CHI2007レポートのつづき
その後のCHI2007レポート。下記、個人的にオモシロイなぁと思った研究。
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まず、Microsoft Research(MSR)の研究。
僕たちは、Webで何か情報をゲットするときに、Googleなどのサーチエンジンを日々使っている。この研究のRQ(Research Question)は、「どのように検索結果を表示すれば、ユーザーが利用しやすくなるのか」ということ。これをアイトラッキングシステムを利用して明らかにしたのですね。
(Heatmap of eye tracking system)
結論からいうと、「何を目的に調べているか」ということによって、「サーチエンジンの結果表示の注視される場所・時間が違うこと」があきらかになった。
わたしたちがサーチエンジンを使う利用場面を、今、仮に2つに便宜的にわける。
1.Information task
タイタニック号が沈んだのは何年か?のようなものを調べる課題
2.Navigation Task
映画タイタニックの公式ホームページはどれか、というような課題
で、おつぎにサーチエンジンの結果表示の場所で出される要約文の長さを、「短い要約文」「中くらいな要約文」「長い要約文」という風に3つにわける。
で、どの課題のときに、どこに、どれだけの長さの注視がなされるかをアイトラッキングシステムで計測する。
結果はInformation taskの方が「長い要約文」が注視が集まり、Navigation taskの方は「短い要約文」だった。
なかなか地味な結論ではあるけれど、サーチエンジンの改善には役立つ可能性があるデータではないかと思う。
面白かったのは、Googleの人が「根掘り葉掘り」質問をしていたこと。シャバでは商売敵でも、学会だとオープンに議論できる?
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これに類する研究は他にもいろいろあった。
たとえば、同じMSRがらみのプロジェクトでは、「サーチエンジンの検索結果の表示されるランクが、どのようにユーザーのクリックに影響を与えるか」ということが調査されていた。同じくアイトラッキングを用いて。
結果は、「Information taskの場合は、サーチエンジンの下になればなるほど、注視時間も、クリックする数がへる」ということである。
Information taskの場合は、いかにユーザーがサーチエンジンのランキングを信じてしまうかということを物語っている。
また、別の研究では、「若者 vs 老人」のパフォーマンスをはかるものもあった。
老人の場合は、若者に比べて「ハイパーリンクを用いると迷いやすくなる」。ということは、Webを用いるときは、なるべくライナーなかたちにする必要があるということである。
経験的には「そりゃ、そうだよな」と思うことかもしれないが、empricallyに検証される、となるほどな、と思った。
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新しいインプットデバイスを提案する研究ずいぶん見た。
センサーなどを付属した物理オブジェクトをインプットデバイスとして、コンピュータにワイアレスで接続し、コンピューテーションの結果をフィードバックとしてユーザにかえす研究が多いと思った。
特に加速度センサーなどが多く用いられていたような気がするが、気のせいだろうか。
これらのセッションでは、脇本君(中原研究室・M1)の研究のタネになりそうな研究をいくつか発見。すぐに論文を彼にメールして、GW明けに会議を設定した。
この世界は「時間」が勝負である。チンタラやってらんない。
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あと「テクノロジーでヘルスケアを支援しよう」という研究がいくつかあったのが面白かった。要するに、テクノロジーの力を借りて、生活習慣病の原因になるような習慣行動を抑制したり、変革させようという研究である。
去年、これに関してはBEATで研究会が開催された。それにしても、これもCHIなんだなぁ・・・広いなぁ。
BEAT研究会
http://www.beatiii.jp/seminar/027.html
たとえば、ヒューストン大学のプロジェクトでは、アメリカがかかえる社会問題「肥満」を克服するための対戦型ゲームが開発されていた。
このシステムは、携帯電話とブルートゥース付きの加速度センサーから構成される。
加速度センサーを使って人間の動きを計測し、コンピュータに入力。対戦型ゲームへのインプットデバイスとして利用していた。要するに「動けば勝ち」というゲームである。
NEAT-O-GAMES
http://cpl.uh.edu/html/localuser/NoG/
これに似たシステムは、既にオムロンの万歩計やNIKE+ipodのシステムとして市販化もされている(前者は僕も使っている)。こちらの方は、ゲームではなくてジョギングやウォーキングを愉しむ人々のコミュニティだ。
オムロン・ヘルスカウンター
http://www.healthcare.omron.co.jp/product/hj710it_1.html
ナイキ
http://waga.nikkei.co.jp/play/sports.aspx?ichiran=True&i=20061113d3000d3&page=1
いずれにしても、この領域は今後伸びるだろうと思われる。教育マター直球ではないが、目が離せないな、と思った。
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明日、僕は東京に帰る。
投稿者 jun : 2007年5月 3日 17:00
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