書道プレゼン : インパクトのあるプレゼン方法

 しょっぱなから「問題」です。
 下記の書道の作品、誰の作品かご存じですか?

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 斬新な筆遣いで、その方の心の赴くままに書かれた作品です、、、僕はすっかり心打たれてしまいました・・・。
 「お答え」を予想なさったら、そのまま、下記を読み進めてください。

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「中原さんは、よくプレゼンで書道を使いますよね・・・あれって、どうやってつくっているんですか? 作り方を教えてください」

 先日、ある方からこんなメールをいただきました。興味をもってくださって、ありがとうございました。お聞きになりたいことは、僕がいつもやる「書道プレゼン」ですね。

 僕のプレゼンを見たことのある方なら、おわかりかと思うのですが、僕はよく下記のようなスライドをプレゼン中で用います。

 下記は、プレゼンの一番冒頭ですね。前回の授業の「おさらい」をしたいときに、よく提示します。

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 下記は、プレゼンの中で、参加者同士に議論をはじめてもらうときに提示します。

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 うーん、これらは、いわゆるひとつの「飛び道具」ですね(笑)。

 僕のプレゼンでは、こういう「書道」を、プレゼンのスライドの合間に挟みます。
 悲しいかな、僕の話は「内容」がないんですねぇ(オーノー、自爆)、、、それを「小手先のテクニック」で補わなくては(笑)。

 ・・・というのもあるんですけでもね(笑)、思うにプレゼンは「見せ方」も重要なんですね。せっかくいいことを言っていても、「見せ方」を工夫したり、あっと注意をひかないと、人は話を聞いてくれないのです。

 原則として、プレゼンする側は、こう思っていた方がいいのではないかと思います。

 他人は、もれなく、あなたの話を聴かない

 プレゼンする人の中には、「話を聞かない人」を見ると、「なんで、オレの話を聞かないんだ!」とすぐに青筋たてて怒っちゃう人もいますね。でも、それは間違っていることもありますね。原則として、みんな、他人の話を「聴くこと」は苦手なのです。そう思っていた方がいいのではないかと思います。

 もちろん、こういう「テクニック」だけで、60分、90分、注意をひきつけるのは100%無理です。そら、「書道」で最初から最後までひっぱるのは無理。結局は、「内容」「中身」で勝負です。でも、「Attentionの確保・維持」にこういうコワザを利用するのはいいと思います。

(僕は25歳で職業研究者になりました。最初につとめた研究センターでは、仕事の都合上、大学の先生や現場の先生相手にプレゼンをすることが多かったのです・・・でも、センセイと呼ばれる人は、特に話を聴かない人が多いですね、自戒をこめていいますけれど(笑)。もちろん、そうでない人もいるので、一般化はできませんよ。さらに、「ペーペーの若造」がでてくると、さらに悲惨です。同じ発表内容、同じ発表方法でプレゼンをしても、おそらく、単に「若い」というだけで、他人はなかなか話を聞いていただけない傾向があるようです。

でも、それじゃ困るのですね(笑)、仕事にならんのだよ、それじゃ。何とかして(笑)、僕は話を聞いていただきたかった・・・中身では自信がある!?ので、その中身に何とか入るまで、間を持たせる技術を持ちたいと思いました。こうして、書道プレゼンは誕生したのです・・・涙、、、嗚呼。

ちなみに、全く関係ないですが、学会や研究会などで「辛辣で意地悪で、あきらかに悪意のある質問」を浴びせられることって、たまーにありますよね。おそらく、これは大学院生>助教>講師>准教授という風に減っていく傾向があるように思うのは僕だけでしょうか。全く同じ発表内容、全く同じ発表の仕方でプレゼンしていても、若い人の方が、「辛辣で意地悪な質問」を浴びせられる傾向があります。全く同じことを言っていたとしてもです。僕の場合は、准教授になった翌日から、突然、減りました(笑)。昨日と同じことを喋っていたのに・・・へんなの(笑)。質問には質問する人の知性が露見しますね、本当に。というわけで、意地悪な質問を必要以上に真に受けないことも(アドバイスはありがたく聴く)、研究者に必要な資質なのかもしれない、と思います)

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 で、作り方ですが、これ簡単です。皆さん、ぜひやってみてください。

1.まずぺんてるの「太字の筆ペン」を用意します。あと半紙。どこでも売っているものです。ちなみに、インクの換えはたくさん買っておいた方がいいでしょう。太字の筆ペンのインクはすぐに切れます。

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2.思い切って、「書道家」になりきったつもりで書きます。僕の場合は、「海原雄山」になりきってます、これ最強。全く、怖れることはありません。人目を気にしないで、書道家になったつもりで豪快に書いてください。ちなみに、恥をさらすようでイヤですが、僕は、書道はいつも「3」でした。一度は「2」がついたことも・・・マジ?(内申書には恵まれない男でした)。ちなみに、展覧会に出されたことは一度もありません、、、それが何か?

3.書き終わったら、半紙をよく乾かします。

4.スキャナで作品を読み取ります。カラーで300dpiで読み取ります。よく半紙を乾かしてからにしないと、墨がつきますよ。

5.(もしあればフォトショップなどの)フォトレタッチソフトを使って、まず、モードを「カラー」から「グレースケール」にダウンコンバート(減色)します。さらに「グレースケール」から「モノクロ2階調」に減色します。そうすると、「白」と「黒」以外の色がすべてなくなるはずです。

6.これでファイルに保存。あとは、プレゼンの中に貼り付けて利用します。おしまい。

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 ちなみに、書道をコンピュータ上でやっちゃうソフトもあります。タブレットなどをお持ちなら、こちらでもいいと思います。篆刻もつくることができます。

Win書道
http://www.sourcenext.com/products/winshodo/

Mac書道
http://www.enzan-hoshigumi.co.jp/enzan_site/index.html

 これらを利用していたときも、ありましたが、今はもっぱらアナログです。やはりアナログの方が、力強い線やインクの飛び散りが表現できますね。

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 ちなみに・・・「書道プレゼン」の最大の問題点は、作品を書いているときに、もれなくTAKUZOがやってくることです。

「パパー、たっくんも、やる、書道やる」

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 はっきり言って、戦々恐々です。いつ、はみ出して机が墨で真っ黒になるか、気が気ではありません。おい、そこ、はみ出てる、はみ出てる!!!!

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 というわけで、最初の作品は、TAKUZOが書いたものでした。
 どうですか、予想はアタリましたか?

 書道プレゼン、ぜひお試し下さい。
 というわけで、おしまい!

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