧州の大学、2年目の前半を阪大で学ぶ:阪大、留学で2つの修士号 欧州3大学と共通課程(yomiuri) : http://t.co/7hp3c5TB
  • 12:41  「REMIX2011@neomuseum」のFacebookページに、参加予定者の方々から続々と書き込みが(感謝!)。イベントとFacebookの連動は、今回はじめての挑戦だけど、結構面白いかも。 http://t.co/CDXdrlmb #neomuseum
  • 11:02  3/19 テアトロフォーラム「人材育成の未来をACTする:職場学習の探求出版記念」(中原研×生産性本部)の参加申し込みは12/19スタート予定です(110名抽選)。もしご都合あうようでしたら、ぜひお越しください!#teatrojp2012
  • 11:01  3/19 テアトロフォーラム「人材育成の未来をACTする:職場学習の探求出版記念」(中原研×生産性本部)を内田洋行ユビキタス協創広場 CANVASで開催決定。即興劇・研究発表・カフェなどを統合した新たなスペクタコー。スケジュール帳にメモをお願いします!#teatrojp2012
  • 07:33  某経営系学会・査読終了。8時から会議。あと27分か。コーヒーでも飲むか。
  • 07:00  朝、まだ薄暗い中、研究室に来たら、大学院生の @mitsuru_3261がいてびっくり。5時から原稿を書いているのだとか。精が出ますな。良いことあるよ、きっと。
  • 04:31  山田先生、ご無沙汰です。愛媛「ラーニングBar」のお取り組み、ぜひ愉しんでください!RT @tsuyomickey 紹介ありがとうございます。中原さんらの取組にインスパイアされています。RT 「いよココロザシ大学」で「ラーニングBar」http://t.co/JJJEG4dG  [in reply to tsuyomickey]
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■2011/12/05 Twitter

  • 17:26  いよココロザシ大学の他にも、公務員・民間企業の方々などで、ラーニングバーをヒントに、様々な場作りにチャレンジなさっている方々がおり、メール等をただきます(感謝!)>どうか素敵な出会いをと学びを!「知がめぐり人がつながる場のデザイン」 http://t.co/l9dRcfKY
  • 17:22  愛媛「いよココロザシ大学」で「ラーニングBar」が開催されるようです。「良質大人時間」というキャッチコピーいいですね。学びの技術はオープンソースです。その様子をさらに公開していただけると、またさらに輪が広がるかも。Have fun! http://t.co/JJJEG4dG
  • 12:10  某書の編集作業。各章を精読し、著者の方々に最終修正要求をお返しする。8章分終わった、残り3章を今日中に。最後の一山、〆切すれすれ、年末綱渡り。
  • 09:09  保育園送り迎え。ママチャリ、爆走。風きって、寒い。しばれるねー。さ、仕事しよ。頑張る。
  • 09:03  小林さん、愉しく読むことができました。学環教育部でご教授なさっていると水越先生から伺いました。今後接点があることを愉しみにしています。@kobahen 著者です。中原先生ありがとうございます!RT 「メディア化する企業はなぜ強いのか?」 http://t.co/dX8ZrczY
  • 09:00  現代大学生の学びとキャリアをデータと実践で理解する>『大学生研究フォーラム2011』講演録公開 『IKUEI NEWS』vol.56 (PDF) : http://t.co/aO7YNz7s
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投稿者 jun : 2011年12月 7日 17:38


万物はメディア化する時代を、組織・個人はどのように生き抜くか? : 小林弘人著「メディア化する企業はなぜ強いのか?」を読んだ!

 万物は「メディア」である

 僕はこの言葉が好きです。
 僕は「メディア論」は全くの門外漢ですが、過去15年以上のメディア論に関する「ヘタの横好きの読書(たぶん理解は伴っていない)」の結果、印象に残ったメッセージは、このセンテンスです。

 ここでメディアとは、「物質的なものが記号活動を支える媒介と化した状態」(石田 2003)と、広範囲に定義しておきましょう。メディアとは、「物質が物質であることをこえ、記号として機能しはじめるプロセス」のことを差し示す概念です。

  ▼

 小林弘人著「メディア化する企業はなぜ強いのか?」(技術評論者)を読みました。

 本書は、表面的に読めば「ソーシャルメディア時代の企業のマーケティング戦略を論じた」本だと思います。

 企業自らが、ソーシャルメディアを駆使して、自分の言いたいこと、主張したいことをメッセージ化・コンテンツ化して、発信し、ユーザーのあいだにコミュニティを構築する・・・そうしたプロセスを経験する上で、留意するべきことが、詳細に論じられています。

 経営者、広報企画者の方々にとっては、非常に参考になる内容だと思います。
 また、人事施策の普及・人材開発の実施、いわゆる「デリバリー」を、「社内コミュニケーションプロセス」と考えるのであれば、人事担当者の方々も参考になるところが多いのではないでしょうか。

 しかし、小林さんが、本書に込めた最も大切なメッセージは、「企業・組織とはメディアである」ということではないか、と思います。
 言葉を換えるのだとすれば、ソーシャルメディア時代には、否応なしに、「企業・組織は、メディアとして機能せざるを得なくなる」ということですね。

 もちろん、このことは、これまでもそうだったのですが、ソーシャルメディアの登場によって、組織自身がメディア所有・利用することの敷居が非常に低くなり、その影響が格段に顕在化しやすくなる、ということですね。

 本書で詳細に論じられているように、多かれ少なかれ、今後、5年 - 10年・・・情報のイニシアチブは、「組織」ではなく、「ユーザー」の方に移ってくるでしょう。
 マスメディアが、すぐに「不要」になることはありませんが、これまでのように、莫大な資金を投下し、大手メディアをジャックし、それをもって「情報統制」を行うこと、「自分の伝えたい情報だけを選択的に伝達すること」の実効は、もはや期待できません。

  ▼

 そこで必要になってくることは、メディア論の基本に立ち戻ることです。つまり「企業・組織はメディアであるという基本」に立ち戻ることです。

 日常的に、企業・組織が「メディア」として、自らの存在意義・レゾンデートル、メッセージを発信し、ユーザーの中に「共感」を生み、そこで生じた水平的な人的集合(コミュニティ)の中で、循環的な生産 - 消費活動を可能にすることが求められている、ということなのだと思います。

 それは否応なく - つまりは経営者や広報担当者が望むと望まないとに関わらず - 近い将来の「経営課題」になると、僕は思います。

  ▼

 本書の読後の感想として、2つの事を思いました。
 ひとつめは「絶望と翻訳」です。

 例えば、今、ここに書いてあることを、仮に、ひとりの熱意ある実務担当者が、経営陣や上役に伝えようとする。

 おそらく、その内容は、ソーシャルメディアに一度も触れたこともない経営陣には、伝わらない可能性が高いのではないか、ということです。「企業・組織がメディアである」という感覚は、なかなか理解されないことと思います。

 その際に、「心ある実務担当者」は「絶望」を感じつつ、一方で、どのような「翻訳」を試みるのか。あるいは「絶望」の果てに、企業を後にするのか。そこが試金石ですし、もっとも「知性」の必要なところなのかな、と感じました。

 もし僕自分が、実務担当者だったら、どのような「翻訳」「言説の転換」を行い、説得を行うかを考えながら、読まさせて頂きました。

 ふたつめ。
 それは「メディア化」するのは・・・否、「メディア」であるのは「企業・組織」だけではない、ということです。

 ひと言で述べるならば、

 「個人もメディアである」

 ということになるのでしょうか。

 もちろん、この仮説の指し示すところが、どの程度、顕在化しやすいかは、人々の置かれている社会的コンテキストに相当程度依存します。
 そこには「自分自身がメディア化する個人」と「他人によってメディア化された世界に生きる個人」という、これまた「生臭い論点」が生まれうるのですが、そのことは、また別の機会をもって論じましょう。

 しかし、特に、「プロフェッショナリティを行使しようとする個人」にとっては、自らが「メディア」になることで、仕事のあり方が大きく変わってくる時代に突入しているように感じます。

 還元するならば、否応なく、自らが「メディア」として機能しはじめる、ということなのかな、と思います。そんな時代に、個人はどのように生きていけばいいのでしょうか。

 以上、本書の感想でした。
 そして人生は続く。

(ちなみに、僕の所属組織「大学総合教育研究センター」のセンター長、吉見俊哉先生は、近著「大学とは何か?」(岩波新著)で、大学の存立の歴史をメディア論の立場から考察していらっしゃいます。先日お話しした際に、吉見先生は「大学とはメディアである」とおっしゃっていました。大学をメディア論の観点から読みとくこちらも、従来の高等教育論にはない視点で、非常に勉強になります)


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■2011/12/04 Twitter

  • 07:52  編集をなさったのですね、お疲れ様でした。これからブログを書かせて頂きます。RT @andorakia 中原先生に読んでいただけた!ありがとうございます。 RT 面白かった。「メディア化する個」>「メディア化する企業はなぜ強いのか」読了 http://t.co/5lOb5L80
  • 07:50  金井先生、REMIXで、お逢いできますこと愉しみにしております。抽選の末、120名程度の方々にご参加いただける予定です。RT @tkanai1954 吉野でのイベントが今から楽しみです。ご参加される方は、総勢ではどれぐらいの人数なのですか http://t.co/ZHbYQnHf
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■2011/12/03 Twitter

  • 20:57  面白かった。書名の「企業」を「個人」に変えて、僕は読んだ。「メディア化する個」>小林弘人さん(@kobahen)著「メディア化する企業はなぜ強いのか」読了。http://t.co/5lOb5L80
  • 20:44  REMIX2011のFacebookページ、オープンしました。こちらでも、少しずつ、近況をアップロードしていきます。どなたでもご投稿できます。どうぞご利用ください。 http://t.co/N1lG7KLv
  • 20:08  興味深い:京都造形芸術大学が作った、小学校に行く前の子どもと大人が通う混合保育園>RT @tomokihirano 親子一緒に入学? 「こども芸術大学」の画期的幼児教育:日経ビジネスオンライン: http://t.co/9r6peHD9  [in reply to tomokihirano]
  • 17:01  REMIX2011まで、あと一週間。参加者の方々には、ポートレイト、ハナシタイコト、クツシタ、プレゼント、スパイス、クリスマスという6枚のカードで、当日までのミッションを贈りさせて頂いたようです。とても楽しみです。 http://t.co/dJdEOTCG #neomuseum
  • 13:58  TAKUZOと科学未来館 http://t.co/UBn5lqpQ
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■2011/12/02 Twitter

  • 20:59  本日、某IT企業にて人材育成に関するディスカッションをしました。事業の比重が「クラウド」にうつっていく中で、求められる人材像も変わってきています。ある方が「今まで、テーラーメード洋服屋だったのに、突然、貸衣装屋になれと言われているようなものだ」と漏らした感想が印象的でした。
  • 20:48  人生の内省>人生には、振り返って初めてつながって見える「点」があります。将来をあらかじめ見据えて、「点」と「点」を繋ぎあわせることなどできません。できるのは、後から繋ぎ合わせることだけです。(Steve Jobs)
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■2011/12/01 Twitter

  • 14:39  駒場授業「メディア創造ワークショップ」。今日は映像ディレクターの大房さん(@junofusa)、青学の映像ラボの方々をお招きして、映像編集の技法を演習。
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■2011/11/26 Twitter

  • 06:07  ブログ更新。「エル・ブリ - 世界一予約のとれないレストラン」を見た!:ここは料理の「実験室」! :ひとつひとつの食材に対して、果てしない「実験」が繰り返されます。その果てに「創作」があります。http://t.co/19R3keeu
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■2011/11/25 Twitter

  • 06:07  論文校正終了、投稿。空が明るくなってきたか、本郷キャンパス。
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投稿者 jun : 2011年12月 4日 08:35