働くみんなの学び論
ここ数日、「嬉しいメール」が、いくつも届いています。僕の講演やLearning barにご出席いただいた方からのメールです。
「講演やLearning barを参考に、自社の研修や勉強会を実施・改善してみた、やってよかった」
というメールを、立て続けに数通もらったのですね。本当にありがたいことですね。いやー、嬉しいね、「なんちゃって教育学者冥利」、いえいえ「学びのゲリラ:ラーニングゲリラ冥利」につきますね。
お便りをいただいたおひとりは、Learning barにご出席いただいた方でした。聞くところによると、その方が中心になって、あるテーマのもとに、Learning barスタイルで勉強会を開催する予定だそうです。
「中原のやり方をパクルこと」に対する「許可」ということで、メールを送っていただいたようです。全く問題ありません。どしどし「パクって」ください。
というか・・・「パクる」というのは、少々変かもしれませんね。そもそも「学びの技術」なんて特許性も著作権もクソもへったくりもありません(アンタ、その表現、大学教員としてコレクトじゃないよ、お里が知れる!!)。
学びの技術は、誰のものでもない、みんなのものなのです。ぜひ、素敵な「学びの場」を、皆さんの企業・組織にもつくってください。
ひとつだけ間違いがないことがあります。
「学びのイベント」は、「参加」するより、自分が自ら開催する方が、100万倍くらい楽しくなるはずです。ワークショップは、参加するより、自分でデザインする方が絶対に楽しいです。ぜひ、自らエンジョイできる場をつくってください。
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もうひとりの方は、講演でお話しした話をもとに、「若手向けの研修」を再構築なさったそうです。
騙された!?と思ってやってみたところ、「参加者、若手からの評判がよく、社内外の発表会でもプレゼンをするようになった」そうです。
素晴らしい!、ブラボー!
何より嬉しいのは、「社外で発信する機会を得た」ということですね。ぜひ、「学びのゲリラ」ならぬ、「学びのエバンジェリスト」として、ご活躍いただきたいものです。
その他にも、いくつかメールをいただきました。工場の若手人材育成研修を見直してくださった方、全く今までの階層研修とは異なったマネジャー研修を企画なさった方・・・どの方の文面からも、「パッション」を感じます。ありがたいことですね。また、ぜひ教えてください。
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ここまで書いてきて、いくつか思うことがあります。
第一に、自分でも面白いなぁ、と思ったのですが、きっと僕の研究の「最終ターゲット」は「ひとつの企業」「ひとつの組織」ではないんですね。
もちろん、「あるひとつの、ある特定の企業・組織の環境を改善すること」にも興味はありますし、できることはたくさんあると思います。
でも、僕は、どうしても、きっとそれ以上に、「ひとつの組織を超えた何か」「ひとつの企業や組織の最適化を超えた何か」を意識してしまいます。
「何か」ってなによ?と聞かれると、「すんません、今はわかりません」と答えるしかないのですけれども、どうも僕は「ひとつの特定の企業・組織を超えた何か」を追求したい、変えたいと願っているようです。自分のことは、なかなかわからんなぁ。
「何が"何か"だ、ぬるいわ、このタワケめ!」
とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。でも、ぬるかろうが、タワケだろうが、そう思うんだから仕方がありません。きっと、それは僕のバックグラウンドが「教育」であることと無縁ではないのかもしれません。
僕らがふだん見ている「働く大人」は、キギョウやカイシャというものに所属していることが多い。彼らは、一生涯のうち、100000時間もの長い時間を、カイシャやキギョウで過ごします。
だからこそ、「キギョウ」や「カイシャ」に興味があるのかもしれません。その人のQuality of LifeのKey Factorとして、ここを考えないわけにはいかないのです。
電車の前に座っている、この若いサラリーマンは、日々、どのように働き、生きて、学んでいるのだろう。先日であった、あの部長の部下は、どうして、あんなに溌剌と仕事をしているのだろう。そこにはどんな秘密があるのだろう。
そういうことに興味があるのです。
そう考えると、僕が最終的に取り組みたいことは、
「働くみんなの学び論」
なのかもしれないな、と思うときもあります。いいね、このネーミング。もちろん、金井先生の「働くみんなのモティベーション論」へのオマージュ(hommage)として。
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明日から出張です。明後日金曜日、土曜日は、いよいよ大学院の口頭試問です。所属するセンターの来年度以降の計画も立てなければなりません。
今年最初の「山場」がやってきたようです。
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追伸.
以前、佐藤優香先生、上田信行先生と「ワークショップのデザイン」についてお話ししていたことがあります。お二人によると、「ワークショップのデザイン」は、イタリア料理をメタファに組み立てるとよいのでは、というお話でした。
イタリアンミールモデル
http://www.nakahara-lab.net/blog/2006/10/post_596.html
イタリア料理は、下記のようなプロセスで進むそうです。
重要なことは、5から8までがすべてデザートだということですね。ここに長い時間がかけられる。
デザートは、その日一日あったこと、今日食べた料理を「振り返る」という意味で、長い時間がかけられているのではないか、という話でした。コーヒーを飲みながらリラックスして、振り返る。
つまり、実際の活動も重要なのだけれども、その活動を振り返る十分な時間と機会が必要だと言うことです。
1.ストッツキーノ:フィンガーフード
2.アンティパスト:前菜です。
3.プリモピアット:パスタ、リゾットなど
4.セコンドピアット:メイン、魚か肉でしょうね・・・
5.フォルマッチョ:チーズのことです
6.フルッタ:フルーツですね
7.ドルチェ:いわゆるスイーツでしょうか
8.カフェ&プティフール:エスプレッソに小さな焼き菓子がついてきます
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ちょっと前のことになりますが、銀座並木通りのレストラン「ロオジエ」に行ってきました。
銀座ロオジエ
http://www.shiseido.co.jp/losier/
こちらはフランス料理でしたが、やはりここでもデザートの時間が圧倒的に長かったことが印象的でした。
1.アミューズ・ブッシュ(前前菜)
2.オードブル(前菜)
3.スープ
4.ポワソン(魚のメイン)
5.ヴィアンドゥ(肉のメイン)
6.チーズ
7.アプレデセール
8.アシェットデセール(メインのデザート)
9.ミニャルディーズ(ワゴンサービス)
と進行するようです。
僕は料理は全くの門外漢ですが、西欧の料理は、砂糖を使うことが少ないため、デザートが長い、という話もあるそうです。真偽のほどはわかりません。
それにしても、メインを食べている時間と同じくらい、デザートの時間が長かったのが、とても印象的でした。