やる気のない生徒にやる気をださせる:のだめカンタービレより

 今、話題のテレビドラマといえば、「のだめカンタービレ」である。視聴率は20%弱とかなりの好調。僕の周りにも見ている人は多い。

 僕と「のだめ」のつきあいはちょっと前にさかのぼる。数年前、カミサンの実家に帰省したおり、カミサンの妹が愛読していたのを見つけたのがきっかけ。ほどなくして、コミックを「大人買い」して、今に至っている。

「のだめ」の魅力は、個性的なキャラや独特の擬態語?にあると思うけれど、テレビ版では結構うまく雰囲気をだしていると思う。最初は「ちょっと違うかな」と思ったけど、もう慣れた。

 特に、テレビでは音声がでるので、コミック版では聞くことのできなかったオーケストラの演奏が聴けてよい。ブラームスやラフマニノフ、などがかかっている。

 でも「のだめ」の中で、実は、僕が一番印象に残っているのは、キモキャラでもなければ、オーケストラでもない。「のだめ」のピアノの先生がふともらす下記の言葉が、実は一番心に残っている。

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やる気のない生徒にやる気をださせるほど、僕は、やる気のある教師じゃないよ

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 うーん、深い。

「ちょっとはやる気になっている生徒」を、さらに鼓舞することなら、可能であるような気もするし、工夫も思いつく。

 が、「やる気を完全に失っている生徒に、やる気をもたせる」というのは、教師が「やる気」に満ちていようと、いまいと、かなり難しいことを認めざるをえない。

 この教師は、そのことを潔く述べた。だからかっこよい。印象的だったのである。

 とはいいつつも、しかし、現実は違う。
 校種、地域によっては、そうした「やる気を完全に失ってしまった多くの生徒」を相手にせざるをえない教員も多い。多くの教師は、「やる気を失った生徒にやる気を持たせることは難しいけど、やるしかない」と思っている。

 最近、いくつかの教育問題でまた教師叩きがはじまっているが、多くの教師は日々、教育現場で奔走しているのであり、その苦労にはアタマが下がる。

やる気のない生徒にやる気をださせるほど、僕は、やる気のある教師じゃないよ

 そう言い放つことができれば、どんなに楽だろうなぁと思う。

 ぎゃぼ。

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追伸.
 僕が関与することが多いのは大学院である。大学院は専門研究者を養成する機関である。僕としては「やる気のない生徒にやる気をださせること」はしない。というか、したことはない。もちろん、自信を失った人を勇気づけたり、励ましたりはする。

 自分の問題関心を見つけ、やる気と意志をもって、それを自分の力で前に進めるしかない以上、それを外部からコントロールするのは不可能であると考える。また、そのことが教育的にコレクトだとは思わない。

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