地獄を見た動物園:島泰三編・小菅正夫、岩野俊郎著「戦う動物園」を読んだ!
「今日、議会で動物園に出す金は、ドブに捨てるのと同じだと言われた、オレは悔しかったが、言い返せなくて帰ってきた」
「来年の春に到津遊園は閉園する。ごくろうさんでした。これからは閉園に向けて頑張ってくれ」
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ともに一度は「地獄」を見た二つの動物園が、どのようにしてそこから復活をとげたか。
旧来の知己でもある、旭山動物園の小菅館長と到津の森公園の岩野園長が、そのプロセスを綴った本「戦う動物園」(中公新書)を読んだ。
旭山動物園は「行動展示」による復活。到津の森公園は、市民参加による、市民に支えられる動物園としての生まれ変わりだった。
ともに歩んだプロセスは異なっているが、その道のりが、いかに生々しく、平坦なものではなかったかがよくわかる。
到津の森公園
http://www.kpfmmf.jp/zoo/
旭山動物園
http://www5.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/
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個人的に印象的だった一節がある。
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「動物園の入園者数が年々落ち込んでいるのは、「ストーリーの欠如」だということがわかる。なぜ、ここにこういう動物園が必要なのか? その意味がわからない。
(中略)
ストーリーとは動物園をつくる側の存在証明のことである。多くのアミューズメントパークが、どうしてもディズニーランドをこえることができないのは、ディズニーランドには創始者ディズニーのつくった無数のストーリーがあるからだ。
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ジェットコースターなどの大型遊具を、「入場者増のためのカンフル剤」として導入したり、どこでも見られるようなショーに過剰に依存してしまうことは、ストーリーを壊すことはあっても、つむぎあげることはない。ストーリーは壊すのは一瞬だが、つむぎあげることには、大変な時間がかかる。
分野は違うけど、アーティスト村上隆も、こんなことをいっている。
作品の価値を高めるのは、その作品の背後に隠されたストーリーを語る力だ。
人は「ストーリー」に魅了され、突き動かされる。あなたの提供しようとしている「それ」には、どんなストーリーがあるだろうか。