子どもから語りを引き出すのがうまい母親、下手な母親
大学院ゼミ。
博士課程のSさんによる「親子間の語り」の先行研究のレビューが大変勉強になり、かつ印象深かった。「子どもからの語りを引き出すのがうまい母親と、下手な母親がいる」という話。
Fivushという人の研究によると、子どもからの語りを引き出すのがうまい母親(High elaborative mothers)は、過去におこったひとつの出来事に焦点をしぼり、何が起こったのかを詳細に聞いていく。
それに対して、下手な母親(Low elaborative mothers)は、シンプルに質問を繰り返し、過去の特定の出来事を掘り下げていくような質問(elaboration)ができない。
たとえば、こんな感じである。
●上手な母親
母「あのとき、お猿さん、たくさん見たよねー。お猿さん、何してた」
子「うーんと、食事してた」
母「何食べてたの?」
子「りんご」
母「リンゴ、食べてたんだ、ひとりで食べてたの?」
子「みんなで食べてた。赤ちゃんもいたよねー、小さかった」
母「そうだねー、赤ちゃんは何してた?」
母「お母さんの背中にぶらさがっていた」
●下手な母親
母「あのとき、お猿さん、いた?」
子「いた」
母「他には?」
子「キリン」
母「キリンって背が高い?」
子「高い」
オモシロイねぇ。
ちなみに、別の人の研究によると、母親が「子どもから語りを引き出すスキル」は、親の経済格差も反映しているそうである。低所得者層の母親は、
1.子どもが語ることを重視しない
2.子どもの語りを聞き出す余裕(暇がない)。
このあたりは、いわゆる再生産(reproduction : 親の学歴や社会階層が子どもに引き継がれることです)風の議論。
ちなみに、Peterson et al(1999)という人たちは、低所得者層の母親にトレーニングを続けることで、「子どもから語りを引き出すスキル」を変化させることを試みて、成功したそうです。
どんなトレーニングだったんでしょうね・・・とても興味があります。
いゆわる再生産は、親でも、特に母親の文化資本の影響が強い、と言いますよね。「語り」は教育資源のひとつではあるけれど、子どもの言語発達に非常に重要な役割を果たすはずです。
このあたりの研究は、非常に意義深いと思いました。
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追伸.
最近のTAKUにおこった変化。
・親が手をたたくとパチパチをするようになった(模倣)
・さらにテレビの中で誰かが手をたたくと、パチパチする
(テレビの中の人を認知している?
音に反応してるわけではない)
・親が手をだすとパチンと手をたたくようになった
・三輪車にのるようになった(押すのは親)
・食事の量はかなり増えた
・ボタンを押すのが大好き
・僕が家をでるときには一瞬泣くようになった
・目の前で何かをつかってモノを隠しても、探すことができる
・相変わらずつかまりだちで歩いている
衝撃的な変化は、「僕とカミサンに対する対応」が異なっていること。下記の写真のように、僕がチューをしようとすると、全力をふりしぼって逃げる・・・。能面のような顔で。
対して、カミサンの場合だと、笑いながら自分から向かっていく。自分でチューをしにいく。
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敗北
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ま、そりゃそうか。
逆だったら怖いわ。
OK、何の問題もない(Y先生風)