企画書を書くこととは?

 共同研究者のA先生が学部生だったころ、当時の指導教員だったB先生から、下記のような「薫陶」を受けたそうである。

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 ゼミにて。指導教員B先生は、学部生たちに問いかける。
 「企画書とは何のために書くか?」

 A先生を含め学部生たちは考える。

 「計画を提案するためです」
 「考えを整理するためじゃないでしょうか」
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 B先生は、真顔で、ハッキリと否定した。
 「いや違う。企画書とは金を得るために書くものだ」
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 続けてB先生は言った。

 「企画書とはパドックのようなものである。
 ふつうの取引では、商品が完成してからお金と交換する。
 しかし、企画書は違う。
 商品が完成する前に、こちらに何もないうちから、
 相手にお金を払ってもらわなければならない。

 だから、企画書は、期待させなければならない。
 企画書は、こいつならできる、と思わせなければならない。
 同時に、企画書ではできないことをできると書いてはいけない」

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 あなたが、研究の現場にいようとも、会社づとめをしようとも、テレビ局のディレクターであっても、「企画書を書くこと」からは、なかなか逃れ得ない。
 研究の現場であれ、会社であれ、常に何か新しいものを生み出すことが、多くの場所では要請されるからである。

 企画書を書くとは奥が深い。