経験とつながりのデザイン:ワークプレイスラーニング2009のテーマが決まった!
昨日は、ワークプレイスラーニング2009の企画委員会でした。今回で企画委員会も第三回目。今日のアジェンダは、テーマの決定と企業事例の選定です。
既に、このブログではお知らせしているように、ワークプレイスラーニング2009では、その企画のプロセスを、すべて公開いたします。
ワークプレイスラーニング2009 第一回企画委員会
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/02/post_1446.html
ワークプレイスラーニング2009 第二回企画委員会
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/03/2009.html
プロセスを公開することで、企画者である我々自身が、様々なご指摘を受けることが可能になりますし、また、ワークプレイスラーニング2009を実施する目的でもある「社会的認知の向上」につながるのかな、とも思っています。
お楽しみ下さい。
▼
昨日の会議は、東京大学で開催されました。午後6時あたりから、多くの方々にお集まりいただきました。
金子さん@グロービス
坂本さん@富士ゼロックス総合教育研究所
永田さん@ダイヤモンド社
石田さん@ダイヤモンド社
張さん@JMAM
清宮さん@日本アクションラーニング協会
石井さん@リクルートマネジメントソリューションズ
金木さん@グローバルナレッジネットワーク
柴田さん@産業医科大学
須藤さん@日本CHO協会
吉松さん@産業能率大学
長岡さん@産業能率大学
中原@東京大学
会議の冒頭、2つのテーマ案について中原から説明しました。二つの案は下記に添付する資料です。
1."育てる"から"育つ場づくり"へ:
経験とキャリアのデザイン
http://www.nakahara-lab.net/blog/20090402WPL2009ver0.pdf
2.経験とつながりのデザイン:
学びと成長をいざなう個人と組織の関係
http://www.nakahara-lab.net/blog/20090402WPL2009ver1.pdf
これら二つの案は、2回のワークショップで全員で練った方向性をもとに、中原と長岡先生で議論してつくったたたき台です。
どちらが主張として「新しい」のか?
今の時代に発するメッセージとして適当なものはどちらか?
熱い議論がなされました。
審議のすえ、今年のワークプレイスラーニング2009のテーマは、
経験とつながりのデザイン:
学びと成長をいざなう個人と組織の関係
に決定しました。文言レベルの調整は今後も行いますが、おおよそ、この路線で今後の事例選定を行うことにしました。
経験をもとに自らキャリアや能力向上をはたす「個」が求められる一方で、そうした「個」と「個」、あるいは「個と組織」の関係(つながり)を、どのように保つべきなのか。今、企業はこのアポリア(答えのない難問)に挑戦しようとしています。
今回のカンファレンスでは、この問いに挑戦する企業の方、経営者の方をお呼びして、全員で思索を深めたいと考えます。
下記に仮の趣旨説明を掲載します。
---
ワークプレイスラーニング2009
経験とつながりのデザイン:
学びと成長をいざなう個人と組織の関係
2008年10月30日(金) 午前10時 - 午後5時
東京大学本郷キャンパス・安田講堂
「企業・組織における人材育成」の「明日」を提案するカンファレンス「ワークプレイスラーニング2009」を、来る10月30日(金)、東京大学本郷キャンパス・安田講堂にて開催いたします。
今年でこのカンファレンスも3回目。ワークプレイスラーニング2007では「ミドルの学び」。ワークプレイスラーニング2008では「人材開発の新たな役割」というテーマで、約800名の方々にご参加いただき、ピア・ディスカッション、携帯電話を活用した質疑応答が行われ、新たな知の交流の場を産学共同でつくりだすことができました。
今年度のテーマは、"経験とつながりのデザイン:学びと成長をいざなう個人と組織の関係"といたしました。
今、時代は急速に変化しています。従業員のキャリアや成長のイニシアチブを、企業や個人がそれぞれ「単独」でデザインする時代は終わりを告げました。
個人が主体的にキャリアをデザインする一方で、企業は職場の経験学習を通して、個人に成長する機会や場を与えることが求められています。「職場における経験学習のデザイン」、いわゆる「経験のデザイン」が、今、企業に求められています。
その一方で、アトム化・孤立した個をいかに組織化し、組織力を発揮できるのか。「職場における人々のつながりと連帯」、いわゆる「つながりのデザイン」が同時に求められています。
今、企業は「経験とつながりのデザイン」にいかに取り組むべきなのでしょうか。
さて、そのように人材育成のあり方が変化したとき、私たちは、何をすればいいのでしょうか。
1)企業の人材開発部に求められることは何でしょうか
2)外部の民間教育ベンダーには「何」ができるでしょうか
3)いわゆる研修には何が期待されるのでしょうか。
本カンファレンスでは、これらの問いを探求したいと思います。
本カンファレンスは、公共性の高い学術会議が開催される東京大学本郷キャンパス・安田講堂を会場として産学協同の体制で開催します。社会学、心理学、教育学のアカデミックバックグラウンドをもつ大学研究者と、企業・組織の担当者が、ともに知恵をだしあい、ディスカッションを深めることをねらっています。「企業・組織における人材育成」に関係するすべての人々のご参加をお待ちしております。
ワークプレイスラーニング2009企画委員会一同
---
その後は事例の選定を行いました。というより、「選定」の前に「共有」の段階といった方が正しいかもしれません。
この日は、テーマにおおよそ準拠する事例として、一人一人が1つ以上の事例を持ってくることになっていました。皆さんのもってきた事例は、どれも興味深いものでした。ワークプレイスラーニング2009のための事例選定という作業を離れて、純粋に、僕は勉強になりました。
各人から寄せられた事例を拝見していて、どうも3つのタイプの企業があるように思いました。
1.既に強い集団があって、それに加えて個をいかす仕組みをつくろうとしている企業
2.強い個があって、その「個」と「個」をつなぐ仕組みをつくろうとしている企
業
3.強い個があって、その「個」と「組織」の関係を強固にしようとしている企業
このあたりはもう少し整理していきたいと考えています。いわゆる「個 vs 集団」「個人主義 vs 集団主義」「個 vs 組織」というダイコトミー(二分法)に陥らない、デザインのあり方を模索していかなければならないと思います。
▼
次回は、さらに事例をみんなで持ち寄り、プライオリティを決めて、依頼を開始いたします。次回の会議は4月24日ですので、GW明けくらいから、依頼が開始できるとよいな、と思っています。
ちなみに、昨日は会の終了後に、懇親会に行きました。愉しい時間でした。あっという間に時間は過ぎました。
皆さん、10月30日、東京大学本郷キャンパスでお逢いしましょう。
今年「も」、絶対に面白い会になると思います。
そして人生は続く。