右肩あがりのグラフは「何」を示しているのか?
さて、皆さん、しょっぱなから「問題」です。
このグラフ、「何」をあらわしていると思いますか?
・
・
・
・
・
・
・
答えは、「人材育成という言葉がどれだけ新聞記事に出てきたか」です。
朝日新聞社のの記事データベースを使って、「人材育成」という言葉が新聞記事の中で何回使用されていたのかを、1年ごとに集計しました。
1980年代中盤にはわずか1年間で8回しか用いられていなかった「人材育成」という言葉が、2009年には650回も用いられるようになります。私たちの知っている「人材育成」の語の利用は、わずか25年の間に「爆発的」に広がっていることがわかります。
とても面白いですね。
・
・
・
「これだけ右肩あがりに回数が急上昇ってことは、人材育成が、世の中で、だんだん大切になってきたってことだよー」
「昔は、人材育成なんて存在していなかったんだよ」
とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
残念ながら、これだけのデータから、それらの「解釈」を導くことはできません。
あくまでこのグラフでわかることは「人材育成という語の利用頻度が高まってきたこと」あるいは「新聞記者が人材育成という言葉を使うようになったこと」であって、それは、「それが重要だという認識の広がり」と全くイコールであるとは限りません。
また「人材育成の語の利用頻度が低いこと」は、イコール、「人材育成が存在していなかったこと」ではありません。
これらの仮説を検証するためには、どのようなコンテキストにおいて人材育成という言葉が用いられているか、その記事の主張はどのようなものであるのかを、質的に丹念に慎重に分析することが重要になってくるでしょう。加えて朝日新聞の記事データベースが、データソースとして適当なのかどうも検証のポイントになります。
しかし「結論を導くこと」はできませんが、「仮説を妄想すること」は「自由」です。そういえば、昔々「空想は頭のこやしです」というCMもありました。
「妄想野郎Aチーム」の小生の「ほんのお遊び」に同意し、かつ、勝手気ままに無責任に「妄想」することをお許しになっていただけるのなら、 このグラフからは、「人材育成」とよばれる「出来事」に対して、社会的関心が集まり初めていることを「妄想」できるのかもしれません。あるいは「人材育成」というカテゴリで把握されるものが、人々の「問題」になりはじめていることを「妄想」できるのかもしれません。
「記事」とは、ある程度、人々の関心・世の中の社会的意義を反映するメディアであると思います。どんな情報でも記事になるわけではなく、それが記事になるためには、人々の「関心」が集まっていること、「ニュース性」があることが重要になってくるからです。
素朴に面白いですね、興味深いですね。
研究テーマになるかも?しれませんね。
▼
ちなみに、「妄想野郎」は「悪のり野郎」でもあります。
さらに、「悪のり」しましょう。
下記も同じように朝日新聞のデータベースで、ある言葉の使用回数を年度ごとに集計したものです。この言葉は、企業・組織の経営に関心のある方なら、一度くらいは耳にしたことがある非常にありふれた言葉です。
2000年代に入って急激に拡大しています。
さて、何だと思いますか?
答えはTwitterでね!
妄想、トゥギャザー!
---
■2010年7月13日 中原のTwitter
- 23:15 RT @tamdai99: 電車好きの子が育ちそうw RT JR東日本「駅型保育園」など子育て支援施設を100カ所に拡充:JR中央線沿線の八王子駅に小学校1~3年生の児童を対象とする学習室「駅型学童」を12月に開設すると同時に発表。基礎学力... http://ow.ly/2aCMu
- 23:14 You can do it !RT @Jombar: 一度そういう研究題目にお目にかかってみたい。願わくば、自分もそんな研究題目を... RT エッジが切れまくっていて、それでいて、どこか甘酸っぱく、思わず涙を誘うような研究題目を期待します>中原研の大学院生all
- 19:58 エッジが切れまくっていて、それでいて、どこか甘酸っぱく、思わず涙を誘うような研究題目を期待します>中原研の大学院生all RT @hakonyan: はわー!研究題目が!考えなきゃ〜 RT 大学院・中原ゼミ。我妻さん(M2)の研究発表
- 19:48 なるほどRT @masumind: @nakaharajun 哲学は思考を異化し、現実を異化します。現実が自己に先んじて存在するものであるならば、現実が変わるのではなく、自分が変わるに過ぎません。自己と現実が不可分であるならば自己と現実の異化は同義的になります。
- 19:02 アメリカの従業員の約25%は、現在組織社会化の過程にあり(Rollag et al 2005)、個人は平均して20年間で10.2回の職務変更を経験するそうです(Bureau of Labor statistics 2005)
- 18:59 組織社会化とは「新人が外部者から組織の内部者に移行する過程」です。組織社会化研究は、1960年代から古い研究領域ですが、その重要性は最近ますますあがってきています。なぜなら、「人々が移動し、組織を越境するようになった」からですね。(Bauer et al 2007)
- 18:56 大学院・中原ゼミ。関根さん(M1)による英語文献発表。英語論文は「組織社会化の中の新人適応:メタ分析レビュー」(Bauer, Erdogan and Truzillo 2007)。組織社会化に関するすぐれたレビュー論文。
- 18:08 大学院・中原ゼミ。福山君(M2)の研究発表:社会的ジレンマを体験するカード型ゲーム教材の開発と評価。
- 17:27 JR東日本「駅型保育園」など子育て支援施設を100カ所に拡充:JR中央線沿線の八王子駅に小学校1~3年生の児童を対象とする学習室「駅型学童」を12月に開設すると同時に発表。基礎学力要請に主眼を置いたプログラムや科学実験教室を開く予定(朝日) http://ow.ly/2aCMu
- 17:16 大学院・中原ゼミ。我妻さん(M2)のご発表:協調学習をすると大学生の学習観(学習に関する信念)は変わるのか? - エスノグラフィー&定量研究のミックスアプローチ -
- 16:59 本部・広報課の方々と打ち合わせ。
- 15:41 学内会議。
- 15:38 内省をうながすツール:1)ストーリーテリング、2)ダイアローグ、3)リフレクティブメタファ、4)リフレクティブジャーナル・・・授業では、本日の発表グループの方々の発案で「組織学習システム論」という授業そのもののあり方を、全員でリフレクションしました。
- 13:50 哲学は私たちを慣れ親しんだものから引き離す。新しい情報をもたらすことによってではなく、新しい物の見方を喚起することによって引き離す。慣れ親しんだものが見慣れないものに変わってしまえば、それは二度と同じものにはなりえない。(Sandel) ・・哲学を内省に置き換えても成り立ちますね
- 13:44 数年前、僕も個人で直島に行きました。RT @Todai_Navi【イベント情報・学外からも参加可能】8/1-4開催!高校生のための直島環境キャンプ http://utnav.jp/category.php?detail=1&id=555
- 13:42 リフレクション(内省)を整理してみました(人生いろいろ、内省いろいろ): http://ow.ly/2azu2
- 13:21 キャンパス横断して大学院授業「組織学習システム論」。今日のテーマは「内省」。1)組織学習・組織変革につながる内省をどのように引き起こすのか、2)個人ではなく組織が内省するとは何か(Organizing reflection)、3)マネジャー自らが内省する機会をいかにつくるのか?
- 13:17 お昼、学内会議。
- 10:38 小学校にて校長先生と面談。初任の先生をどのような体制で育成するのかについてお話しする。外国籍の子ども・保護者の比率が年々高まり、すでに全校生徒の1割になっているとか。校区によっては、それ以上のところも多々あるそうです。教育現場も急速な勢いでグローバル化しているのかもしれません。
- 09:43 台東区の某小学校。校長先生と面談。
- 06:31 レゴでつくられた銃撃戦ムービー http://ow.ly/2as18:僕も一度やったことがあるのですが、めちゃくちゃ難しかったです
---
■2010年7月12日 中原のTwitter
- 15:20 RT @mizuno_s: クリエイティブ・プランナー、コピーライターの私がファシリテーションを行う理由も「書くだけじゃイヤ」という気持ちから始まっています。RT ブログを更新。佐藤尚之さん(@satonao310)著「明日の広告」の紹介。http://ow.ly/29X2J
- 09:42 ブログを書きました。「ラブレターを書いても受け取ってもらえない時代にラブレターを書くこと:佐藤尚之さん(@satonao310)著「明日の広告」の紹介です。広告業界・消費者の激変の様子が、ラブレターの比喩で語られていて、勉強になりました。http://ow.ly/29X2J
- 08:24 「成功は危険です。自分の成功をコピーしはじめてしまう。そして自分の成功をコピーするのは、他人の成功のコピーすることより、もっと危険です。それは創造性の欠如を招いてしまう。」(ピカソ)
- 07:37 トコトコと歩くipad&iPhone http://ow.ly/29VFD : ヘッドフォン端子で実現とは!
投稿者 jun : 2010年7月14日 14:46
【前の記事へ移動: ラブレターを書いても受け取ってもらえない時代にラブレターを書くこと:佐藤尚之著「 ...】【次の記事へ移動: ハーバード白熱教室 in 東京大学・安田講堂 】