大学院にいくと会社を辞める!?
会社や官庁から海外大学院に留学した人は、数年以内に会社を転職する
僕のまわりを見ていると、これはもしかすると真理かもしれないなぁと思う。
これには数多くの理由があると思う。
日本企業の場合、それはお金ではない。大学院進学者に対して、給与があつく支給されることは、日本企業の場合、非常にマレである。
僕はよく言うのだけれども、一度大学院で学んでしまうと、「シャバには戻れないアタマになる」。これが原因のひとつになることはあるだろう。
様々な視点、モノゴトの理を学んでしまうと、今までとは違った風に世界が見えるようになる。今まで、自分がおかれていた境遇が「自明のもの」ではなく見えるようになり、問題点がビビッドに浮かび上がってくる。
しかし、最大の理由は、日本企業や官庁が、大学院で学んだものを「うまく処遇できないこと」に最大の原因があるように思えてならない。もちろん、中には「進学したあとは辞めること」を考えている確信犯もいるけれど、僕にはあまり数は多くないようにも思える。
現場で出てきた問題意識を解決したくて大学院に進学したのに、帰ってみると、いきなり違う部署に異動させられる。
ファイナンスの知識を役立てようと大学院で一生懸命学んだのに、ジョブローテーションだということで、地方の営業職にとばされる。
上司が「2年間遊んできたんだから、もっと働けるはずだ!」と大学院進学者に冷たい・・・
などなど、様々な冷遇が、引き金になることが多いように思える。
自分の専門性がいかせるところに配置してくれたら、もっと貢献ができるのです
そう訴えたとしても、「ワガママを言うな、これがルールだ」で切り捨てられる。「自分の好きなところで働きたかったら50歳になるまで待て」と言われる。
若い時分は、二度とない。これでは、辞めてしまいたくなるのも最もだなぁと思う。
会社や企業の人事システムのあり方を変えていくのは、大変困難な作業であることは承知している。
しかし、合理的に考えればすぐにわかるように、「大学院が学んだことが活かせる」ようなシステムをつくった方が、社員にとっても、会社にとっても、相互にメリットになるはずだろう。せっかく数千万単位の金をつぎこんで、大学院留学させたのに、すべてが無になってしまうのは、あきらかな損失である。
知識社会、大学院進学者はさらに増える。
システムの変革が、求められている。
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今日は大学院情報学環の入試説明会でした。型どおりの入試説明が終わったあとは、教員がブースをつくって、自分の研究の説明をする「バザール」が開催されました。とても面白かった。何が面白かったって、空き時間に他の先生の研究を見に行くのが(笑)。
へー、この領域ではこういう手法で、この問題に切りこむのだなぁ・・・と、僕自身が勉強になりました。まさに「知のテーマパーク」。