日本酒のトラウマ

 以前と比べて、最近の僕は「日本酒」を飲むことが、増えました。実家の親から「素晴らしい地酒」をもらった、というのもあるのですけど、キリリと冷やした日本酒が、上質のワインのように感じられ、心から「うまい」と思うようになったのです。

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 以前の僕は、日本酒が嫌いでした。

 まぁ、いわゆる「食わず嫌い」ならぬ、「飲まず嫌い」なのですが、その一因は、若い頃飲んだ安い日本酒に起因しているのではないかと思います。

 お金のなかった高○生の頃、そして大学生の頃、僕らが選んだ日本酒は、1.8リットルで1000円とかいう、いわゆるパック酒です。

 お金がなかったので、それしか選ぶ余地がなかった。ビールは高いわけですよ、日本酒から比べれば。「胃にはいっちまえば、同じだろ、アルコールは酔えればいーんだよ、酔えれば」というなら、日本酒が一番コストパフォーマンスが高いのですね。

 でも、僕らが買えるような日本酒は、本当に甘ったるく、ベチャベチャしており、あまりおいしいと思える代物ではないのですね。おそらくは、醸造用アルコールをあとで激しく添加していることが理由のひとつなのでしょう。なんだか「作られた味」なのです。

 で、こういう安い日本酒を僕らは、大量に飲んでいた。

「森のくまさん」のイッキコールにあわせて飲んだりしていたわけですよ(今はイッキ禁止だよねぇ・・・もう久しくあのメロディ聞いてないねぇ)。

 「まだまだ、くまさんは、おさけを飲み足りない!・・・」とか言って、キャキャー言って飲んでいた。

 で、ヒドイ目にあうわけだよね、恐ろしいほどの、いやいや、天地がひっくりかえるほどの二日酔いに苦しむわけです、「バカ丸出し」だねー。

 もともと、日本酒を「おいしいもの」だと思っていませんけど、さらに「ヒドイ目」にあっていますから、さすがに「鳥頭」の僕たちでも、学習するわけです。

 かくして「日本酒」が「不快な感情」とむすびついて、長期記憶の意味ネットワークに刻まれるわけですね。「日本酒=ヤヴァイ酒」みたいな。

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 僕のようなかたちで、日本酒が嫌いになってしまった人、日本酒と疎遠になってしまった人は、結構多いのではないかと推察します。つまり、日本酒がトラウマになっちゃっている人ね。

 そういう人たちに日本酒を見直してもらうためには、やはり日本酒に関する知識と、おいしい飲み方を積極的にPRするしかないのではないでしょうか(てめーで勝手にしょーもない飲み方をしたくせに、と怒られるかもしれませんが・・・)。

 今、日本酒は焼酎に完全に負けていますね。
 先日、スーパーでお酒売り場にいったところ、日本酒のコーナーは縮小され、本当に申し訳なさそう程度にしか、売られていませんでした。とても悲しいことです。

 おいしい日本酒が普及することを期待します。