常連さんから学ぶ:寿司屋の新人の熟達化

「寿司屋の新人は、みっちり基礎を仕込んだあとは、どういう常連のお客さんに、つけるかなんですよ。そこでいいお客さんに出会えた新人は伸びますね」

 いきつけの寿司屋のご主人が、こんなことを言っていた。
(小生、毎日寿司を食べてもOKなくらい、寿司屋好きです)

「常連のお客さんは、うちの店の味を、ある程度わかってくれている。そして、店が続いてほしいと思っている人が多い。

だから、人によりますけれど、新人を紹介して、"こいつよろしくお願いします"と挨拶すると、たいがい相手してくれる。

で、新人には頃合いを見て、常連に握らせるんです。すると、実に、的確なコメントをくれるんですね。おい、握りが甘いぞ、とかね。こないだよりはうまくなったな、とかなんて。

中原さんも、こないだ、シャリの酢の分量、ほんの少しだけ変えただけで、すぐにわかったじゃないですか。常連さんって、本当に、その店の味が舌に"ある"んですよ。

新人に親方のオレが言うと、カドが立っちゃうこともある。もちろん、人様に出せないものをだすときは、言うけど。でも、親方が、帳場で怒鳴っている寿司屋って、客としてはイヤなものなんだ。

あとね、よい仕事をしたときに、やっぱりお客さんに褒めてもらうのが、一番職人は嬉しいものですよね。

だから、寿司の場合、職人は常連さんに育ててもらうってのが、一番いいな、とオレは思うな。もちろん、常連さんには、その分のサービスを他に考えます。

もちろん、筋のいい常連さんにお店に来てもらえるってのは、オレ自身も、いい仕事をしなければならないってことなので、自分の仕事のあり方を考えなければならないです」

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 寿司屋の熟達のあるプロセスでは、「常連さん - 新人」の間の学習が、非常に重要なのかもしれませんね。

 こういう目で、寿司屋を見つめてみると、また、面白いですね。 嗚呼、なんか、また寿司をつまみたくなってきた。