「たかが意味、されど意味の時代」・・・会社・組織で起こっている問題の「ねっこ」は何か!?

 現代を一言で表現するのだとすると、中原さんは、何の時代だと表現しますか?

 先日、ある取材で、ふいに尋ねられました。メディアに流布する「なんとかの時代」という「物言い」には、少々食傷気味のところを感じていたので、お答えするのに少し困惑しましたが、別に「僕が、今ここで、個人的意見を述べたからといって、明日また太陽は昇るし、地球は回るよね」と思い立ち(笑)、お答えすることにしました。

 「"意味の時代"ですかね」

 記者さんは、この唐突な僕の言葉にあっけにとられ、一瞬「ハニワ」のような顔になったことを僕は見逃しませんでした。僕は「やっぱり言わなければよかったな」と思いました。その後、その話は全く盛り上がらず、次の話題にうつりました(泣)

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 意味の時代・・・

 もう少し詳しく言うと、

 人が何かをなすとき、何かを決めるときに行う「意味づけ(Sense-making)」の意味が、今までよりもさらに「重要」になってくる時代

 ということです。
 逆にいうと、ほおっておくと、「意味が喪失しやすい不確実な時代」「意味がわからなくなりやすい不安定な時代」とでも言えるのかもしれません。別の言葉で言うならば、「人々が意味を求めて浮遊する時代」とも言えるのかもしれません。

 例えば、今、会社・組織で起こっている問題・・・

1.新入社員が、働きがいを見いだせず、職場になかなか順応できない
 =この組織で働くことの「意味」がゆらぐ
 →(組織社会化)のラベル

2.職場のメンバーが、連帯・連携して新たなものごとに挑戦できない
 =何に連携・連帯する「意味」を見いだすのか、が課題になっている
 →(組織活性化・ビジョン共有)

3.中堅社員が、人生における仕事のあり方を模索している
 =人生に仕事を「意味」づけることがむずかしい
 →(キャリア問題)

4.組織の理念が浸透できない
 =組織がめざすものと自分の仕事のあいだに「意味づけ」ができない
 →(組織理念・ミッションマネジメント)

 それぞれ、こうした個々の問題は「組織社会化」「組織活性化」「チーム形成」「キャリア」「組織理念」という、別々に分かれた「ラヴェル」のもとで問題領域が形成されます。その上で、それぞれに専門分化した学問領域において研究がなされています。現場では、様々な人々によって、今日もなお、様々な「処方箋」が打たれています。

 しかし、僕の目から見れば、「ねっこ」は同じものに見えます。それが「意味づけ(Sense-Making)の難しさ」です。

 「要するに、意味だろ!、意味」

 という感じです(笑)。怒らないでね、石投げないでね。

 このブログは「専門書」「研究書」ではないので、それぞれ個別の課題の定義や「細かい違い」は無視します(笑)。
 「細かい違い」はもちろんあるんだろうけど、要するに、これらの問題に通底する点は、「不安定・不確実な時代にあって、人が働くこと、生きること、行動することの「意味づけ」を行うことが難しくなっている」という事実であろうと、僕は思うのです。

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 けだし、人間は自ら「意味が見いだせない」中で働くこと、動くことが難しい生き物です。もちろん、意味だけで人は生きているわけではないけれど、それを無視して生活できるほど、人は強くない。それで、意味の喪失という状況に対応して、様々な問題が組織に噴出している。そういうことなんだろうな、と思うのです。

 かつては、「意味」は明確に与えられたのだと想います。
 「安定した雇用慣行」「右肩上がりの経済」と「疑似家族的な職場の雰囲気」の中で、「深く意味を探求せずとも」仕事ができたのに、それができなくなり、「意味」が揺らぎ、喪失しかけている。「不要とされる不安」におびえながら、目の前の仕事を「こなすこと」に、人々が辛さを感じている。

 もちろん、「人は意味だけでは生きていません」。しかし、「意味が見いだせなくても生きていけるほど、人は「強い存在」ではない。このこともまた事実のように思えるのです。

 だから逆にいうと、自ら「意味づけをなす機会」を計画的・戦略的にもつ必要がある。また職場で「意味づけ」を行う機会」を何らかのかたちでもつ必要がある。

 つまり、意味を構築する作業・・・僕の言葉でいうのならば「学習」の機会をどこかで持たなければならない。それが「キャリアカウンセリングの機会」だったり、「新人フォローアップ」の機会だったりするのではないかな、と思うのです。そういう「機会」のことを総称するラヴェルとして用いられているのが「人材育成」というラベルであるようにも感じます。

 というわけで、やや乱暴な物言いかもしれませんが、僕の目には、それぞれの問題の「ねっこ」は同じものに見えているのです。

 「たかが意味、しかし、されど意味の時代」。

※ここで僕が述べていることは、社会構成主義(Social Construtivism)という哲学的立場、思想に強い影響を受けています。ただし、ここではそれには深入りしません。もしよろしかったら「ダイアローグ 対話する組織」(ダイヤモンド社)という長岡健先生との共著をご覧いただければ幸いです。やや危険な断言を繰り返しつつも、ビジネスパーソンの方になるべくわかりやすく「社会構成主義」について解説してある本です。

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 もちろん、意味の"意味"は確かに「重要」ですが、それが「過剰」に「極大化」「肥大化」すると、それはそれで問題が発生します。

 人は「意味」に「過剰」に捕らわれるようになるのです。もっと気楽に考えれば、あるときは流されドリフトしていければ、何の問題なく生活できるものを、「意味」にとらわれ、呪縛されることもないわけではありません。一頃の「自分探しブーム」とは、その現れであろうと僕は思います。

 どこかで聞いた「ある話」が忘れられません。
 ある職場で、若手社員の方が仕事を辞めたいと上司に言ってきた。

「仕事の意味が見いだせません。ここで働く意味がわかりません。」
 
 若手社員の方は、上司に「意味」という言葉を連呼します。
 これを聞いていた、上司の方が思わず口に出してしまった一言は、

「オマエに意味が重要なのはわかった。でも、オマエは"意味"だけで生きているのか? 意味が見いだせなくても、仕事に取り組む期間も若い頃には必要なのではないのか?」

 世の中で本質的なことがすべてそうであるように、「意味」もまた「諸刃の剣(Double edge sword)」です。
 それは個人の行動の源泉になることもあれば、チームの連帯感を高めることもある。反面、とらわれの個人をつくることもあればチームのなれ合いを生むことになる。時には「意味を見いだす局面」も必要ですし、場合によっては「意味をスルーする局面」も必要なのかもしれません。

 フワフワ感の漂うが、それでいて時に強固に人間に影響を与える、この「意味」というすさまじきもの!
 意味浮遊、意味喪失、あるいは意味過剰の世の中にあって、わたしたちは、この「すさまじきもの」につきあっていかければなりません。そして、マネジャーやリーダーは、この「すさまじき」ものを「マネジメント」しなければならないという「アポリア」に直面しているのかもしれません。

 あなたは、「意味」をつかんでいますか?
 あなたの職場には、みんなが共有できる「意味」がありますか?
 あなたは、「意味」をスルーしていますか?

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■2011年1月30日 中原Twitter

  • 20:44  PARTYstream 総括ディレクター @makimuramahoさんによるリフレクション。「私たちのしかけを越えたところで、みなさまが色々なやり方で自ら実践してくださった」という言葉が印象的で、心にしみます。牧村さんお疲れ様、皆様感謝! http://ow.ly/3MK1S
  • 19:30  物静かでも挑戦する若者はいるのでは?タイトルに違和感あり。それに、これは「一芸」なのか?>「おとなしい学生は採らない!富士通、一芸採用枠3倍に」:富士通一芸採用枠3倍に:「組織になじめなくてもいいから挑戦する若者が欲しい」(朝日) http://ow.ly/3MJ8G
  • 19:28  笑>@akikosugaya @joesakai 見た>なごんだ(笑)。RT: なごむ。見るべし>「すごく...エジプトです。」 http://twitpic.com/3uiptv  [in reply to AkikoSugaya]
  • 19:21  それにしても、「ラーニングイノベーション論」卒業生の皆さんはすごいですね。講座中はメーリングリストで活発な議論、一方、リアル勉強会・裏カリキュラムは企画しちゃうわ、終わったあとは、Facebookにコミュニティ活動しちゃうわ。大人の学び、全開ですね。
  • 19:21  「暗闇の中で結束固める研修」明日1月31日(月)・NHK BIZスポ・午後11時25分。ダイアローグ・イン・ザ・ダークでるみたいですね。録画予約しました。先日僕も出かけてきましたので、とても楽しみです。ラーニングイノベーション論2010年卒業生・今永さん情報です(感謝!)。
  • 17:57  世界から見た日本の若者の雇用の現状>RT @kanetaka_jp: このNew York Timesの記事はまじ必読だと思う。海外から日本の雇用状況がどう見られているかが良く分かる。 http://nyti.ms/fHA7L2"
  • 17:55  いろんな「ソウショクケイ」いるんですね>@hashi26r 女の子に手を出せないのが「草食系男子」、二股するのが「双食系男子」、無駄に着飾ってるのが「装飾系男子」、就活生は「捜職系男子」、お坊さんは「僧職系男子」、起業するのが「創職系男子 」
  • 15:17  笑!RT @ikejiriryohei: あw RT @salily1214 あwRT @YukiAnzai: レゴが僕の修論を読もうとしている。誰だこれやったのw http://twitpic.com/3uqyy3
  • 13:00  ラスボス「ブレドラン(!?確か、そう言っていたような)」との闘いですね。今日はTAKUZOと二人で見てました。@ryotasano ごせいじゃー次週最終回らしいですよ(ソース:うちの子)  [in reply to RyotaSano]
  • 12:51  TAKUZOのヘアスタイルも、小生と同じ「寿司屋カット」になった。もっと増やしたい。
  • 12:01  TAKUZO、美容室にてカット。短髪にするべし。 http://instagr.am/p/BSKFR/
  • 11:01  TAKUZO、水の中でなぜか爆笑して、笑いが止まらなくなり、あえなく不合格。何という、落ち方だ(笑)腰がくだける。
  • 09:50  TAKUZOプール。進級テスト。
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■2011年1月29日 中原Twitter

  • 20:18  昔懐かしい「森のクマさん」のイッキコールで、TAKUZOに牛乳をイッキ飲みさせる。牛乳は「気合い」だ。
  • 20:10  NY最新レポート「著者の90%がセルフパブリッシングに興味を持っている」RT @ro_mi「PUBLISHERS WEEKLY」が先日ニューヨークで開催された「Digital Book World」のレポートをアップ。 http://tumblr.com/xbf1d79982  [in reply to ro_mi]
  • 20:00  もしできたら利用者多そうですね。RT@sudodon1311 多摩川にランニングステーションできないかな。もちろん、自転車もOK RT オープンカフェとかできそうですね、多摩川河川敷とかに>河川敷に出店可能に 国土交通省・商業利用に開放予定(日経)
  • 19:58  「ケツカッチン」と「テッペン越え」ですね(笑)あまり頻度は高くないですが、意味はわかります@iimenmasako 「ケツカッチンは何日」「帰るのはテッペン越える?」はどこから? RT ディレクターの妻は、日常会話に「巻き」とか「押し」とかいう言葉が入る。  [in reply to iimenmasako]
  • 18:46  最近、よく言われますね、髪短くしたあとの中原さんは「寿司屋さん」みたいだね、と(笑)。アイコンも、それにあわせてみました。RT@khachaturian お寿司屋さんみたい。(アイコンが!)
  • 18:43  仮面ライダーオーズのメダル高っ! こったらプラスチックのメダルで2000円以上するってか。どうかんがえても、なめてる。カミサンは、プリンタでメダルを印刷して、ボール紙に貼ってた。うちは、それでいこう。ボール紙でいい。http://ow.ly/3MqPQ
  • 18:36  「今日の夕食は1時間巻きで行こう」「今日のお出かけは一時間押しだね」・・・テレビディレクターの妻は、日常会話に「巻き」とか「押し」とかいう言葉が入る。
  • 17:15  オープンカフェとかできそうですね、多摩川河川敷とかに>河川敷にカフェなど出店可能に 国土交通省・商業利用に開放予定(日経)
  • 17:10  面白い。紙芝居セットの中で自己を物語る>@makimuramaho 紙芝居型自己紹介なう。あたらしい! http://yfrog.com/h89dibaj  [in reply to makimuramaho]
  • 17:09  RT @akyoshi たとえば、平面/立体/空間、素材(紙・ねんど・木・金属...)、表現手段(文字、絵、写真...)、画材(鉛筆、クレヨン、絵の具...)などを、目的によって組み合せて「造形」の課題をつくります。  [in reply to akyoshi]
  • 17:09  面白そうですね>@akyoshi 小学校の図画工作を大人向けにアレンジした課題や、美術やデザインの基礎教育をもとにして、描いたり作ったり体験的に学ぶ課題もできそうです。五感を働かせて表現するのも良いと思います(音を文字や色、形にする、手触りをもとに描く)。  [in reply to akyoshi]
  • 07:53  いい言葉ですね>RT @tkanai1954: 速く歩きたければ、一人で歩け。遠くまで歩きたければ、だれかと一緒に歩け。(アフリカのことわざ アダム・カヘンの引用)
  • 07:36  吉橋先生ご無沙汰しています。美術大学のご専門の方とご一緒にWSなどさせていただくのも素晴らしいですね。例えばどんな造形教育がおありなのでしょうか?RT @akyoshi 面白そうです。創造性を高める造形教育はいろいろあります。RT「After Five Kindergarden」  [in reply to akyoshi]
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■2011年1月28日 中原Twitter

  • 23:29  「After Five Kindergarden」というコンセプトの会を風呂場で思いついた。就業後、大の大人が集まって、「創造」をする。ねんど、とか、お絵かきとか、砂遊び、とか。
  • 23:27  「NAKAHARA-LAB in the Dark」というUST番組も面白いかもしれない。大学の中原研究室から夜に中継。あきらかに「ダイアローグインザダーク」からのパクり(笑、ごめん)。
  • 22:51  と、柄にもなく、熱苦しくなってきたところで(笑)、今日は、もう寝ます。おやすみなさい。皆さん、素晴らしい週末をお過ごしください! Have fun !
  • 22:49  新著に、密かに隠された思いとしては、以前にブログの記事(http://ow.ly/3LUHL)で書いたこともありますが、「事務局」とよばれる仕事をなさっている方々を応援したいし、「バックステージの実践知」にスポットライトをあててみたい気持ちがあります。それはすごい知性なんだ、と。
  • 22:49  新著はあくまで「みなさんの議論のたたき台」になるつもりで書いていて、たぶん、賛否両論含めて、いろんなご意見がでてくるんだと思いますし、それでいいと思っています。そうした対話の機会、違いがわかる機会を、敢えてつくることで、「場づくり」をする人々を応援したい、という思いです。
  • 22:48  新著『知がめぐり、人がつながる場のデザイン』がでて少したったら、これを「たたき台」に、「ワークショップ」や「人がつながる場」について勉強・対話できる機会をつくりたいな、なんて思いつきました。USTしてもいいかも、でも、リアルもいいかも。ゆるく。http://ow.ly/3LUOK
  • 22:33  企画者の方々のパッションとおもてなしの心がいきとどいた素敵な場でした。RT @terasunari: すばらしい!こういう学びの場/いいですね〜  RT ワークショップの休憩時には「お茶」の。愉しくて怪しくて、素晴らしい。 @shi_zu http://ow.ly/i/7BQ6
  • 18:30  そうなんですね。情報感謝です。RT @mami_k: 自殺率の低い地域の特徴じゃないかといわれています。 RT 「違いのない集団」や「権力の高低のない集団」が「よい集団」ではない。求めるべくは「権力の差があっても、違いを隠さず表明し、共有できる集団」なのではないか。
  • 17:24  ワークショップの休憩時には、「お茶」のサービスです。愉しくて怪しくて、素晴らしい。 http://ow.ly/i/7BQ6
  • 16:32  人のやるワークショップを見学するのも勉強になりますね。
  • 11:50  ブログ更新。新興国人材採用狂想曲!? : 職場、マネジャーの受け入れ体制は十分なのか? 日本企業・職場・マネジャー・メンバーは変わることにひらかれているのか? http://ow.ly/3LGQY
  • 11:19  最近、髪をバッサリ短く切ったので、アイコンも変えました。「寿司屋」とか「芸人・はなわに似てるよね」とか言われています。RT @akikosugaya アイコンが別人w 新著『知がめぐり、人がつながる場のデザイン』http://ow.ly/3LFL7  [in reply to AkikoSugaya]
  • 11:08  新著『知がめぐり、人がつながる場のデザイン』がAMAZONにでました。ただいま予約受付中だそうです「人をつなぎ、知を共有する場をつくること」に興味をもってくださる方にはぜひ。僕も実践家の一人として書きました。http://ow.ly/3LFL7
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