いつか来るバックラッシュ:貧乏くじ世代の憂鬱

 来年夏に出版予定の本の取材のため、先日から、企業人材育成の方々にお話を伺っている。

 バブル後、職場の人的つながり - ネットワーク、コミュニティとかいうもの - が、どのようにして失われたのか。そして、今、失われた「つながり」をどのようにして取り戻すのか。
 業務の中で人々が助け合い、学びあう関係を、職場にどのように再生すればいいのか・・・お話を伺いながら、考えさせられることが本当に多い。

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 それにしても、つくづく思うのは、僕の世代 - 現在20代後半から35歳くらいの人々は、本当に「貧乏くじ」をひいた世代だ、ということである。どの会社にいっても、最も悲惨なのは、この貧乏くじ世代だよなぁと思う。

 入社時は就職氷河期。針の穴に糸を通すような難関を勝ち抜かなければならなかった。
 成果主義が導入され、なかなか給料は上がらない。給料を比較すれば、年功序列時代の既得権益にあずかっている上の世代とは比べものにならない。
 それなのに人的リソースは少なく、仕事の負荷も高い。IT革命のおかげで、仕事は24時間対応。
 誰かに教えを請おうにも、そんな余剰教育力は、職場にはない。それにも関わらず、下には大量採用された新入社員が入ってくる。
 仕事はエンドレスに続く。

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 この世代は、正確にいうならば「貧乏くじをひいた」というよりも、「貧乏くじをいまなお引き続けている世代」といってもいいかもしれない。世代をおおう憂鬱の雲はあつい。

 しかし、この世代に負担、不安、不満が集中していることを放置しているのは、やはりマズイのではないかと正直に思う。この不平等、格差、不公平感を放置すると、必ず、いつか手痛いしっぺがえし - バックラッシュ(Backlash:反動)がくる、と邪推する。

 もちろん、ある日突然革命的な変化やクーデターが起こるなんてことはありえない。しかし、憂鬱とは蓄積するものである。「若手」の「納得感」が増すような環境を、少しずつでもいいから、今からつくっていくことが、重要であると切に思う。

 今はまだ若いからいい。会社も、若手の「若さ」や「無鉄砲さ」に甘えていられるうちは、まだいい。でも、いつか若手も年をとる。無理は、いつか続かなくなる。そのときが怖いなぁと思う。