インドの衝撃・・・大学はどういう人材を育てるべきか?

 ここ数日放送されていたNHKスペシャル「インドの衝撃」を見た。

インドの衝撃
http://www.nhk.or.jp/special/onair/070128.html

 第一回「わきあがる頭脳パワー」は、インドのIT技術者を養成する学校、IIT(Indian Institute of Technology)の教育現場の実態を取材したものであった。

 IITは、

 IITに落ちたらMIT(マサチューセッツ工科大学)に行く

 と言われるほどの超難関校で、インド全土から優秀な学生が集まってくる。

 そこでの教育は、基礎基本を徹底しつつも、正解に至るまでのプロセスを重視するというものである。生徒は、ドミトリーにかえって勉強するか、学校に行って勉強するか、2社択一?の、超インテンシィヴな4年間の生活を送る。

 最近、僕のまわりでも、多くのソフトウェアがインドで開発されるようになった、という話をよく聞く。いわゆるオフショアリングがとめどもなく進んでいるということだ。こういうオフショアリングを支えているのが、IITの卒業生たちであろう。

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 ひるがえって、先日、ある工学部の先生とお会いした際、彼が自嘲気味に、こんなことを言っていたのが印象的だった。

 ”(日本の大学の)工学部の学生が、みんな、プログラミングができるって? それはそうともいえないと思いますよ。世間的には、工学部にいったのだから、プログラミングや、ハードウェアの組み立てくらいはできるだろう、という印象がありますけど・・・。

 いや、確かにできる学生は確かにいます。でも、できない学生がその10倍はいるでしょう。

 工学部の学生は、実はスキルを持っていないのではないか、というのが企業にバレてますから。どうせ、一から鍛えなければならないのだとしたら、だったら、コミュニケーションスキルのある文系学生取ったって同じだろう、ということになるのではないでしょうか。

 工学部に人が集まらないのは、そういうことも一因なのです”

 もちろん、先生は自嘲気味かつ遠慮気味におっしゃっているので、ここに書かれてあることを鵜呑みに、過剰な一般化を行うことはできない。

 キッチリとした学生を育てている大学も多い。中には「先進的なソフトウェア開発」「ロボティクス」や「バイオ」領域で、高い成果をあげている大学もある。

 それと同時に、そうでない大学もあるのだろう。

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 ともかく、トマス=フリードマン風にいうならば、グローバル化の中でサバイブできる人材とは、「代替可能性のない人材」か、あるいは「代替を迫られたときに、学び直しによって新たな強みを獲得できる人材」である。

 アジアの国々では、今日も貧困から抜け出すべく、知識と技能をもとめ若者が大学で徹夜で学んでいる。

 日本の大学は、今、どのような人材を育成するべきなのだろう。
 実は、今度、あるシンポジウムでパネリストを務めるのであるが、そのときに話題になるテーマがこれだ。難問だと思う。

レノボイノベーションフォーラム2007
http://www-06.ibm.com/jp/pc/seminar/2007/01/index.shtml?re=home_C_jp

 ともかく、一つだけ確かなことがある。

Tomorrow's leaders and exparts are sitting in the today's colledge classroom.

 ゆえに、大学教育のクオリティは、常に革新されていかなければならぬ。