リーダーシップ研修は肥大する!?
ちょっと前のことになるけど、あるプロジェクトで、巷で実施されている「リーダーシップ研修」のカリキュラムの比較分析を行ったことがある。
どういう人材を育てることを目的として
どのような内容が
どのような順番で
どのような手法で
どのくらいの分量で教えられているか?
を調べた。
比較といっても、短時間のことであったので、きちんとしたデータに基づいているわけではないけれど、おおよその傾向は掴むことができた。
現在、さまざまな組織で実施されているカリキュラムを目の当たりにして比較するのは、はじめてのことだったので、非常に面白かった。
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その感想を一言でいうと、
「リーダーシップ研修は、"不足"しているか、"肥大"しているかのどちらか」
であるように感じた。
"不足"とは、教育内容に不足が生じており、「本当に、これだけに内容を学ぶことで、リーダーシップを現場で発揮することが期待できるんだろうか」と首をかしげたくなるもの。
"肥大"とは、あの内容も、この内容も、その内容も、研修内にぶち込まれているので、研修内容が過剰負荷になっているもの。「こんなに責任を負わされるのなら、リーダーなんて辞めちゃいたくならないのかな」と疑問に思ってしまう内容。
いずれにしても、
どのような人材が"リーダー"であり、
彼/彼女に、どんなリーダーシップを発揮してほしいか
が不明瞭である、あるいは非明示であるために、このような過不足が生じているような気がした。つまり、一言でいえば、「カリキュラムの設計ミス」である。
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そういば、先日、ある地方公共団体の人と話しているとき、こんな話を聞いた。
「数年ほおっておけば、リーダーシップ研修は、すぐに2倍、3倍の分量になっていきますよ・・・難しい問題が生じたら、すぐにそれに対応することがリーダーの責任になるから。」
この言葉を仮に「真実」だとすると、リーダーシップとは、よくいえば「魔法の杖」、悪くいえば「肥だめ」のようなものだと把握されている傾向があるように思う。
学習内容の中には、
それってリーダーの仕事ですか?
それってリーダーシップで解決できる内容ですか?
と疑義をさしはさみたくなるものが、少なからず含まれる可能性がある。
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いずれにしても、ここは「リーダーとは何か?」「リーダーシップとは何か」を「地道」に考える必要があるだろう。
僕の知っているいくつかの企業の中には、世間一般のこととしてではなく、
自分の組織にとって
どういう人材がリーダーで
どんなリーダーシップの発揮が求められるか?
を、自社を対象にしたリサーチによって明らかにした上で、カリキュラムの開発を行っているところがある。
その中には、リサーチの観点からいっても、「よくこんなに地道で面倒くさいことをやりましたね」と感嘆の声をあげざるをえないものもある。
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まずは「把握」。
「設計」はその後でも間に合うのではないだろうか。
話は、それからである。