「なりきりEnglish!」キックオフまで3週間をきった!
10月、11月、12月・・・
毎年のことながら、僕にとって、この3ヶ月間は「繁忙期」だ。
授業準備、ゼミ、大学院生の論文指導が「定期的なリズム」を刻む一方で、様々な研究プロジェクトが、本格化してくる。実証実験やワークショップなど、自分に関係する様々なイベントが、「不定期なビート」として押し寄せる。
気がつくと、「リズム」と「ビート」に翻弄されている。
そんな中でも、
自分が追い込まれても 人を追い込まないこと
だけは、何とか死守したい。「冷静さ」だけは保ちたい。実際は、なかなかそうもいかず、人に迷惑をおかけすることも多々あるのだけれども、3ヶ月間、そう願いながら過ごしている。
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今、もっとも佳境に迫っているのは、「なりきりEnglish!」のプロジェクトである。「なりきりEnglish!」は、企業人材育成用に開発されたモバイル英語リスニング教材。ウィルコム社製のビジネススマートフォンで稼働する。
なりきりEnglish!プロジェクト 去年の成果報告会のスライド
http://www.nakahara-lab.net/2007narikiri_seikahoukoku.pdf
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今年は新日本製鐵株式会社60名の方々を対象に、11月17日から12月8日まで3週間のあいだ実証実験を行う予定である。先日、プレスリリースも公開された。
なりきりEnglish!プレスリリース
http://www.nakahara-lab.net/press_release/20071017narikiri_press.pdf
新日本製鐵株式会社
http://www.nsc.co.jp/
株式会社ウィルコム
http://www.willcom-inc.com/ja/index.html
今年の「なりきりEnglish!」は「鉄英語」。学習者は、鉄の営業マンとなって、東南アジアに海外出張におもむく。ちなみに、ロケは先日9月、タイで敢行された。
プロジェクト内部は、コンテンツ開発、システム開発、ワークショップ開発、冊子の開発、質問紙の開発(評価実施)にわかれ作業を進めている。プロジェクトメンバーは、総勢30名を超える、大規模共同研究である。
それらをまとめる、各グループのディレクター、コンテンツ開発の島田さん、システム開発の山田君、ワークショップの重田君、冊子の渡辺君、評価の北村君らの尽力には、頭が下がる。また、実際の開発現場では、光学姉妹の大房さん、スパイスワークスの方々に、お世話になっている。皆様、本当にお疲れ様です。
光学姉妹
http://www.opticalsisters.com/ver4.html
株式会社スパイスワークス
http://www.spiceworks.co.jp/
プロジェクト実施まで、あと3週間。泣いても笑っても、時間はもう限られている。先日、ふと、高校時代に詠んだ詩を思い出した。
「もう一息」
武者小路実篤
もう一息と言ふ処でくたばつては
何事もものにならない。
もう一息
それにうちかつてもう一息
それにも打ち克つて
もう一息。
もう一息
もうだめだ
それをもう一息
勝利は大変だ
だがもう一息。
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研究的側面からいうと、「なりきりEnglish!」は、Context-based skitという特徴をもつ「モバイル教材」になる予定である。おそらく、こうした特徴をもつ教材が、きちんとした実証的に研究されるのは、世界的にはじめてのことではないかと予想する。
また産学協同という観点からも、大学で開発された教材が、一般企業の現場で、一般の社員の方々に利用されることは、ものすごく珍しいと言ってよいのではないか、と思う。
心の底から、このプロジェクトの成功を念じている。また、あらゆる手を使って、そうなるように努力するつもりだ。
ちなみに、来年1月には「なりきりEnlish!」から生まれたスピンオフ教育サービスも、一般公開される。
こちらは、某社のYさん、Aさんらが中心になって開発を進めてくださっている。先日、教材の骨子をメンバー全員でレビューしたが、かなりよい感触を得た。こちらも大変楽しみである。
もう一息。
もう一息。