人事部のあり方を考える:ネットワークする人事

 2009年3月12日、日本能率協会の主催で「これからの人事部門のあり方を考える」というシンポジウムを開催することになりました。

HRMシンポジウム申し込みページ
http://school.jma.or.jp/hrm/

 昨年実施した「人事部門の活動実態に関するアンケート」の調査結果をもとに、「人事部門のあり方」を議論します。中原はこの調査の監修をつとめてきました。

 この調査、「ネットワークする人事」がキーワードです。この調査の質問項目を利用すると、「自社の人事部が、どの程度、事業部・経営者に対して行動をとっているか」がわかります。いわば、ベンチマークとしても、ご利用いただけると思います。

 特に事業部との関係改善につとめていらっしゃるノバルティスファーマ株式会社、三菱化学株式会社の人事部門の方々を招いてのパネルディスカッションもございます。

 ぜひお越しください!
 入場は無料です。

HRMシンポジウム申し込みページ
http://school.jma.or.jp/hrm/

 ちなみに、下記は、当日配布する質問紙調査の報告書に掲載した中原の文章です。雰囲気がわかっていただけるものと思います。

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監修者より
「ネットワークする人事」

東京大学 大学総合教育研究センター 准教授

中原 淳

 近年、人材マネジメントの「かたち」が変わりつつあります。「変化」のベクトルは、「戦略志向性」と「現場志向性」という2つが見いだせます。
 ひとつめは「戦略志向性」です。
 戦略志向性とは、経営層の掲げる「戦略」や企業が直面している「経営課題」と、いかに「人材施策」を「同期」させることができるか、ということです。人事部は、中長期な視野で、この課題に取り組むことが求められます。
 ふたつめは、「現場志向性」です。
 現場志向性とは、事業部(ライン)が直面している「ニーズ」や「問題」に、人材施策が、いかに答えることができるか、ということです。こちらは短期的なスコープでの貢献が求められます。

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 今、人事部に求められているのは、「戦略志向性」と「現場志向性」 - この二つをいかに両立するか、バランスをとるか、ということだと感じています。
 それも、上から「戦略」が与えられるのを待つのではなく、また、現場から「ニーズ」が寄せられるのを待つのでもありません。経営層や事業部に自ら働きかける、「動く人事」が求められているように感じます。
 人事部は、経営層や現場を対象にした積極的な情報収集活動、コミュニケーション活動を通して得た情報をもとに、自ら「会社の人事施策のあるべき姿 - 人に関する戦略」を描くことができるでしょうか。
 そのために、今、どんな行動を起こすべきでしょうか。そして、人事が存在するからこそ、会社に与えられる価値とは何でしょうか。

 人事部のあり方に関する「パンドラの箱」は、既に開いています。

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 本調査において私たちは、「経営層や事業部に対する関係構築活動、およびその活用」を「ネットワーク活動」という概念で把握しました。
 ネットワーク活動によって、人事部が提供する価値は、どのように変わるのでしょうか。多くの人事部は、経営層や事業部に対して、何を行っているのでしょうか。そして、何を行うべきなのでしょうか。
 本調査は、質問紙調査の手法を用いて、これを定量的に把握することを目的としています。この調査から、私たちは、「ネットワークする人事」という新たなあり方を提案しています。

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 調査は、調査で終わってはいけません。
 本調査は、現在の人事部のあり方を「見える化」することが目的ではありません。むしろ、このアポリア(難問)に取り組む人事部の人々が、自らの「あり方」を問い直す(Reflection : リフレクション)するためのヒントを提供したいと考えています。この調査の質問項目をうまく活用すれば、「人事部のベンチマーク」としても利用できるはずです。

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 ネットワークする人事、元気な人事が増えることを願っています。
 そのことに少しでも貢献できたのだとすれば、監修者として、これ以上に幸せなことはありません。