民間塾による校内研修会
都内某区のA中学校で実施された教員研修会を観察させていただく機会を得た。A中学校のある地域は、都内で、もっとも深刻な学力問題をかかえる場所。
研修会の企画・実施は、都内大手民間塾の早稲田アカデミーによる。
学力向上のための学校の取り組みをいかに支援するか。塾のノウハウをどのように短期間で伝えるか、その試みのひとつを垣間見ることができた。
昨日行われた研修会では、新任教員3名を含む、この春に着任した教員が参加した。僕と東京大学の大学院生の皆さんは、教員の方々にまじって、研修に参加。
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研修はロールプレイ型のケーススタディとして実施される。
まず、早稲田アカデミーの講師陣が、授業冒頭の「導入」を演じる。まずはダメな例、その次はよい例といったかたちで演示分ける。
教員は生徒の立場にたって、その「導入部」を聞き、自分が生徒だったら、どのように感じるかを、ワークシートに記入する。ここまでがワンセッション。研修では、これを2セッション繰り返した。
なお、昨日の研修は、研修全体から見れば導入部である。次回の研修では、新任の先生3名だけが集まり、模擬授業を行う。その様子は、ビデオで撮影する。その後、新任の先生方はそれを見て反省しつつ、授業力向上のためのトレーニングをするのだという。これが数回行われるそうだ。
約1ヶ月後の研修最終日では、すべての先生が集まり、新任の先生の「変化」を全員で見て、ディスカッションをするとのこと。
研修担当者の方は、
「新任の先生でも、これだけ短期間で変わるのだ、とわかってもらえれば、(なかなか変わらない)ベテランの先生も、きっと注目してくれるはずだ」
とおっしゃっていた。
短期間の研修で「できること」は限られている。そうであるならば「研修でできること」をきっかけに、いかに人々の意識改革につなげるか、が重要なのだろう。
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授業終了後、校長と廊下で立ち話をした。
「以前は、塾が校内研を担当することに抵抗があったようです。でも、今はありません。私も、もちろんありません。それよりも、できることはなんだってするし、利用できるものは何でも利用します。学校を変えなければならない。時間はあまりないのです」
この言葉がとても印象的だった。