親切は難しい&脳の学習力

 ここ数日で、「ほほー、なるほどね」と思った話。

 まずは村上春樹さんからです。「女の子に親切にするということ」について。ほほー、なるほどね。

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 最近、僕はつくづく思うんだけど、女の子に親切にするというのは、すごくむずかしいことである(中略)。

 いちおう断っておきたいのだけれど、ただ単に女の子に親切にするというのは、それほどむずかしいことではない。

 家まで送ってあげるとか、荷物をもってあげるとか、気の利いたプレゼントをあげるとか、服をほめてあげるとか、そういうのは、別に高校生にだってできる。

 僕が難しいというのは、そういうことをやりながら、それでいて相手に「ハルキさんて親切ね」と言わせないテクニックのことである。

(村上朝日堂より引用)

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 うまく言えないのだけれども、「親切なこと」に対して「親切ね」と言われてしまうと、きっと「いい人」カテゴリーに入ってしまい、それ以上、発展しないということなのかも。

 それよりは、してもらった「親切なこと」を、当人が心に秘めるようなかたちにもっていった方が、発展可能性が高いような気もする。

 このあたり恋愛の機微からほど遠いわたくしには、何とも表現できないのですが。

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 次は、脳トレゲームについて。ほほー、なるほどね。

 「脳を鍛える」というメタファが、どのような論理で主張されているのか、よくわかった。同じようなメタファに「脳を活性化する」「脳を元気にする」というのもあるけれど、きっと同じ理屈でしょうかね。

前頭前野を効率良く強化する鍛脳ゲーム
http://trendy.nikkei.co.jp/special/index.aspx?i=20061115t2001t2&ichiran=True&icp=2

 特に興味をもったのは、「読み書きや計算の能力は鍛えられるだろうが、それらとは関係ない機能まで向上するかどうかは別問題」という問題。これは、いわゆる学習転移と言われる問題に深い関係をもっています。転移というと、そもそも非常に難しいことがよく知られている。

 今度、実は、東京大学で「転移」に関する研究会をするのです。これ、何だか楽しみになってきました。

 それにしても、Wikipediaで調べると、いわゆる「脳ゲー」って、こんなにあるのね。びっくりです。

脳ゲー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%B3%E3%82%B2%E3%83%BC

 ちなみに、前にも紹介したけど、こんな文章も公開されていますよ。

「脳」ブームの危うさ
http://www.brain.riken.go.jp/bsi-news/bsinews33/no33/network.html

 いずれにしても、これらの問題は、脳の研究者 - 自称「脳科学者」でもいいけど - 自分たちのコミュニティの中で、きっちり議論をおこない、「落とし前」をつけて欲しいですね。

 ちなみに、僕は今、下記の本を読んでいる。サラ‐ジェイン ブレイクモアらの書いた「脳の学習力」です。

 この本は、よい本だと思います。現在の脳科学で「わかっていること」と「わかっていないこと」をキチンと書いてある本は、それほど多いわけじゃない。とても「安心して読める本」です。

 こういう本が増えるといいねぇ。

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以上、最近「ほほー、なるほどねぇ」と思ったことでした。