情報教育コミュニケーション教育研究会@慶應義塾大学
慶應義塾大学で開催された「情報教育コミュニケーション教育研究会」で講演をする機会を得た。
僕の講演タイトルは「学びの風景を変える」。
マイクロソフト先進教育環境寄付研究部門の共同研究プロジェクト、各国の先行研究をふまえて、「大学教育の課題とこれから」を論じたつもりである。
東京大学 大学総合教育研究センター マイクロソフト先進教育環境寄付研究部門
http://www.utmeet.jp/
僕の講演はともかく、研究会では「情報教育」「教科情報」の様々な実践について知ることができて大変よかった。
下記は、会場でお会いした様々な先生から聞いて、印象的だった話。
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まず印象的だったのは、松戸市立松戸高等学校の福島毅先生のご発表の中にあった「フィンランドの学校の職員室」に関することであった。
福島先生がご視察したフィンランドの学校では、「職員室がサロンのようであったらしい」。
くつろげる空間に、デザインされたファニチャー。私物はロッカーに整理され、空間の見通しはよい。
何より素晴らしいのは、ダイニングが併設されていて、軽食やドリンクが振る舞われている。
多くの先生は、休み時間には、そこで自分のクラスのこと、授業のことを話していたそうだ。そして、そうした空間をつくること、雰囲気をつくることが、管理職の職責として認識されていたそうだ。
日本の普通の学校の職員室が、どのような環境であるのか、僕にはよくわからない。だけれども、ある先生がこんなことを話していた。
「職場の雰囲気をつくること、教員同士のコミュニケーションを円滑にすることが管理職の職責として認識されていないと思うのです。そういう意味でいうと、管理職研修が問題ですよね。
企業では、ファシリテーションする、コーチングするといった基礎的考え方は普及しているかもしれませんが、学校現場には皆無です。そういった発想自体が皆無。
教員研修は硬直化していて、偉い先生を呼んできて、講義をするだけ。本当に学校に必要なものは、あまり提供されているとは言えないのではないでしょうか。
学校は管理職がかわれば、かなりガラッと変わるんです。そういう意味では、管理職研修は絶対にキーですよ。
もちろん、私立とかは、いろいろやっているんですよ。でも、それは企業秘密ですから閉じられている。知りたいですねー、なにがやられているか」
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次に印象深かったのは、お隣の国韓国の現況。
韓国では、2001年から「すべての教員がICTを使いこなせるようになること」が国策(National Policy)となっていて、下記に示すような様々な施策がうたれているとのことであった。
・2001年から3年に1回、すべての教員は定期的な研修を受けなければならない
・2001年からはオンラインで教員研修を受けられるようになった
・すべての教師は、ICTスキル評価テストを受けなければならない
・教員採用にあたっては、教員のITスキルのチェックがあった
富山大学の黒田先生は、「教員のITスキルと生徒のITスキルには、正の相関がある」という調査があると紹介していた。
韓国のただならぬ、いわば執念にも似た「教育の情報化にかける力の入れよう」が推測できる。
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明日は休みだ。
来週も死ぬほど忙しい。出張もあるし、また土曜日がない(泣)。
ゆっくり休もう。