キレイにまとめる研修
研修講師は、どうしても、最後に答えを言って、キレイにまとめたがるのです。受講者に最後にモヤモヤとした感情を残すと、研修後に実施されるアンケートでの満足度に響くからです。だから、答えを言ってしまいます。
多くの研修とは、一番最後に「正しい答え」をだすものなのです。
中原さんの実施するようなLearning barやセミナーのような終わり方を、絶対にしません。だって、来る前よりも、来た後の方が、モヤモヤ感は増していますから。
「考えるための素材が、今、これだけあります。
で、、あなたは、結局、どうしたいのですか?
今あるものを変える必要があるのですか?どうなんですか?」
と終わりますよね。たいていの人は、悩みます。だから、モヤモヤします。通常の研修ですと、こういう終わり方をすると、満足度が下がるのです。
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ある研修講師の方から聞いた話が、ずっと忘れられません。人生いろいろ、研修いろいろでしょうから十把一絡げにはできませんけど、「へー、そういうものなのかな」とも思いました。
疑問は2つです。
ひとつめ。
まず、「正しい答え」をもらった受講者たちは、それを本当に実践し、行動にうつしてくれるのでしょうか。
むしろ「正しい答え」をもらって満足はするけれど、そこで思考停止するのではないでしょうか。
ふたつめ。
そもそも、すべての現場に適用できる「正しい答え」など存在するのでしょうか。
たとえば、マネジャー向けの研修であったとするならば、どうでしょうか。すべての現場に適用できるような万能のルールや仕組みを教えることは可能なのでしょうか。
結局は、一人一人のマネジャーが、「自分の現場の状況」にあわせて、自分のあたまでソリューションを考える他はない、つまりは、自分の現場の状況に応じて、何を変えて何を守るのかを決める他はないのではないでしょうか。
内部の人間が実行するべき「正しい答え」を、なぜ外部の人間が、知り得るのでしょうか。
主張は1つ。
もし上記の疑問1に対する答えが、それぞれ「正しい答えをもらっても行動にうつさない」「正しい答えをもらって停止する」というのであれば、アンケートで満足度を取得する意味なんてあるんでしょうか。
むしろ、満足度を取得することで、研修効果を失わせているのではないでしょうか。
人生いろいろ、研修いろいろですので、すべてをまとめて論じることはできませんが、なかなか考えさせられました。
おかげでさまで、自分の主催する会の特徴についても、よくわかりました。僕は最後に「まとめ」は行いますが「正しい答えはこうだ」とは一言も言っていないということです。むしろ、「考える素材はこれだけあるけど、さて、あなたは、どうするんですか」と言っているんですね。自分では全く気づきませんでした(笑)。
Learning barに「正しい答え」はありません。
そこにあるのは「素材」と「問いかけ」だけです。
答えをだすのは「僕」や「講師」ではありません。
答えをだすのは「あなた」です。
そして、それこそが「大人の学び」だと僕は思います。