カフェ研究会が終わった!: 場づくりのサイエンスとアートをめざして

「学びと創造の場としてのカフェ」(通称:カフェ研)が、金曜日、東京大学で開催されました。

 今回の研究会の目的は、下記の2点です。

1.コーヒーハウス、クラブ、サロンといった「場」が、それぞれの時代の最先端の「創造」や「学び」のインキュベーション装置として機能していた、という歴史的事実を学ぶこと

2.現在、企業・組織・学校で働く人々 - つまりは大人が、プレイフルに生き生きと、クリエィティブに働くためには、つまり、Learningful workな日々をおくるためには、どのような場が、社内・社外に必要なのかを考えること

 このような目的のもと、「Cafeから時代は創られる」を上梓な
さった飯田美樹さん、ワークショップ実践・研究の第一人者であられる上田信行先生をお招きして、ワークショップ的な研究会を開催することができました。

 今回の研究会も満員御礼、抽選となりました。金曜日の午後1時という時間帯にもかかわらず、会場のラーニングスタジオは既に満員。参加できなかった方には大変申し訳ございませんでした。

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 まずは、上田先生によるウォーミングアップのワークショップ。LEGOブロックと「指筆」というツールを使ったものでした。

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 冒頭は、主催者である中原から今日の趣旨説明。

 中原は、自分の研究の歴史を振り返り、なぜ、「組織外に大人が学ぶ場、成長する場、自分を振り返るための場をもつことが重要だ」と思うようになったのかを、解説しました。

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 その後は、飯田さんからショートレクチャー。
 飯田さんは、ご著書「Cafeから時代はつくられる」の特に6章の話 - 「新たなアイデアがCafeで創発するプロセス」についてお話をしてくださいました。

Cafeから時代は創られる - 中原の書評
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/02/_cafe.html

 多様な人々が、入れ替わり立ち替わり集い、新しいアイデアや知恵を生み出していくためには、物理的な場所、椅子・机・コーヒーだけがあればいいわけではありません。

 皆を魅了するアトラクターとよばれる人々(例えばサルトルやボーヴォワール)、常連(先達者)、主人、ギャルソンという「人々の関係」の中で、新たなアイデアは育まれます。飯田さんは、このことについて、お話をしてくださいました。非常に興味深いお話でした。

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 その後は、上田先生のミニレクチャー。上田先生が取り組んできたワークショップ実践のお話、Neo Museumにおける実践の話。そして、ワークショップの場のデザインの話(イタリアンミールモデル)についてお話をいただきました。

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イタリアンミールモデル
http://www.nakahara-lab.net/blog/2006/10/post_596.html

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 最後に、東京大学ワークショップ部(!?)の舘野君と牧村さんによる、ワークショップです。参加者の皆さんにお願いした課題は、下記の通りでした。

東京大学 ワークショップ部
http://utworkshop.jimdo.com/

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1.Dialogue on Cafe 
 あなたのまわりに、「カフェ的空間」はありますか?
 ・自分の身の回りに「カフェ」的空間があるかを話す
 ・「カフェ的空間」があるとしたら、それはどんな場なのか?
 ・「カフェ的空間」がないとしたら、どんな場が欲しいのか?
 ・「カフェ的空間」を自分が作っているとしたら
  どうやってその場を作っているのか?

2.Visualizing the Future of Cafe
 わたしたちには、こんな「カフェ」が欲しいのだ
 ・みんなから出てきた「カフェ」を書く
 ・そこに共通する要素について書く
 ・それをつくるときにポイントになることについて書く

3.Gallary Talk
 ・1グループ2名ずつ交代で発表する
 ・コーヒーをもって、ポスターをまわる

 皆さん、「理想のカフェ的空間」について、熱いディスカッションをなさっていました。

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 最後は長岡健先生にリフレクションを話していただき、中原がラップアップを行います。

 中原からは、

○「カフェ的な場」は建物と椅子があればできるのか?

○「カフェ的な場」を誰がつくってくれるのを「待つ」のか? それとも、あなたが、誰かと一緒につくるのか?

 という問いかけをさせていただきました。

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 最後になりますが、ご出講いただいた飯田美樹さん、ワークショップを実践していただいた上田信行先生、大西景子さん、舘野君、牧村さん、Educe Technology事務局の坂本君、そして東京大学大学院の大学院生 山田君、安斎君、会場にお越し頂いた皆さんに、心より感謝いたします。

 プログラムを終えても、なかなか、会場から参加者の皆さんが帰ろうとはしませんでした。これは、僕にとっても、非常に大きな「手応え」を感じました。

 ありがとうございました。

 そして人生は続く。

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