ラーニング・イノベーション!?
今年、僕が、伝えていきたいメッセージのひとつに「ラーニングイノベーション」ということがあるのかもしれないな、と思います。
学習とは、従来、どこかで出来上がった所与の知識やスキル - しかも、それは知識社会学の知見が明らかにするように、体制や支配階級の維持に過剰に寄与するもの - を個人の頭の中に獲得するプロセスでした。。
ブラジルの教育学者であり、社会思想家であるパウロ=フレイレは、そうした教育のあり方を「銀行型教育」と批判しました。銀行型教育によって完成するのは、体制に順応し、それを強化する人材だからです。
それに対して、「学習は変革につながるべきである」と僕は最近とみに思います。
学習者自身と、その学習者を取り巻く周囲の環境、組織、、、。
良きものを残し、時代遅れになったものを打ち壊し、新たなものを創造するプロセス - その「変化」のプロセスと、それを担う人こそが、今、必要とされているものなのではないか、と思うのです。
かくして、ラーニングイノベーションというテーマで、いくつかの試みをおこなうことにしました。
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慶應丸の内シティキャンパスでおこなわれる「ラーニングイノベーション論」はおかげさまで、講師陣が決まってきました。
【ファーストトラック - 理論編】
経験学習、組織学習論の現在
松尾睦先生(小樽商科大学)
ウェルカムパーティ - 「大人の学び」ワークショップ
モティベーション論の現在
金井壽宏先生(神戸大学)
【セカンドトラック - 人材育成のトレンドを知る】
■戦略志向
戦略に貢献する人材開発部門のあり方
アキレス美知子氏(あおぞら銀行)
戦略人的資源論の現在
守島基博先生(一橋大学)
■現場志向
三井住友銀行の新人育成&マネジャー育成
田中智之氏(三井住友銀行)
ネットワーク型OJTのすすめ
関根雅泰氏(ラーンウェル)
■対話志向
企業理念と価値観の共有~「感じる」人材育成
高津尚志氏(リクルート)
対話と変革
【ファイナルトラック - 組織を変える】
パフォーマンスコンサルティングワークショップ
鹿野尚登氏
ポスターセッションとギャラリートーク
参加者全員
【ラーニングピクニック - 大人の社会見学】
自由参加 某社
まだご登壇いただけるすべての講師の先生が決まっているわけではありません。今回、お声がけさせていただいた講師の先生方とご協力させていただき、もう二度となしえないような - 「一期一会クオリティのコース」にしたいと考えています。
ぜひお楽しみに。
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雑誌「人材教育」で「ラーニングイノベーション」の名前を冠した連載を6ヶ月おこなうことになりました。こちらの1月原稿を脱稿しました。
こちらの方は、日々の企業訪問やヒアリングで聴いた、オモシロおかしい話をを下敷きに、ちょっとした理論などもまじえながら、オモシロおかしく、ラーニングについて語っていきたいと考えています。初回は、連載の趣旨を述べておわっちゃったけど(笑)。
ぜひお楽しみに。
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年に一度、東京大学安田講堂で開催されるイベントワークプレイスラーニング2009の実行委員会が、1月に開催されます。
今年はどんなメッセージするか
どんな新しい試みをおこなうか
非常に愉しみです、主催者の一人である僕自身が。
3年目の挑戦は何か?
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今年の目標のひとつは「アカデミックなアウトプットを増やす」というものがあります。
今は、書籍の執筆に、てこずっています。試みているのは「学びの認知科学事典」の執筆。ここに、「企業の学びデザイン」のページをいただきました。
辞典だけに長く残るので、慎重に試みているけれど、なかなか遅々として進まない。
今月は、かなり悩むと思います。
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論文の執筆は、今、「データ」と「先行研究」を見直して「ストーリー」をつくっています。1月後半の研究会までには、何とか粗々なストーリーをつくりたいです。半年間で、学会誌への投稿をめざしたいと思っています。
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今年も、ラーニングに、こだわっていきたいと思います。
そして、僕自身がラーニングの中にありたいと願います。
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追伸.
日本経済新聞社主催、ASTDインターナショナル・ジャパン共催のシンポジウム「人材開発国際シンポジウム2009」の申し込みがはじまっています。
米国の最新タレント・マネジメント調査結果
ケビン・オークス 氏(ASTD 元会長)
「日本における人材開発の課題」
竹中平蔵 氏(慶應義塾大学 教授)
社員をエンゲージさせて業績を高める
トム・ラス 氏(ギャラップ グローバル・プラクティス・リーダー)
らの講演の他、様々な企業事例をもとにディスカッションを行うパネルを準備しています。僕もパネルのコーディネータとして登壇する予定です。
もしよろしければ、ぜひどうぞ。
人材開発国際シンポジウム2009
http://www.nikkei.co.jp/events/astd2009/program.html
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追伸.
慶應義塾大学・岡部大介先生のサイトでシッタ、カール=マルクスの言葉が印象的である。いわゆる、「フォイエルバッハ・テーゼ」について
フォイエルバッハ研究会
http://web.sfc.keio.ac.jp/~dokabe/mt/archives/2008/12/post_27.html
その第11テーゼは、まさにマルクスの思想と、それに間接的に影響を受けている学習論の研究者の立ち位置を、一言でいいあらわすものだな、と思いました。
哲学者たちは世界をいろいろに解釈してきた
肝心なことは、世界を変革すること
(カール=マルクス)