ベンチャー企業でUnlearning?
先日、大成ロテック株式会社の木内里美さん(常勤監査役)に、グローバルナレッジネットワーク(株)さん主催のシンポジウムでご一緒した際、面白い話をお聞きした。
グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社
http://www.globalknowledge.co.jp/
木内さんがかつて経営していたIT企業では、社員に、数ヶ月間のあいだ、ベンチャー企業で仕事をする経験を積ませていたのだという。
一般に、ベンチャー企業は「最先端の、まだ流行していないテクノロジ」を追求している。社員たちは、ベンチャーでの仕事を通して、こうしたCutting - Edgeのテクノロジに関する知識やスキルを学ぶ機会が得られる。こうしたものを、今、仮に「ラーニング」とよぶ。
しかし、ベンチャーでの研修で最も大きいのは、実は「ラーニング」の方ではなく、「アンラーン(Unlearn)」である。
ベンチャー企業の意志決定の早さ、身軽さ、会議の進め方、仕事のやり方を通して、「自分の会社のアタリマエ」が「アタリマエでないこと」に「気づく」。自由の背後にある自己責任を感じる。こうしたことが最も重要だということだろうか。
人は、どんなに有能な人であっても、一つの場所にいつづければ、「その場でコレクトとされる語り方」「その場でしか通用しない思考形式」「その場で求められる行動様式」を獲得してしまう。
すべてを棄却する必要はないのだろうけれど、新しいことを成し遂げるためには、どうしても、その一部をUnlearnする必要がでてくる。ベンチャーでの仕事は、自分の仕事や自分の会社を「ふりかえる」ための、よい機会になるのだろう、と思う。
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中原研究室の大学院生と、Higgins and Kramの学術論文を読んだ。その論文によると、これからの会社は「職場の境界が消失」してくるのだという。
「人を育てること」も、社内、社外という境界が問い直されるのかもしれない、と思う。