ヘンリー・ミンツバーグ:MBAが会社を滅ぼす
ヘンリー・ミンツバーグ「MBAが会社を滅ぼす」が翻訳されていることを知った。僕自身は、数年前原著で読んだが、センセーショナルな内容は記憶に新しい。
おー、もう2年前かよ・・・ミンツバーグとミーハーな僕
http://www.nakahara-lab.net/researcheressay08.html
「ダメな会社ほど、MBAホルダーが多い」
「業績不振の米国企業のエグゼクティブでMBA取得者の比率は90%」
「業績好調の米国企業のエグゼクティブでMBA取得者の比率は55%」
とのっけから、ミンツバーグは「米国流ビジネススクール」にケンカをうる。泣く子も黙る経営学の重鎮が(ハーヴァード系とはあわない)、経営教育を批判するから、非常に説得力がある。内部からの批判の価値は重い。
「マネージャは一体何をしているのか?」という問いに答えるため、経営者の「追っかけ」をやっちゃった彼の出世作「マネージャの仕事」のときもそうだけれども、彼のリサーチクエスチョンは、いつもシンプルだ。
「MBAで学んだことが実務で役に立つのか?」
「MBAホルダーは、すぐれた経営者になれるのか?」
答えはすべて「NO」である。
ミンツバーグによると、MBA教育は誕生して50年を過ぎている。しかし、それは変革を求められている。ビジネスパーソンが何をきっかけに、どのような介入によって、何を学ぶのか。すべては学習の原理から根本的に、かつ一貫したかたちで変えなければならない。
最後には、ミンツバーグの行っているMBAプログラム「IMPM(International Masters in Practicing Management)」が紹介されている。
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本書で検討されていることは、MBA。学ぶ内容は経営学である。しかし、やや想像力を豊かに働かせて、教育のことを振り返ってみれば、彼の指摘の多くは、教育関係者にとっても、有益だと思う。
現在、米国のGraduate school of Educationを下敷きに、日本でも教職大学院がつくられようとしている。すべてを並列に論じることは当然できないけれど、今一度、ミンツバーグの叫び!?に耳を傾けてみるのもよいかもしれない。
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追伸.
「役にたつ」には、いろいろな「役に立ち方」がある。僕自身の考えを述べれば、MBAで学んだ知識が全く役に立たないというのはウソだと断言する(もちろんそんなことはミンツバーグはわかっている)。「すぐれた経営者になれるか」と問われると、そんなわけはない。そもそも「MBAホルダーがすぐれた経営者になれるか」という問いの建て方自体に問題がある。少し弁護したい気持ちにもなる。