Connexions : 大学教科書が変わる?

 昨夜、飯吉先生@カーネギー財団と会場でお会いして、Open Education(教材のオープン化)に関する最近の動向を聞いた。

 周知の通り、アメリカには、Open Course WareやOpen Learning Initiativesのように、大学が教材をオープンにしていく運動がいくつも存在している。

ネットで教材をオープンにする運動
http://www.nakahara-lab.net/blog/2006/04/post_159.html

 が、その中でも、ライス大学のConnexionsというサイトが、非常に注目されるようになってきているらしい。

コネクションズ(Connexions)
http://cnx.org/

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 コネクションズを一言でいうと、「教材・資料等をクリエィティブコモンズで公開するWebサイト+オーサリングツールのセット」ということになるだろう。学習科学をご存じの方は、WISEの発展版を思い浮かべればよいのではないかと思う。

 他のOpen Educationの動向と比べて、その特徴は下記のとおりである。

1.教材の公開を行うWebサイトだけでなく、オーサリングツールをそなえていること

2.コンテンツは「モジュール」「コース」という単位から構成されている。モジュールを複数組み合わせリンクをはることで、ひとまとまりの「コース」をつくることができる。

3.モジュールはXMLで書く。音声データ、マルチメディアデータ、などを扱うことができるので、インタラクティヴなコースをつくることができる。

4.複数の著者が力をあわせてコースをつくり、公開できるような仕組みになっている

※詳細は下記のツアーをご覧ください。

コネクションズツアー
http://cnx.org/aboutus/tour/

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 現在、コネクションズには184のコース、3556個のモジュールが登録されており、全世界157カ国から16000000件のアクセスを記録しているという。
 ちなみに、米国には、この手の試みに対して、様々な助成団体が寄付を行っているが、もっとも注目されているらしい。

 ・・・とまぁ、ここまでなら、これまでにも例はあったのだけれども、コネクションズのユニークさは、オープンな教材を「紙モノの出版」と結びつけようとしているところにある。

 聞くところによると、アメリカの有力コミュニティカレッジが、ライス大学と共同で、コネクションズで教材を開発し、それを実際に紙モノの教材として出版する計画をたてているのだとか。

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 飯吉先生によると、一般的にコミュニティカレッジは、入学金や授業料は低く抑えられているが、教科書代は非常に高いのだという。コミュニティカレッジに通う人は、いわゆる低所得者層やマイノリティも多く、そのことが彼らの就学機会を奪っていた。大手出版社に教科書の価格を牛耳られているので、それを低くするのはなかなか難しかったのだという。

 今後の展開によっては、コネクションズで教材をつくると、オンライン教材と同時に、紙モノもできる、といったことが、可能になるかもしれない。

 それは、大学教科書のビジネスモデルを揺るがす可能性もあるかもしれないし、Open Educationのあり方そのものをかえる起爆剤になるかもしれない。

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 高等教育大国、アメリカ。
 そこで生まれるアイデアは、いつも破壊的で、挑戦的で・・・魅惑的である。