「最高の人生の見つけ方」と「鯨とメダカ」と「ヘルプマン」
「老い」に関する作品を、このところ立て続けに見た。
ひとつめは、映画「最高の人生の見つけ方」。
最高の人生の見つけ方
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末期がんで余命6カ月の宣告をされた超大金持ち(ジャック=ニコルソン)と自動車整備工(モーガン=フリーマン)の二人の男たちが、ひょんなことから一緒の「病室」に入り、最後の時までを共にすることになる。
二人は、死ぬ前にやりたいことをリストにした「棺おけリスト」をつくる。「荘厳な景色を見る」「赤の他人に親切にする」「涙がでるほど笑う」 「スカイダイビングをする」「ライオンを狩りに行く」「世界一の美女にキスをする」・・・
人生最後の願いを、ひとつずつ実行する、彼らの奇妙な「旅」がはじまる・・・。
「末期がん」「余命宣告」という全く「笑えない状況」なのだが、名優ジャック=ニコルソンとモーガン=フリーマンが共演していることもあり、「笑い」が耐えない。
聞くところによると、台詞には「二人のアドリブの応酬」がかなり含まれているとのこと。名優にしかできない「インプロヴィゼーション」といったところか。あっという間に見終わった。
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ふたつめは、テレビドラマ「鯨とメダカ」。5年ぶりの田中邦衛主演のドラマ。
田中邦衛が演じるのは、戦後の混乱期にたたき上げで会社を興したワンマン社長。75歳を超えてもなお会社の全権を掌握する社長のワンマン経営から、このところ、業績は伸び悩んでいる。そんなときに起きたのが、「変化への対応」を主張する実の息子のクーデーター。田中は、社長を解任される。その後、15歳の中学3年生の少女にであい、交流し、癒されていく、という内容。
印象的だった台詞は下記。
「オレは何をしたらいいんだ・・・気づいたんだ オレの名はシゲルということに。
社長社長とよばれて、アタリマエになっていた。肩書きがハズされたとき、うろたえた。何もない日常におびえ、社会から必要とされていないと怖くなった。
しがみついてる会社がなくなったらこんど、オマエはどうやって生きる?。どんなにもがいても、いずれ、本当の老後がくる」
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最後は、高齢者福祉の問題を扱うマンガ「ヘルプマン」。こちらは全冊、大人買い。といっても、まだ全部は読んでいない。一日1冊ずつ読もうと思ってます。
まだ4冊しか読んでいないけれど、この問題があぶり出した「現実」は、本当に深刻です。複雑怪奇な介護保険の問題、老人施設における縛り付けの問題、高齢者介護にともなう虐待の問題、そして老人の性に関する問題。
僕は、この問題に全くのシロウトでしたので、かなり衝撃を受けました。読んでいて、怖くなったりもした。自分のことも、カミサンのことも、そして僕らの親のことも、考えさせられた。
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ともかく、人間は一歩一歩、死に近づく動物です。時がくれば、人は必ず老いる。というか、もう、僕もあなたも、既に「老い」のプロセスの「中」にある。
時間のあるときに、またこのことについては考えてみたいと思います。僕は、どんな顔で「老い」を迎えることができるだろう。