「オレの背中」と「基礎基本」

「オレの背中を見て学んで、さっさと一人前になれ!」

「教える立場」にたつ人の多くは、皆、どこかでそう思っています。しかし、「ノービス」というものは、比喩的にいうと「熟達者の背中のどこに注目したらよいのかわからない」ものなのです。広大な熟達者の背中から、学ぶべきものを自分の力だけで見いだすには、それだけで長い時間がかかる。

 そして、「背中のどこに注目するべきか」がわかったら、その人はもう完全に「ノービス」ではないように思います。その彼の目の前に、新しいノービスがやってくる。そして、こうつぶやくのです。

「オレの背中を見て学べ」

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 同じ構造は、「基礎基本」もそうです。「教える立場」の人は、皆、こう思っています。

「守・破・離じゃないけど、基礎基本が大事だよ。まず、基礎基本をちゃんと勉強してから応用やりなよ」

 しかし、「ノービス」には、「基礎基本」が何かわかわかりません。そして「基礎基本が何であったか」を分かる頃には、彼はもう「ノービス」を卒業しているのです。そして、またつぶやく。

「やっぱり、重要なのは基礎基本」