携帯電話で魚の授業?
「海の中道海洋生態科学館」の高田浩二館長から、「携帯電話を活用した水族館での授業」についての情報をいただきました。この場でも紹介させていただきます。
海の中道海洋生態科学館
http://www.marine-world.co.jp/
RKBのnetニュース
http://news.rkb.ne.jp/rkb_news/media/asx/5135_02.asx
携帯電話で「魚の飼育方法」などのAdditionalな情報がゲットできるそうです。PDAを使った同様の取り組みはありましたが、携帯電話というのはなかったのかもしれませんね。
ちなみに、本取り組みは文部科学省の委託事業だそうです。
投稿者 jun : 2006年11月30日 20:00
「生きる意味」を見いだす・・・上田紀行著「生きる意味」
「癒やし」の概念をいち早く提唱した、文化人類学者上田紀行氏の「生きる意味」(岩波新書)を読んだ。
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今、私たちの社会を襲っている問題の本質とは何なのだろうか。
それは「生きる意味」が見えないということだ。いま、日本社会のいたるところで起こっているのは、「生きる意味」の雪崩のような崩壊である。なぜ自分が生きているのかが分からない。生きることの豊かさ、何が幸せなのかが分からない。
(2pより引用)
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本書における筆者の主張をやや乱暴に一文で述べるすると、
「生きる意味を構築することが重要で、その手段としてNPO、NGO、ワークショップ、セルフヘルプグループといったようなコミュニティ≒中間社会の再創造が重要である」
ということになる。
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本書における筆者の主張は、その大部分が僕の知らないことで、「なるほどなぁ」と思った。が、ふと疑問もわいた。
それは真っ向から筆者の主張とは対立するような気もするのだけれども、専門外なので無責任に言う。
僕が持った疑問は、
「一人一人の人間が、何らかの手段で、生きる意味を見いださなければならない」という社会規範が、むしろ、若者たちのシンドサの原因なのではないか。
ということである。
こう述べたからといって、もちろん、「生きる意味が不要だ」と言っているわけではない。むしろ、それが構築できる場合は、そうした方がいいのだろう、と思う。
ただ、人間の運と能力は偏在する。運も能力もあり「生きる意味」をシコシコと構築できる人がいるいっぽうで、見いだせずに苦しむ人もいる。
理論的な裏付けやデータは全くないのだけれど、僕の日々の実感として、「生きる意味を真剣に見いださなければならないと思っている人」ほど、「シンドク」見えるのは気のせいだろうか。
むしろ、大多数の人は「生きる意味」を見いだすために苦闘するというよりも、日々、誰かがつくった「大きな物語」に翻弄されながら、漂流し、これという瞬間にだけ、考え、判断し、生きている気がする。
それは、「生きる意味を構築しなければならない」という立場からは不真面目で、インコレクトな態度なのかもしれないのだけれども、そもそも、人間には、そのくらい「いい加減さ」が「適当」なんじゃないだろうか、とも思うのだ。
流されてもいいところは、積極的に流される
考えるときは、一瞬考える。
ということになるかしれない。その方が、シンドサを回避できるのではないかな、素朴に思った。
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もちろん、最初に断っておいたとおり、この僕の疑問は、Theoreticalでもなければ、Data-drivenでもない。おおよそ、学者のとるべき態度ではないといわれれば、それまでだが、何となく実感として感じたので、書いてみた。
いずれにしても、本書を読んで、僕はいろいろ考えさせられた。
僕にとって「生きる意味」って何なのだろう。
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追伸.
本書の副次的効用!?として、グローバル経済、構造改革、新保守主義の概略を知ることができる。経済学者やエセコンサルタントの説明を聞いても、全くわからないことが多いのだけれど、本書では、それらのつながり、それぞれの持つ意味がよくわかった。
グローバル経済を説明する箇所で引用されていた、トーマス=フリードマンの仮説「マクドナルド理論」には思わずうなってしまった。
フリードマンいわく、
ハンバーガーチェーンのマクドナルドが存在する任意の二国は、それぞれにマクドナルドが出来て以来、互いに戦争をしたことがない
さて、皆さんには、この理由はわかりますか?
投稿者 jun : 2006年11月30日 18:19
なぜバックで駐車するのか?
なぜ、みんな、バックで車を駐車するんだろう? 僕は一度もそうしたことがない。いつも「アタマから駐車」。
「バックでの駐車」に、何か合理的な理由があるのだろうか。
ちなみに、「アタマから駐車」の合理的理由は、その方が早いから。
「アタマから駐車」の場合、バックは「出庫」のときに使う。「入庫」のときにバックをひーこらするよりも、出庫の場合は、圧倒的に早いのじゃないだろうか。
あまりにくだらなく、腰が砕けそうな問いだけど、ふと疑問に思った。僕の日常的問いとは、そんなものです。
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あなたの会社に、人を育てる科学はありますか?
中原・荒木・北村・長岡・橋本著「企業内人材育成入門」、ダイアモンド社より、好評発売中です!ぜひ、ご一読いただければ幸いです。
各種ブログで紹介されています
ビジネス・ブック・マラソン
http://blog.goo.ne.jp/eliesbook/e/f0bdfbc109d5d70766ed5ebf65f846e6
KogoLab Research & Review
http://d.hatena.ne.jp/kogo/20061126/p1
ビジネス書の杜
http://people.weblogs.jp/books/2006/11/__fb58.html
投稿者 jun : 2006年11月30日 08:23
北九州CCA主催のParty : Playtime2006
日本を代表する現代アートの拠点「北九州CCA」主催のイベント「Playtime」が、今年も開催されるそうです。
前半はトークショー。後半にはDJ&VJのオモシロイパーティも。このパーティには、僕が日々お世話になっている方々が関わっていらっしゃいます。
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PLAYTIME 2006(Let's have a party time)
http://totoro.ws/blog/archives/004072.html
18:30~22:00 入場無料
LIVE:omu-tone、MUTRON
DJ:manatsu*i &double.r
VJ:光学姉妹、cycle、bm
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去年は、僕らのプロジェクトメンバーもちらほら混じっていて、同窓会チックになりました。今年はどうだろう。
それにしても、この手のイベントで入場無料だって、太っ腹!
よろしければ、ぜひ、お茶の間の皆さんで。
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■UT Open Course Ware(東大オープンコースウェア)
東京大学の講義資料、講義ビデオを無料公開中!
・小柴昌俊教授「学術俯瞰講義」
・藤本隆宏教授「経営管理」
・高橋伸夫教授「経営」
・丹野義彦教授「認知臨床心理学」
・佐々木毅前総長ら「学術俯瞰講義」
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講演、公開講座など東大のビデオ映像無料公開!
・岡部洋一教授最終講義
・東大公開講座「人口」
投稿者 jun : 2006年11月29日 17:00
きょう、僕は父親になりました:育児する教育学者をめざして
きょう、僕は父親になりました。
3520グラム、男の子。
とても元気です。
今の気持ちは、何とも形容できません。
無事生まれてきてくれて、よかった。
お父さんとお母さんは、
どんなに首を長くして「君」の誕生を待っていたか。
とにかく無事でよかった。
無事でよかった、よかった。
語彙のない僕には、
それしか思いつく言葉がありません。
カミサン。
仕事をしながらの妊娠生活は本当に大変だった。
大きなお腹で、満員電車に乗っていく君を
送り出すのが、僕はいつも不安でした。
忙殺される毎日さえなければ、人並みに、
ゆっくりとリラックスした日々を過ごすことが
できたのかもしれないけど、
君には、それができなかった。
ともかく、お疲れ様でした。
今は、ゆっくり休んでください。
ありがとう。本当にありがとう。
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まだ気持ちは高揚しています。
今日は眠れそうにありません。
「君」の誕生を祝おうと、飲んでいるビールとワイン。
でも、気持ちが高ぶって、いっこうに酔えないのです。
今日、絞り出されるように生まれてきた「君」。
早速だけれど、「君」に、ふたつ言いたいことがあります。
まず、ひとつめ。
「君」を生むため、お母さんは、本当に長い間頑張ったんだよ。
それは生やさしい時間じゃなかった。
永遠に続くかのように感じられました。
「戦い」そのものでした。
いつの日か、お母さんの、その頑張りに感謝しなさい。
そして誇りに思ってください。
そういう日がくることを僕は信じています。
僕は、今日のあの瞬間を一生忘れない。
ふたつめ。
これから、君はいろいろな人に出会い、いろいろな
ことを経験する。嬉しいこともあれば、辛いこともある。
だけれども、この世は、ワクワクすることの方が多いぜ。
とにかく、エンジョイ。楽しんで。
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ともかく、
今日から、家族3人です。
月並みすぎるかもしれないけど、
明るく、楽しく、助け合って生きていきたいと思います。
我が家族、それ以上の何がいろうものぞ。
追伸.
今回の出産にからみ、プロジェクトのメンバー
共同研究者の皆さんには本当に
いろいろなご配慮をいただきました。
本当にありがとうございました。
投稿者 jun : 2006年11月28日 23:40
これが解ければ、あなたも研究者:酒井邦嘉著「科学者という仕事」
酒井邦嘉著「科学者という仕事」を読んだ。
アインシュタイン、キュリー夫人など、偉業をなしとげた科学者の言葉を引用しながら、「科学者とは何か」「科学とは何か」を論じている。酒井邦嘉氏は、認知脳科学の先駆者。
本書における酒井氏の指摘には、同意できる点が非常に多い。
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ニュートンを含めて、どんな科学者もスタートが学生であることに代わりはない。学生時代に最も大切なのは、科学研究に必要な「基礎学力」を身につけることだ。スポーツにたとえていえば、特定の種目に必要な筋力トレーニングに先立つ「基礎体力」に相当する。
(中略)
この時期に最も大切なのは、科学の知識だけでなく、その方法や考え方を含めて模倣するである
(p48-49より引用)
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研究者をめざす多くの人は、「何を研究するか」(what)が一番大切だと思うかもしれないが、その前に「どのように研究するか」(how)という問題意識の方がより重要だと私は考える。
科学的な発想や思考、問題を見つけるセンスからはじまって、理論的な手法や実験的な手技に見られる基本的な勘所は、すべての分野に共通している。その意味で、「どのように研究するか」という考え方や方法論をしっかり身につけておけば、どんな分野の研究でもできることになる。
(p45-46より引用)
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実際に学生に考えさせるのは決してやさしいことではない。私はいつも「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない」ということわざを思い浮かべる。このことわざを教育に当てはめると、「学生を大学へ連れて行くことはできるが、考えさせることはできない」となるが、またこれも真実かもしれない。
(中略)
研究は本来水を飲むように、自発的に、そして主体的に行うものなのである。
(p223より引用)
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何を問題に見定め、どのようにアプローチするか、についてまずは十分なトレーニングを積む。そして、研究をする限りにおいて、研究者はこれを自分で決め、取り組まなければならない。誰も教えてくれない。誰も支えてくれない。
本書帯に印刷された、下記のコピーは秀逸であった。
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問題(1)
何かおもしろい問題を考えよ。
問題(2)
問題(1)でつくった問題に答えよ。
これが解ければ、あなたも研究者。
投稿者 jun : 2006年11月28日 08:20
人の前で話すコツ?
「人の前で話すこと」は、大学教員の仕事の中で、少なくない部分を占める。授業、学会発表でのプレゼンテーションなど、多くの場面がある。
人の前で話すとき、僕には、いつも気をつけていることがある。「言葉を滑らせない」ということである。
「言葉を滑らせてしまう」というのは、やや比喩的な言い方かもしれない。具体的に言うと、人の前で話すときには、
1)発する言葉を最小限にする
2)ゆっくり話す
3)視線を配る
ことに気をつける。そうでないと、発した言葉が聴衆にはなかなか届かない、言葉が滑りますよ、ということである。
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まず第一に、使う言葉を最小限にする。
話すことと、書くことは違う。聴衆は全体像がわからず、リアルタイムであなたの言葉をピックアップし、情報を処理しなければならない。
必要以上に言葉を発しても、全く聴衆には伝わらない。だから、言葉を選ぶ必要がある。1枚のスライドでは、1つの結論。その結論にむけて、言葉をえらぶ必要がある。「あれも、これも」では、聴衆の情報処理容量に限界がでてくる。余計な話、言葉は差し挟まないことである。
一般に、饒舌になればなるほど、話が散漫になり、聴衆は顔を下に向けてしまう。
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いったん話し始めたら、いつもの7割くらいのスピードで話すのがよい。経験上、そのくらいでちょうどよい気がする。
これは英語を話すときも言えることなのだけど、ゆっくり話すことで、かなりの部分は他者に通じる。逆に、自信などがない場合など、急いで話してしまえばしまうほど、余計に聴衆には通じなくなる。
「えー、こんなにゆっくりでいいの」
と思うくらい、ゆっくり話すことが重要だ。これができれば、プレゼンテーションは当社比1.5倍くらいは改善される。
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最後の「視線を配る」とは、かなり難しいテクニックであるかもしれない。話しているあいだに視線を送る場所を3個程度決めて、そのポイントに順番に視線をおくるというワザである。
聴衆から見れば、演者は常に「わたし」を見ている、と錯覚する。これによって、緊張感のあるプレゼンテーションをすることができる。
また、順番に視線を送ることによって、演者自身、自然とリズムがでてきて、1)や2)も満たす可能性が高くなる。
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・・・・と、ここまで偉そうに言ってきたけど、かくいう僕もこれらを満たす、自分の納得のいくプレゼンテーションができているわけではない。
これは前に話したかもしれないけれど、だいたい話し始めて1分以内、勝負はわかる。今日はうまくいった。今日は負けた・・・嗚呼、言葉が滑っている。
・・・反省することしきりである。
人前で話すことは、僕にとって永遠の課題である。
投稿者 jun : 2006年11月27日 16:00
究極のみたらし団子:甘党まえだ
ちょっと訳あって関西にきています。ある人がお土産として、「みたらし団子」を持ってくれました。あまりに美味しかったので、ここで紹介。
甘党まえだの「みたらし団子」
http://r.gnavi.co.jp/k195049/
ここのみたらし団子、そもそも「団子」がうまかった。しっかりとした食感。表面が少し焦げており、香ばしさがなんとも言えない。これでいて、1本60円は安すぎる、と思います。
関西では有名なお土産だそうです。ぜひ、関西にお立ち寄りの際には、おみやげにいいのではないでしょうか。
ちなみにみたらし団子の他には「かき氷」が有名らしい。サクサクとした食感の氷が印象的らしいです。
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ウラジミール「まだかなぁ」
エストラゴン「まだだよ」
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(サミュエル=ベケット・ゴドーを待ちながら)
投稿者 jun : 2006年11月27日 05:00
ピンドンコンって知ってますか?:都築響一著「バブルの肖像」
苦々しくも、痛々しい、そしてちょっと切ない本に出会った。都築響一著「バブルの肖像」である。
1986年から89年、バブル経済全盛。日経平均株価は、3万8915円を記録。日本中がカネに狂っていたあの頃を、昔懐かしのキーワードと写真で綴っている。表紙のコピーにはこうある。
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本書はバブル・グレイテスト・ヒッツご一行様の同窓会である
ジュリアナ東京、ボジョレヌーボー、アッシーメッシー、ミツグ君、ボディコン・・・
日本中が夢におぼれ、欲に踊った遠い日々を振り返る、初のグラフィックヒストリー
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1986年といえば、僕は11歳。小学校高学年の頃である。もちろん、僕はバブル経済を知らない。
「はー、オレが子どもの頃に、こんなお祭り騒ぎをやらかしたのね。それで、僕らの世代が貧乏くじ世代と呼ばれることになったのね、そのツケを後の世代にまわしてるのね、ふーん」
という感じで、冷めた目で読んだ。苦々しくも腹立たしい。だけれども、そこに映っている人たちの顔を見ていると、どこか切ない。
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個人的に興味をもったのは、ピンドンコン。知ってますか?、ピンドンコン。
知らない人は、ぜひ読んでみて。どんな味なのか知らないけど、飲んでみたいと、あんまり思わないけれどね。
投稿者 jun : 2006年11月26日 15:57
なりきりEnglish!ワークショップ、無事終了!
なりきりEnglish!ワークショップ、無事終了しました。プロジェクトメンバーの皆様、本当にお疲れ様でした。
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「本番」と書いて、「いろいろある」と読みます。
今回も類にもれず、準備のプロセス、本番含めていろいろなことがありましたが、お互いのフォローのおかげで、何とか無事成功することができました。本当にお疲れ様でした。
最終ワークショップは12月2日、東大で開催されます。
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投稿者 jun : 2006年11月25日 17:23
なりきりEnglish!ワークショップ、はじまるよ
いよいよです。
全く新しいモバイル英語リスニングシステム「なりきりEnglish!」のプロジェクトがキックオフです。
本日、東京大学にてワークショップが開催されます。昨日は、メンバーで夜遅くまで準備。中には、ここ数日、ほとんど寝ていないメンバーもいて、ナチュラルハイです。まるで「学祭」の準備のような雰囲気でした。
自分たちの開発したシステム、カリキュラムが、キチンと学習者に受け入れられるかについての不安、そして、はやくワークショップがスタートしないか、という期待。本当に「学祭」そのものです。
(舘野編集長、はじめての冊子出版、ご満悦!)
今回の開発にあたっては、10数名のメンバーが英語班、システム班、評価班、ワークショップ班、冊子班に分かれて行いました。
各班で最後まで尽力してくださった皆様、ベネッセコーポレーションの秋山さん、中野さん、またW-ZERO3で動くFLASH動画システムを開発してくださった、スパイスワークスの藤田氏には、この場を借りて感謝いたします。ありがとうございました。
さぁ、なりきりEnglish!、はじるよ。
投稿者 jun : 2006年11月25日 08:11
赤エビス(琥珀エビス)を飲んでみた!
BAR NAKAHARAにようこそ!
うちには、カクテル、ワイン、日本酒、いろんなオチャケがありますが、何にしますか。うん?、ビールが飲みたい? それも国産。
ほほー、そうきたのね。
国産のビールで、うちにあるのはエビスだけです。エビスは100%麦芽のビールです。これしか僕は飲みません。
そのエビスに新しい仲間ができました。琥珀エビス(赤エビス)です。
ノーマルエビス(黄色エビス)と、黒エビスのちょうど中間くらいの味です。色はエール系よりはちょっと薄いけれども、味は濃い。ちょっと苦いくらいなので、いつもドライビールを飲んでいる人には苦しいかもしれません。
個人的には、日本のビールメーカーには、喉越し爽快なドライビールもいいけれど、こういう「ガツンとくるビール」をもっと造って欲しいと思います。
プレミアモルツもいいけれど、僕には、ちょっとフルーティすぎる気がする。もっと、ガツンと来るビール。「麦っす、オイラは麦っす」みたいなビール(?)が僕は好きです。
ビールの中のビールを待っています。
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追伸.
赤エビス飲んだ方います?どない?
投稿者 jun : 2006年11月24日 17:00
リーズナブルな寿司屋:築地寿司清
先日ある人から、
「中原さんのブログを、おいしいレストラン探しに利用している人って多いと思いますよ。わたしの知人もそうでした・・・それにしても、一時は寿司、寿司って言っていたのに最近はめっきりないですね。あれも一時のマイブームだったんですか」
と言われました。
ありがたき幸せ。そんなに食べ物トークが多かったかな・・・。しかし、「あれも」とは何事だ、あれも、とは(笑)。チッチッチッ、これだから困る。一過性のブームなわけないじゃん(実際多いけど)。
1週間に三日ぐらいは寿司屋に通っていますよ、ワタクシは。ガイドブックにでるようなお店はほぼ行き尽くした気がします。
寿司といえば、先日、ある学生さんから、こんなことを言われました。
「1万円を超える寿司屋を紹介されても仕方がないんですよ、学生は。頑張って2000円。そう、2000円くらいで美味しいところってないんですか?」
うーむ、2000円ですね。寿司屋で2000円は結構難しい。でも、2000円だったら、僕は間違いなく、「築地・寿司清(すしせい)」をおすすめします。寿司清は、銀座の新世代寿司屋の代表格ですね。
築地・寿司清
http://www.tsukijisushisay.co.jp/
僕の寿司屋選びのミニマムリクアイアメントってのは、下記なのですが、この値段でこれを満たすところはなかなかない。でも、寿司清ならば、これを満たすと思います。
1.清潔である
2.板前さんが愛想がよく、ちゃんと挨拶できる
3.板前さんがコムズカシクない
4.丁寧に握り、一貫ずつ寿司をだしてくれる
5.下ごしらえをキチンとしている(〆、煮切、ツメがいい)
6.1カンずつ単位で注文できる(寿司屋の注文は2カンが単位)
寿司清は都内に店舗がいくつもあるため、全部に行ったわけではないです。が、僕の行ったことのある渋谷、新宿、銀座、日比谷などは、上記の条件を満たすと思います。
店にはいったら、まず「握り」のセットを頼むといいと思う。そしたら、10カンくらいはくるから。そして、もしそれで足りなかったら、1つずつ頼むといいと思うよ。
寿司清ならば、値段が決まっているから、あとで悲惨な思いをすることもない。1カンずつお願いします、と言って、好きなものを頼めばいいのです。
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ところでさぁ、今日、街を久しぶりに歩いたけど、もう年末ムード一色ですね。ところどころで、クリスマスのショーウィンドウもでている。渋谷などは、大学生と思われる若いカップルでいっぱいでした。
たまには寿司屋のカウンターに座って食事というのもいいのではないでしょうか。
そうだ、寿司屋に行こう!
投稿者 jun : 2006年11月24日 05:00
中原のプレゼンPDFを公開
先日、日本教育工学会の1bシンポジウムで中原が使ったプレゼンファイルを欲しい、という要望を多数いただきましたので、公開します。あまり役に立たないと思いますが、ご笑覧下さい。
中原淳(2006) 社会人の学習環境を創る - 趣旨説明. 日本教育工学会シンポジウム.
他のシンポジストは公開はできません。が、北村さん@熊本大学ならもしかすると、公開いただけるかもしれません。
投稿者 jun : 2006年11月23日 21:31
「特大フォント」と「しょこたんぶろぐ」
先日、ある人が僕のパソコン画面をのぞき込んで、声をあげた。
ひゃー、デカイ!
何を隠そう、僕のブラウザのフォントの大きさは「特大」なのである。いつも日記を書いているテキストエディタにいたっては、20ポイント太字。
どうしてこんなに大きなフォントを使うのかっていうと、ズバリ「目が疲れるから」である。
目が疲れると、肩がこる。肩がこれば頭がいたくなり、腰にも響く。目・肩・頭・腰の激痛最強カルテットだけは、なんとしても避けたい。
それでも最近は、あまりに節々が痛くて、小さなフォントが耐えられなくなってきた。
最初のうちは、こんな大きなフォントを使って、「恥ずかしいな」と思っていたんだけど、いまじゃ、へーきのへーちゃんである。電車でコンピュータを使っていると、誰もが僕の画面をのぞき込む。見たきゃ、見ろ。
こんな僕を笑っている学生諸君。「しょこたんぶろぐ」を知らない僕を、「えー、イマドキ、しょこたん、知らないんですかぁ、古いっすよ、それ」とコケにした東大生M君(笑)。君らも「特大」「20ポイント」を使う日は近いぞ。ダハハー。
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ちなみに、このエントリーを読んだ人の中には、「しょこたんぶろぐ」を今はじめて知って、その瞬間から、「えー、僕は前から知ってましたよ」というふりをする人が、結構多いハズである。と、信じてる。
投稿者 jun : 2006年11月23日 09:47
ヴァカンス移住
今年、最大のヤマを迎えている。
実証実験、ワークショップ、デバック、質問紙作成・・・。僕の関与するすべてのプロジェクトが、佳境を迎えている。「耳の穴」から「鼻毛」が飛び出ちゃうほど忙しい(意味不明)。
毎日朝5時から夜遅くまで作業をしていると、ふと変な考えにとりつかれる。
このドアを開けたら、その先には南の島が広がっているんじゃないか。 今、目を開けたら真っ青な海が眼下に見えるのではないか・・・。
実際はそんなことはあり得ないんだけど、男中原、妄想ワールド全開。
つかの間の妄想である。しかし、そんなとき、ココロは「南の島」「真っ青な海」にある。アタマには「お花畑」だって咲いている。「ラリホー」と鼻歌歌いながらスキップをする僕がいる。
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みなみのしま・・・まっさおなうみ
嗚呼、うらやましい。
聞くところによると、巷では、主に団塊の世代を中心に「ヴァカンス移住」というのが流行っているらしい。
ヴァカンス移住とは、「週末だけ都会の喧噪を離れ、田舎や海辺のコテージ、別荘などで過ごす生活形態のこと」をいう。
ウィークデーは都会の便利さを享受しつつ、ウィークエンドはゆっくりとラグジュアリーに過ごす。
東京に住む人の「ヴァカンス移住先」としては、八丈島、湘南・鎌倉エリア、房総半島エリア、そして王道軽井沢があるのだという。どれも1時間から2時間程度である。これらのエリアの地価が、近年、少しずつ上昇している。
若い頃消費文化のまっただ中にいた彼らが一斉退職するのは、2007年。もう来年なのですね。
嗚呼、定年まで残り34年
・・・ヴァカンス移住は遠い。
まだまだスタートラインにたったばかりである。
投稿者 jun : 2006年11月22日 20:58
アンタを食わせるために生きてるんじゃない!:城繁幸「若者はなぜ3年で辞めるのか」
「アンタら上の世代を支えるために、僕らは生まれてきたんじゃない! 僕らの人生は僕らのためにある」
「高度経済成長時代に昼夜を問わず働いて、現代の豊かさをつくってきたのは、誰だと思っているんだ」
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今日も不毛な世代間の衝突が、街場のどこかで起きているでしょうか。
城繁幸著「若者はなぜ3年で辞めるのか」に通底したテーマは、今日も街場で繰り返される世代間の衝突に他なりません。
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さて、皆さん。現在、大卒入社3年以内で、何パーセントの若者が離職するかご存じでしょうか。
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なんと!、いまや、その数字、36.5%に達しているそうです。
かつて離職率が1割だったことを考えると、ここ数年でその数字は3倍になっている。そして、本書は、若者の早期離職の原因を「年功序列のレールが崩れたこと」に求めます。
上の世代は、「大丈夫、今はキツイけど将来は楽になるから」と若者を懐柔し、多くのキツイ単純な労働を若者に押しつける。
しかし、バブル世代以降の若者は、上の世代の欺瞞を見抜いていく。
成果主義に移行し、定期昇給がなくなり、かつ上に大量の管理職が余っている現状で、いつ仕事が楽になるというのか。
いつになったら、自分のやりたい仕事ができるようになるというのか。自分らしい仕事に取り組むことができるのはいつの日なのか。
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Hopeless
そう自分の将来が、全くHopeless(ホープレス)であることを悟っていく。そして、彼らは積極的に降りていく、のだそうです。かくして「自分探しの旅」が始まります。
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正直言って、本書の説明が正しいかどうか、専門外の筆者にはわかりません。まぁ、そんな気もするし、ちょっと単純すぎりんじゃないかな、という気もする。皆さんの実感としてはいかがでしょうか。
ただ、ひとつ印象的だったことがあります。
「若者の自分探しの旅」というのは、圧倒的に上の世代にとって有利なのだ、とわかりました。
上の世代の戦略としては、若者に「いいよ、いいよ、自分らしい仕事を見つけなさい」と言っている方が、圧倒的に得なのです。
つまりこういうこと。
そもそも「自分らしい仕事」なんか、なかなか見つかるわけがない。仕事なんか、そんなものです。これは僕もそう思います。
でも、そのプロセスにおいて、若者たちは正社員の地位を自ら捨ててくれる。で、年収3分の1にも満たない派遣社員として働いたり、フリーターとして働くことを自ら選択してくれる。彼らは正社員と同じ仕事を圧倒的低賃金でこなしてくれるのです。
そして、これが上の世代を支えることになります。
少子化、人口減少で市場規模が拡大しない現在、上の世代が、どうやってこれまでの「高賃金」を維持するか。
売り上げがあがらないのだから、間接費を削るしかありません。つまり、上の世代の高賃金は、「若者の自分探し」によって維持されている。
そう考えると、もしかすると「若者の自分探しの物語」というのは、上の世代によってつくられたのではないかと邪推してみたくもなります。
巧妙だよなぁ。
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午前5時50分・・・僕の乗っている電車は大手町につきました。研究室には6時過ぎにはつけるでしょう。今日も夜まで仕事です。
自分は「自分探し」はしていません。また、今の仕事から「降りる」気も毛頭ありません。しかし、その僕も「若者」のひとりです。
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あなたの会社に、人を育てる科学はありますか?
中原・荒木・北村・長岡・橋本著「企業内人材育成入門」、ダイアモンド社より、好評発売中です!ぜひ、ご一読いただければ幸いです。
投稿者 jun : 2006年11月21日 07:41
大学院で成功する方法?
吉原真里著「アメリカの大学院で成功する方法」(中公新書)を読んだ。
アイビーリーグのひとつブラウン大学にて博士号を取得、ハワイ大学にてテニュア(終身雇用権)を取得した筆者が、これからアメリカの大学院で学びたい人に向けて書いた具体的なアドバイスをまとめた本。留学からテニュア取得までのプロセスが詳細に書かれていて、非常に興味深い。
アメリカと日本の大学院では、授業の仕組みも、教授の働き方も、学会のあり方も、教授と生徒の関係性も、全く異なっている。
が、ここで吉原氏が指摘している「米国大学院で成功するための具体的アドバイス」は、日本の大学院に進学したいと願う人にとっても、当てはまることが多い、と感じた。
たとえば、
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(エッセイ≒研究計画書執筆のときに)まず、これからその学部に入って、どんな内容を専門にし、どんな内容の研究をしていきたいと思っているのか、具体的で焦点をしぼった説明をすること。
これには、いくつかの目的がある。1つには、自分がこれからしようとする研究について真剣かつ具体的に考えており、それについて明瞭に述べる能力があることを示すこと。2つには、自分がその分野の基礎知識をある程度もっていることを示すこと。
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という指摘は、別にアメリカだから言えることではなく、日本の大学院についても同じである。
仕事柄、年間数十本の研究計画書を読むことが多いが、「抽象的で、本当に、そんなんできるのかなぁ」と首をかしげたくなるものが、結構多い。
たとえば、僕の専門で仮に書くとすれば、
「将来必要となるeラーニングシステムの可能性を模索し、それを開発する」
「情報通信技術を活用した学習環境における評価手法、脳科学の知見を活かしながら新たに提案する」
といった「研究計画?」が本当に多い。
こういう研究計画は、具体性がないばかりか、実現性に乏しいため、苦戦を強いられることが予想される。
---
吉原氏の指摘には、こんなものもあった。
学者として大変不真面目なアドバイスをするようだが、博士論文を仕上げるためには、いつまでのリサーチしないことが、とても重要だ。(中略)リサーチには罠がある。(中略)アメリカの学界で流布している言い回しに A good dissertation is a done dissertationというのがある。文字通り、「よい論文とは終わった論文」ということである。
という指摘は、博士論文を書き上げた人ならば、皆うなずくことであろうと思う。別にいい加減に博士論文を書け、ということでは断じてない。それがどういうことかは、近くに博士号を持っている人がいたら、聞いてみてください。
---
また、本書は米国大学院の教育・研究事情を解説する本として、あるいは、若い駆け出しの研究者のための指南書としても読むことができる。
大学、そして短い研究生活を、いかにサバイブするか。僕としても、非常に考えさせられた。
まぁ、大学院に少しでも関連のあるところで生活なさっている人は、読んでみるとオモシロイと思いますけれど。
投稿者 jun : 2006年11月21日 05:00
ワイルドスピード3:TOKYO DRIFT
1.カーレースが好きで、ドリフト走行に興味がある
2.外国人が描く「間違った日本」を見てみたい
この2つのいずれかにおすすめな映画は、「ワイルド・スピード3:TOKYO DRIFT」です。ちなみに僕は理由2からこの映画を見ました(機内上映)。車には全く興味がありません。
ワイルドスピード3:TOKYO DRIFT
http://www.wx3.jp/top.html
シナリオ云々の映画ではないように思います。はっきり言って、シナリオ云々は、ぶっ飛んでいます。そういう見方ではなく、あくまで「間違った日本度」を愉しんでください。それだったら、負けません。
なにせ、
・日本の高校の学食は「懐石料理」です
・首都高、渋谷駅はレーシングコースです
・日本の女子高生はドリフト走行でメロメロになります
・日本の高校生は、数百万の車をもっています
・
・
・
・そもそも・・・日本の高校生が車を運転してます
あと、細かいことですが、登場人物は高校生の設定のはずなのに、どう考えても20代後半のちょいワルたちです。
まぁ、いいです・・・細かいことは。細かいことを気にしていたって、しゃーないから。
ココロを空にして、エンジョイしてね。
投稿者 jun : 2006年11月20日 18:00
セレブの子どもならば一流大学に入ることができる?
ちょっと前のことになるけれど、10月19日号のクーリエジャポンに掲載されていた「米国セレブと一流大学の不正入学コネクション」の記事は、とても考えさせられた。
アメリカのデューク大学やブラウン大学といった有名私立大学が、「大学の基金強化に貢献してくれそうな裕福な家庭の子ども」のみならず、「セレブの子どもたち」を優先的に受け入れ、大学の宣伝力強化・地位向上をめざしている、そしてその結果優秀な生徒が犠牲になっているという記事。
ここで少し説明が必要かも。
アメリカの大学は、卒業生からの寄付に、経営の多くを頼っています。で、こうした卒業生の子弟は、優先的に入学資格を得ることができます。これは米国の有名大学はどこでもそうでしょう。
日本人の目から見れば、「不正じゃん」てことになるんだけど、そこにはちゃんと理屈がある。
「卒業生の子どもは大学に対するロイヤリティが高いから、大学のコミュニティメンバーにふさわしい」とか何とかかんとか言って、入学させちゃうのです。
でも、この2つの大学は、「セレブの子どもたち」を受け入れる、彼らを広告塔に積極的に使うというところが、他の大学とは違ったそうです。
セレブの子どもたちは、大学に経済的貢献は行わないけれど、宣伝効果があります。テレビにもガンガンとでる。で、そのことをPR(Public relations)としてガンガン宣伝に使う、で、巨額の寄付金を集めてきた、ということでしょうか。
で、たとえばデューク大学は1980年と比較して、基金の額が28.3倍になった。38億ドル(日本円にして・・・約4500億円・・・はぁ。ちなみに世界で最も裕福な非営利組織であるハーヴァードは約3兆円です)。
---
「寄付」というのは、大学にとって重要な教育・研究資源です。それは全くそのとおりです。ですが、ちょっとね。
個人的には、「いかなる理由」があっても、どんな理屈をつけても、「寄付」と入試は結びつけるべきではないと思う。どう理屈をこねても、フェアにならないから。
本来、大学に入学して、いかんなく知への興味を爆発させられる、優秀な子どもたちが入学できず、「手に負えないほどの成績の大富豪、セレブのアンポンタン」が入学するってのは、どう考えたって、僕の感覚からすれば、フェアじゃないと思うんですけれども。「フェアであること」にこだわるのはアメリカ人ではなかったのですか?
まぁ、これに類することは、別にアメリカの大学でなくたって、まぁ、どこにでも多かれ少なかれある。日本にだってないとは言えない。
これは邪推だけれども、たぶん、デュークやブラウンが叩かれているのは、そのやり方露骨だったせいもあるのでしょうね。
なんだかため息がでるね・・・。
大学とは何かね。
投稿者 jun : 2006年11月20日 05:00
本日1時より、急遽アルバイト募集!
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急募! 中原研究室・臨時アルバイトの募集
本日、英語リスニング教材を使ってくださる方を3名募集しています
========================================
東京大学 中原研究室では開発中の英語リスニング学習システム
(Wilcom W-ZERO3にて稼働)の利用してくれる方を3名募集
しています。
11月20日午後1時から午後5時の4時間です。
ご希望の方は、
narikiri [at mark] nakahara-lab.net
yamamoto [at mark] mail.itc.u-tokyo.ac.jp
まで、
1.氏名
2.メールアドレス
3.携帯電話番号
ご連絡下さい。3名集まり次第、募集を停止させていただきます。
●日時
11月20日月曜日 午後1時から午後5時
下記集合場所までおいで下さい
●場所・集合場所
東京大学中原研究室
http://www.nakahara-lab.net/map/nime_map.html
●日給
6000円(後日銀行振り込み)
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投稿者 jun : 2006年11月20日 03:16
eラーニングドーナツトーク・2006
SATTさんと、産業能率大学の古賀さんが、「eラーニングドーナツトーク・2006」というイベントを開催するらしい。ちなみに、今日です、今日。僕はその頃機中の人なので、残念ながら参加はできない。
eラーニングドーナツトーク・2006
http://satt.jp/event/2006_1120_donuts_talk.htm
Finger foodをつまみつつ語るっていうのは、なかなか楽しいものである。どんな会になったか、行った方はお聞かせ下さい。
投稿者 jun : 2006年11月20日 02:52
CGアニメ「アントブリー(Ant bully)」を見た!
CGアニメ「アントブリー」を見ました。魔法の力で、アリと同じ大きさに変えられてしまった男の子のファンタジーの物語です。
アントブリー
http://wwws.warnerbros.co.jp/antbully/
あらすじは、だいたいこんな感じです。
ある郊外の住宅地に、体の小さなルーカスという少年がいる。彼は、ふだん、体が小さいことでいじめられていた。で、そんなうっぷんをはらすために、自分より小さなアリの巣を破壊している。
そんな彼がひょんなことから、アリと同じ大きさになる。ある日突然アリの立場に「なって」しまった。で、様々なアリの天敵と戦い、いろいろなことを学ぶという感じです。
---
個人的には、アリの目から見た「人間の家の中」の描写がとても面白かった。絨毯が、ジャングルのようになるんだよね・・・アリから、僕らの生活を見ると、こんな風に見えるんだなぁと思いました。
こういう描写はCGじゃなきゃ、できないよねぇ。まさにCGをいかすために生まれてきた映画かもしれません。
投稿者 jun : 2006年11月19日 05:00
困難は分割せよ・・・ルネ=デカルトの教え
困難は分割せよ
これはルネ=デカルトが著書「方法序説」の中で言葉です。デカルトは「明証的に真と認めることなしには、いかなることも真であるとして受け取らない」という命題とともに、「困難は分割せよ」・・・そう説きました。
僕が「方法序説」をはじめて読んだのは高校の頃だったと記憶しています。「方法序説」とは「真理を追究するための方法の序説」ですよね。現代的に言えば、科学的な方法論、思考法の本ということになるでしょうか。当時の僕は田舎の高校生でしたが、激しい衝撃を受けたことを覚えています。
困難は分割せよ
最近、いろいろな人の書いた論文を読むにつけ、そう思うのです。そして、デカルトの言葉を脳裏に浮かべてしまうのです。
自分が明らかにしたいものが、今仮にあるとする。それをAと呼びましょう。確かに、それを直接明らかにしたいのはわかる。
でも、いかにAにアプローチできるかどうかは、Aを明らかにするための下位目標をいかに設定できるかで決まるのです。
比喩的に言えば、「困難をそのままリサーチクエスチョンにすること」は避けなければなりません。そうではなくて「困難を細かく分解し、リサーチクエスチョンをたてること」が重要なのです。
こう言ってしまうと、多くの人は「なんだ、小さくまとめるってーのね」と思ってしまうかもしれません。いえ、そうではないのです。「小さくまとめる」のではなく、「小さく考え、大きくまとめる」だけなのです。
困難は分割せよ
これは僕の「座右の銘」のひとつかもしれません。
投稿者 jun : 2006年11月18日 17:00
名刺を手にして待っていた日本人?
あんまり「コムズカシー本」ばかり読んでても、疲れるべ。
つーことで、「世界の日本人 ジョーク集」を、風呂場の中で読みました。
あるんだねー、「日本人」を使ったジョーク。日本人は、時に「勤勉」だったり「テッキー」だったり、「優柔不断」だったり、「マネっ子」だったりする。いろいろなかたちで揶揄されます。ばかばかしいのもあるし、中には笑えないものもある。
下記は、個人的に、「こりゃまた一本とられた」と思ったもの。
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国際会議において有能な議長とはどういう者か?
それは、インド人を黙らせ、日本人を喋らせる者である。
(同感・・・確かにインド人は息継ぎをしていないように見える)
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会社からいつもより少し早めに帰宅すると、裸の妻が見知らぬ男とベッドの上で抱き合っていた。こんな場合、各国の人はいったいどうするだろうか。
アメリカ人は、男を射殺した。
ドイツ人は、男にしかるべき法的措置をとらせてもらうと言った。
フランス人は自分も服を脱ぎ始めた
日本人?
彼は、正式に紹介されるまで名刺を手にして待っていた
(ありえん)
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最近、忙しいですね・・・。
乾いた心には、ほんのちょっぴりの笑いを!
投稿者 jun : 2006年11月18日 12:00
アテネの大規模デモ
学会初日、今回の学会ホスト校の担当者が、いきなりこんなことを唐突に言っていました。
This is house keeping information. Actually, tomorrow we have an anual large demonstration in Athens. Be careful when you go out.
(事務的連絡です。実は、明日はアテネで一年に一回の大規模デモがあります。外にでるときは、気をつけてね。)
は?(参加者一同)
・・・・ということで・・・・なんと、アテネは大規模デモの真っ最中です。
つーか、そんなこと最初から、わかってるハズだろ。
なんで、そんな日に学会をやんのよ。
デモの影響で市内の交通は完全にストップ。空には無数のヘリが飛んでいます。また、市内の曲がり角という曲がり角には警官が立って、警備にあたっています。ものすごい警官の数です。
聞くところによると、11月17日は、「学生蜂起記念日」という日なのですよね。この日、アテネでは、大規模な集会やデモが催される。
もともとの起源は1970年の学生運動にあるそうです。1960年代に7年間続いたギリシアの軍事独裁政権に反対して、当時の学生たちが抵抗運動を行っていたんだそうですね。
1973年、ついに軍事独裁政権は、抵抗運動の中心地の「工科大学」に戦車を入れて、これを鎮圧。多数の死傷者がでたとのことです。これを記念して毎年11月17日、大規模なデモが行われているそうです。
軍事独裁政権は既に過去のものになったので、現在では、テーマは「イラク戦争反対」「グローバリズム反対」など多岐にわたっているようです。
集まる民衆を見ていた老人が僕に話しかけてきました。しばらく、デモのことについて話し合っていたのですが、「Against what?」と聞くと、「Who knows! Against everything!」と言っていました。
近年では、「アンチ・アメリカ」の運動が強いみたいです。アメリカ大使館がもっとも危険だ、と言っておりました。
このデモ、普通に行進してくれるだけなら、まだいいのですけど、近年過激化している。
車が焼かれたり、ゴミ箱に火をつけたり、店の窓ガラスを割ったりする小悪党が増えているようです。ある人に「バス停が燃やされますから、駅をでるときは、バス停とは反対側の入り口を使ってください」と言われました。おいおい、バス停燃やすなよ。
まぁ、ともかく、今日はチョロチョロしないで、シンナリとしていましょう。
---
それにしても、前回は大地震+大停電。今回は、大規模デモかよ。
僕は「嵐を呼ぶ男」?、とんだ「お祭り野郎」?
はぁ。
お願いだから、平穏な日々を過ごさせてくれ。
・・・トホホ。
(ちなみにデモはもう終わったみたいです。一時は大音響が響いていましたが・・・警官はまだ街の各所に詰めています)
投稿者 jun : 2006年11月18日 01:06
「もじゃりん」と「研究者アライアンス」
WMUTE2006(Wireless Mobile and Ubiquitous Technology in Education)というIEEE(アイトリプルイー・Institute of Electrical and Electronic Engineers)の学会に出席している。
この学会は、モバイルラーニングの特に工学系のワークショップとしては定評がある。学会参加者は100名前後。主催者のひとり、台湾のタクワイチャンによると、「敢えて出席者をしぼり、論文のクオリティを担保した上で、強いコミュニティをつくりたい」とのことであった。昨年の論文採択率は10%程度であったという。
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今日のキーノートスピーチは、ミシガン大学のエリオット=ソロウェイさんだった。ソロウェイさんといえば、1990年代中盤にアメリカ計算機学会の学術雑誌で、「学習者中心者主義」の特集をぶちあげた一人である。
彼は、近年「PDAを活用したインタラクティヴな学習」の研究を主導し、自らベンチャー企業(GOKNOW, Inc)をつくり、その普及に努めている。この日の話は、そんな内容だった。
下記が講演の様子。内容は既知のものが多かったけれど、ものすごい迫力のプレゼンテーションに圧倒された。
(ソロウェイさんを「もじゃりん」と密かに命名した・・・内緒)
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午後、興味をもったのは「G1:1」の特別セッション。
G1:1とは、「協調学習研究やモバイルラーニング研究の研究者たちのグローバルアライアンス」のこと。お互いの強みをいかして、国際的な研究を推進しようとしているらしい。この日は、組織のあり方、ゴールについて熱心な議論が行われた。
実は、「研究者のアライアンス化」は近年学習研究において進んでいる動きである。
欧州の研究者たちは、カレイドスコープというアライアンス組織をつくり、ヨーロッパユニオンから多額の研究費を獲得している。
また、アメリカでも、何人かの大学のLearning Labが集まって、NSFより多額の研究費を獲得している。
こうした「学習研究者のアライアンス」を、「航空会社のアライアンス」にたとえることは、ちょっとフザケすぎかもしれないけれど、結構、それに似たところもある。
どの組織に入って、どのような貢献を行い、どのような成果をだすか・・・誰もが、それに無関心ではいられない時代に突入している、のだと思う。
この日の議論は結構紛糾していた・・・「研究者のアライアンス」は口で言うのは簡単だけれど、実際はいろいろな思惑がからみ、非常に難しいのが現状である。将来的に、僕自身はどう動くか・・・結構考えさせられた。
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夕方にはポスターセッションが開かれた。僕も、ここで「おやこdeサイエンス」の発表を行った。「携帯電話」と「親子」をむすびつけた研究は、ほぼ世界的に事例がないということもあり、かなり多くの方々が来てくれた。よかった、よかった。
あー、今日も一日疲れたな。
そして人生は続く。
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備考.下記はほんとうに自分のためのメモ
学習スタイルを分類するとき、Kolb(1984)のExperimental Learning理論、Kolb(1994) Learning style inventoryは結構使える。Ching-Chiu chaoがそれを使っていた。
投稿者 jun : 2006年11月17日 14:11
パリ de プチ・グルメディナー
フランスをあとにし、無事にギリシアに着きました。こちらは通信環境が悪いので、なかなかシンドイです。が、まぁ、何とかかんとか暮らしています。
ところで、今回のフランス滞在は、結構疲れました。やはり英語を使うってのは、シンドイねぇ。僕も望月君もお互いヘロヘロです。
ということで、食べ物だけは、おいしいものを食べることにしたのですね。今回、行ったのは下記です。どれも満足できるレストランでしたので、ここで紹介。
■MONSIEUR LAPIN
11 Rue R. Losserand, 75014 PARIS
01 43 20 21 39
http://mmmm.free.fr/scripts/script_detail_resto.php?id=1606
ウサギ肉のジビエの専門店。フランスの方に紹介されて出かけた。地元の人しかいなかった。最寄り駅はモンパルナスタワーのある駅。そこから歩いて10分。
英語をしゃべれる人は一人。彼にすべてのメニューを解説してもらって注文する。
僕はウサギの肉を食べたことははじめてだった。それは「甘く柔らかい鶏肉」のような感じで、美味だった。
予算はワインを1本頼んで、一人1万円程度。
■ラトリエ・ジョエル=ロブション
フランス料理希代のシェフ、ジョエル=ロブションのお店。フランスのアカデミアの中心、サンジェルマン・デ・プレにあります。
この店、フランス料理屋さんでは、全く珍しいことに、日本の割烹料理屋ではおなじみの「カウンター」があります。
ロブションが、来日した際、「カウンターごしの料理人と客の近さ」に魅せられてつくったそうです。
この日は、「なす、ウサギ肉、ズッキーニなどの前菜サラダ」「白身魚のムニエル」を食べる。どれも美味しい。
が、最も感動したのは、つけあわせにでてきた「マッシュポテトの旨さ」である。クリーム風のなめらかな口当たりは、もう言葉を失いました。
北海道生まれの僕は、幼い頃から「じゃがいも」ばかり食べさせられていたので、今は、あまり食べることはない。その僕が、すべて完食した。ありえない。
ちなみに、予算はワインをグラスで頼んで、一人1万円程度。
六本木ヒルズにも支店があるそうです。
ラトリエ・ジョエル=ロブション
http://www.roppongihills.com/jp/shops_restaurants/details/restaurant.php?id=204550001
■LEON
http://www.leon-de-bruxelles.fr/home.htm
サンジェルマン・デプレやシャンゼリゼにある、ベルギーのムール貝のお店。カレー味、トマト味など、様々なソースで煮込んだムール貝を、これでもか、と食べさせてくれました。
この店に一度いったら、もうその年はムール貝の姿を食べなくてもいいかなぁ、と思わせてくれます。
どちらかというと、ファミレスのような雰囲気。気軽にどうぞ。予算はワインを1本頼んで、1人4000円程度。
投稿者 jun : 2006年11月16日 17:00
世界最大の放送番組アーカイブ:仏・国立視聴覚研究所(INA)訪問
世界最大の放送デジタルアーカイブ、フランスの「Institut National de Audiovisuel(国立視聴覚研究所)にて関係者とミーティングをもった。
国立視聴覚研究所
http://www.ina.fr/
今回の訪問は、マイクロソフト先進教育環境寄付研究部門で進めている「NHKアーカイブスの大学教育での利用プロジェクト」に関係するものである。
マイクロソフト先進教育環境寄付研究部門
http://www.utmeet.jp/
NHKアーカイブスの大学教育での利用プロジェクト
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_180522_02_j.html
---
INAは過去60年間のラジオ番組と50年間のテレビ番組を、すべて収集・保護・・デジタル化している世界最大規模の放送アーカイブである。現在、300万時間の作品を保管している。
INAのスタッフ数は955名。その内訳は下記となっている。
リサーチャー部門 6%
制作部門 3%
アーカイブ部門 55%
トレーニング部門 8%
技術スタッフ 28%
---
INAの放送番組アーカイブには、2つの種類がある。
1つめは、1940年から開始された商用アーカイブ、INA MEDIA(イナメディア)。
INA MEDIAは、テレビ65万時間、ラジオが70万時間の合計135万時間が既に所蔵されており、INAが「ディレクターの権利」を有している。事業者向けに映像資料として著作権料をとって、貸し出している。
もうひとつは、法定管理のアーカイブ、INA Theque(イナテーク)である。INA Thequeは、ラジオ95万時間、テレビが70万時間の合計165万時間のアーカイブとなっている。
法定管理(Legal deposit)とは、1992年に施行された「放送番組の政府への納品義務」のこと。フランス国内の放送事業業者は、放送されたテレビ番組・ラジオ番組を、すべてINA Thequeに保存しなければならない。これが法律で決まっている。
現在、51テレビ局、17ラジオ局、年間53000時間の番組を法定管理している。2010年・・・つまりは今から4年後には、これを100テレビ局、20ラジオ局に増やす予定である。
INA Thequeに保存された番組は、
1)国立視聴覚研究所が提供する放送事業者向けの専門性向上のため
2)修士号以上を有する研究者が研究を行うため
に利用される。
上記2つの目的であるなばら、国立視聴覚研究所内にて自由に閲覧したり、分析したりすることができる。映像は外に持ち出すことはできない。
INA Thequeの全利用者の内訳は、学生が63%、放送業者が21%となっている。INA Thequeには、利用登録が必要であるが、これまでに登録を行った人の数は1万2000人である。年間1600人のペースで増加している。
2)の研究利用に関しては、現在、400以上の大学がINA Thequeとリーガル・アグリーメントをかわし、その大学に所属している学生らがINAを利用できるようになっている。メディア研究、歴史研究、文学研究、政治研究などを志す若者たちが、INAを利用しているようだ。
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具体的に、学生らは、どのようにINA Thequeを利用するのか。
INA Thequeにおいて、彼らは「映像資料の閲覧・分析システム」を利用できる。
このシステムを使うと、INA Thequeのデータベースの中から、関連する映像資料を取り出すことができる。
また、映像にはアノテーションを付与することができ、映像のスナップショットとともに、資料としてそれを持ち出すことができる。
また映像資料に付与されたキーワードが時系列をおって、どのように増加したり、減少していくか、グラフ化したりする分析ツールも付属している。
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INA Theque、INA MEDIAの世界最大規模のアーカイブを構築するにあたっては、「ドキュメンタリスト」とよばれるスタッフによって、「人力」でタグ付け、詳細なディスクリプションが執筆されている。
誰が制作者で、どういう番組なのか。その番組を代表するようなキーワードは何か。ドキュメンタリストは、番組を視聴し、一つ一つの番組にディスクリプションをつけていく。
こういう地道な作業の果てに、INA Thequeの利用者が強力な検索を行うことができるのである。
---
なお、近年、INAは、インターネットでの映像資料公開のプロジェクトをはじめている。数ヶ月前には、INAの映像資料10万点を無料で公開するというプロジェクトを開始し、話題をさらった。
INA FR
http://www.ina.fr/
これまで教科書だけの人であった、ミシェル=フーコ、ロラン=バルトなど、構造主義現代思想の礎を築いた、何人かの思想家たちの貴重なインタビュー映像などが公開されている。
また、INAは、高校生向けに、ある程度セレクションを行った歴史の映像アーカイブ「JALONS」を公開している。こちらの方は、授業での活用等も視野にいれたつくりとなっている。
JALONS : Selective archive of teaching history
http://www.ina.fr/visite/education/jalons/index.fr.html
INAが、研究者や放送事業者だけでなく、一般の人に対しても、インターネット公開に力を入れているのは、これらアーカイブの事業に年間7270万ユーロ(113億4000万円)という巨額の運営資金をかけているからである、という。社会貢献のひとつのかたちと位置づけることができるだろう。
---
このように活発な活動を続けるINAであるが、さらに「新しい大学院」まで開設する。
大学院の名前は、「School of Television and digital media」である。
1.Television and digital media archives manager
2.Television and digital media producer
という2種類の専門家を養成するプロフェッショナルスクールである。ファカルティは、パリ大学など既存のアカデミクスの教員と、INAの実務家スタッフから構成されるようだ。2007年から開始が予定されている。
---
さて、最後に僕の個人的な雑感を。
今回のINA訪問で、特に印象的だったことは、関係者の口から下記のような言葉が繰り返された言葉である。
映像は文化遺産(Cultural Heritage)である。だから、我々をそれを残さなければならないし、研究目的のために公開しなければならない。
こういう理想が何度も何度も語られたことは、本当に印象的だった(もちろん、INAの役割に情報統制などの負の側面があることは承知している)。
そうか、文化遺産なんだよなぁ・・・。
そのくらいの高邁な理想がなければ、途方もない金を使って、様々な専門家を大量に雇い、デジタル化を進めるなんてコトはできないよなぁ、と改めて感じた。
けだし、フランスは長く世界の「思想」をリードしてきた。
実存主義は我々に「世の中への関わり方が、認識をつくる」と教え、構造主義は「あなたの認識は、あなたの所属する社会、文化、文化によって規定されている」と教えてくれた。多くの学問分野の規定をなす理論として、これらの理論は、今も新鮮さを保ち続けている。
そういう最先端の思潮を生み出すことにリソースをさくことに、ある種の社会合意があることが、何だかうらやましかった。フランスは学問の国なのだ、と思った。
---
追伸1.
なお、今回の視察にあたっては、NHKの江原氏、ロドリグ・マイヤール氏に多大なる情報提供をいただいた。
また、このエントリーを執筆するにあたっては、マイヤール氏の論文「世界最大規模の放送番組デジタルアーカイブ フランスINAとINA thequeの実績」(放送研究と調査 2006年10月号)を参考にさせていただいた。
なお、新しいデータ等に関しては、聞き取り調査に得た情報をもとに更新した。重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました。
投稿者 jun : 2006年11月16日 05:40
学習転移に関する研究会への参加募集:魁!学習科学塾
今、学習研究において「熱い領域」のうち、ひとつは間違いなく「転移」でしょう。
本研究会では、Journal of learning science、新刊「Transfer of learning」の中から、オモシロそうな論文を選りすぐって読みます。
よろしければご参加いただければ幸いです。
============================================
魁!学習科学塾 番外編ー転移
発起人:山口悦司(宮崎大学)
中原 淳(東京大学)
望月俊男(東京大学)
林 向達(東京大学修士課程)
舘野泰一(東京大学修士課程)
三宅正樹(東京大学修士課程)
============================================
■趣旨
学校で勉強したことって将来役に立つのか??な
んて考えこと、ありませんか?ある時点で学んだ内
容が、次の時点にどのような影響を及ぼすのかは、
よくわかっていません。
学習転移といわれるこの問題は、非常に大きな教
育的意味を持っています。それだけに様々な意見が
主張されてきましたが、まだまだ見解の分かれる未
解明な部分です。
今回の番外編では、
・学習科学の国際ジャーナルの小特集(2006年)
・転移に関する最新の図書(2005年)
を輪読し、学習転移研究の現状と今後について
議論します。
学習研究の最前線では、転移の問題がどのように
捉えられているのか、その意義や将来について、集
中的に学ぶことができます。
研究会には下記の条件を満たす方なら、どな
たでも参加できます。
ふるってご参加ください。
1.下記の日程に参加できる方。
2.下記にある文献リストのうち、1つ以
上を担当しA4レジュメを作成し、発表でき
る方。なおレジュメは、PDF化し、NAKAHAR
A-LAB.NETにて公開させていただきます。
※研究会は相互貢献の場です。
※オブザーブのみに参加は認めないこと
とします
なお場所の関係で、人数を11名にて打ち切ります。
ご了承下さい。お申し込みはお早めに。
■日時
2007年 1月16日(火曜日)
午前10時 - 午後7時まで
■場所
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
大学総合教育研究センター
マイクロソフト先進教育環境寄付研究部門
tel:03-5841-1727
fax:03-5841-1729
東京大学本郷キャンパス内 第2本部棟4階
403号室です。
http://www.utmeet.jp/access/index.html
■参加の申し込み方法
参加申し込みは、下記のリストから担当
したい論文を3個ご選択の上、下記の申し込み
フォームをつかって、
mmiyake[atmark]mvg.biglobe.ne.jp
のメールアドレスまで11月30日までにメールをください。
ご指定いただいた3つの文献のうち、1つを
ご担当いただければ幸いです。
【1】、【2】などという風に番号
でお知らせください。
なお人数の関係で、11名を上限に参加者を
打ち切ります。先着順といたします。
参加費は一回100円をお茶代として申し受けます。
〆ココカラ----------------------------------
申込フォーム
--------------------------------------------
名前:
所属:
メールアドレス:
文献担当希望:
第1希望
第2希望
第3希望
------------------------------------〆ここまで
■文献内容
1. 学習科学の国際ジャーナルの小特集(2006年)
The Journal of the Learning Sciences/ Volume: 15, Number: 4 2006
【1】 Alternative Perspectives on the Transfer of
Learning: History, Issues, and Challenges for Future Research
Joanne Lobato
【2】Framing Interactions to Foster Generative Learning: A
Situative Explanation of Transfer in a Community of Learners Classroom
Randi A. Engle
【3】Sameness and Difference in Transfer
Ference Marton
【4】Authoritative, Accountable Positioning and Connected,
General Knowing: Progressive Themes in Understanding Transfer
James G. Greeno
2. 転移に関する最新の図書(2005年)
Transfer of Learning from a Modern Multidisciplinary Perspective
(Current Perspectives on Cognition, Learning, and Instruction)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/1593111649/
目次情報
http://www.loc.gov/catdir/toc/ecip0513/2005009105.html
※今回の読書会では、以下のchapterを取り上げて輪読します。
【5】Chapter 1
Schwartz, Bransford and Sears
これまでの転移研究で用いられてきた指標とは異なる視点から新しい転
移像を構築することを目的に。ターゲットとなる問題を解決出来るかど
うかではなく、ターゲットとなる問題をよりよく学べるかどうか、将来
の学びへの準備としての転移、という概念の提唱。
【6】Chapter 2
Wolfe, Reyna and Brainerd
fuzzy trace theoryという理論的枠組みから、転移を可能にする記憶の
形態を考察する。
【7】Chapter 4
diSessa and Wagner
複雑な知識の集合としての概念が、文脈等の情報とどのように関係する
のか、熟達者と初心者における概念やその適応能力の仕方の違い等から
転移における問題を考える。
【8】Chapter 7
Hickey and Pellegrino
評価と転移との関係を評価を構成する3つの側面、学習理論、教授と評
価の心理的距離、総括的あるいは形成的評価等の評価の役割、から考え
る。
【9】Chapter 10
Dziembowski and Newcombe
古典的研究の詳細な見直しから、これまでの研究が見落としてきた転移
元と転移先における概念の違いや、転移の可塑性を明らかにする。
【10】Chapter 11
Hakel and Halpern
How People Learnの知見から、転移を促進する為の方法を考察
【11】 Chapter 12
Fisch, Kirkorian and Anderson
インフォーマルな場からの転移とはどのようなモノなのかを、テレビの
教育番組の内容がどのように転移するか等から考える。
※当日、研究会終了後、懇親会をいたします
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研究会幹事:三宅正樹(東京大学修士課程)
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投稿者 jun : 2006年11月15日 15:26
フランス困惑話とヴェルサイユのトリビア
フランスにきて2日目。相変わらず、小生、「時差ぼけジジイ」である。今、フランスは午前4時です。気持ち的には眠たいんだけど、眠れない。目がサーチライトみたいにピカーッと光って、あたりを照らしているのです。落ち着け、目。
フランスにきて1つ気づいたことがあります。「品のない話」というか「下品きわまりないトーク」なので、お食事中の方はご用心。誰も、オレのblog読みながら食事する人はいないと思うけど。大丈夫な方は、ゆっくりとスクロールを。
ズバリ!
フランスの便所、流れにくくないですか?
僕、若いわりには頻尿なので、便所によくいくのですが、「大」の方にチラリと目をやると、かなりの確率で詰まっています。そんなものでしょうか。
Someting dirty remains still
っていうのかな、そういうの(なんで英語やねん・・・笑)。いくら流そうと思っても、水流が弱くて流れないみたいです。「アタイ、無力だわー」って感じで、チョロチョロと水が流れるだけ。ちょっと困惑しちゃうねー。
---
まぁ、水流が強すぎて、
Someting dirty is scattered
な感じのアメリカの便所も、いかがなものかと思うのだけれども(本当に汚くてスマン)。
---
そういえば、「フランス」「便所」と来れば、こんなトリビア知ってますか。僕、昔、何かの本で読みました。
実は、
フランスのベルサイユ宮殿には、トイレがひとつもなかった
のです。
ルイ14世は半世紀かけて、あの宮殿をつくったのにね。「あれれー、便所つくるの忘れちゃったどー」ってことはないわな。そこまでアホじゃない。
じゃあ、どうしていたかというと、当時は「おまる」だったのです。だからね、結構宮殿には悪臭が漂っていたみたいです。
このblog、本当に勉強になるねー。受験生にもおすすめです。
---
Anyway・・・
フランス、通りは本当に綺麗だし、建物は上品なのにね。その点だけ残念です。あとは便所だね、この国は。健闘祈る。
投稿者 jun : 2006年11月14日 17:00
阿部真大 「搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た! 」 を読んだ
阿部真大著「搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た! 」(集英社新書)を読んだ。
筆者の阿部氏は東京大学大学院博士課程で社会学を学ぶ学生。一年間にわたり、自ら「バイク便ライダー」のアルバイトをしながら、エスノグラフィーを執筆した。本書はソシオロゴスに掲載された論文を加筆・修正して一般向けに修正したものだという。
阿部氏がリサーチクエスチョンは下記である。
「なぜバイク便のライダーたちは、不安定な雇用状況のもと、率先して危険な走行をおこなうワーカホリックになっていくのか」
氏は、そのプロセスをエスノグラフィーという研究手法で明らかにすることを試みた。
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一般にバイク便ライダーとは「収入の不安定性+身体の危険性」という等式が成立する職業であるらしい(p24)。
請負契約のかたちで、企業と個人が対等に労働契約をむすぶため、最低賃金が保証されておらず、もし、万が一、事故をおこしてしまった場合には、明日からの収入がゼロになってしまう可能性がある。
現在の若者の就業問題といえば、ニート、ヒッキー、フリーターが問題になることが多いが、彼が描いた「バイク便」は、それとは対極の世界である。阿部氏はバイク便の世界を「自己実現系ワーカホリック」といい、彼らがなぜワーカホリックになっていくのか、そのプロセスに迫った(しかし、この2つは実は表裏一体の現象である)。
阿部氏は言う(しかも冒頭で・・・)。
---
不安定な仕事で自己実現し、ワーカホリックとなることは非常に危険である。だからやりたい仕事があっても、それが未来のない仕事であるならば、没入してはいけません。おわり。
……と、ここで終わっては、僕がこの本を書く意味がない。そのくらいのことは若者もわかっている。では、なにが問題なのか。それが分かっていても、彼らは不安定な仕事のなかでワーカホリックになってしまう。(19p)
---
若者は、最初、お金ほしさで時給の高いバイク便の世界にはいってくる。その多くは、バイクを趣味にもつ若者。趣味を生かせる仕事として、バイク便は、彼らにとっては非常に魅力的である。
しかし、「バイク便の職場には巧妙なまれている(巧妙な・・・しかし、非意図的な)。その職場で時間を過ごすうちに、「腰掛け程度の気合いしかなかった若者たち」が、知らず知らずのうちにワーカホリックになってしまい、危険走行をものともしない、バイク便ライダーになっていく。
若者たちは最初からバイク便ライダーなのではない。バイク便ライダーになっていくのである。
それではなぜ、彼らは「バイク便ライダー=ワーカホリック」になってしまうのか・・・。
・・・本当に申し訳ないですが、それは自分で読んでください。
だって、ネタバレになっちゃうもん。
阿部氏自身がこの本の後半は「謎解き」だとおっしゃっているので、そのプロセスは書きません。
---
ふー。
本書、僕はヒースローからパリまでの飛行機の中で読みました・・・。てことは、かけた時間は1時間以内です。そのくらいすらすら読めてしまいます。
でも、だからといって、薄い本ではなく、難しいことを平易に伝えようとしています。きっと一般の人、そしてバイク便ライダーの方にも読んで欲しかったのではないかな、と邪推しました。
印象としては、
エーレンライクの「ニッケル・アンド・ダイム」
+
ウィリスの「ハマータウンの野郎ども」
+
佐藤郁哉「暴走族のエスノグラフィー」
といったテイストをもった本のように感じました。わたしは門外漢なので、よく知りませんが、こういう先行研究のエッセンスをうまく生かして、バイク便の世界にアプローチしているように思いましたけれども。
阿部氏は1976年生まれ。自らも団塊ジュニア世代です。現在は、ケアワーカーの労働実態を調査なさっているようです。今後が、とても愉しみですね。
投稿者 jun : 2006年11月14日 06:00
インフルエンザ・パンデミック!:山本太郎著「新型インフルエンザ」
9月2日 風邪のような症状の患者が一例発生する
9月18日 患者数は6000人に拡大
9月24日 患者数は1万2000人に達し、700人の死亡が確認される
6ヶ月後 人口の25%が感染し、人口の2%が死亡
1年後 ウィルスは世界を席巻し、4000-5000万人が死亡
- パンデミック(一般集団感染)
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インドネシア、中国などアジア諸国を中心に、鳥同士の感染が広がっている新型インフルエンザ。最近では、ヒトへの感染もごく希に生じている。
外務省国際協力局にて感染症対策にあたっている医師、山本太郎の著した「新型インフルエンザ:世界がふるえる日(岩波新書)」を読んだ。
本書によれば、新型インフルエンザの感染状況は、現在、フェイズ1から6までの3の状況にある。フェイズ3では、ヒトへの感染は確認されていないか、ごく希にしかおこらない。
次の段階のフェイズ4とは、ヒトへの感染が局所的に発生する状況のこと。いったん4に進めば、フェイズ6「パンデミック(一般集団感染)」に進むのは、時間の問題になる。
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今回の新型インフルエンザは、1918年に世界を席巻したインフルエンザ(スペイン風邪と呼ばれている)同様、強毒性が予想されている。
1918年のインフルエンザの場合、人口の半数が感染、死者は1億人という推計もある。もし万が一、新型インフルエンザが1918年と同程度のものであったとして、今回は、推計1億6000万人が亡くなる計算である。
そして、その死の現場は凄惨を極める。
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患者たちは関節痛を訴えて泣いた。高熱と悪寒に苦しみ、毛布の下でただ震えていた。下腹部の痛みを訴え、嘔吐を繰り返した。
何よりも私たちを驚かせ、おびえさせた症状は皮下気種の存在だった。皮下に空気がたまり、それが体全体に広がっていく。破裂した肺から漏れ出た空気は、患者が寝返りをうつたびに、プチ、プチと音をたてた
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そして、痛みを訴える患者に対して、我々はなすすべはない。
まず木工職人と家具職人をかき集め、棺桶作りをはじめさせておくこと。次に、街にたむろする労務者をかき集めて墓穴を掘らせておくこと。そうしておけば少なくとも埋葬が間に合わず、死体がどんどんたまっえいくという事態は避けられるはずだ。
(米国公衆衛生学会誌)
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山本氏によると、中世イタリアにおいては、インフルエンザは「天体の運動」によって引き起こされると考えられていた。インフルエンザという名前は、「天体の影響」という意味で、もともとは「インフルエンツァ」とよばれていたのだという。
今、我々はインフルエンザの正体、すなわちインフルエンザウィルスの存在を既に知っている。そして山本氏のように、日々、インフルエンザウィルスと格闘する医師がいる。
しかし、悲しいかな、正体を知りながらも、それに打ち勝つことはなかなか難しい。どのような特徴と構造をもったウィルスが、いつ、どこで、どのような感染経路をたどって出現するかは、誰もわからないからだ。
しかし、一つだけ確かなことがある。
新型インフルエンザの世界的流行 - パンデミック - はいつか必ず起こる。
パンデミックが起こったとき、我々一人一人に何ができるか。秒針がカウントダウンを刻む中、そろそろ考えるべきときに来ている。
投稿者 jun : 2006年11月13日 17:00
成田エキスプレス、遠距離恋愛、カレシ
引っ越してからというもの、成田空港に行くには、JRの「成田エキスプレス」を使うようになった。
成田空港まで直通で1時間くらい。車窓の風景は、ビルディングが林立する「都市」から、水田の広がる「田園」へと、次第に変わっていく。いつも焦点を定めず、ただぼんやりと眺めているけれど、飽きることはない。
「これからいざ海外へ出る」というとき・・・。そういうときに、どんどんと後ろに流れていく風景を眺め、物思いにふけっていると、なんだか少し寂しくなってくるから不思議である。嗚呼、オレは日本をでるのか。無事に帰ってこなけりゃな。
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ところで、成田エキスプレスといえば、乗車するたびに、いつも同じような「凄惨な光景」を目にする。
成田エキスプレスは成田空港までノンストップの特急電車であるのにもかかわらず、「千葉行きの急行電車」と間違って乗車する人が結構いるのだ。今日まで数回、そういう被害者を目撃していた。
今日も、そんな人を3人見た。そのうち2人は初老の夫婦。まぁ、彼らの場合は仕方がない。だって、息子から持たされたという「電車の乗り方を書いたメモ」からして、全く間違っているんだから。ご丁寧に「成田エクスプレスに乗れ」と書いてある。
「あいつは情けないやつだよ・・・。40にもなって、電車の乗り方さえわかんないのか・・・」
と、おじいさんが疲れた顔でぼやく。同情するなぁ、その気持ち。息子のアホさを呪うしかない。
---
問題は、電車が発車寸前に飛び込んできた大学生の女の子だった。背は高く、オシャレなマフラーをしている可愛い子だった。
手には、誰かへのプレゼントなのだろうか、TAKEO KIKUCHIの小さな紙袋をもっていた。
「すみません」
彼女は僕の隣の席に座った。
悲劇は発車して10分くらいたったときに突然起こった。車窓をボーッと眺めていた彼女が、急に、素っ頓狂な声をあげる。
「えっ、えっ、えっ?・・・あれっ」
「・・・・・」
「あのー、これって千葉に止まりますよね・・・」
「何がですか」・・・僕は答える。
「この電車は千葉駅に止まりますか?」
・
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残酷なようだが、三十路中原、ここは正直に答えるしかない。
「いいえ、この電車は成田まで直通ですけど・・・千葉にはとまりませんよ・・・千葉に行きたかったのですか?」
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長い沈黙が流れた。そして突然堰を切ったように・・・
「うわー、やばい、うわー、どうしよ・・・えー、千葉にとまらないのですか、それ困ります、ヒック、ヒック」
女の子は涙を流してしまった
久しぶりに、これには参った。
おいおい、ちょっと待ってくれ。オレが泣かしたみたいじゃないですか。いやー、僕、悪くないですよ。
皆さん、ちょっと僕をジロジロ見ないでくださいよ。あのねー、ほら、何もしてないって(手をあげる・・・)。アイアム無罪。
彼女はまだヒクヒク言っている。
オメー、いつまでもヒクヒク言ってんじゃねー。すっかり、オレが悪人じゃねーか。
と一瞬恫喝したくなったけど、うーん、ここで彼女を責めても仕方がない。まして、それをやっては、さらに「人非人度」があがってしまう。
ここは、全身全霊、ジェントルボイスで慰めるしかない。希望だ、希望を語ろう。
「いや、ちょっと待ってください。今は、もう、このまま成田までいくしかないですけど、そこから千葉に戻れば30分くらいでつくと思うんです(よく知らないんだけど、そのくらいかな、と思って思わず口に出た)。待ち合わせ?は何時ですか・・・」
「ヒック、ヒック、○○時です」
「じゃあ、間に合いますよ。何とか、いやー、きっと間に合うって。ギリギリだけど、何とかなるよ」
「本当ですか。間に合いますかね」
・
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・
しばらくして、女の子は泣きやんだ。少し安心したせいだろうか、いろいろ自分のことを語ってくれた。
自分は静岡の大学に通っていること。
カレシは千葉の大学に通っていること。
遠距離恋愛をして1年くらいになること。
一ヶ月に一回くらいお互いの住む街で会っていること。
そして、今日がカレシの誕生日であること。
前回逢ったときに遅刻してしまい、もう二度と遅刻しないと約束したこと。
・
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数十分たって、電車は成田空港に入る。
「いろいろとすみませんでした、海外気をつけて行ってきてください」
と言って、彼女は足早に席をたつ。
ホームにでた彼女は走る。これからカレシの待つ千葉へ急ぐ。あっという間に、姿は見えなくなってしまった。おっと、こうしちゃいられない。僕も、そろそろ向かおうか。
いやー、久しぶりに僕は「遠距離恋愛」とか「カレシ」とかいう言葉を他人の口から聞いた。訳がわからないけど、少し「ほろにがい感じ」がした。
・
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彼女、待ち合わせ時間、間に合ったかな・・・。
きっと、間に合ったよな・・・いや、間に合ったよ、絶対。
投稿者 jun : 2006年11月13日 07:04
やる気のない上司をどうするか?
「企業内人材育成入門」を上梓して以来、様々な人々から相談のメールをもらいます。ありがとうございます。
その中でももっとも多い質問は下記です。
---
バブル時代に採用された、やる気のない課長、係長をどうすればいいのでしょうか。別にいいのです、邪魔さえしてくれなければ。でも、往々にしてプライドの高い彼らは、やる気はないくせに些末な文句ばかり言ってきます。コンピュータや事務処理能力なども、明らかに部下であるわたしたちの方が上です。こういう場合、どうすればいいのでしょうか。
---
深刻だなぁ・・・。
もちろん、ここでいう「バブル期」は無視してよい。「バブル」だろうと「就職氷河期」だろうと、できる人はできますし、できない人はできません。要するに、上記の問いは「ヤヴァイ上司をもったら部下はどういう風に振る舞うべきか」という問いと解釈します。
さて、あなたからどうする?
投稿者 jun : 2006年11月12日 17:00
Google for educatorsとMicrosoft school of the future
ちょっと前のことになるけれど、検索エンジン最大手Googleは、K-12の教師を対象に「GoogleのWebアプリケーションを使った授業教授法」に関するリソースの提供をはじめた。Googleの教育市場へのリーチがはじまった。
オープンされたサイト、名前を「Google for Educators」という。1ヶ月ほど前にずいぶん話題になったので、ご存じの方も多いと思う。
Google for Educators
http://www.google.com/educators/index.html
Google for Educatorsでは、Google Earth、Blog、ワードプロセッサ、スプレッドシート、写真管理ソフト、などの使い方、などについて、様々な解説、文書、リンクが用意されている。いくつかレッスンプランなども公開されている。
また、単に教師用の素材をサイトを公開するだけではない。
教師向けの研修コースを開発し、教師に受講させる。そして、それを修了した教師には、「Google Certified Teacher(Google認定教師)」という称号を付与するという事業も開始する。
Google Certified Teacherになるためには、Google本社で行われる「Google Teacher Academy」という研修に参加する必要がある。
Academyでは、Googleの製品について理解を深めた上で、他の教師たちと一緒に、「これらをどのように授業に使うか」についてディスカッションなどをするらしい。
酒井君(東京大学)の情報によると、この研修コースの運営は、米国教育NPO最大手のWestEdが担当しているという。
WestEdは、教育・学習に関係する巨大NPOで、500人以上の教育専門家を雇用し、様々な教育事業を展開している(日本のNPOのイメージとは違う・・・どちらかというと、会社に近い)。WestEdの事業の中には、「教師の専門性向上」や「学校経営」「教師リーダーシップ開発」などがある。
West Ed
http://www.wested.org/cs/we/print/docs/we/home.htm
さて、僕もGoogle for Educatorsを拝見させていただいた。が、現段階のそれは、まだ「教師用リソース」と言うには少し不足があるな、と感じた。現在は、どちらかというと、まだリンク集の段階であると思う。
願わくば、今後、サイトの設計の背後に、「教師教育」の知見や思想を入れ込むことが必要だと思う。
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さて、Googleといえば、IT業界の巨人Microsoftは、教育ドメインに対して全く異なったアプローチを見せている。同社のプロダクトをあますところなく使った「未来の学校:School of the Future」をフィラデルフィア教育委員会と連携して、この9月にオープンさせた。
School of the Future
http://www.microsoft.com/education/schooloffuture.mspx
この「School of the Future」の詳細については、明日?より西森助教授が訪問する。きっと、このブログでもお伝えできると思うので、お楽しみに。
投稿者 jun : 2006年11月12日 06:00
わかりやすい文章を書く方法:本多勝一「日本語の作文技術」
「オレ、めっちゃ、わかりにくい文章を書きてー」という人は、この世にあまりいない。
文章作成は、英会話と同じように、日本人誰もがうまくなりたいと願い、日々研鑽しつつも、途中で挫折する「蜃気楼」のようなものである。それが証拠に、「文章を書く」というテーマをかかげた本は、いつの時代もベストセラーを飾る。
本多勝一「日本語の作文技術」を読んだ。そこにでてくる文章の明晰さを羨みながら、己の文章の稚拙さを嘆きつつ。
本書は、具体的な文章事例を示しながら、「読者にとってわかりやすい文章を書くためのテクニック」を教えてくれる。
例えば、僕らはふだんこういう文章を書いてしまいがちではないだろうか。本書より悪い事例を引用しよう。
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二日未明、東京都三鷹市のマンションで、部屋に充満していたプロパンガスが爆発して四人が重傷、三二人が飛び散ったガラスの破片などで1ー2週間のけがをした
厚手の白い横線の引かれた紙をとってください
京都で学問をし、大阪で金をもうけ、神戸に住む、それが関西人の理想の生活だと京都の作家の田辺聖子さんが書いているのを読んだ。
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さて、あなただったら、どこをどう変えるだろうか?
ちょっと変えるだけで、格段にわかりやすくなると思うのだけれども。本書では、こうした文章をソフィスティケートするためのいくつかのテクニックを紹介している。
最後に下記の文章を読んでみよう。
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いま僕自身が野間宏の仕事に、喚起力のこもった契機を与えられつつ考えることは、作家みなが全体小説の企画によって彼の仕事の現場にも明瞭にもちこみうるところの、この現実世界を、その全体において経験しよう、とする態度をとることなしには、かれの職業の、外部からあたえられたぬるま湯の中での特殊性を克服することはできぬであろう、ということに他ならないが、あらためて言うまでもなくそれは、いったん外部からの恩賜的な枠組みが壊れ、いかなる特恵的な条件もなしに、作家が現実生活に花をつきつけねばならぬ時のことを考えるまでもなく、本当に作家という職業は、自立しうるものか、を自省するとき、すべての作家がみずからに課すべき問いかけであるように思われるのである。
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・・・ノーベル賞作家大江健三郎の文章である。ここまで来ると、もうテクニック云々ではなく、尊敬に値する。
投稿者 jun : 2006年11月11日 12:11
君の若さをデバックに!:アルバイト募集
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君の若さをデバックに!:中原研究室・臨時アルバイトの募集
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東京大学 中原研究室では開発中の英語
リスニング学習システム(Wilcom W-ZERO3にて稼働)
のデバックをしてくれる方を4名募集しています。
デバックは、11月20日午後1時から午後5時
の4時間です。
ご希望の方は、
narikiri [at mark] nakahara-lab.net
まで、
1.氏名
2.メールアドレス
3.携帯電話番号
ご連絡下さい。
●日時
11月20日月曜日 午後1時から午後5時
●場所
東京大学中原研究室
http://www.nakahara-lab.net/map/nime_map.html
●日給
6000円(後日銀行振り込み)
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投稿者 jun : 2006年11月10日 16:37
査読
先日、ある知り合いが最近受け取ったという論文採録条件を見せてもらった。その内容には、なんだか腰が砕けた。
まず、ひとつめの論文採録条件がスゴイ。あんまり具体的には言えないけれど、そこにかかれていた条件は、「世界人類共通の課題」である!
友人は、この論文を通すために、世界人類共通の課題を解決しなければならないのだ! おー、なんたる不条理!
ふたつの論文採録条件は、おそらく、もう一人の査読者によってかかれたものだが、これもスゴイ。おそらく心理畑の査読者なのだが、統計検定について、非常に些末でトリヴィアルな事柄を探しまくって、愉快痛快に、つきまくっている。
その条件をクリアするためには、おそらく、すべての実験をやり直し、200人くらいの被験者を集めた実験計画をたてなければならないだろう。それもランダムサンプリングで200名を集めなければならない・・・。
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要するに、ほぼ回答不能、すなわち「返戻」である。
こういう査読を見るにつけ、何だか僕は釈然としない。というか、憤りさえ感じる。
第一に「世界人類共通の課題」を、若い研究者にぶつけ、答えさせることに、何の意味があるのか。これは申し訳ないけど、「教育的暴力」といってもよい。というか、教育する気はあんまりないんだよね・・・、こういう場合。
ちなみに、また、友人の論文は「開発物そのものに非常に新奇性」があって、思わず、ほほーとうなってしまうようなものだった。
これは私見だが、世の中には、「開発のオモシロサ」でおす論文があってもいいし、そういう業界、コミュニティがあることを、査読者であるならば理解してほしい。
また、たとえ実験計画があまりクリアではなくても、「今ださなければならぬ論文」というものがある。特に競争が激しい分野なら、その可能性は非常に高い。そのあたりの時流を見抜ぬく必要がある。
そもそも教育、経営、工学の論文で、特に現場をもつ研究になると厳密な実験計画をたてることは難しい。現場には様々な制約があり、活動が可能な期間というものがある。「細胞に薬品をふりかける式」の研究じゃあるまいし、そんなに厳密な統制だってできない。「やらない」じゃなくて、「できない」なのだ。そして、やること=厳密な要因特定をすることに、それほど意味のない場合だってある。
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ともかく、今、世の中にでるべき、オモシロいシステムや、エキサィティングな知見が、かくして日の目をみない。「世界人類の課題」という重い十字架を背負われて、池にしずめられる。
僕は、これを社会的損失だと考える。
今日はかなりご機嫌ななめだ・・・プンプン。
(プンプンといって怒るのは、僕とサトウタマオくらいだ)
投稿者 jun : 2006年11月10日 14:08
揺れるアメリカの教育大学院
某先生に勧められた文献、「学位から見たアメリカ教育大学院」を拝読した。
小川佳万(2002)学位から見たアメリカ教育大学院. 名古屋高等教育研究. Vol.2
http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/publications/journal/no2/11.pdf
非常に興味深い事実や、指摘がなされていたので一部引用し、ここでも紹介する。
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巨大なアメリカの大学院の中で、分野別に見た場合、教育分野の学位授与数が修士学位・博士学位ともにトップを占めていることは案外知られていない。
例えば、1997-98年の学位授与状況のデータによれば、この年に全体で約43万件の修士号が授与されたが、教育分野は、11万5000件と全体の4分の1強を占め、第一位である。また同年の博士号授与件数は、全体で約4万6000件であるが、同様にトップは教育分野で6700件となっている(The Chronicle of Higher Education Almanac Issue, 2001, p.25)。
(中略)
教員養成課程の中心は修士課程に移行してきている。州によって詳細は異なっているが、一般的傾向として終身免許の取得に修士課程修了を条件にしている州が増加してきていることは確かである。
例えば、マサチューセッツ州の場合、学部レベルで教員養成プログラムを終了したものには、教員免許が授与されるが、それは5年間の期限限定の仮免許(Provisional Certificate)であり、終身免許(Standard Certificate)を取得しようとすれば、修士課程レベルでの教員養成プログラムを修了しなければならない。
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上記の事実は、前々から、このblogでも話題にしていたことである。現職教師の43%が修士号取得者というのは、こうした巨大な教育大学院マーケットを背景にしている。
それにしても、「仮免」と「終身免許」というのがあることは知らなかった。なんだか車の免許書みたいだなーと思うけれど、考え方によっては、いいことなのかもしれない。
専門職には長い研修期間と、定期的な知識・技能のアップデートが必要になる。少なくともこの制度があれば、5年間は修行期間と位置づけられる。そして、その後、大手をふって大学院に進学することができる。現場の経験をともなって大学院に戻れば、問題意識もずいぶん違うだろう、と推察される。
ともかく、こういうリカレントが制度的に位置づけられている以上、Master of Education : MEd学位というのは、教員免許に限りなく近いものになるだろう。
しかし、教員と大学院のつきあいは、これで終わらない。
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終身免許を取得した教員であっても、ちょうど自動車免許と同様に、5年毎の更新が義務付けられ、その際に教育大学院で開講されるコースの履修をしなければならないことである。つまり、教員は教育大学院と「一生縁を切れない」仕組みになっているのである。ここに教育大学院が巨大になる理由の一つがあるのである。
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筆者が指摘するように「専門職を大学院レベルの教育課程と結びつけ、
制度化したことがアメリカ的特徴」であり、「特定の職業をターゲットにしないプログラムは存在しないことが、プロフェッショナル・スクールの一般的傾向」である。
当該人物が専門職を自称する以上、大学院は存続する仕組みができあがっている。
・
・
・
しかし、このように見ると、アメリカ大学院の「財政的基盤」「精神的支柱」は盤石であるように見えるが、同論文によると、それは必ずしもそうとはいえないのだという
---
1.教員がセミプロフェッションとしての扱いしか受けていないこと
教員の給与が非常に低いこと
2.教員養成試験への対応
3.学力低下問題への対応
---
などが問題になっている。そして、教育で何らかの問題が発生するたびに、教育大学院は常に批判にさらされ、翻弄されるのだという。
教育大学院の苦難は、それだけでは終わらない。MEdがほぼ教員養成プログラムと同義の意味をなし、経験中心、実践中心のカリキュラムに移行していく中で、アカデミックなものへの憧憬に常に心を揺り動かされている、という。
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教育大学院は(プロフェッショナルスクールなのだから)アカデミックでないことには何ら問題ない。しかし、重要なのはこのアカデミックにこめられた非アカデミックに対する序列意識である。
教育大学院に対して「アカデミックでない」というとき、それは単に分類上の差異を超えて、学問ではない、質が低い、大学の中にはなじまない、等の冷たい視線が含まれることになるのである。
教育大学院は、巨大であるにもかかわらず、学内的には非常に地位の低い位置に甘んじているという心理的なプレッシャーを感じることになる(Clifford &Guthrie 1988、p.325)。
---
かくして、実務者の博士号としてのEd.Dではなく、研究者の学位としてのPh.Dを輩出することにこだわりが生まれたり、MEd.ではなく、Master of Arts in Teaching(MAT)/ Master of Science in Teaching(MST)という学位の差異化が生まれたりする。
日本には、そもそも実務者が大学院博士課程にくることは、それほど多いことではなかったので、実質、Ed.DとかPh.Dという区別はあまりない。だけれども、「アカデミズムに対する憧憬」と「実践的であることに対する侮蔑」については、僕もよく理解できる。
たとえていうならば、「心理学理論より導き出された教え方のテクニックをためしてみる」よりは、「いかに正確な心理尺度をつくり、いかに偏りのない被験者を集め、いかに測定するか」が価値あるものとされる。それは日本にいても、アメリカにいても、あまり変わらない。
「研究は実践的であれ」と口ではいいながら、「はい回ってどうする?」と心の中では思っている。そんなメンタリティが見え隠れする。
---
アメリカの大学院といっても一様ではない。もしかすると、ここでとらえたも大学院も、ひとつのイメージなのかもしれない。
しかし、ひとつだけ間違いがないことがあるとすれば、アメリカの大学院「も」揺れている、ということである。
時に「アメリカの教育大学院は実践的で、日本はダメ」みたいな偏狭なステレオタイプが流布しているけれど、それは全く実像をとらえていない、と僕は思う。
王道はない。
投稿者 jun : 2006年11月10日 09:53
18.5%の学習:ロイ・ピーさんの講演を聴いた!
ここ2日にかけて、東京大学ではAPRU DLI2006という国際会議がひらかれています。
APRU DLI 2006
http://apru2006.dir.u-tokyo.ac.jp/
今日のセッションでは、スタンフォード大学のロイ・ピー教授の「DIVERプロジェクト」に関する講演があった。
Stanford Center for Innovations in Learning
http://scil.stanford.edu/
DIVERプロジェクト
http://diver.stanford.edu/what.html
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DIVERは、一言でいうと「全景360度の映像をパノラマカメラで撮影し、容易に編集することのできるシステム」のこと。
基本的にはジェネラルなツールなので、誰もが使えるが、主に学習研究者が利用するリサーチツールと考えればよい。教師教育や、学習者同士のインタラクションを分析するのに用いられる、という。
DIVERでは、これまでフォーカスをあてた狭い部分しか撮影できなかったデジタルビデオとは違って、より広く、より多くの人の行動を、同時に撮影することができる。
加えて、撮影したビデオの一部にズームし、そこを違った角度から見ることができるほか、映像のコピー、ペースト、リミックス(結合)などが可能になっている。
DIVERシステムの概要
http://diver.stanford.edu/overview.html
それらの基本機能に加えて、映像を見た複数の人々が、ビデオ映像にコメントを残すことができるほか、そうした映像をWeb等で共有することもできる。
ロイさんは言う。
Very first analysis is done when your camera is fixed at certain point...
確かに、既にカメラのフォーカスをある一点にあてた時点で、収集できるデータが「選択」されているわけで、よりリッチなデータを必要とするならば、こうしたツールがかかせない、ということになるだろうか。
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それでは、DIVERは、具体的にどのような研究で用いられているのだろうか。ロイさんは、LIFEという研究プロジェクトを紹介していた。
LIFE
http://life-slc.org/
LIFEとは「The Learning in Informal and Formal Environments」のこと。スタンフォード大学を中心に、ワシントン大学、SRIなどが連携を組んですすめている学習研究である。
その目的を一言でいうと、「ゆりかごから墓場まで、学校の中だけでなく、すべての人間の学習」を対象として、「エスノグラフィーから脳科学」まで方法論を選ばず研究をすすめよう!、ということにつきるだろう。
人間の学習というのは、学校であれ、公園であれ、子どもであれ、大人であれ、いつでもどこでもおこっている。しかーし!、これまで学習研究が対象にしてきたのは、「学校の教室」がほとんどだ、とロイさんは言う。
で、この図を見せてくれた。この図は、もしかすると、今日最大の収穫だったかもしれない。
LIFE WIDE LEARNING
http://life-slc.org/wp-content/up/2006/04/life-long-and-life-wide.jpg
オレンジの部分は、学校などで実施される「Formalな学習」をあらわしている。対して、青は学校外での「Informalな学習」。
で、これまでアカデミズムは、この「オレンジの部分」を対象にしていた。で、これからは青の部分もアプローチしなきゃならないね、ということだそうです。最もオレンジが多いK-12の期間でさえ、18.5%しかFormal Learningの機会はないからね。
じゃあ、どうやって青の部分にアプローチするか?
そこででてきたのが、DIVERです。これがひとつの有力なツールになりえるだろう、と。
たとえば、「家庭における親と子どものインタラクション」というのは、今まで非常に分析が難しかった。
まさか他人の家に住み着くわけにもいかないし、結局は、固定カメラの前でインタラクションをしてもらい、その場面を観察するしかないからである。
ちなみに、僕は学部時代に、そういう研究をグループワークでやったことがあります。先輩MN先生のお子さんH君の食事場面の発達プロセスを、みんなで分析しました。
この場合、MN先生は毎日毎日、子どもが食事をするときに、カメラをセットしてたんですよね・・・おお、大変だ。そして、これは研究者じゃなきゃ、できないですね。
で、ロイさんが言いたいのは、こういう場面を観察・分析するときには既存のカメラで撮影するよりも、DIVERを用いた方が、よりリッチなデータになるよね、ということでしょうか。今日は、「親子で数学を学ぶ場面」が事例として出されていました。
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今日の講演は、まぁ、そういうことです。個人的には、DIVERは使ったことがないので、まだそのアリガタミは未知数なんですけど。そういえば、ビデオ分析ツールいえば、NIMEの加藤先生が公開しているCIAOなんかもあります。
CIAO
http://open.nime.ac.jp/software/ciao/
http://ship.nime.ac.jp/ciao/
今日は、さっき紹介した図がよかった。これは、イメージがしやすいですね。
LIFE WIDE LEARNING
http://life-slc.org/wp-content/up/2006/04/life-long-and-life-wide.jpg
ちなみに、ロイさんは、この週末、BEATの公開研究会で「LIFE」について詳細なプレゼンテーションをしてくれるそうです。同時通訳も入るらしいです。とてもオモシロイ会になりそうですね。
BEATセミナー
http://www.beatiii.jp/seminar/index.html
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国際会議・・・これがアップされる頃には、僕はバンケット会場でプラプラしていると思います。
そして人生は続く。
投稿者 jun : 2006年11月 9日 17:00
気になる他人の時給と給与
働けばお金が入る、これ、世の中のことわり。そして職業に貴賎なし。
しかし、職業によって手に入れる給与に差があることは、世の中、誰もが知っている事実である。
ちょっと最近書いた原稿で、小中学校の教員の給与について調べなければならないものがありました。いろいろ調べたんだけど、そのときに、各職業の時給というのを知ってしまった!。
面白かったので、ここで紹介する。
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弁護士 10402円 (年収:2097万円:40.5歳)
パイロット 8226円 (年収:1382万円:39歳)
フジテレビ 7582円 (年収:1574万円:39.7歳)
三菱商事 6389円 (年収:1334万円:42.6歳)
電通 6215円 (年収:1335万円:39.2歳)
大学教授 6196円 (年収:1167万円:56.4歳)
三菱UFJ 5582円 (年収:1112万円:39.1歳)
野村ホールディングス 5404円 (年収:1083万円:38.6歳)
新日本石油 5377円 (年収:1147万円:42歳)
三井不動産 4995円 (年収:1037万円:40.6歳)
医師 4985円 (年収:1047万円:39.9歳)
大学助教授 4691円 (年収906万円:46.3歳)
(以上、東洋経済 2006年10月28日号 p37より引用)
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弁護士は時給10000円を超えているのですね・・・スゲー。
対して、同じ専門職でも、医師はそれほど給与が高くない。そして時給は低い。これは開業医ははいっているのかな?
この表には、なぜか大学教員ものっていますが、ここにはカラクリが。よーく平均年齢を見てください。大学教員だけ異様に高い!、だから、こんな「セレブたちの集う表」にのるのです、間違って(泣)。でも、これは仕方がないことなのです。大学教員の平均年齢は教授で55歳前後、助教授で44歳前後、助手で36歳前後だと言われているので、そもそもそういう数字しかでないのでしょう。
閑話休題
ちなみに、僕の書いた原稿はこんなのです。トリビアになるかもしれないので、のせておこう。
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日本の小中学校の教員の平均給与は月額40万円であり、年収は700万程度であるという(千々布 2005)。
OECDの調査によると、日本の教員の給与は、ドイツ、韓国、ルクセンブルグ、スイスについで第5位(OECD 2006)。ちなみに、日本の教員は、授業一時間あたりの給与80ドル(9600円)前後と世界で最も高いのだそうです。
対して米国教師の平均年収は約4万ドル(以下、1ドル120円換算 480万円)だといいいます。米国教師の場合、他の職業と比べた際には、その年収の低さがあらわになる。たとえば、教育行政官が約7万ドル(840万)、コンピュータプログラマが約62000ドル(740万)、歯科衛生士が56000ドル(670万)である。
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はぁ、給与について調べても、給与はあがらん、これ世のことわり。
さ、今日も働くか・・・。
投稿者 jun : 2006年11月 9日 08:18
横浜中華街:萬珍樓點心舗で飲茶を食べた
かなり前のことになりますが(書こう書こうと思って、ずっと忘れてた・・・)、ほぼ10年ぶりに横浜中華街にでかけました。久しぶりに訪れた中華街は、以前よりも小綺麗な感じがしたなぁ。で、人通りが多くなっていたように思うのは、気のせいかな。
かつては、もっと猥雑としていたような気がするんだけど。10年も前のことだから、記憶は薄いですね。
この日は、飲茶をやりたかったんです。で、名店「萬珍樓點心舗」を訪れました。中国に長く駐在していた人が、「この店はおすすめ」といっていましたので。
萬珍樓點心舗
http://www.manchinro.com/
飲茶といえば、威勢のよい声をはりあげた小姐が点心をいっぱいのせたワゴンを押してくる様子が目に浮かびますよね。で、急かされて食う・・・またねーちゃん来たよ、もう、いらねーよ、みたいな。
でも、この店萬珍樓にワゴンサービスはありません。通常のレストランと同じように、自分の好きな点心をアラカルトで頼むことができます。
飲茶の一般的なイメージとは、ちょっと違う雰囲気で、「上品な時間」を愉しむことができますね。少なくとも、ワゴンに急かされることはありません。
アラカルトもよいかな、と思ったのですが、リーゾナブルなコースメニューがありましたので、この日は、コースにしました。
・・・待つこと10分・・・しばらくして点心がひとつずつ運ばれてきます。どれもジューシーな肉汁が、白皮の中にたくさんつまっていて、一滴さえ逃がしたくない気持ちになります。
勢いあまって白皮を破らないように、箸でゆっくりとつまみ、ひとつずつ慎重に慎重に口に運びます。
口福ですね・・・これを口福といわずして何を言おうか。
「寿司と天ぷらは親のかたきをとるように食え」と江戸っ子は言いますが、飲茶も同じだよな、と思います。
でてきたそばから、熱いうちにすぐに食うのがいいんでないでしょうか。これが冷えてしまうと、旨さは100分の1だろう、と思います。
隣の10代のカップルとほぼ一緒の時間にコースをスタートしたはずなのに、彼らがまだ半分くらいしか食べていないときに、僕とカミサンはコースを終えました。
ちんたら食ってんじゃねー(怒・笑)
僕らは単に食うのが早い、がっついてるだけ、という噂もありますが。いや、若さに嫉妬してんだね、きっと(笑)。
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ともかく、本当においしい飲茶をゆっくりと愉しむことができました。「萬珍樓點心舗」おすすめです。中華街にいったときにはぜひ。ちなみに、この日の費用は2名で6000円くらいでした・・・だったような。
投稿者 jun : 2006年11月 8日 17:03
ヴィレッジヴァンガードでカフェ風ボサノバを見つける!
先日、「遊べる本屋」の「ヴィレッジヴァンガード」に立ち寄った。
ヴィレッジヴァンガード
http://www.village-v.co.jp/
ヴィレッジヴァンガードは、オシャレ系雑貨、本、メディアを取り扱う不思議な本屋。「あらゆる分野の書籍を集めてますけんのー」風の巨大本屋とは違って(何語?)、店員さんが渾身をこめて選んだおすすめ品が、WitにとんだPOPにディコレートされ、所狭しとならんでいます。
で、僕はこの本屋、好きなんです。ここに来れば、いつも「発見」がある。へー、そんなん、あるんや、みたいな感じで、いつもオモシロイものに出会える。この日も、通りで看板を見つけ、1時間ほど店内を物色しました。
で、たぐいにもれず、出会ってしまった・・・誰もが知っているヒット曲を、カフェ風ボサノバにアレンジしたCD。ちょうど、店内のBGMとしてかかっていたのです。で、衝動買いしてしまった。
これね、本当にいいですよ。ちょっと視聴してみますか? 全曲試聴できます。
SOTTE BOSSE
http://www.rainbow-e.co.jp/listening/sottebosse.html
「島唄」「Everything」「真夏の果実」「春の歌」「未来予想図」「One more time, One more chance」「世界に一つだけの花」「ガラス越しに消えた夏」など、誰もが知っている曲がはいっています。
この人の声、僕好きだけどなぁ。まぁ、好みでしょうが。
投稿者 jun : 2006年11月 8日 05:00
マイナス学習が起こった?:米国大学生の一般教養は落第!
本日の朝日新聞朝刊に「米国の大学生の一般教養は落第」という記事があった。下記に一部を引用する。
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全米50大学の学生の政治や歴史の基礎知識を調べたところ、4年生でも1年生と大差なく、エール大学など16校では逆に4年生の方が成績が落ちていることがわかった。
(中略)
調査は新入生と4年生の計1万4千人を対象に昨年秋に実施。米国史、政府機構、国際情勢、経済の各分野の基礎知識に関する60の質問で、知識の習得度を調べた。
(中略)
大学別では、4年生の正答率が新入生に比べて一番上がっているのがローズカレッジ(11.6ポイント)。逆に、在学中に知識を減らしている「マイナス学習」と判定されたのは、7.3ポイント下がって最下位だったジョンズホプキンス大学はじめ、カリフォルニアバークリー校、エール大学など、有名校を含む16校だった。
(以上、部分的引用)
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この記事を読んで、今回のテストで測定された知識というのは、本当に、はかるに値する「教養」だったんだろうか、と思った。記事には独立戦争の文言などの例がでていたけど。
でも、このテスト、新入生にも答えさせてるんだよなぁ・・・。てことは、大学になってはじめて学ぶような原典の知識ってことではなさそうだ。中等教育までにならうことってことかな・・・。
4年間のあいだに、いわゆる知識は忘却したかもしれないが、新たな世界観や知の方法論を手に入れていた、といえるもしれないなぁ、とも思う。
いずれにしても、詳細はわからないけれども・・・。
それにしても、同様の調査が日本の大学で行われたら、どのような結果がでるだろうか。これが最も興味深い。
僕の実感では、少なくとも僕の時代の学生よりは(ダメ学生は僕だけか?)、今の学生の方が、熱心に勉強しているように見えるんだけど・・・。
まぁ、ジャスト印象論です。
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追伸.
ちなみに、言い訳をしておくと、僕は1年生から2年生までのあいだは、あんまり勉強もしなかったし、「ひっきー」気味だった。3年生からは、生涯でもっとも勉強したと思う。
投稿者 jun : 2006年11月 7日 19:22
バカな!、なるほど!・・・戦略の本質
何の本だったかはすっかり忘れてしまったけれど(最近あまりの忙しさに、長期記憶は崩壊している)、先日読んだ本の中に、こんな話がのっていた。
神戸大学で研究なさっていた、ある高名な経営学者の先生によると、「戦略」という言葉の本質は、「バカな!、なるほど!」で言い表されるのだという。
つまり、戦略とは、「一見理に反しているように見え、誰もが容易には気づかないけれど(バカな!)、説明を聞けば思わず膝をうって感歎してしまうような考え(なるほど!)」のことをさすのだという。
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昨今、「戦略」という言葉が世の中に氾濫している、と言われて久しい。
どうして、うちの組織は<戦略>がないのかねー
その問題の対処は、<戦略>的にですねー
こんな会話を会議や飲み屋などで聞いたことがあるだろう。しかし、こうした話をよくよく聞いてみると、多くの人々が使う<戦略>は、「自分がよしと思っていること」くらいの意味しかないことが多い。
つまり、本来の意味は、
どうして、うちの組織は<わたしの思うように>ならないのかね
その問題の対処は、<わたしの思うとおりに>ですねー
くらいなものなのに、それを覆い隠すために、「戦略」という言葉を使っているだけのことが多い。そこには、膝をうって感歎してしまうほどのオリジナリティは微塵もない。
そもそも「どうして、うちの組織は戦略がないのかねー」と言表できる人間は、本来、組織がもちえる戦略を既に知っていると考えられる。しかし、そうした人間が「いるはずなのに」、その人間の所属する組織の戦略なき暴走や迷走はやむことはない。
「戦略」という言葉を多用する人ほど「戦略」を知らない、というのは、笑えない冗談でしかない、ように思う。
戦略という言葉を使うには、覚悟がいる。
投稿者 jun : 2006年11月 7日 07:33
学会雑感
日本教育工学会大会が終わった。今年の大会は、500件を超える発表があり、過去最大の大会となった、という。開催校の苦労はなみなみならぬものがあったろう。本当にお世話になりました。
下記、僕が特に印象に残った発表を「自分のための備忘録」のために記しておく。
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まず興味をもっのは、青木先生(NIME)による英国ティーチャーズテレビ(Teacher's TV)。英国の「デジタルテレビをつかった教師教育」の状況については知らなかったので、勉強になった。
Teacher's TV
http://www.teachers.tv/
Teacher's TVは小中学校現職教師を対象にした、「教師の専門性」向上のためのデジタルテレビ番組。番組の他に、それに付随するポータルサイトが提供されている。
番組には、学習リソース、教育ニュース、学校マネジメントやリーダーシップに関するベストプラクティス、ドキュメンタリー、ベストプラクティスの授業映像などがあるそうだ。
忙しい教師が視聴できるよう、多くの番組が10分間のショートクリップになっているという。長くて15分程度らしい。
コンテンツは、民間のテレビ局によって開発されている。これを支えているのは、政府・英国教育技能省。月3億5千万円(年間42億円)を使って運営していることである。
番組は、上記のポータルサイトでも配信されているそうだ。今度、機会があったときにでも見てみたいと思っている。
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次に岡本先生(大阪大学)らによる、「近赤外光イメージング装置を活用した脳機能の測定」の研究。合同、加法、乗法など、様々な数学的課題を課したときの前頭前野のヘモグロビン濃度を測定していた。
もしかすると・・・従来から実施されている「Expert - Noviceパラダイムの研究」を「補完」するデータとして活用可能のかな、と思った。領域によって、あるいは、Expert-Noviceによって活性化する部位、程度が異なるのだとしたら、この研究にも違った展開が可能になるだろう。
同時に「近赤外光イメージング装置」のデータだけをもって、教育的示唆を導くのではなく、その他の生理学的データと組み合わせ、トライアンギュレーションをすることが重要だと感じた。
近赤外光イメージング装置の抽出するdeoxyHBとoxyHbのデータは非常にパワフルであるが、それを「教育の言語」「教育の理屈」に変換する際には、「多様な解釈の海」が広がっている。
多様な解釈の中から、様々なデータを制約として、よりplausibleな解釈を行うことが重要だと思った。
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金澤先生(東京工業大学)のご発表。e-learningログデータを活用して、ドロップアウトしそうな学習者をいかに予測するか、という内容。
「累計相対アクセス回数」という指標を用いると、e-learning課題の完遂者・非完遂者が、非常に高い確率で検出できるという。
ちょっと途中で聞き漏らしてしまったので詳しくはわからないのだけれども、累積相対アクセス回数という指標がリアルタイムで産出できるのであれば、十分、実用性があるのではないかと思った。
「大規模データをリアルタイムで処理して、学習者にいかにキューイングを行うか」というのは、近年の流行である。
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岐阜大学の加藤先生のご発表。「働きながら学ぶ現職教師」のための遠隔大学院の運営の工夫に関する内容。よく工夫されているなぁ、と思った。
これまで岐阜大学では現職教員のリカレントのためにサテライト教室を設け、遠隔講義を行っていた。サテライト教室は、40分以内の通学を想定する場所に設けられているが、職場や自宅などからもアクセスしたい、という要望が強かった、という。
これを解決するため、VPN技術(Virtual Private Network)を用いて、自宅や職場のマシンを大学の仮想マシンにして、テレビ会議を行っているのだという。
こういう風にやれば安定的に運用できるのか、と思った。
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来年の学会は、早稲田大学での開催である。
参加することを非常に楽しみにしている。
投稿者 jun : 2006年11月 6日 08:00
QRコードでの質疑応答:シンポジウムのリフレクション
「社会人の学習環境を創る」シンポジウムでは、「携帯電話を使った質疑の受付」というのを行いました。
下記のようなQRコードいりの紙を配布し、発表者が発表を行っているあいだに、質疑をリアルタイムで受け付けていたのです。
結果、2時間でおおよそ30件以上の質問を受け付けることができました。質問・感想をおよせいただいた皆様、本当にありがとうございました。
今日は、お寄せいただいた質問の中から、シンポジウム内では取り上げることのできなかったものをご紹介します。これをもって、シンポジウムのリフレクションにかえたいと思うのです。
本来ならば、シンポジストの先生方にお答えいただけるとよいのですが、皆さん多忙な方々ばかりなので、それもかないません。僕がかわりに私見を述べたいと思います。
(参加していない方にもわかりやすいように、一部、内容を編集しています)
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Q.今回のシンポジウムは、ワークプレイスラーニングの理論と実践についてですね。私は英国OU でLearning in the Connected Economyを学びました。内容はまさにワークプレイスラーニングの理論と実践でした。海外は進んでいると思います。日本でも、社会人が仕事をしながらもっと気軽に学べる環境が欲しいと思います。
そうですね。イギリスは、Management Educationの文脈で、これまでも「働く場での学習」の教育を行ってきました。おそらく、アメリカにならんで、世界でもっとも研究が盛んな場ではないでしょうか。
確かに、おっしゃるように「海外は進んでいます」。が、そういうと悲観的になる人もいるのですが、そこまで悲観するほど差がついているわけではありません。教育学、経営学全体から見れば、まだまだマイノリティです。
今年のシンポジウムでは、はじめての試みでもありましたので、なるべく概論的なものを扱いましたが、これから日本発の研究をたくさん生み出していく必要がありそうですね。力を貸してください。機会があれば、OUで受けた内容をご教示いただければ、とても嬉しいです。
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Q.蒋さんのご発表では、「現代企業は、様々な雇用形態の社員がいりまじって、多国籍軍化しています」とのことでした。民間企業ほどではないですが、大学をはじめとする学校という組織自体も同様の変化が起きているように思いました。
ご質問ありがとうございました。
本当にそのとおりですね。いまや、大学も「多国籍軍化」しています。かつては、「事務官」「教官」の2つのカテゴリーしかなかったのですが、様々な待遇の、様々な専門性をもった人たちが増えています。
その意味で、企業研究の中のダイバーシティマネジメント(多様性のマネジメント)は、大学経営、学校経営にも役立つ知見かもしれません。
様々な社会的背景、様々な待遇、雇用形態の社員を、いかにマネジメントするか、これは現代組織の課題だと思います。
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Q.熊本大学 北村先生。本日のGBS型の発表参考になりました。私は高校生の職業観・勤労観に関わる授業改善について興味があるのですが、シャンクの理論(MOPs)を授業に取り入れようと思っています。しかし、シャンクの理論は大変難しく、なるべく分かりやすく解説書を高等教育機関で作っていただければ教育工学の広がりも出てくると思っています。
北村先生、その周辺の共同研究者の方々が、近い将来にやってくれるでしょう! 期待しましょう。
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Q.妹尾先生のご提示なさったSECIモデルは、モデルの段数は違う物の、ワークショップをデザインする際のモデルである、「つくって、かたって、振り返る」と共通した部分が多いように思いました。
そうですね。シンポジウム終了後、ワークショップを長い間研究なさってきた上田先生(同志社女子大学)も、同様の指摘をなさっていました。もちろん、詳細は違っているけれど、そのエッセンスはかなり似ていますね。
考えてみれば、それは当然のことかもしれませんね。
人が学んだり、人が知識を生み出すことの前には、経営学も、教育学も、クソもヘッタクリもないのです。
あー、これ、僕が今回のワークショップでお伝えしたかったメッセージのひとつかもしれません。
研究領域というのは、帝国主義下の植民地支配のように、後から、都合のよいようにひかれた「国境」みたいなものなのかもしれません。その内部では、同じジャンルの言語体系が発達し、共通の問題意識が共有されている。
いずれにしても、ワークショップの抽象的なデザイン原則を明らかにしたいと思っている方々には、経営学の知識創造理論あたりは、探求してみる価値があるかもしれません。
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Q.今は、教育現場を支える組織も変わっています。A県教委のOJT関連グループの部署はなくなります。学校の職場の組織力向上を支援する部署に変革されるそうです。
そうなのですか。教員支援のあり方そのものも変わろうとしているのですね。「学校の職場の組織力向上を支援」というのが、具体的に、どういうものなのか、大変興味があります。
いずれにしても、先進的な県とそうでない県の格差はどんどん広がっていくのでしょうね。
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Q.中原の提示した「ゆりこごから墓場まであなたを支える教育工学」。とても印象に残る言葉でした。私は教育工学は教育工夫学だととらえています。
教育工学=教育工夫学、良い言葉ですね。
僕も全くの同感です。
僕にとっての教育工学とは、「教育現場の改善に資する人工物の開発と評価に関する学問」です。が、ここでいう人工物には、「工夫」「ルール」といったものまで含まれています。
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本当に今回のシンポジウムでは、たくさんのご意見をいただきました。お寄せいただいた皆様、本当にありがとうございました。
最後になりますが、
社会人学習環境に関する取り組みはこれで終わりなのでしょうか?
というご質問もいただいております。
これに関して、僕個人としては、今回のシンポジウムをきっかけに、学会内に、成果を公開するための場ができてくればよいと思っていますし、そのためには労を惜しまぬ覚悟です。
今回のシンポジウムは、我々のリサーチの結果を発表したのではなく、関連する先生方にアウトラインを提示していただきました。「ゴリゴリのリサーチを聞きたかった」という声もいくつか聞きましたが、最初は、今回のようなかたちがいいと思っています。
ですが、やはりサスティナブルな試みにしていくためには、リサーチが、本コミュニティ内で、生み出されることが重要でしょう。
次は、我々の番です。
今まで、「企業の人材育成をやっても、発表する場がない」と、いろいろな場で聞きました。
そのための「場」はできようとしているように思います。
来年の学会、またお会いできること楽しみにしています。
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あなたの会社に「人を育てる科学」はありますか?
中原・荒木・北村・長岡・橋本著「企業内人材育成入門」ぜひ、ご一読いただければ幸いです。
投稿者 jun : 2006年11月 5日 09:59
「社会人の学習環境を創る」シンポジウムが終わった!
日本教育工学会出席のため、関西大学にきています。
学会は研究者にとって、よい勉強の機会です。今回もいろいろなセッションを聞きました。ちょっと今時間がないので、また、あいたときにでもご報告いたします。
自分の担当だった1bシンポジウム「社会人の学習環境を創る」は、多くの方々のご協力のもと、無事成功することができました。おそらく250名程度の方々にご参加いただけたものと思われます。また、会議中には多くの携帯メール、ご意見をいただきました。ありがとうございました。
特に、ご登壇いただいた妹尾先生、北村先生、蒋先生、そして堀田先生、また大会企画委員長、副委員長の鈴木先生、木原先生にこの場を借りて感謝いたします。本当にありがとうございました。
既に書きましたとおり、シンポジウム最中には、数十件のメールをいただきました。関西大学を「下山」して、少し落ち着いたら、このシンポジウムの内容もリフレクションしたいと思っています。
今日は学会2日目。
大阪は、よく晴れています。
投稿者 jun : 2006年11月 4日 12:30
学会シンポジウム「社会人の学習環境」の見どころ!
明日11月3日、午後1時半より日本教育工学会シンポジウム「社会人の学習環境を創る」が開催されます。
今日は、このシンポジウムの「見どころ」をご紹介します。
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まず、このシンポジウムは下記の2つのゴールが設定されています。
1.企業・組織における社会人の学習環境・人材育成事例を知る
2.企業人材育成に対して教育工学に何ができるか、可能性を模索する
1の事例をもとに、ディスカッションタイム等で2の課題に取り組むことを目的にしています。
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本シンポジウムでは、具体的に下記の事例をご紹介します。
1.企業eラーニングの新しい開発事例を知る
2.戦略的・効果的なOJTの事例を知る
3.知識創造の場づくりの事例を知る
まず1では、北村先生@熊本大学から「企業eラーニングの現状」「企業eラーニングを推進する人材の育成方法」をご紹介いただける予定です。
また、新しい企業eラーニングの開発事例として、産業能率大学で開発された「タラレバeラーニング」のデモンストレーションを行っていただけます。
タラレバeラーニングは、ロジャー・シャンクのゴールベースドシナリオ理論に基づいた、ストーリーベースの教材です。一度、BEATセミナー「ゲームルネッサンス」でもご紹介いただいたので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
「ゲーム・ルネッサンス」シンポジウム
http://beatiii.jp/seminar/023.html
ストーリーベースの教材をご覧になったことのない方は、ぜひ、本シンポジウムにお越し下さい。
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2では、蒋先生(しょうせんせい)・リクルートマネジメントソリューションから「OJTを立て直すアプローチ」として、ワークプレイスラーニングアプローチをご紹介いただきます。
蒋先生は、リクルートワークス研究所にて、知的資本経営、能力開発等の研究開発に従事なさってきました。
かつて日本の企業の人材育成を支えていた「OJT」、それが機能不全に陥ったと言われるようになってから、長い時間がたっています。
かつてないほど人材が流動するようになった企業において、どのようにOJTを復活させるのか。
OJT、徒弟制度等に興味がおありの方は、ぜひ、本シンポジウムにおこしください。
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3では、妹尾先生(東京工業大学)に「知識創造理論の概論」「ナレッジマネジメントの事例紹介」を行っていただきます。
知識創造理論といえば、PM理論にならんで、日本初の理論として、経営学の文脈で最も知られている理論ではないでしょうか。提唱者の野中郁次郎先生は、知識創造の源泉を「暗黙知」「形式知」の変換においたことは、記憶に新しいところですね。
ナレッジマネジメントの事例紹介では、
1.製品の使用現場を体験することによる研究開発者育成
(製薬企業A社の研究開発部門で実施された共同化促進)
2.新人教育の形をとった知識喪失対応
(電機メーカーB社の製造部門で実施された表出化促進)
3.イントラとオフィスの変更による社員のワークスタイル改革
(C社の情報技術部門で実施された連結化促進活動)
4.高業績者によるマニュアル作成と指導を通じた知識継承
(医薬品D社の営業販売部門で実施された内面化促進)
などをご紹介いただきます。要するに、知識創造プロセスの各プロセス「共同化」「表出化」「連結化」「内面化」をすべてご紹介いただけるとのことですね。
知識創造、ナレッジマネジメントの詳細な事例についてご興味がおありな方は、ぜひ、本シンポジウムにおこしください。
それでは、明日、シンポジウム会場でお会いしましょう!
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あなたの会社に「人を育てる科学」はありますか?
好評発売中(ピーク時:AMAZON200位)
中原・荒木・北村・長岡・橋本著「企業内人材育成入門」ぜひ、ご一読いただければ幸いです。
投稿者 jun : 2006年11月 2日 14:07
僕の本ではありません
これは僕の本ではありません・・・もぬけ。
脱力系の表紙、いいですね。
もぬけ 中原 淳著
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4797499184/ref=pd_rvi_gw_1/250-2606085-1796212
館野君(M1)、脇本君(M0)、教えてくれてありがとう。
投稿者 jun : 2006年11月 2日 14:00
腑に落ちる英文法!
先日、NHK教育テレビを見ていたら、「英文法の詳細な解説」番組をやっていました。「ハートで感じる英文法」という番組ですね。
毎回、ある英単語をとりあげ、ネィティブが感じる語感、そこに込められたニュアンスをじっくり解説する番組ですね。
「腑に落ちるってのは、こういうことなのか」という感じで、いつも、「ごまかされっぱなしの英文法」の詳細について、理解できました。
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僕が見た会では、「Come」をとりあげていました。多くの日本人にとって、この単語は、下記のように暗記されているはずですね。
Come=「来る」
でもさー、この暗記だと、
May I come to your office?
(あんたのオフィスにいこうか?)
というのが全く理解できないはずなんですね。「あんたのオフィスに来ようか?」ってことになっちゃう。
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番組によると、Comeというのは「来る」ではない。
Come = 視点のある方=話題の方向に移動する
という意味だそうです。
さっきの英文だと、今、話題になっているのが「Your office」だということになります。だから、Come は、結局、「行く」の意味になる。
I'm coming home
というのも、これなら理解できます。
今、話題の中心になっているのは、「Home」です。だから、「来る」じゃなくて、「(話題の中心になっている)家に移動したよ=ただいま」ということになる。
この説明、「腑に落ちませんか」。
英語も語感から理解するっていいですね。今まで、「まーそんなものかな」と暗記で対応してきましたので。
Come、わかった!
投稿者 jun : 2006年11月 2日 07:00
ニンテンドーDSと美術館
去年、僕は「某科学館の携帯型展示ナビゲーションシステムの評価」のプロジェクトを、何人かの方々と実施したことがあります。で、下記の興味をもちました。国立西洋美術館で、下記のようなトライアルをするようです。
国立西洋美術館でニンテンドーDSやワンセグ携帯を利用したトライアル
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/15977.html?ref=rss
ニンテンドーDSを活用した展示ナビゲーションでは、京都嵐山の時雨殿が有名です。ここでは、百人一首の成り立ち、知識についてニンテンドーDSを活用して学ぶことができます。僕も春に行って体験しました。
時雨殿
http://www.shigureden.com/
美術館のIT活用という観点では、「展示物に加えた補助的な情報の提示手段」ということで、モバイルメディアを活用する、というかたちが一番注目されているようです。
でも、これ、体験してみるとわかるけど、実際の展示物とモバイルメディアから提供される情報が、あまりにもToo muchでアップアップになっちゃう傾向もあります。
時雨殿は、ニンテンドーDSを使って行うアクティビティが、ゲームが中心になっています(それ以外もあるよ)。なので、あまりアップアップ感はありません。
もし万が一自分が設計者だったら、どんなオモシロイ使い方ができるだろうか・・・。
職業柄、そういうことをいつも考えます。でも、まだ僕に答えはありません。なんか、いい案ないかね。
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あなたの会社に、人を育てる科学はありますか?
中原・荒木・北村・長岡・橋本著「企業内人材育成入門」、ダイアモンド社より、好評発売中です!ぜひ、ご一読いただければ幸いです。
投稿者 jun : 2006年11月 1日 06:00