サードプレイスコレクション2010報告記

 先日、六本木super deluxで開催された「サードプレイスコレクション2010」の報告記がアップロードされました。

 サードプレイスコレクション2010とは、家庭でも職場でもない第3の場"サードプレイス"に関わる多くのゲストをお呼びして、これからの時代に必要な「学び」の可能性について考えるパーティーでした。

サードプレイスコレクション2010
http://bit.ly/bdhJN1

 企画&ディレクションは、ワークショップ部。構想から半年かけて、下記のような体制で開催されました。

○企画&ディレクション
ワークショップ部
舘野泰一(東京大学大学院博士課程 中原研究室)
安斎勇樹(東京大学大学院修士課程 山内研究室)
牧村真帆(東京大学大学院修士課程 山内研究室 修了)

◆WEB:http://utworkshop.jimdo.com/
◆Twitter:http://twitter.com/workshop_bu


○ステアリングコミッティ
長岡健(産業能率大学)
上田信行(同志社女子大学)
中原淳(東京大学)
熊倉敬聡(慶應義塾大学)
飯田美樹(カフェ文化研究家)
大西景子(SODA design research)
北本英光(株式会社電通)


○主催
NPO法人EduceTechnologies
http://www.educetech.org/

EduceTechnologiesは、「学び」に関する調査、研究開発、コンサルティング、実務家と研究者が集まる学術イベント(Learning barやWork Place Learning)を行う非営利特定活動法人(NPO)です。

副代表理事 中原 淳

  ▼

 サードプレイスコレクションがどのような場であったのか、どのような出来事が起こったのかについては、ワークショップ部の報告記に詳しいので、私から述べることはありません。ここでは、このイベントに対する「僕の思い」を述べたいと思います。

サードプレイスコレクション2010
http://bit.ly/bdhJN1

 僕としては、今回のイベントを通して、「独立した個としてつながる場」「個として自律しつつ、つながる場」をどのようにデザインすればよいのか、について考えることが課題でした。

 僕自身も、まだ、きちんとした「自分の言葉」で言うことができないのですが、最近、僕の中ですごく気になっているのが、この「個」と「つながる」という問題なのです。そして、そういう一見矛盾したものを可能にする「場のデザイン」がいかにあるべきか、という問題なのです。

 こういう思いは、ある程度、ステアリングコミッティのメンバーには共有されていたと思います。
 スーパーデラックスという場所を選び、ワークショップ的なインストラクションをすべて廃して、「場づくり」をするということになったのだと思います。
 この本当に難しい課題に、ワークショップ部の皆さんは「挑戦」しました。自らリスクをとっての挑戦だったと思います。

 これは、やったことのある人でしたら想像はつくと思うのですが、冗談ではなく、本当に難しいことです。

「さぁ、皆さん、グループになって集まってください。今から自己紹介をしますよ。トーキングスティックをもってください」

 というインストラクションで、いわゆるワークショップ的に「まとめること」は、ある意味で、実は、そんなに難しいことではありません。

 やや大げさにいえば、今回のサードプレイスコレクション2010の挑戦は、「予測不能な個をゆるやかに制御しつつ、個同士の関係をデザインすること」であったと思っています。
 そして、僕個人としては、もう既にある程度確立してしまっているLearning barなどのあり方を反省する意味でも、それとは別系統に、こうしたイノベィティブでリスキーな場を見てみたいと感じておりました。

 かつて、ドラッカーはこう言いました。

昨日を守ること、すなわちイノベーションを行わないことのほうが、
明日をつくることよりも大きなリスクを伴う

 現代は、何も新たな挑戦をしないことも、「リスク」です。もちろん、反面、挑戦することにもリスクはともないます。不用意にリスクを高めたいわけではないですが、僕はどちらかをとるのだとすれば、後者の挑戦するリスクをとりたいと考えています。

  ▼

 このような「挑戦」を行ったせいもあり、いくつかの課題も残すことにもなりました。その詳細は、先ほどのブログにあるとは思います。そのすべては今後の取り組みに活かしてくれると思いますし、僕自身も、内省を深めたいと思っています。

 ちなみに、最も誤算だったのは、「参加者が多くて会場が混雑した」ということです。これは、ワークショップ部の責任ではなく、僕の完全な判断ミスであったことを正直に告白します。申し訳ございませんでした。

 だいたい、この種のイベントでは参加申し込みに対して、7割程度の歩留まり率なのですが、このイベントでは、参加率が非常に高い状況でした。正直、これほど高いとは思いませんでした。非常に「嬉しい悲鳴」です。

 逆に、もっとも自分に都合よくに解釈すれば、「参加者の方々が、いまだ見たこともないような場に対して期待をもってくれた」とも言えるのではないかな、と思います。

 いずれにしても、今後、このようなイベントを開催する際には、今回の反省をふまえ、面白い場所をつくっていきたいと思っています。

 See you soon...