サバイバル不安と学習不安

 組織文化論の泰斗、エドガー・シャインの造語に「サバイバル不安」「学習不安」がある。

 サバイバル不安とは、要するに「生き残っていくための不安」。より具体的にいえば、「このままじゃ、オイラ、ダメになっちゃうかも、生き残っちゃいけないかも」という不安といえるかもしれない。

 対して、「学習不安」とは「新しいことを学ぶときに感じる不安」。「これまでのあり方を捨ててまで、新しいことなんて、学ぶのいやだなー」という感じの不安だろう。

 シャインによれば、人が「学ぶ」ためには、「サバイバル不安をあおるやり方」と「学習不安をやわらげるやり方」があるという。
 
 前者は「オマエ、このままじゃ、生きのこっていけんぞ、家族が路頭に迷うぞ」と恐怖をあおること。どちらかといえば、「ビターアプローチ」である。
 後者は例えば「大丈夫だよ、新しいことを学ぶ事なんて、たいしたことないよ、やればできるよ・・・」と問いかけることだろう。こちらは、(ビターと比較すれば・・・)「スイートアプローチ」とよべるかもしれない。

 実際の企業・組織では、「ビターアプローチ」と「スイートアプローチ」を適宜組み合わせて、学習を促そうとするだろう。特に、「ビターアプローチ」で自己変革を迫ることが、多いのではないか、と推察する。

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 シャインの「サバイバル不安」「学習不安」は、学習を促すときに参考になる考え方だけれど、どうも、僕にはひっかかるところがある。

 それはおそらく、これらの概念が、学習を「できれば避けたいもの」「本来的には苦痛なもの」と見なしていることによる、と思う。

 このあたりは、組織学習論や組織変革論の底流をなしている考え方のようにも思う。

 ここが、僕にとっては、考えどころもしれないな、と思う。

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