まだ事件を追っているか:江戸川乱歩・少年探偵団シリーズ

 先日、家の近くの図書館に出かけたら、懐かしい本を見つけた。江戸川乱歩の「少年探偵団シリーズ」である。

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 うーん、懐かしい。20年ぶりのご対面である。

 小学校高学年のある時期、僕が学校に通っていた最大の理由は、この本を図書館で読むことであった。そう言っても過言ではない。それくらい、僕は江戸川乱歩にハマッていた。

 僕以外にもハマってしまった同級生は何人もいた。有志で少年探偵団を自ら組織した。自分たちで苦労して、7つ道具を集めた。なるべく小さく道具をまとめられた奴が勝ちだった。

 少年探偵団は次第に活動を活発化しはじめる。「野瀬の靴が隠された事件」とか「給食のジャムが1個盗まれた事件」とか、今となっては、どーでもよい事件を自分たちの力で解決しようとした。

 もちろん、ひとつとしてまともに解決できたものはなかった。話を余計ややこしくして、先生にバレて殴られた。

「奇面城の秘密」を手に取る。

 これは僕が一番好きだった話だ。かつて食い入るように見つめた文章に、懐かしさがこみあげた。そして、僕が「遠く」に来てしまったことを感じた。

 あの頃の少年探偵団のメンバーは、今、どこで何をしているだろうか。

 日々の仕事に邁進しているか、それとも、疲れているか。家族をもっているのか、誰かの父親になっているか。

 ・・・今もなお、7つ道具を持って、新しい事件を追っているのか。