「人勢塾:ポジティブ心理学が人と組織を鍛える」を読んだ!
金井壽宏先生(神戸大学大学院経営学研究科長・教授)からご献本いただいた「人勢塾:ポジティブ心理学が人と組織を鍛える」(小学館・近日発売になります)を拝見しました。
人勢塾は、金井先生、平野先生、高橋先生らが中心になって立ち上げた「ポジティブ心理学を組織と人事に応用するための研究会」です。本書は、この研究会の2009年春「第一期人勢塾」の記録となっています。ゲストらによる講演、金井先生の解説、参加者のフィードバックから1章が構成されています。
内容は、
・ポジティブ心理学とは何か?
・感謝の意味 ー サーバントリーダーシップ
・強みを活かした組織づくり(ギャラップ社のストレングスファインダー)
・チクセントミハイの「フロー体験」
・マズローの「ピーク体験」
・HRから組織を変えるとは何か
といった内容になっています。各章には、南九州大学の島井哲志先生、資生堂の深澤昌久人事部次長、ギャラップ社の小屋一雄さん、リーバイスやナイキ本社で人材開発・組織開発をリードしていた増田やよいさんなど、ゲストスピーカーの方が、それぞれのテーマについてお話になっています。
冒頭において、ポジティブ心理学とは何か、について理解を深め、次第に各論、各領域における実践論に入っていくという内容でしょうか。「人間と組織が持っている強み、よさに注目し、さらにそれを伸ばしていくことが重要である」というメッセージは、本書全体で一貫していると感じました。
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本論からは、ややズレますが、金井先生の「あとがき」にあった3行が印象的でした。
この本が世に出る頃には、わたしは、神戸大学大学院経営学研究科長・経営学部長となる。就任時に、この書籍を、全職員・全教員に配るつもりだ。日本も暗く、大学も暗いときに、この本を。
不遜な言い方になるかもしれませんが、素直に「こういう学部長は素敵だ」と思いました。「大学の暗さ」は、僕も「大学人のはしくれ」として、よくわかります。それでも、先生は、この本を「全職員・全教員」に配るといいます。「全教員」だけでなく、「全職員」に。大学のキャンパスを歩く人々のも暗く、うつむき加減になって、下を向いて歩きがちな、この時、まさにこの時に。
金井先生は、ポジティブ心理学・組織論をアカデミックに探求なさるだけでなく、実践なさろうとしているのだな、と感じました。本書は、ポジティブ心理学の入門書、否、ポジティブ心理学の実践論としても、最適な一冊なのではないでしょうか。