人生はフルコース
NHKドラマ「人生はフルコース」を毎週楽しみに見ている。去年急逝した帝国ホテルの元総料理長・村上信夫さんの一生を描いたドラマである。
人生はフルコース
http://www.nhk.or.jp/dodra/index.html
村上さんは、小学校の卒業を待たずして、厳しい料理人の道に入った。なかば、太平洋戦争へ出陣。何とか生き延び、終戦後パリへ留学する。その後、帝国ホテルメインダイニング料理長に就任。日本ではじめてバイキングを導入したりした。
NHK「きょうの料理」の講師として、東京オリンピックの選手村食堂の料理長として、国内における西欧料理の確立、普及に尽力したことは、よく知られている。
村上信夫 Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E4%BF%A1%E5%A4%AB
このドラマを見ていて、学習の研究者として個人的に非常にオモシロイのは、かつての厨房が、
1) レシピは属人的に管理されており、他のコックに味が盗まれることを極端に避けていた
2) 軍隊式の徒弟制度がひかれており、かなり暴力が頻発していた
といった特徴をもっていたのだけれども、これらを村上氏が変革することである。
彼は、レシピを率先して公開し、新人にもそれを学ぶ機会を与えた。また、暴力による指導は禁止した、とドラマでは描かれている(真偽はわからない)。
こういう言い方が適当かどうかわからないが、「従来型の徒弟制度の閉鎖性」を見直し、厨房を学習の場に変革した、と言えるかもしれない。
ともかく、物語を楽しむ一方で、僕は料理人の学習の様子が気になって仕方がない。1粒で2度楽しめるドラマとは、このことを言うのかもしれない。
次週は最終回。
東京オリンピックの選手村の総料理長をまかされた村上氏が全国から集まった素人の料理人たちを、どのように一人前のコックにして、業務を遂行させるか、である。この様子は、すでに、プロジェクトXでも描かれている。
今から楽しみだ。