クリス=アージリスとドナルド=ショーン

 クリス=アージリスという研究者がいる。ハーバードビジネススクール名誉教授にして、「組織学習」という分野を立ち上げるきっかけをつくった人として知られている。

「僕の記憶にある限り、クリス=アージリスは、教育学部と経営学部を行き来した最初の研究者ではないでしょうか」

 ある先生が、先日、こうおっしゃっていた。在りし日のアージリスは、ハーバードのGraduate school of educationとBusiness schoolで教鞭をとっていたのだという。

 その先生曰く、

「ハーバードにつとめていたクリス=アージリスが、マサチューセッツ工科大学のドナルド=ショーン(非常に著名な組織学習の研究者である、教育学にも多大な影響を与えた)とはじめた出会ったとき、数時間にわたって、まさに時を忘れて話し込んだそうです。ハーバードとMITのキャンパスは目と鼻の先。こんな近くに、まさか、自分と同じ興味関心をもった人がいたなんて、と」

 その後、アージリスとショーンは一緒に研究を進めるようになり、有名な「シングルループ学習」「ダブルループ学習」という概念を提唱する。
 この概念は、「学習する組織」「組織学習」をかじったことのある人なら、知らないでいることを許されない概念となっている。

 クリス=アージリスとドナルド=ショーン。「幸せな出会い」のある研究とは、何とも素敵なものだと思う。