ラーニングイノベーション論初日、そしてラーニングバーの「裏側」
昨日は慶應MCCでの授業「ラーニングイノベーション論」の初日でした。初回の今日は、神戸大学の松尾睦先生に「経験学習・OJT研究の現在」という内容でご講演いただきました。お忙しい中、ご出講いただいた松尾先生に、心より感謝いたします。ありがとうございました。その後は、先ほど学んだばかりの理論を体験するワークショップを僕が実施しました。
松尾睦先生のWeb
http://blog.goo.ne.jp/mmatu1964
ラーニングイノベーション論
http://www.keiomcc.com/program/lin/index.html
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初日、Class of 2010の方々との初対面です。これは毎回緊張の瞬間ですよね。
信じられないことに、こちらから何も言わなくても、名刺交換などがはじまり、会が始まる頃には、かなり場が暖まっていました。
大学院授業であれ、社会人向けの授業であれ、毎回、授業の初回というのは緊張します。昨日のClass of 2010の皆さんの「卒意」には、救われました。ありがとうございました。
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ラーニングイノベーション論は、「ラーニングを通じて、業務・職場・組織を革新すること」をめざした授業です。そして、ラーニングを起こす側の人間自身が、学び手となることをめざしています。
かつて、僕はこのブログで、こう書きました。
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私は「メッセージ」が好きじゃありません。言葉が外に向かっていて、「自分自身」に向けられていないからです。
(谷川俊太郎)
特に、「この手の言葉」は、「教育の業界」に多いように思うのは気のせいでしょうか。敢えて自爆的に、かつ、自戒を込めて言いますけれども、「外に向けた言葉」が、決して、「内側」、つまりは自分には返らないことが多い。
自分とは切り離された「外側」に向けた「メッセージ」や「提言」は溢れている。しかし、その「メッセージ」や「提言」は、決して自己には返らない。
くどいようですが、自爆的に、かつ、自戒を込めて言いますが、自己のあり方を内省し、自己を問い直すことの機運に欠けている傾向があるように思うのは、僕だけでしょうか。
前にも述べたかもしれませんが、「教育の言語」「学びの言語」「成長の言語」は、それを発するものが意図しようと、しまいと、「再帰性」をもっています。
外に向けられた言語は、あたかも、ブーメランのように、自分にかえってくるのです。
あなたは、大人に学べという
あなたは、大人に成長せよという
あなたは、大人に変容せよという
あなたは、大人に対話せよ、という
で、そういう「あなた」はどうなのだ?
あなた自身は、学んでいるのか?
あなた自身は、成長しようとしているのか?
あなた自身は、変わろうとしているのか?
そして、あなたは対話の中にいるのか?
自分の外側という名の「中空」に放たれたメッセージが、行き場を失い、漂い、淀み、腐臭を発することのないように。
「教育」や「学び」について語ることとは、自分を問い直すことなのではないか、と思うのです。
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そして、この講座を実施する僕自身のメッセージも、外側や中空に向かうことのないよう、今回の講座でも新しい試みをたくさん盛り込んでいます。僕自身も「ラーニングイノベーター」で有り続けたいと願うのです。去年の反省をふまえ、講座のあり方を改善しました。愉しんでいただけるとよいのですが。
もちろん、教育には完成系はありませんし、王道はありません。今回の試みが、Class of 2010の皆さんにとって、そして僕にとって、保谷さんをはじめとして慶應MCCの方々にとっても、よい学習機会になることを願っています。
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ラーニングイノベーション論、初日終了・・・。
一方、大学では、中原研究室のメンバー、特に吉村さん(M1)を中心に、我妻さん(M2)、木村君(M2)、舘野君(D2)などが協力しつつ、木曜日のラーニングバーの準備をしています。
今回からラーニングバーは、中原研究室のメンバー、そして、外部から募集した学生スタッフの皆さんを中心に運営することになりました。
ラーニングバーを実施するために、どのくらいの仕事があるのか・・・。実は、リストにすると、こんなにあります。陰ながら、大学院生の皆さんが、こうした仕事を担ってくれているのですね。心より感謝です、ありがたいことです。
■準備段階
o 会場確保
o ML広報
o 参加者からのメール個別対応
o 申込受付
o 抽選結果の通知
o リマインダー
o 名簿作成
■講演者対応
o 対応
o 講演資料準備(付箋付き)
■学生スタッフ確保
o 募集
o 会計処理
■会場準備
o 食事注文
o 飲み物注文
o 演出準備
o 会計処理
■当日
o 荷物運び・受け取り
o 会場スタッフとコンタクト
o 会場・受付・バーカウンター設営
o 受付対応
+ 名簿チェック
+ 会計処理
+ 講演資料渡し
+ 問い合わせ対応
o バーカウンター設置
o 買い出し(必要があれば)
o タイムキープ
■後日
o 参加者問い合わせ対応
o 会計処理
今回も会場の演出には、こだわっています。テーマは・・・「内緒」。それは、今回のDirectorの吉村さんから、ぜひ、当日スピーチいただこうと思います。ぜひ、お楽しみに。
今回のプレゼンターのひとりである酒井穣さんも、素晴らしいプレゼンをつくってくれました。ありがたいことです。当日は、とても楽しみです。
吉村春美さんのWeb
http://socialinnovationdialogue.jimdo.com/
酒井穣さんのWeb
http://nedwlt.exblog.jp/
今回のLearning barは、250名満員御礼ですけれど、「ぜひ次回は」という方がいらっしゃいましたら、下記のメルマガにご登録ください。
Learning barへの参加は下記のメルマガにご登録ください。
http://www.nakahara-lab.net/learningbar.html
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今日は大学院授業+ゼミ+センターの仕事の日ですね、大忙しです。
今年度の研究もスタートしました。今年は、大学院生の有志と新たな研究に取り組むことになりました。ゼミの後、研究会がスタートしています。また、その話はおいおい。
めちゃくちゃ忙しい毎日です。正直、しんどいなと思うこともないわけではありません。
でも、一方で、「結局、自分で自分の仕事を楽しくすることなのかな」とも思います。
Hard fun!
ということで、今日もEnjoyします。
そして人生は続く。
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■2010年5月17日 中原のTwitterでの発言
- 22:50 今日は慶應MCCの初日。初日は、講義 + workshopで7時間。まさにHard fun。Class of 2010の方々と、これから11回愉しみたい。何度かclass of 2009の方々との出会いの機会もつくりたいです。http://bit.ly/czHbQ0
- 15:13 RT @beatiii: 良質なオンラインコースのデータベース National Repository of Online Courses (NROC) http://www.montereyinstitute.org/nroc/nrocdemos.html
- 12:41 Enjoy!それにしても、大人向けワークショップと子ども向けワークショップでは、いわゆる"成功"の秘訣はちがいますかね? 片方に熟達した人は、両方ともうまくできる?@nagatarey: WPL(大人)のワークショップを良くしようと思ったら何故か、子供向けのWSやるはめに(笑)
- 07:36 ブログを書きました。「グランズウェル:ソーシャルテクノロジーによる企業戦略」の書評です。組織が、あるいは、個人がソーシャルメディアとどのようにつきあうか、その前になすべき事は何か? http://ow.ly/1LLuJ
- 07:06 語ることは、最も注目されてる概念のひとつですね!http://ow.ly/1LL5p http://ow.ly/1LL5W http://ow.ly/1LL75 RT @takayuki_shmz: WSでは説明でなく、物語を語ると言われました。RT LEGO WSの意味
- 03:15 情報ありがとうございます!RT @KeikoOnishi: @nakaharajun シリアスプレイ開発されてる Jesper Just Jensen氏。6月20日未来館にて講演されます。http://bit.ly/amLIiG
- 00:26 LEGO WSの源流:あとは、LEGOを創ったあとで「他者に語ること/語り合うこと」の意味、ということで、(http://ow.ly/1LGP6 )(http://ow.ly/1LGQ7)などがヒントになるかもしれませんね。
- 00:13 LEGO WSの源流をたどるなら、Papertさんが最も影響を受けたピアジェを(http://ow.ly/1LGBw)、(http://ow.ly/1LGCn)(http://ow.ly/1LGD9)が入門書。現在の研究の中心地は、( http://ow.ly/1LGEU)。
投稿者 jun : 2010年5月18日 08:49
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