ホテル・ルワンダ:世界の人々は、怖いね、と言うだけでディナーを続けるよ

ポール「あの映像をながせば
    世界は私たちを助けてくれる」
記者 「もし誰も助けにこなかったら?」
ポール「あの残虐行為をみれば、必ず誰
    かが助けにくる」
記者 「世界の人々は、あの映像を見て、
    怖いねというだけで、ディナーを
    続けるよ」

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 ルワンダでおきたホロコースト(大量虐殺)と、それに救助の手をさしのべなかった国際社会を痛烈に批判する映画「ホテル・ルワンダ」を見た。

 舞台は1994年、アフリカ、ルワンダ。
 二分する勢力であるフツ族とツチ族の緊張がピークに達する。

 フツ族出身の大統領が飛行機で暗殺されたことをきっかけに、フツ族の過激派が武装蜂起。フツ族の穏健派および、彼らに対立するツチ族を、約100日間で推定約120万人虐殺する。

 彼らは獲物を選ばない。女、子ども、そして老人を問わずナタで殴り殺され、あるものは夫の前で強姦され、ある者は業火に焼かれ、そして息絶えた・・・120万人。

 外の世界は、腐臭漂う地獄絵図。しかし、そんな中、ルワンダの最高級ホテルの支配人「ポール・ルセサバギナ(Paul Rusesabagina)」は、1200名の人々を、自分の経営するホテルにかくまい、そして、救う。

 映画では、彼が、ホテルマン時代に気づいた人的コネクションと、機転をきかせた会話によって、孤軍奮闘する様子が描かれている。

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 視聴後の感想。凄惨なホロコーストの現場に、何より言葉を失う。

 月並みな言葉だが、それ以上に、この映画を評する言葉は、凡庸な知性しか持ち合わせぬ僕には、思いつかない。

記者 「世界の人々は、あの映像を見て、
    怖いねというだけで、ディナーを
    続けるよ」

 記者には、すでにわかっていた。
 自ら危険をおかしフィルムに収めた大虐殺現場のスクープ映像が、全世界に放映されたとしても、超大国が、資源を持たぬこの貧しい国に関心をもつはずがないことを。

 超大国の関心は、いつの時代も、「平和を"錦の御旗に軍隊を動かすことで、そのあとに残った資源を、誰がどのように手にいれるか」である。「動くか、動かないか」の背後にある行動原理は、おおよそ、ここにしかない。それは、ルワンダ紛争から13年たった今でも全く変わらない。

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 この映画を僕は、人にはすすめない。安易に「見てください」とは言えない重さが、この映画にはある。

 虐殺のはじまった1994年4月6日。今から13年前。僕は、何をしていたんだろう。そのとき、自分はどんなディナーを愉しんでいたんだろう。

 言葉を失ったまま、13年前を思い出す。

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追伸.
 ルワンダ紛争のあとも、人類は歴史に学ばない。現在も進行中の紛争がある。ダルフール紛争だ。

 ダルフール紛争は、スーダン西部ダルフール地方で、スーダン政府に支援された民兵組織「ジャンジャウィード」と、非アラブ人住民との間の民族紛争である。現在までに250万人が家を追われ、30万人以上が虐殺され、約20万人が難民として隣国チャドに入国している。

ダルフール紛争の現状がGoogle Earthのレイヤーに
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/11/news023.html

 これを「紛争」といってはいけない。
 ジェノサイド(大量虐殺)である。

 ダルフール大量虐殺、今、我々にできることは?

ホロコースト博物館 What Can I do ?
http://www.ushmm.org/conscience/alert/darfur/what/