シングルモルトで酔う
「うまいアイラのシングルモルトがそこにあるのに、どうしてわざわざブレンディッドなんてものを飲まなくちゃいけない。
それは天使が空から降りてきて美しい音楽を奏でようとしているときに、テレビの再放送番組をつけるようなものだ」
(村上春樹著・もし僕のことばがウィスキーだったとしたら)
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かなり前のことになるが、職場の同僚、重田先生にウィスキーの飲めるバーに連れて行ってもらって以来、シングルモルトにハマッている。
ウィスキーは大の苦手で、半年前には一滴も飲めなかった。それなのに、今では、だんだんとウィスキーの味の違い、香りの違いがわかるようになってきた。
ワインもいいけれど、ウィスキーもいいな、と思う。要するに、僕は「開発されてしまった」わけである。彼は、僕に悪いことばかり教える困った後輩だ(笑)。
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最初のうちは、水とウィスキーを半々で割る、いわゆるTwice Up(トワイスアップ)で飲んでいた。
が、ここ最近はストレート&チェイサーである。僕は、ウィスキーの樽の香りが好きなのだが、こうした方が一番それを感じることができる、とわかった。
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子どもが眠りにつく。ウィスキーダブルをグラスに注ぎ、ゆっくりゆっくり口に含んでいく。鼻に向けて、芳醇な香りが突き抜ける。
こんな夜は暮れなくてもよいのに、と思う。